遊戯王 存在しないモンスターズ   作:コジマ汚染患者

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魔法カード『二重召喚』を発動!
2話連続での投稿を行う!
遅かった分を秒投稿で補っていくストロング柚子スタイル。
※2話同時投稿です。先に一丁目から読み進めることをおすすめ致します。


A.地獄の二丁目

「俺はこれでターンエンドだ!」

 

「......ターンを貰います」

 

ふぅ、やーっとターン回ってきたわ。カードをドローしつつ呑気に着ぐるみの中で汗を拭う。着ぐるみって話に聞いてたよりずっとあっついのね。

 

デュエルは進みに進み、既に終盤に近づいている。アップルボーイには随分と無茶をさせちゃっているが......まぁ大丈夫だろうコイツそれなりに手堅く強いデッキ使ってるし。

 

さて、デュエルの現状把握だ。まずはライフ確認。

 

俺LP1000

アップルボーイLP1500

 

プロチームは二人ともLP4000

 

うーむ、負けそうじゃ。

 

観客も最初のうちは盛大に騒いで一喜一憂してたんだけど、まーここまで一方的に追い込まれてりゃつまらんわな。歓声は大分落ち着いてしまっている。司会の人が必死に声をはりあげて盛り上げようとしてくれてるが、それでも若干空回りしてる様だ。

 

俺はともかく、アップルボーイの方は満身創痍。相手のクソデカ機械族『デスペラード・リボルバー・ドラゴン』により盤面を丁寧に荒らされているので手札も1枚、伏せも1枚、モンスターゾーンに至っては完全に更地にされてしまっている。

この俺のターンでどうにかアップルボーイの方にモンスターを供給しないとまず間違いなく狙い撃ちにされておしまいだ。

 

そんな俺の盤面はと言うと、永続魔法の『マシン・デベロッパー』と『マシンナーズ・ディフェンダー』、伏せカードが1枚。

 

一方のプロチームはと言うと......

 

クライゼン

デスペラード・リボルバー・ドラゴン

BM-4ボムスパイダー

 

ストリートエネミー

グレンザウルス

マスマティシャン

 

相変わらず切り札級モンスターやエクシーズモンスターなどが並んでいる。

 

幸いと言って良いのか、伏せカードは1枚しか無いしここまでのデュエルで使ってくる事も無かった。

デュエルしての所感だが、ドレッドヘアーのだいぶキレてる人―――クライゼンさんはギャンブルデッキかな。コイントスやダイスロールを多用するカードばかりだし、初手で発動したセカンド・チャンスなんかが分かりやすいかな。あともう手札ないんだからスナイプストーカーはやめてね。

 

もう1人の、やや影が薄い神経質そうな人―――ストリートエネミーさんの方は......よく分からないんだよな。たぶんレベル3軸エクシーズか?いや、レベル3である以外の共通点が見当たらねぇんだよなぁ。強いて言うなら、初手のデスガイド以外は大体昆虫族モンスターだったからひょっとしたらこの人は本来虫系のデッキだったりするんだろうか、というくらいだ。

 

「ドローフェイズ、カードドロー」

 

カードを引き、手札に加える。さあ、どうしようか。仕事としてやってる以上、勝敗はこの後CPNで実績として登録されるし負けが記録されるのは嫌だなぁ。でも依頼内容的に多分あの代表さんはこのデュエル......お、良い引き。

 

というかストリートエネミーさんはともかく、クライゼンさんはコレ多分接待してないでしょ。初手の牛鬼以降明らかに動きが違うしカードの効果処理もリボルバー・ドラゴン辺りから淀みが無さすぎる。あと本当にもうスナイプストーカーはやめて、切実に。

 

ストリートエネミーさんの方は今の所グレンザウルスでビートしてくるだけであんまり本気っぽさは感じないけど、明らかに手札で何かを温存してるっぽいし......これ多分こちらが攻勢に出た瞬間ガチで攻めてくるやつだ。

 

結論、割とマジめに劣勢である。いやー別に舐めてかかってた訳じゃないケド、プロってのは伊達じゃないね。そんな呑気なことを考えつつ、なんとなく1度周囲を見渡す。

 

「はぁ、くそっ。機械万歳、本当に大丈夫なのかこの作戦で!?」

 

敗色濃厚な現状に苦しそうな表情の林檎。

 

「これで終いだ!さっさと潰れろ着ぐるみ野郎!」

 

「口が悪いですよ......まぁ、もう終わるっていうのは確かにそうですけど」

 

勝利を確信し早くターンを寄越せと待ち構えるプロ2人。

 

「あー、やっぱプロは凄いな」

「でもまぁ一瞬でやられなかっただけよく頑張ってる方じゃね?」

「着ぐるみの方もよく頑張ったぞー!」

「でも一般枠のあの人、ちょっとかっこよくない?」

「分かるー!この後時間あったら声かけてみる?」

「......もけもけそんなにカッコ良いかな?」

「え、いやそっちじゃない......」

 

既に勝負が着いたと言わんばかりに口々に慰めの声援や無関係な話を始めている観客。

 

「......スタンバイ、メインフェイズ」

 

ああ、この状況――――――

 

「?あのもけもけ、何を震えて......?」

 

 

 

 

 

ひっくり返してやったら、さぞ面白いだろうなぁ!

 

「『マシン・デベロッパー』の効果発動!」

 

「......まだ諦めないか」

 

「当然。まだ負けてない」

 

サレンダー(降参)でもすると思っていたのか、ストリートエネミーが静かに呟いたので何となく返答を返す。もけもけイヤーは地獄耳なのだ。

冗談じゃない、まだ負けが確定した訳でも無いのに降参なんてしてたまるか。

 

「ジャンクカウンターが乗ったこのカードを墓地へ送り、カウンターの数以下のレベルを持つ機械族を墓地から特殊召喚する。乗っているカウンターは4、対象は墓地の『マシンナーズ・ソルジャー』」

 

永続魔法の破壊エフェクトが散る中、黒い穴がフィールドへと出現。そこから飛び出すようにマシンナーズ・ソルジャーが現れディフェンダーの横で守備体制をとる。

 

「次。魔法カード『アイアンコール』。自分の場に機械族が居ることで、墓地の機械族、マシンナーズ・スナイパーを特殊召喚」

 

再び墓地と繋がる穴が開き、最後のマシンナーズが現れる。これで俺の場には、ソルジャー・ディフェンダー・スナイパーの3体が揃った。

 

「っち、面倒だな。壁をここまで揃えるとは」

 

「壁?全く、違う。見当違いも、甚だしい」

 

「ああ?」

 

クライゼンさんの発言を否定し手札のカードを手に取る。場は整えた、後はここまで耐えてもらった林檎の分も俺が仕事する番だ。

 

「壁なんて、いらない......攻めて、攻め抜いて、勝つ......!」

 

「な、何を......?」

 

戸惑い半分に警戒するプロ二人。だがもう遅い、既に必要なピースは揃った。

 

「林檎、準備」

 

「!やっとか、遅いぞ!」

 

「仕方が、ない。まだ、サーチ札、全然持って、ないから......やっと、引けたし、これで、行く」

 

林檎へと声をかけると、少し疲れながらも喜色を浮かべる。そんな彼へ着ぐるみの柔らかな手で労いの意味も兼ねて肩をポンと叩き、手札からカードを1枚デュエルディスクへと差し込む。

 

「手札を1枚コストに、『機甲部隊の再編成』を発動。デッキから『マシンナーズ』モンスターを2体、手札に加える」

 

「!ここに来てサーチカードか!」

 

「2体のマシンナーズを手札に」

 

よし、わかっちゃいたが誘発や伏せカードの妨害は無い。いける!まだこのカード1枚しか持ってないから、素引きするのにこんなにかかっちゃったし。このまま押し切れなきゃ負けだろう、作戦変わらずガンガンいこう!

 

「手札から、『督戦官コヴィントン』を召喚」

 

現れたのは、三角の頭部と上に突き出した肩が特徴的な赤っぽい機械族モンスター。呼び出され、フィールドに着地すると同時にまっすぐに立ち、左胸へと右手を当てて敬礼する。

 

「っは!満を持して召喚した割には、大したことないモンスターじゃねぇか!」

 

「......それはどうかな?」

 

「何?」

 

侮ってイイ表情で嗤うクライゼンへ、デュエリストなら行ってみたいセリフトップ10には入りそうな名言で返す。あ〜っ、アニメっぽいデュエル楽しぃ〜!

 

っといかんいかん。冷静にならねば。思いがけないプレミとかしたら目も当てられないし、遅延行為指摘されたりもマズイ。

 

「コヴィントンの効果発動。ソルジャー、スナイパー、ディフェンダーへ司令発令、デッキよりマシンナーズの超兵器を特殊召喚する」

 

俺の発言を受けて、コヴィントンが胸に当てていた右手を伸ばし3体のマシンナーズ達へ司令を発する。それを受けた機甲部隊3体は速やかに飛び上がり、それぞれのパーツが分解され、変形し、体どうしを連結させ3体から1体の巨兵へと変貌していく。

 

「な、なんだこれは!?」

 

「ちょっと、不味いかも知れないな......!」

 

遅い遅い!気づいたところでもう手遅れよ!

口上は、そうだな......。よし、デッキ的な意味でもあの原作キャラに肖った感じでいこうか。

 

「機甲部隊、フォーメーションレベル1。姿勢制御システム・火器管制システム、合体制御機構、オールクリア。GO、特殊召喚。カモン、『マシンナーズ・フォース』......起動」

 

俺の場に現れる、巨大な機械仕掛けの合体兵器『マシンナーズ・フォース』。スナイパー・ソルジャー・ディフェンダーの3機が合体し召喚されたコイツは、旧式マシンナーズ最強の合体兵器。なんと攻撃力4600、かの究極嫁と呼ばれる最強融合モンスターすら超える火力を誇るのだ。

 

「こ、攻撃力4600!?」

 

「まさか、ここに来てこれほどのモンスターを出してくるとは......!」

 

驚いているところ悪いが、まだまだ終わらんぜ?

 

「自分フィールドに機械族・地属性モンスターのみが存在することで、手札の『弾丸特急バレット・ライナー』は特殊召喚出来る」

 

「!?ここに来て上級モンスターを更に展開だと!?」

 

驚きの声を上げるクライゼンさんだが、別に驚くほどのことじゃあ無いだろうに。自分だってポンと上級モンスターを出してるんだし、プロならこういうの見慣れてるだろう?

 

カードをデュエルディスクへとセットすると、俺の背後から汽笛のような音が鳴り響き1台のクソデカい車両が到着する。先頭車両は名前の通りまるで弾丸の如く。殺人的加速で相手を轢き殺すこいつは、そのデメリットで味方すら吹き飛ばすじゃじゃ馬だ。効果で容易に特殊召喚出来るコイツは、瞬間火力ならピカイチのウチの特攻隊長でもある。

 

こうして俺の場には、マシンナーズ・フォースとバレット・ライナー、2体の大型機械族モンスターが並んだ。......っは!いかん、機械族の間に挟まった感激で意識飛んでたわ。

と、俺が軽く絶頂していた所で静かにこちらを眺めていたストリートエネミーさんがクライゼンさんへと声をかけた。

 

「......落ち着けクライゼン」

 

「ああ?」

 

「確かにステータスも高く、容易すぎる召喚条件だったが......どうやらその代償もそれなりにあるようだ。見ろ」

 

......どうやら、バレット・ライナーの欠点を知ってたっぽいな。

 

『弾丸特急バレット・ライナー』は、機械族・地属性さえいればポン出しできる便利なモンスターであることは確かだ。攻撃力も3000と十分アタッカーとして活躍できる火力を持つ。しかしこいつ、なんと攻撃するには自分フィールドのカードを2枚墓地へ送らなければならないという制約を持つ。

 

「ッハ!どれだけ攻撃力が高かろうが、それじゃあ攻撃に参加は出来ねぇな!せっかく出したマシンナーズ・フォースを墓地へ送る必要があるじゃねぇか!」

 

「......それは、どうかな?」

 

「はぁ?」

 

んほおおおお!もっかい言えた!クライゼンさんファンサがすぎるって!

 

「林檎、今」

 

「!アップルボーイだと!?」

 

「いくぞ!リバースカードオープン!『スキルドレイン』!」

 

「!やられた......!」

 

「はあああ!?」

 

アップルボーイLP1500→500

 

アップルボーイが満を持して必殺の害悪カードをオープンする。その効果を受け、両チームのモンスターはガクッと力が抜けたかのように膝を着く。......バレットライナーは膝ないよな?あ、バーニアの噴射が弱くなるのね。

 

「っち!ここに来てそれかよ!」

 

(デスペラード・リボルバー・ドラゴンのバトルフェイズ時の効果が使えねぇ!気づかれていたか......!)

 

「不味いぞクライゼン」

 

「わかってる!くそ、デスペラードの効果はもう使えん!」

 

「違う!そうじゃない!やつの―――もけもけのフィールドを見ろ!」

 

「あ?」

 

お、バレた。いや別に全く隠してはいないんだからバレるもクソも無いけどね?

自分のフィールドのみを見ていたクライゼンさんがこっちを向き、愕然としている。

まぁ無理もないだろう............全てのフィールドのモンスターが力を失う中、何故か俺のマシンナーズ・フォースとバレットライナーは寧ろイキイキとしているのだから。

 

『なな、なんと!一般枠チーム、Msもけもけのモンスターたち、効果を無効化されたにもかかわらずものすごい気迫だあああ!』

 

「なんでだ!?スキルドレインは、全てのフィールドに効果を及ぼすはず!タッグの味方だろうが関係ないはずだ!」

 

「うん、当然。こっちも、効果、使えない」

 

「じゃあ何でそいつらはそんなパワーに溢れて!?」

 

あれ、この感じはリップサービスとか観客への説明の為って感じじゃないのか?普通に分からないっぽい。まぁ、戦術として使ってるアップルボーイ以外なら気づかないものなのかね。

ふふふ、まぁ良いや、今非常に気分が良いし説明してやろうじゃないの!

 

「バレットライナー、マシンナーズ・フォース、2体とも、攻撃の時、デメリットがあります。ただし、それはルール効果ではなくカードそのものが持つ効果」

 

「......なるほど、これはしてやられた」

 

お、ストリートエネミーさんはもう勝手に把握したか。勘が良いね。

マシンナーズ・フォースは攻撃時ライフコスト、バレットライナーは攻撃時場のカード2枚の墓地送り。2体ともそれぞれ違いはあるが攻撃にコストを要する大型モンスターだ。

本来ならそのコストによる損失を考えて攻撃したり、攻撃せず壁モンスターにするなどの役割を与える必要があるのだ。

 

だが、現在フィールドではスキルドレインが発動している。スキルドレインは前回のアップルボーイとのデュエルでもそうだったが、フィールドのモンスターの効果を自他問わず、常時無効化する。

そう、今バレットライナーとマシンナーズ・フォースは「コストを払わなければ攻撃できない」という効果を無効化された状態なのだ。

では、この状態の2体で攻撃をするとどうなるのか?

 

答えは......コストを払うことなく、攻撃が出来る。

 

「ふっ、ふざっ!?」

 

(デスペラードの効果を封じただけじゃなく、自陣のモンスターのデメリットすら踏み倒したのか!?馬鹿な、こいつら即席タッグじゃ無いのか!?)

 

『Msもけもけ、なんという戦術だぁぁぁ!相手のモンスターを封じつつ自身のモンスターを最大限活かす、最高のタクティクスをこの土壇場で披露したぁぁぁ!』

 

「......バトルフェイズに入ります」

 

俺の宣言を受けて、固まっていたプロ2人がハッとする。さて、度肝は抜いた。後はその衝撃が残っている間に押し切る!

 

「マシンナーズ・フォースで、デスペラード・リボルバー・ドラゴンを攻撃。『マシンナイズスライサー』」

 

マシンナーズ・フォースが攻撃の指示を受けて走り出す。下半身から腕のパーツを換装し、装着したソルジャーのナイフ腕を振りかざして突撃する。ただの案山子ってわけじゃないのでデスペラードリボルバードラゴンが反撃の弾丸を発射する......が、動きを読んでいたマシンナーズ・フォースは着弾の前に跳躍。弾丸は先程までマシンナーズ・フォースがいた地面をえぐるエフェクトを残すだけに留まる。

 

「デデデデストローイ」

 

「ギャガガガ!!」

 

跳躍したマシンナーズ・フォースが、その勢いのままにナイフ腕を振りかぶりつつ上空から襲いかかる。全速で砲塔を上空へと向けるデスペラードリボルバードラゴンだったが、残念ながら後手に回りすぎている。砲塔はマシンナーズ・フォースを照準に捉えることが出来ず空振り、ナイフが機体へと突き立てられた。

 

「デスペラード!......っく!」

 

「リボルバードラゴン、粉砕」

 

爆発のエフェクトに飲まれつつ、マシンナーズ・フォースがゆっくりと立ち上がる。デスペラードリボルバードラゴンの残骸を踏みつけにしながら立ち上がるその姿は歴戦の戦士のようでもあり、無慈悲で情のない機械兵器のようでもある。爆煙のゆらめきの隙間から見えるモノアイ、相手のオイルで汚れたナイフの鈍い色味......お゛っ、ちょっと逝く。

 

クライゼンLP4000→2200

 

「くっそぉ!デスペラードリボルバードラゴンが墓地へ送られたことで効果発動!デッキからコイントスを行う効果を持つモンスターをサーチする!『ツインバレル・ドラゴン』をサーチだ!」

 

まぁ、スキルドレインの効果はフィールドだけだからデスペラードの墓地効果によるサーチは止められないけどね。まぁ大丈夫、このターンで決めれば良いだけだ。

 

「追撃。バレットライナーで、ボムスパイダーを攻撃。弾丸轢殺」

 

「おい待てそいつだけ攻撃名物騒すぎないか!?」

 

なんか林檎がすごい驚いてたが知らん、ほっとこう。バレットライナーがフィールドを駆け抜け、クライゼンさんのフィールドで後ずさりしていたボムスパイダーを音速の壁を越えた速度で轢き飛ばしていく。......あぁ、星になっちゃった。

 

クライゼンLP2200→600

 

「うぉぉぉ!リバースカードオープン!『死魂融合』!俺の墓地のモンスターを裏側表示で除外し融合召喚を行う!」

 

「!」

 

ありゃ、まじか。このターンで攻撃でフィニッシュは無理かぁ。......うーん、まぁ、しゃーなし?

 

全く問題ないしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は墓地から、『リボルバー・ドラゴン』『ブローバック・ドラゴン』の2体を除外!鋼鉄の襲撃者よ!今こそ混じりて、その銃口突きつけ全てを蹂躙せよ!」

 

墓地からモンスターが浮かび上がり、渦を巻くように混ざり合う。そうして出現したのは、3つの巨大な砲門を伸ばした戦車のごとき竜、俺のデッキの切り札。

 

「融合召喚!現れろぉ!『ガトリング・ドラゴン』!」

 

「ギュィィィィンン!!」

 

『出たぁぁぁぁ!クライゼンの最強モンスター、ガトリング・ドラゴンだあああ!この窮地にクライゼン、墓地のモンスターを使用し融合を決めたぞぉぉ!!』

 

ここぞとばかりに盛り上げるため声を張る司会と、どよめきの混じった歓声が聞こえてくる。......だが、今の俺にはそんなことを把握している暇はなかった。

 

(くそっ!かんっぜんに想定外だ!まさか、あの着ぐるみ野郎がここまで強力な手を隠していたとは!)

 

このままでは、あのコヴィントンとかいうモンスターにダイレクト・アタックを受けて負ける。そう悟ったが故に融合召喚した訳だが、状況は非常に厳しい。

ガトリング・ドラゴンの効果はスキルドレインで無効になっており、その強力な複数破壊効果が使えない以上ただの通常モンスターと変わりは無い。さらに言えば、相手の場のバレットライナーやマシンナーズ・フォースにも負けているため壁すら満足にこなせるとは思えなかった。

 

(だが、これでコヴィントンは攻撃できない!残りライフも僅か、棒立ちのあいつを攻めれば行ける!)

 

「......メインフェイズ2へ」

 

良し、着ぐるみ野郎は予想通り追撃を諦めた。ストリートエネミーの方も攻撃力で勝てるモンスターがいない以上攻撃は出来まい。

このターン召喚したばかりのコヴィントンは表示形式を変更できない、これでヤツのターンが来る前にあれを攻撃すれば勝てる!

 

「特殊ルールを使用。バレットライナーを林檎のフィールドへ移動」

 

「いや、機械の反応できないあだ名で言うなよ、ちゃんと正式な登録名で......」

 

pi!

 

「できた」

 

「なんでだ!?」

 

(そうか、アップルボーイのフィールドはがら空き、しかもスキルドレインを発動してライフが少ない。壁を供給するのは必然か)

 

バレットライナーがもけもけのフィールドから消え、アップルボーイのフィールドへと移動した。これで、もけもけのモンスターはマシンナーズ・フォースとコヴィントンの2体だ。

 

「分かってるなストリートエネミー!叩くならあのデカブツからだ!」

 

「はいはい、わかってますから」

 

良し、ピンチなのは変わらないがこれで!

 

「手札から速攻魔法、『サイキック・ウェーブ』。デッキから『人造人間サイコ・ショッカー』を墓地へ送り、600ダメージ。対象はクライゼンさん。何かありますか?」

 

「えっ」

 

クライゼンLP600→0

 

「「えっ」」

 

『えっ』

 

「「「「「「「えっ」」」」」」」




機械万歳の召喚口上のモチーフ元がわかる人は多分同世代であのゲーム知ってる人。
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