遊戯王 存在しないモンスターズ   作:コジマ汚染患者

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遅くなりました。遅れた理由は色々ありますがタイミングを逃したので言い訳は程々で。AC6が面白すぎるのが悪い。体が闘争を求めたからね、仕方ないね。
あ、デュエルパートです。


第3話(5)

「アンタの先攻みたいっすね。ほれほれ早くするっすよ〜?」

 

デュエルが始まってしまった。

デュエルディスクのランプが点灯したのは私、つまり私が先攻だ。

パーカーの人が早くしろと言わんばかりに急かしてくるのを、1度深呼吸を行うことで思考から弾く。

 

デュエルモンスターズは基本的に、先攻が有利とされている。

その理由は色々あるのだけど、簡潔かつ一番大きい要素として先攻からモンスターの展開やサーチ―――必要なカードをデッキから集める行為のこと―――を行うことで盤面を固め、後攻の相手の動きを抑えることできるから、というのが良く言われています。

 

......なのですが、後攻になってしまったパーカーの人の様子は、それでもどこか余裕があるように見える。

そうしたセオリーを前提に、後攻で戦うデッキなのでしょうか。

いや、ひょっとしたらだけど......私を侮っているから、だったりするのかも。

 

考えていてもどうにもならない、ただでさえ私はデュエルが上手くないんだ。

今は自分のデッキを動かすこと、それだけを考えないと!

 

「私のターン!手札から『宝玉獣サファイア・ペガサス』を召喚します!」

 

『よし!行くぞ!』

 

呼び出すのはサファイア、宝玉獣の皆のまとめ役。いつも困った時は私を助けてくれる頼もしい子だ。

 

「サファイア・ペガサスの効果!デッキから『宝玉獣ルビー・カーバンクル』を魔法・罠ゾーンに永続魔法扱いで置きます!」

 

サファイアが嘶くと、それに呼応してデッキから赤い宝石となったルビーが呼び出され、赤い光の軌跡を描きながら私のフィールドの魔法・罠ゾーンへと舞い降りる。

 

「へぇ?モンスターを永続魔法扱いで置く効果っすか。面白い動きをするカードっすねぇ」

 

「カードを1枚セットし、ターンエンド!」

 

興味深いとニヤつきながらルビー達をみるパーカーの人。その品定めでもしているかのような不気味な様子は精霊たちにも伝わったみたいだ。

 

フィールドでは宝玉としてしか出てないが、精霊として私の肩に乗ったままデュエルを見守っていたルビー。さっきまでは仲間を無碍に扱われた怒りもあって好戦的な表情をしていたのだけど、パーカーの人を見て脅えてしまい、自身のしっぽを丸めその裏へと隠れてしまう。

 

他の宝玉獣達もフィールドには出ていないけど、精霊としてデュエルの進行とは関係なく私の周りでデュエルを見守ってくれている。

......のだけど、そちらの方も空気が悪い。

何かしらの嫌悪を感じているようで、皆がパーカーの人を見る目や表情は渋く歪んでいる。

 

「ま、何だって良いんすけどね。このデュエルが終わればみーんな俺の手中に収まるんだから!」

 

「?それは、どういう......?」

 

「俺のターン!」

 

私の疑問には答えること無く、パーカーの人はカードをドローする。

 

「俺は手札から『G戦隊シャインブラック』を召喚!」

 

『トァッ』

 

現れたのは、黒光りするスーツを身にまとった戦士...なのかな?なおその種族は昆虫族。

黒、昆虫族、頭から生えた触角のようなモノ、背中から見える羽のような装飾。それらを見ると、顔色がサーッと青くなっていくのを感じた。

うぅ、種族といい見た目といい、間違いなく......!

 

「うっ、そ、そのモンスターは......ゴ、ゴキ」

 

い、いやこれ以上は考えないようにしましょう!気のせい、きっと気のせいです!アレは決してその、黒い名前がGから始まるモンスターでは無い!はず!

 

「ヒョッヒョ、俺のデッキは昆虫族デッキ!さあさあ、ここから種族通りの虫が如く。チョー湧いて出てくるっすよォ?手札からフィールド魔法、『G・ボールパーク』を発動!」

 

私の青ざめた表情を見て嬉しそうに煽る黒パーカーの人。そのまま彼は気分良さげにカードを抜き放ち、発動されたフィールド魔法の効果で、周囲の光景が一瞬にして変化する。

 

「こ、これって......野球場?」

 

『どんな効果か分からない、注意しろコウ!』

 

「う、うん!」

 

「さてさて、まずはその怪しい伏せカードッすよねぇ。手札より速攻魔法『サイクロン』!伏せカードは破壊!」

 

「えっ、あっ!?」

 

突風と共に、伏せてあった罠が破壊され、エフェクトが砕け散ってしまう。

飛び散ったそれらに思わず顔を覆っていると、パーカーの人は私の様子を見てまたしても嬉しそうに高笑いをしていた。

 

「さぁて、シャインブラックは攻撃力2000、そちらさんは攻撃力1800。簡単に負けちゃってるっすねぇ〜ヒョッヒョッヒョ」

 

「くぅ!」

 

確かに、私のフィールドにいるサファイアの攻撃力は、パーカーの人のモンスターに負けている。でも、まだ攻撃を受けてもライフは残る......

 

「バトル!シャインブラックで、サファイア・ペガサスを攻撃!」

 

「トァッ」

 

『来るぞコウ!』

 

「うん!」

 

パーカーの人はモンスターを増やすことなくバトルフェイズに入った。......本当ならさっきの伏せカード『亜空間物質転送装置』でサファイアを逃がしてあげたかったけど、そうするとパーカーの人のモンスターによるダイレクトアタックを受けてしまう。ライフポイントが4000からスタートする関係上、流石に2000の大ダメージは許容できない。

 

(ごめん、サファイア......!)

 

(良いさ、今は生き残ることを考える状況だ!)

 

心の中で謝りながらサファイアを見れば、彼も分かってくれているようで頼もしい頷きを返してくれた。

その間にも相手のモンスターは迫ってきており、サファイアが応戦するためその背に生えた翼で飛び立つ。

 

「無駄だねぇ!返り討ちだ、ヒョーッヒョッヒョ!」

 

『セァッ』

 

『うぐっ......あとは頼むぞコウ!』

 

飛び上がったサファイアを追いかけるようにシャインブラックも跳躍、サファイアをあっという間に追い抜き頭の上を取ってしまった。

覚悟を決めたサファイアが頭の角を突き出して突進していくが、抵抗虚しく角を蹴り砕かれ消滅してしまった。

 

「っ、ごめん、ごめんね......!サファイア・ペガサスの効果!宝玉獣達は破壊された時、墓地へは行かず永続魔法としてフィールドへ残ります!」

 

消滅したサファイアの体から私のフィールドへと光が立ち上り、集まった光はやがてひとつの宝玉となってルビーの横に置かれた。

 

「ヒョッヒョ、なるほど直接置く効果だけでなくそんな効果もあったんすねぇ」

 

「っく、でもこれで攻撃出来るモンスターはもういません......?」

 

感心した様子で顎を撫でながら宝玉獣の効果を確認しているパーカーの人に警戒しつつデュエルへと戻る、のだが。

 

違和感が、あった。

 

(あれ、おかしい......何がおかしいのか分からない、でも絶対おかしい)

 

分からない。攻撃したこと?いや、攻撃力で勝っていたのだからそれはおかしなことでは無い。じゃあ伏せカードの除去?いいや、それだって安全に攻撃するためには普通なこと。

 

ここまでのパーカーの人のプレイングに変なことは......無い、はず。

じゃあこの違和感はプレイングでは無い。なんだろう?何か、デュエルをすれば普通にあるはずの「何か」に違和感がある。

 

これは、私がデュエルをあまりしてこなかったから感じる事なの?

 

「......ヒョッ、ヒョッヒョ!ヒョーッヒョッヒョ!」

 

「何が、おかしいんですか......!?」

 

戸惑う私を見て、パーカーの人がお腹を抱えて笑いだした。まるでもう我慢できない、と言わんばかりの笑い様だ、呼吸が乱れていて不思議な笑い声が途切れ途切れになっている。

 

「いやー、アンタ。どうやらデュエルはチョー苦手みたいっすねぇ!まぁでも違和感には気づいたあたり案外鍛えりゃ良いセンいくんじゃないっすか?」

 

芝居がかった動きで私を嘲笑い、パーカーの人はネタばらしをする手品師のように誇らしげに、こちらへと答えを提示した。

 

「気づけないみたいっすから、せっかくだし伝えときますか。そちらの『攻撃表示』のモンスターを戦闘で破壊したっすけど......」

 

戦闘ダメージ、入ってないっすねぇ?

 

「!!」

 

慌てて自身のデュエルディスクを見た。そうだ、サファイアは攻撃力1800のモンスター。それに対しバトルを仕掛けたパーカーの人のモンスターは攻撃力2000。通常なら、差し引き200のライフダメージが発生し、そのアナウンスとしてライフ減少を知らせるサウンドがデュエルディスクから流れるはずだ。

 

高良コウLP4000→4000

 

しかし、私のライフは減っていなかった。

 

「な、何で!」

 

「ヒョーッヒョッヒョ!残念っすねぇ!アンタもう詰んでるんすよォ!」

 

「な、何を......えっ?」

 

驚きと戸惑いが襲い来る中、ふとパーカーの人の方へと視線を戻し愕然とした。

 

『シュァッ』

 

『キシャァァァ!』

 

『ウェェェイ!』

 

何故か相手のフィールドには、先程までシャインブラックのみだったはずなのに、別の人型の昆虫族モンスターが三体増えていた。

 

(な、何で......!?バトルフェイズに召喚なんて、いや違う、手札が減っていない!?)

 

「うーん、素晴らしい表情。チョー良いっすよその絶望顔!」

 

「ど、どうしてモンスターが増えて......!?」

 

「ヒョッヒョ、フィールド魔法『Gボールパーク』の効果っすよ」

 

驚く私の姿に感極まったように嗤いながら、パーカーの人が自身のフィールドゾーンを指し示す。

 

「戦闘を行うダメージ計算時に、その戦闘でのダメージを0にしたっす。そしてその代わりとしてデッキからレベル4以下の昆虫族モンスター『甲虫装甲騎士』を墓地へ送らせて貰ったっすよ」

 

「で、でもそれじゃあ何でフィールドにモンスターが!?」

 

「ヒョッヒョッヒョ、それがこのフィールド魔法の素晴らしい所っすよ」

 

そう言って黒パーカーの人は、デュエルディスクにセットされていたカードを取り出し見せつけてくる。

 

「『G・ボールパーク』の効果!さっき説明した効果で、効果を持たないモンスター───通常モンスターを墓地へ送った場合、手札・デッキ・墓地から同名モンスターを可能な限り特殊召喚する!」

 

「そん......な......!?」

 

「その効果で俺は、墓地へ送った『甲虫装甲騎士』を含めて合計三体、特殊召喚したってワケっすよぉ!ヒョーッヒョッヒョ!」

 

感極まった様子で説明を終えたパーカーの人は、自身のフィールドに呼び出されたモンスター達と共に高笑いをあげています。

......召喚されたモンスター達の攻撃力は1900、それが三体。私のフィールドにモンスターはおらず、伏せカードも無い。ライフは4000、相手の総攻撃力は―――5700。

 

「ヒョーッヒョッヒョ!バトル続行!『甲虫装甲騎士』三体でダイレクトアタック!」

 

『コルルルル!』

 

『シャァァァ!』

 

『ウェェェイ!』

 

「っ、きゃああああ!?」

 

高良LP4000→0




パーカーの人の正体...一体何ゼクター何なんだ...!
次回、曇り空って良いよね...
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