遊戯王 存在しないモンスターズ   作:コジマ汚染患者

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はい、デュエル回です。
ディアベルスターさん弱体化に伴って、ステータスは落とすと決めてたけど数値は何となくで決めた結果帝ステータスになってた事に今回初めて気づいた。狙ってないんだけどなぁ?

更新の遅れについては、まぁ、うん。申し訳ない


第2話(下)

「さて、先攻は僕だね」

 

デュエルディスクのランプが点灯し、先攻は遊鮮となる。

アイツが手札を確認している間に手札を確認するが......くそ、あまり良くない。

辛うじて、と言うべきか召喚できるモンスターはいる、あとはドローカード次第か。

 

そんな事を考えていると、遊鮮が微笑みながら手札のカードを1枚取る。

 

「まずはこんなところからかな?手札から魔法カード、『予想guy』発動!デッキから、通常モンスターを特殊召喚だ!」

 

「来るか、遊鮮お得意の『あの』モンスターが!」

 

デュエルディスクからカードを引き抜き、遊鮮がモンスターゾーンへとセットする。召喚エフェクトに包まれながら出てきたのは白く艶のある輝く白米の塊。そのまわりに巻かれているのは、香ばしい香りを放つパリッパリの......海苔だこれ。

 

「来い!『しゃりの軍貫』!」

 

「」

 

「ち、こりゃぁ結構手札が良いか......!」

 

『......あれ、食材か?異様にオーラを放ってる気がするんだが』

 

「ああ、あのモンスターは攻撃力が2000あるからな」

 

『......あれが?』

 

背後で驚愕する雰囲気がする、ディアベルスターがそんな反応するのも無理はない。どう考えてもただの米、というかしゃりでしかないのにあの見た目で2000もの攻撃力を持ってるんだ、ある意味見た目詐欺だろう。

 

『軍貫デッキ』、それが遊鮮のデッキだ。あのしゃりの軍貫に代表される様な、寿司を模したモンスターを操るデッキであり、相手してると非常に食欲をそそるデッキでもある。

......ついでに言うと、見た目だけじゃない。俺たち幼馴染組の中でも一番の実力を支えているのは伊達じゃないのだ。このデッキには更なる特徴がある。

 

「さて。実はちょっと手札はよろしくないんだよね。それでもこれくらいはするさ、手札から『ブリキンギョ』を召喚!」

 

追加で呼び出されたのは機械の平たい金魚型のブリキ。硬い体を跳ねさせているが、ピチピチでは無くガチャガチャという硬い音が響いている。

 

「ブリキンギョの効果だ!手札からレベル4モンスターを特殊召喚する!こい、『メガロスマッシャーX』!」

 

ブリキンギョの効果で呼び出されたのは、今度こそ本物の魚類。......いやアレ恐竜族じゃねぇか。こっちを一飲みに出来そうな大きな口を持つ水棲恐竜のようなモンスターが、威嚇のようにこちらへと大口を空けてみせる。

......これで、フィールドに同レベルのモンスターが揃った。来る!

 

「仕上げだ!レベル4のブリキンギョと、しゃりの軍貫で、オーバーレイ!」

 

遊鮮がメガネの位置を軽く直しながらニヤリと笑う。その後直ぐにされた宣言を受けて、しゃりの軍貫とブリキンギョの2体のモンスターが光となって飛び上がる。

ふたつの光はそれぞれに交差するように飛び上がったあと、左右に別れてフィールドへと落ちてくる。落ちていった先へ宇宙のような広大な空間へ繋がる穴が開くと、ふたつの光は勢いをそのままに入っていく。

 

「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!『エクシーズ召喚』!」

 

光が、迸る。最初は細く立ち上ってきた光は直ぐにその光量を増大させ、やがて飽和して周囲を包むほどになる。

 

「素材から吟味し試行を重ねたどり着きし極上のシャリと、重ねられしネタの甘美かつ脂の乗った深みある味わいをぜひその全身でご賞味あれ!『弩級軍艦―いくら型一番艦』、出港!」

 

呼び出されたのは、先程のしゃりにも劣らない艶を見せる紅の鮭卵がこれでもかと載せられた巨大な戦艦。

主砲、いくら。艦橋、いくら。甲板、いくら。時々きゅうり。

誇らしげに艦の側面へ施されたいくらの字が目を惹く。

 

同じレベルのモンスターをフィールドに揃え、それを素材として重ねることで専用のデッキ......エクストラデッキより召喚される黒いモンスターカード。それがあのいくら型一番艦の様なモンスター、『エクシーズモンスター』だ。

そのエクシーズモンスターを召喚するこの工程のことは、『エクシーズ召喚』と呼ばれる。

 

使いこなすことすら難しいとされるエクストラデッキ、そこから使用出来る召喚方法そのひとつ。遊鮮が決闘塾に通う理由の一つでもあるそれは、低レベルモンスターでも数さえ揃えれば強力なモンスターを呼び出せる可能性を生み出す。

 

「ちっ、相変わらずだな!でもまぁ、本当に少し手札が悪かったみたいで助かったぜ!」

 

これでも実は手札事故を起こしてくれているって言うんだから堪んねぇ。もしこれが万全の手札なら、もっとヤバい状態のいくら型一番艦が出てきていたからな。

 

「まぁね、こればっかりはしょうがないと諦めるさ。いくら型一番艦のエクシーズ召喚成功時、効果発動!『しゃりの軍貫』を素材として召喚されたことで、僕はカードを1枚ドローする!」

 

『......ふむ、美味そうだな。おい遊笑、早く私を召喚しろ』

 

「待ってろ、言われなくてもお前にも戦ってもら......本当に待て!?食う気か!?アレ食えるの!?」

 

『私をフィールドに出せばこの世界に干渉できるからな、可能性はある』

 

「......何だか、今日の遊笑独り言が多いね?」

 

くそ、ディアベルスターの発言に思わずツッコんじまうせいで変な奴みたいになっちまう......こいつどうにか黙らせられねぇかな。

 

「うん、まぁ足りないものがある始動にしては上々かな。ターンエンド」

 

満足気にエンドを宣言する遊鮮。フィールドは......いくら型とメガロスマッシャーか、確かに初手として見れば上出来だろう。エクシーズ召喚が行われた事もあり、他の生徒からの視線が凄い。

視線の種類としては、エクシーズモンスターへの羨望、遊鮮への感心。あと対戦相手の俺に対しては......ああうん、哀れみの視線と様子見かな?

 

決闘塾なんてものが出来、そこで召喚方法を教えるというのが成り立つくらい、エクストラデッキの召喚法は奥が深く、そして難しいものだ。つまり、それを「使いこなす」まで行かずとも「使える」ってだけでもやり手として一目置かれるには十分なのだ。

それは当然、同い年でそんな召喚法を使うやつがいれば気になるわな。

 

「っし、いくぞ!俺のターン、ドロー!」

 

様子見はともかく哀れみの視線はちょっと不満だ。まだ始まったばかりなんだ、俺だって負けっぱなしだとは思われたくない!

ドローカードは......良し、いくら型はともかくメガロスマッシャーはどうにかなる!

 

「手札から魔法カード、『テラ・フォーミング』!デッキからフィールド魔法カードを手札に加える!俺が加えるのは、『魔法都市エンディミオン』!」

 

欲しいカードを手札に加えるサーチカードを使い手札へ持ってくるのは、いつもお世話になっている魔力カウンター乗せ機。そしてそのままデュエルディスクを操作し、フィールドゾーンへとカードをセッティングする。

 

「そのまま魔法都市エンディミオンを発動!続いて、『魔導騎士ディフェンダー』を召喚!効果でこいつ自身へ魔力カウンターを1つ乗せる!」

 

手札から召喚したのは、魔導戦士ブレイカーと似た魔法使い族モンスター。ブレイカーとは違いこちらは大きな盾を装備している。魔力カウンターを乗せられた事で盾の中心に着いている宝玉が輝いている。

 

「ふぅん?でも、そいつじゃいくら型一番艦はおろか、メガロスマッシャーすら超えられないよ」

 

「まぁだまだ!フィールドにはモンスターが2体以上いる!手札から『Emハットトリッカー』を特殊召喚!」

 

「な、数を揃えたのが裏目になったか!」

 

俺の場に、帽子・マント・メガネ・手袋だけで構成されたようなモンスターが特殊召喚される。大分コメディ色の強いコイツは、俺のデッキでもそれなりによく使われる展開札だ。

 

「これで、俺の狙いは達成されたぜ!手札から『魔法族の結界』を発動!フィールド魔法にカウンターを追加だ!」

 

「一体何を......?どれだけ足掻こうが、攻撃力はこちらが上だぞ!」

 

「なら突破しなければ良いってんだよ!『奇跡のマジック・ゲート』発動!」

 

「!何だ、いくら型一番艦が!?」

 

俺のフィールドと遊鮮のフィールドに巨大な扉が現れる。遊鮮の方の扉が先に開き、突風が吹き荒れいくら型一番艦が吸い込まれるようにして扉へと進んでいく。

 

「俺の場に魔法使い族が2体存在することで、お前のフィールドのモンスター一体を表示形式を変更しつつ奪うぜ!狙うはもちろん、いくら型一番艦!」

 

「ちょ、それ酷くないか!?」

 

「酷くねぇ!いくらの軍貫いっただきぃ!」

 

完全に扉の中へと吸い込まれたいくら型一番艦。遊鮮のフィールドの扉が閉まると同時に、今度は俺のフィールドの扉が開き、そこから重厚な軍艦......軍貫?が現れる。

 

「当然、魔法カードを使ったから魔力カウンターが追加!」

 

「っく、コントロール奪取とは......やるね、遊笑!」

 

「あたぼうよ!ただ、表示形式を変更しての奪取だからこのターンの攻撃には参加出来ないな」

 

守備の体勢の代わりなのか、ずいっと俺の場のモンスター達の前で横に船体を向けるいくら型。......ちょ、見えないから退いてくれ。

 

(あとはメガロスマッシャーXを退かさないとな。まぁこのターンで決めるには足りないけどしょうがない)

 

「手札から魔法カード、『グリモの魔導書』!デッキからグリモ以外の魔導書を1枚、手札へ!さらにエンディミオンカードは自身の効果で魔力カウンターが乗るぜ!」

 

発動するのは、魔力で妖しく光る魔導書のカード。フィールドへ出現した魔導書がゆっくりと開くと共に、デッキから魔導書カードが選ばれ魔導書内から現れる。

 

「俺が選択するのは、『ヒュグロの魔導書』!そして発動!ヒュグロの効果により、俺のフィールドのディフェンダーはこのターン、攻撃力を1000アップさせる!」

 

「!しまった......!」

 

俺が発動した新たな魔導書を見て顔をしかめる遊鮮。これでヒュグロの魔力を受け、ディフェンダーの攻撃力は2600、メガロスマッシャーXの2000を上回った!

 

「エンディミオンへと魔力カウンターを供給......バトルだ!ディフェンダーで、メガロスマッシャーXを攻撃!マジック・シールド・バッシュ!」

 

「ハァッ」

 

「シャァァ!」

 

大きな口を開けディフェンダーを噛み砕かんと迫るメガロスマッシャーX。しかし冷静にその攻撃を大盾で受けたディフェンダーは、弾き返されたことで仰け反ったメガロスマッシャーXへと魔力全開の盾によるタックルを放ち、相手はたまらず吹き飛ばされる。

 

「うっ!」

 

遊鮮LP4000→3400

 

「ヒュグロの魔導書の効果!このカードの効果を受けたディフェンダーが戦闘で相手を破壊したことで、デッキから魔導書カードをサーチするぜ!俺がサーチするのは、『ルドラの魔導書』!」

 

墓地のヒュグロの魔導書が輝き、新たな魔導書をデッキから手に入れる。俺のバトルフェイズはまだ終わっちゃいない!

 

「まだ俺の場にはハットトリッカーがいる!ダイレクトアタックだ!」

 

「うわっ!?」

 

遊鮮LP3400→2300

 

ハットトリッカーが、両手を遊鮮へと向け、幾何学模様の光線のような魔力を放つ。これでこのターンで盤面を返した上に、大ダメージだ!

 

「メイン2!俺は『ルドラの魔導書』を発動!俺の場の魔法使い族、ハットトリッカーを墓地へ送り、カードを2枚ドローだ!」

 

ルドラの効果により、手札補充を行う。......すまねぇハットトリッカー、悪いとは思ってる。だからその「えっ、俺!?」みたいに2度見しながら自分を指さすのやめてくれ、心にクる。

 

「(とりあえず、これ以上動く必要は無いか......)エンディミオンへカウンターが乗る。ターンエンドだ!ヒュグロの効果はこれで切れる」

 

強化されていたディフェンダーの魔力が切れ、元の様子へと戻る。予定していたよりずっと良い返しができた、さぁあとは遊鮮のドローと手札次第!

 

『なんだ、私の出番は無さそうだな』

 

「ちょ、それフラグになるから黙って......っ」

 

「遊笑、なかなかやるね。でも、さっきのターンでエンディミオンを出してトドメまで行けなかったのは失敗だよ!俺のターン、ドロー!」

 

遊鮮がニヤリと笑いつつカードをドローする。......まさか、持ってるのか......!?

 

「来た!メインフェイズ!僕は手札から、『苦渋の決断』発動!デッキからしゃりを墓地へ送り、もう1枚のしゃりの軍貫を手札に!」

 

「......スシを補給したか」

 

「まだまだ!手札からしゃりの軍貫召喚!更に召喚をしたので手札の『カゲトカゲ』も特殊召喚!」

 

遊鮮のフィールドに新たなシャリと、影の様に真っ黒なトカゲが姿を現す。......トカゲ、別に食えないわけじゃないだろうけどさぁ?寿司に......トカゲかぁ。

 

「手札から、『いくらの軍貫』!コイツは僕のフィールドにしゃりの軍貫がいる時特殊召喚できる!」

 

新たに現れたのは、いくら型一番艦よりはやや小ぶりないくらの軍貫。......いや、でもこっちの方が中々美味そうに見えるな。

 

「さて、本当は効果を使いたかったんだけどね。しゃりは今のところネタ切れだから今はこれで!僕はしゃりの軍貫といくらの軍貫で、オーバーレイ!」

 

再び遊鮮のフィールドに宇宙が開かれる。くそ、今度は本命の軍貫が来る!

 

「今再び、今度はより厳選を重ね熟練の腕によりEDO―FRONT御用達の海の幸を召し上がれ!再発艦、弩級軍貫―いくら型一番艦!」

 

現れたのは、心無しかこっちのフィールドのいくら型より艶のある同型艦。素材となっているカードの関係だろうか。

 

「いくら型一番艦の効果は、こいつら2体を素材にすることで真価を発揮する!しゃりを素材にした事で1枚ドロー、更にいくらの軍貫を素材にしたことで2回攻撃が可能になる!」

 

「くっ」

 

(だが、ディフェンダーは魔力カウンターの数だけ破壊を免れる効果がある!ダメージは受けるけど、こいつだけは残せる......)

 

「悪いけど、ディフェンダーの効果はもう把握済みさ!魔法カード、『禁じられた聖杯』!ディフェンダーの効果を無効化し、400ポイント攻撃力をアップさせる!」

 

「げぇっ!?」

 

まっずい!ディフェンダーは破壊への耐性はあっても、効果無効なんかへの対応は出来ない!

無情にも聖杯がディフェンダーへとその雫を垂らし、ディフェンダーが力が抜けたかのように膝から崩れ落ちる。

 

「攻撃力は上がっているけどそれでもいくら型一番艦の方が上だ!バトルフェイズ!」

 

遊鮮の宣言を受けて、いくら型一番艦がその重厚な主砲―――あれ多分手巻き寿司だな―――をディフェンダーへと向ける。

 

「ディフェンダーを攻撃!『弩級トキシラズ・キャノン』!」

 

「」

 

「くそっ」

 

遊笑LP4000→3800

 

いくら型の主砲から放たれた大粒のいくらの直撃により、ディフェンダーは大盾を嘘のように真っ二つにへし折られ爆散する。

 

「いくら型一番艦の効果!相手に戦闘ダメージを与えたことで、奪われた方のいくら型一番艦を破壊!」

 

「くっ、『魔法族の結界』の効果!ディフェンダーが破壊された事で、魔力カウンターを1つ置く!」

 

「無駄だ!いくら型一番艦は2回攻撃が可能!更に、カゲトカゲも追撃!」

 

「うわぁ!?」

 

遊笑LP3800→500

 

容赦なく放たれたいくら砲とトカゲの体当たりで、一気にライフが逆転してしまう。

先程のターンを巻き返した俺へと見直すような視線を向けていた観戦生徒達の雰囲気が、諦めムードへと変わっていく。

 

「仕留めきれなかった、か。カードを1枚セットし、ターンエンドだ」

 

「くっ、俺の、ターン!ドロー!」

 

さて、これはマズイ。遊鮮のフィールドにはいくら型一番艦とカゲトカゲ、それと謎の伏せカード。あのカード次第では一瞬で負けてしまいそうだ。

対してこちらは、魔力カウンターこそ貯まっているが今のところ活かせる方法のないエンディミオンと1つしかカウンターの貯まっていない魔法族の結界。

 

(ドローカードは......っく、ダメか!)

 

ドローしたのは、今の盤面では力になってくれそうにないカード。

 

「だがまだだ!『マジカル・コンダクター』を召喚!」

 

現れたのは、薄緑の法衣に身を包んだ厳粛な印象の魔法使い。召喚されると同時にその手を掲げたマジカル・コンダクターから光が溢れる。

 

「マジカル・コンダクターの効果!エンディミオンの魔力カウンターを取り除き―――!」

 

「リバースカードオープン!『ブレイクスルー・スキル』!マジカル・コンダクターの効果を無効にする!」

 

「な!?」

 

マジカル・コンダクターが高めていた魔力が突如霧散し、コンダクターは少し申し訳なさげに手を下ろす。......いや、まだだ!

 

「魔法族の結界の効果!このカードとコンダクターを墓地へ送り、カードを結界に乗っていた魔力カウンターの数だけドローする!」

 

輝きを放つ永続魔法が光になって消えてゆき、信じられないものを見る目のコンダクターも消えカードをドローする。......さっきから何なの俺のモンスター達。なんでそんな情に訴える感じなの?

 

「......ドロー!」

 

っと、いかん気を取り戻そう。エンディミオンの魔力カウンターも払い損だった、手札だけではどうにもならない。このドローで勝敗が決まりかねない。決死の思いでカードをドローする......来た!?

 

『この感じ。ようやく引き当てたのか』

 

「ディアベルスター!行くぜ!」

 

「!なにか引いたみたいだね」

 

「行くぜ遊鮮!俺の新たな相棒を見せてやる!」

 

俺の様子を見て、遊鮮が不敵に笑ってデュエルディスクを構え直す。ドローしたのはディアベルスター本人では無いが......今この瞬間は、こちらの方が良い!

 

「メインフェイズ!速攻魔法カード、『罪宝狩りの悪魔』!デッキから『ディアベルスター』モンスターを手札に加える!」

 

「ディアベルスター...?聞かないカードだ」

 

訝しげに首を傾げる遊鮮。さぁ、こいつを見て驚け!

 

「デッキより『黒魔女ディアベルスター』を手札に!更にエンディミオンへカウンター供給!」

 

『さて、魔力補給の時間だ』

 

「漆黒の罪宝纏いし魔女よ!数多の宝を解放し、我が敵へと滅びを齎せ!―――特殊召喚!『黒魔女ディアベルスター』!」

 

手札のカードを1枚墓地へ送ることで、ディアベルスターを降臨させる。前回使った時より大幅な弱体化は受けているが、それでも十分強力だ。

 

「これが、遊笑の新たな切り札か!」

 

「驚いてるとこ悪いが、ディアベルスターの効果!こいつが場に出た時、デッキから『罪宝』魔法・罠をセットするぜ!俺がセットするのは、罠カード『裏切りの罪宝―シルウィア』!」

 

「ガンバルヨー」

 

『さぁて、ひと仕事頼むよ!』

 

ディアベルスターがダガーを持つ手を掲げると、デッキからカードがセットされる。よし、これでもしもの保険はできた!

 

「バトルフェイズ!」

 

「来るか!」

 

(さすがにいくら型一番艦がやられるか。でもまだ、次のドロー次第では......!)

 

「速攻魔法、『死の罪宝―ルシエラ』!ディアベルスターを対象に発動し、その効果でディアベルスターの攻撃力分、遊鮮のフィールドのモンスターの攻撃力を下げる!」

 

「なぁ!?」

 

「ついでに言うと、この効果で攻撃力がゼロになったモンスターは破壊されるぜ!」

 

「うっそぉ!?」

 

「イノチヲカリトルカタチー」

 

『これは良い、一気に喰らう!』

 

ルシエラの発動とその効果に目が飛び出んばかりに驚く遊鮮。そんな相手のことなど知ったこっちゃないとディアベルスターは鎌のような形状へと変わったルシエラを担ぎ、豪快にフルスイング。

魔力の刃がとんでいき、カゲトカゲといくら型一番艦は綺麗に上下で真っ二つとなって爆散した。......いや待て、お前何持ってんだそれ。

 

『この、いくら?ってやつ、さっきから見てて興味あったから。とりあえず一口......ん、美味い』

 

「後にしてくれねぇか!?今!デュエル中!」

 

「そ、そんな......。僕のいくら型一番艦が!?」

 

呑気にいくらを咀嚼するディアベルスターに慌てるが、遊鮮はいくら型一番艦がやられたのが相当ショックだったようで、こっちには気づいていない。......カゲトカゲの上半身が「え、俺の事は?」みたいな目で見てんぞ遊鮮。

 

「う、んっんー。バトル!ディアベルスターでダイレクトアタック!」

 

『ん、おお、そうだった』

 

「モウヒトシゴトー」

 

「......はっ!?」

 

ようやく正気に戻った遊鮮へと、ディアベルスターがルシエラ発動後から持ち続けてる大鎌を構える。

そこだけ見れば確かに悪魔と言われるだけはある魔女なんだが、いかんせん今はいくらを頬張っているので口はモグモグしてるし片方の頬はプクッと膨らんでいる。

 

『そい』

 

「うわぁ!?」

 

遊鮮LP2300→0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デュエルが終わり、デュエルディスクからプァーと気の抜けるブザーが鳴る。

どうやら周囲でデュエルしていた奴らは全員終わっていたらしく、俺と遊鮮のデュエルフィールドの周りに集まっていた。

 

「すごいなぁ、エクシーズ召喚を見られるなんて」

 

「でも、あっちの男子の方が勝ってたわよ。実は大したこと無いんじゃない?」

 

「いやいや、でもあの場面での対処が遅れていれば...」

 

「あの場面でカゲトカゲを守備で用意すれば」

 

「でも最後の魔法で結局落ちるよな?」

 

お、おう。なんだかさっきのデュエルで色々と議論が展開されている。流石、アカデミア本校に入学できただけある同級生だ。

 

「ふぅ、負けちゃったな」

 

「おっす、まぁいいデュエルだったぞ」

 

「勝った方が言うの、それ?まぁ良いけど」

 

立ち直ったらしい遊鮮が傍にやってきたので、いつものようにグータッチで挨拶する。俺たち幼馴染組の中でのデュエル終わりの挨拶だ。

 

「よし、全員終わったな」

 

頃合いを見ていたのか、下怒先生がデュエルフィールドへ集まった生徒へと声をかける。

 

「全員なかなか良い腕だ、気に入った。互いに切磋琢磨すれば、これからもより良いデュエルができるだろう。今日得たものを大事にすることだ」

 

生徒全員でまばらに返事をする。下怒先生は、それを聞いてひとつ頷き手に持ったスイッチを押す。

 

「今日のデュエルはこれまで。明日からは本格的にデュエル学や通常の授業が始まる、各自で予習復習を忘れぬ様に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、にしても今日も早く帰れるとは思わなかったね!」

 

まだ日も高く、というか全然普通に正午の中、遊鮮と遊香と共に商店街をブラつく。3人とも手には購入したばかりの間食が握られている。

既に遊鮮の手には大好物のたい焼きが。

一方の俺は、コンビニで買ったホットフード、『こけコッコチキン』。略して『こけチキ』を手にしている。

 

遊香?......両手でそれぞれに袋で持たないといけない量、とだけ言っておこう。ちなみにコイツ、当たり前のように授業では勝利を収めている。

 

「いやぁ、毎日昼に帰れたら最高なんだけどなぁ」

 

「はぁ、負けるとは思わなかったな。ここ最近は遊笑に負ける事なんてなくなってたから油断したよ」

 

「うるせぇやい!俺だって成長するんだよ!」

 

やいのやいのと言いながら歩いていると、不意に遊香が両手に持った肉まんを二口で食べ切り、思い出したようにこっちを見る。

 

「そうそう!ねぇ遊笑、いつの間にあんなすっごいカード手に入れたの!?」

 

「すっごいカード......ディアベルスターの事か?」

 

「そう、それ!」

 

「確かに、あれは強かったね。でも、遊笑があんなカード持ってるの見たこと無かったんだけど」

 

「あー......」

 

まぁそりゃ気になるよなぁ。さて、どうしようか。

正直に「カードは拾った」、なんて言ったら......

 

「「いや、交番に届けなよ」」

 

うん、間違いなくこう言われるわ。俺でも言う自信ある。

かと言って、精霊っていう不思議なやつが宿ってるとか言ってもなぁ。

 

「「......病院、行く?」」

 

これだな、うん。って事で誤魔化す事になる訳だが......。

 

『......美味そうだな』

 

こんの食いしん坊魔女、遊香の持ってる食い物につられてフワフワと遊香の周りを回っている。

いくら見えない触れないとはいえ、もうちょっとこう......危機感とか、魔力節約とか、考えないんですかねぇ?

 

「あー、これは、その。知り合いに貰ったんだよ」

 

「知り合いぃ?大丈夫なの、それ」

 

「まさか、違法な手段で手に入れたとか言わないよね?」

 

「いやねぇわ、流石にそこまで堕ちちゃいない」

 

そんな話をしていると、いつもの放課後憩いの場所―――カードショップ『RYO』へと到着する。

 

「ちわー!リョウさんいるー?」

 

「......うるっせぇな。もう少し静かにしてくれ、頭に響く」

 

店のドアを開け、元気よく挨拶する。が、店主たるリョウさんは何やら難しい顔をしながらいつもの定位置たるレジ前で座ってカウンターへと頭を乗せていた。

 

「あれ、リョウさんどうしたんですー?」

 

「珍しいですね。様子から見るに、二日酔いですか?」

 

「あー、正解......回らない寿司屋の息子はそういうの結構見るのかねぇ」

 

「いや、普通に見りゃ分かるくらいリョウさんが様子変ですし」

 

なんだ、二日酔いか。言われてみれば確かに、僅かだがリョウさんから漂う空気はアルコール臭い。

飲んだくれ状態でかなり不安だが、とりあえず俺はディアベルスターのカードを取り出しカウンターへと置く。

 

「ねぇリョウさん、このカード「あの!」......ん?」

 

リョウさんへと質問をしようとしたその時だった。急に背後から叫ぶように声をかけられる。

 

「あれ、君は......」

 

「あー!今日の授業で質問してた娘!」

 

「え、えと、その」

 

振り返ってみれば、そこに居たのはついさっき授業で目立っていた同級生の瓶底メガネの女の子だった。

どうやらさっきのは、こちらへ話しかけていたようだ。

 

「ん、どうした?何か用でもあった?」

 

「え、えと、あの、その......」

 

何だかすごく吃りながら何度も視線を俺達と壁と床へと走らせ、言おうとしては黙って、言おうとしては目を逸らしてを繰り返す。

ジャスト10秒ほどそれを繰り返したあと、女の子は意を決したように頭を物凄い勢いで下げた。

 

「ゆゆゆ、遊笑、さん!私、と、ちょっと、付き合ってください!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......え???」




というわけで、遊鮮くんのデッキは「軍貫デッキ」でした。予想が当たっていた方はおめでとう!
遊香のデッキについては、もう少しだけ後ですねぇ。

次回、遊笑、修羅場!?

......の前に、TS野郎の回です。こいつの回だけすっごい色々アイデアが湧いちゃうのなんでやろな。1つ思いつくと3つくらい追加が思い浮かぶ。地獄の暴走召喚かな?
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