遊戯王 存在しないモンスターズ   作:コジマ汚染患者

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早くデュエルにいきたい衝動と、とりあえず世界観の把握をちゃんとやっておきたい理性が黒魔導連弾してくる


A.手元に資料が無いので回答できません

どうも、絶賛記憶喪失中の名前不明少女です。カードショップでバイトしてるんだし、いい加減カードに触りたいとは確かに言いました。ええ、言いましたとも。

 

......でも、いきなりデッキ組んでイベント出ろって言われるのは、流石にこの海のリハクの目を持ってしても見抜けなかったわ。

 

「ほい、これが貸し出せるカード。それとこっちはDネームの登録用な」

 

放心しつつ急遽用意されたパイプ椅子へ座った俺の前に、そう言ってリョウさんがドカッと重そうな段ボール箱とメモ帳を置いた。

覗いてみると、段ボール箱の中には大量のカードがそれなりに整理されて詰め込まれていた。カードの種類や属性などで分けられたそれは、案外見分けや分類がしやすいだろう。ぱっと見た感じでもそこそこ有用なカードが紛れている。

メモ帳には既にイベント参加者のものであろう名前がリストされていた。一番下が空いてるので、多分そこに俺の名前を書けば良いのだろう。

 

「いやいやいやいや!待って、待っててんちょ!?」

 

「あん?」

 

ぼーっとしているうちにイベントしている卓へ戻ろうとしていたリョウさんを慌てて引き止めた。リョウさんはなんだ?とでも言いたげに首を傾げているが、本当に待って欲しい。

 

「急すぎる、さすがに急すぎる......!」

 

「んだよ、カード触るのは嫌だったのか?」

 

「ングッ」

 

焦っているこちらを見てニヤニヤといやらしい笑みを浮かべるリョウさんに思わず口を噤む。

......いやまぁ?確かにカードは触りたい。

パックから剥きたてのカードに特有のあのインクっぽい匂いを嗅ぎたい。ストレージカードを漁って、古くてボロボロボロになった掘り出し物カードを発掘したい。

この世界に来てから......いや、この世界に来る前から換算して数ヶ月程はカードに触れた記憶が無いのだ。そりゃァもう触りたいにも程があるレベルで触りたい!

 

でもこれはちょっと無理がある。制限時間ありでデッキを作り、店舗イベントにぶっつけ本番参加とか前世でもやった事ないって!

 

「でも出たい......うぅぅぅ」

 

「出るんなら早くしろよ。出ないなら出なくてもこっちは構わん」

 

「え?」

 

「最悪シード枠を作ればいいだけだ。お前がどうしても出たくない、と言うなら出なくても全然構わんが?」

 

「......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(さて、発破はかけた。最後は、こいつが乗ってくるかどうか)

 

目の前で渋い表情をうかべる少女を見下ろしながらこっそりと置いてある段ボール箱を見る。

あの箱は少女に言った通り、貸し出し用のカードだ。入っているカードも決して弱いものだけでは無い。

......が、あの箱のカードには致命的な問題がある。それは――――――何が入っているかアタシにもわからん、という事だ。

 

いやね?貸し出し用って事で何度か客に使わせたんだけど、その結果ごった煮みたいな紙束が大量に出来ただけなのよ。んで、最後に貸し出した心優しい誰かが頑張って、そりゃァもう頑張って整理してくれたおかげでだいぶ見やすくはなってる......筈だ。

でもその後整理する気力が湧かなかった。もうやってくれてるしこれでいいやの精神で放置してしまったので、あの箱の中は完全に未知の状態だ。

 

故にこそ、今この瞬間はちょうど良いと判断した。この少女の持つ決闘者としての技量。カード知識・デッキ構築力、そして肝心のデュエルタクティクス。

それらを見るのに、この状況・この条件はピッタリだろう。

 

後は少女が乗ってくるかどうか。しかしまぁ、ほぼ確実に乗ってくるとアタシは踏んでいる。

少女はこの一週間、別に狙ってはいなかったが掃除漬けの毎日だったのだ。しかも、途中何度かカードを触りたいと懇願してきている。それほどのカード好きが、カードを触れる機会を逃すはずがない......。

 

時間にして数十秒。アタシが思考に耽っている間にも葛藤していた少女は、すっと顔を上げた。その表情は、アタシが望んだ答えを表しているものだった。

 

「......やります。やらせてください。10分ですよね」

 

「ああ」

 

狙い通り、アタシは少女が真剣な表情で段ボール箱を漁り始めたのを見てそっとトーナメントの運営に戻った。

さて、少女のデュエル。どのような結果に終わるのか―――――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......さて」

 

リョウさんが出ていったのを気配で悟りつつ、段ボール箱のカード達に向き合う。

与えられた時間は10分だけ、無駄にできる時間は無い。デッキを作り、さらに調整まで行うことを考えればデッキ構築にかける時間はもっと少なくしなければならない。

 

それに、不自然なまでにカードを触らせてこなかったリョウさんがこのぶっつけ本番の状況で突然こんな課題をぶつけてきた理由。......考えるまでもない。

 

「試されてる、んだろうな」

 

何を、かは分からない。ここからこっそりカードを抜いていく横領的な事を疑われているのか、それともデッキ構築等のデュエルへの理解度を試されてるのか、それは分からない。

分からないが......俺の事をこの一週間観察してきたリョウさんだ。きっと前々からこうしてテストする機会を伺っていたんだろう、間違いない。

 

であるならば。ここは1発、俺のデュエル力を見せつけるべきではなかろうか。それに俺にとっては超久しぶりのカードいじりだしテンションの上がり幅がもう凄いことになりそうだ。

という訳で、ガッツリデッキを組んで行きたい所ではあるが、そうなると問題がひとつ。

 

「趣味に走るか、それともカードを見て決めるか......」

 

(今のところ見る限り運用が難しいカードも強い・弱いカードも全部混ぜこぜだな。となるとやはりグッドスタッフを作るのが妥当だろうか)

 

カードの山を崩しつつそう考える。

グッドスタッフ。元は別のカードゲームで生まれた用語だったはずだ。

1枚で・もしくは少ない枚数で優秀な動きをするカードをまとめてデッキとした構築だ。

カード同士のシナジー(連携)よりも、それ単体での立ち回りや展開で相手を薙ぎ倒すパワカの群れ。

 

箱の中を適当に漁っただけの今でも、それなりに使えるカードは何枚か見えている。これらを集めればそれなりには戦いになるデッキが組めるだろう。

 

(となると、アレとアレ......あった。こいつらは入れていて損が無いな、後はアレがあれば......?)

 

強い効果を持つカード達を集めていく。本来俺の使いたいデッキは種族統一系のデッキだが、今は特定の種族だけピックして更にそこから有用なものを選り好みするほど時間が無い。

そもそも構築可能なだけ種族系カードが無い可能性もある以上はグッドスタッフで正解......そう思いつつカードを漁っていると、ふと埋もれているカードの中に見覚えのあるカードを見かけた。

 

それを手に取り箱から出す。

確認すれば、確かに思った通り見たことがある―――前世でも特にお気に入りだったカードであった。

よくよく見れば、取り出したカードのあった場所に固まるようにして更に見た事のあるカードが溜まっている。整理した人はよほど几帳面だったんだろう。それらはきっちり必要枚数分固まっていた。

 

「......あぁ。そうか」

 

それらを掘り出し、手に取った瞬間。頭の中にあった『勝てる構築』は、一瞬にして霧散していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......遅い!」

 

「悪ぃな、あと1分だからもう少しだけ待ってくれや」

 

イベントに戻って、既に9分が経過していた。まだ暖簾の先から少女が出てくる気配は無い。

流石に10分もあれば早い卓は決着が着いて感想戦に入っていた。

そんな光景を見ていれば、早く自分も戦いたいと思うのが決闘者。少女が相手をする予定の厨二病は卓につきながら不機嫌を隠そうともしなくなっていた。

 

「まぁまぁ、聞けば新しいバイトの方だそうじゃないですか。ゆっくり待ちましょうぞ堕天さん」

 

「そうですね......それに、あの闇箱からまともなデッキを組めるとも思えません、時間が多少オーバーしても目を瞑ってあげるべきでしょうし......」

 

「ふざけるな。我がデッキは今日の聖戦の為改良を重ねた至高のデッキ。それの初戦がこんなグダついたものでは締まるものも締まらんではないか!」

 

常連組は流石に戦い慣れていることもあってか早々に感想戦すら終了している。ちなみにモリンフェンLOVEも月月火水木金金も両名共に初戦を勝利している。

......残り時間は30秒。流石に追い込みすぎたか?

 

「流石に終わった卓が増えてんな。すまん堕天、もうシードでもかまわn」

 

「出来ました」

 

待てない、そう判断し不戦勝を決定しようとしたその時。

暖簾を弾くような勢いで少女が出てきた。手にはDネームを記録するメモと一つのデッキを持っている。

 

思わず、店内にかけられている時計を見る。......残り時間は、ギリギリだがあと10秒ある。

 

「よし、枚数は間違いないな?」

 

「はい」

 

「Dネームは?」

 

「かいた」

 

メモを受け取ると、確かに書いてある。......書いてあるが、これDネームにする気かこいつ?

 

「......まぁいい。客を待たせてるんだ、早く卓につけ」

 

「はい」

 

少女はこちらに目を向けることなく堕天の待つ卓へと向かう。......あんな雰囲気だったか、あいつ?

 

「貴様か、我が敵は」

 

「?敵、って訳じゃ、ない。けど、対戦、よろしく、です」

 

「ふん、散々待たされたんだ。不甲斐ないデュエルはするなよ?」

 

アタシが疑問を考えている間にも卓では、両者ともにセッティングを済ませていく。

他の卓はほとんど終了した所ばかりのようで、参加者が堕天と少女の卓を囲むように集まっていた。

 

「堕天さんか、ここじゃあ結構強い方だよなあの人」

 

「ああ、使うデッキも結構強いんだよなぁ」

 

「確か、他所のショップでも店舗大会出てたよな?デカイ所のイベでも見たぞあの名前、確か5位圏内には常連なんだろ」

 

「そうなんですか?うわぁ、あの子初戦で相手がそれかぁ」

 

「しかも、貸し出しって事はいつも通りあのデッキごった煮だろ?」

 

始まる前から様々な会話が飛び交うが、当の本人達は静かに開始の合図を待っている。

堕天の方はいつもの事だ、普段はうるさいのにいざデュエルとなったらあっという間に空気を変え無言となる。

常連とアタシの間でも「いつもあのまま喋らなければ良いのに」と言われるくらい。

 

「んじゃ、2人とも用意はできたな」

 

「ああ」

 

「はい」

 

「じゃ、1回戦最終戦。『黒き堕天の翼』vs『機械万歳』、デュエル開始!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー、優勝は『月月火水木金金』さんでしたー。はい拍手ー」

 

パチ、パチと疎らに拍手が鳴る中、希望したパックを受け取る優勝者。

俺はというと、もう既にデュエルフィールドの掃除に戻っていた。なので優勝発表は見ている訳じゃなくて、聞こえてくる物音に耳を傾けているだけだ。賞賛の声や悔しそうな声がごちゃ混ぜのその喧騒に、参加出来ないことが正直悲しい。

まぁ、しょうがない。敗者の言葉などなんの意味もないからな。

 

......ええ、そうですよ、負けましたよー。初戦で普通に負けました、ハイ。

原因は、デッキが間に合わせだったからでは無い。相手が強かった?......確かにそれもあったけど全く勝てないようなデッキじゃなかった。むしろ頑張れば勝てただろう。

 

一番の問題はあれだ。遊戯王に限らずあらゆるカードゲームにおいてプレイヤーを悩ませる不治の病。

 

『手札事故』である。

 

なんだよあの手札!様子見でモンスターセットとか、ブラフでカードをセットとかも出来ないくらい壊滅的だったぞ!?俺あんな構築下手だった!?

相手も最初は警戒して何もしない俺を真面目な表情で様子伺ってたけど、次のターン辺りから明らかに可哀想なものを見る目だったぞ!?

 

 

「........................うがあああああああ!!!納得いかねぇぇぇぇ!!!」

 

俺はあまりの悔しさと情けなさに、手に持った箒とちりとりを握りしめ無様に地団駄を踏むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まいどありがとやっしたー......んで、帰んねぇの?」

 

イベントを終え、帰っていく客を見送りいつも通り煙草を取り出す。悔しそうな客、満足気な客、様々な表情で帰っていく客の中で、常連の3名が店内に残っていた。

普段から来る時は閉店まで粘る奴らではあるが、3人とも表情は固く、いつものように談笑する為残っているというわけでは無さそうだ。

 

「アンタら帰らねぇと店閉めらんねぇんだけど?」

 

「リョウさん、あのバイトの少女は一体なんだ?」

 

「なんだ、って言われてもな。ただのバイトだよ。それ以上もそれ以下もねぇし」

 

「......にしては、その。随分と不思議な人でしたが」

 

「休みすら中々取れない残業戦士なのに、なんの仕事についてるのか未だに分からねぇあんたほどじゃねぇよ」

 

月月火水木金金さんとモリンフェンLOVE、2人からの追求を受けるが適当に流す。

しょうがねぇだろ、アタシだってまだ何もあの少女のこと知らねぇし。それに......いや、関係ないか。

 

「あのバイトが何者かなど我には興味無い。それよりも、だ。店主よ、あのバイトと再戦させろ」

 

咥えたは良いが、話が長くなりそうで火がつけられないタバコをフラフラと上下に揺らしていると、厨二病が常連2人を押しのけてそう言い出す。表情を見れば、不満を隠しもせず眉を釣り上げている。よく見れば、口元はギリギリと歯軋りしているようだ。

 

「再戦も何も、勝ったじゃんお前」

 

「納得できるか!どう考えてもバイトは事故っていただろう!?あのような消化不良、許せるか!」

 

だよなぁ、と心の中だけで呟く。バイトの実力を見るという名目で行った飛び入り参加1回戦、あれは酷かった。初期手札見た時点で、少女の体がピシッと石化したかの様に一瞬固まってたし、何より効果とか召喚の宣言の声が滅茶苦茶ちっちゃかった。

 

「あー、まぁお前の言うことも分かるぞ厨二」

 

「黒き堕天の翼だ、二度とその呼び方をするな」

 

「じゃあ名前変えろよ」

 

「断る。そんなことはどうでも良い、あのバイトを出せ店主。デッキ構築を見直させる時間もくれてやる、満足できる勝ち方を我は望むぞ」

 

一切引きそうにない厨二病をどうにかして欲しくて、後ろの2人へ視線を送るがそっと無視された。どうやら彼らも同じ意見らしい。

 

「あの少女の実力は、確かに私から見ても違和感がありましたからな!」

 

「ええ、手札や使っていたカードを見るにコンセプト破綻は無い。プレイングミスも、見た目から予想できる年齢を考えれば異常なほど見当たらなかったです。ただ......」

 

「「だからこそ、何で厨二病さん(くん)にぼろ負けしたのか。余計分からない!(んですよねぇ)」」

 

「そこ!2人して不敬だぞ!?」

 

常連組の分析に、返事はせずとも内心同意する。

最初、終わってすぐは落胆した。自分の感じた「なにか」は気のせいだった、と。イベントの運営もあって忙しさで余計分からなかったんだ。

デュエルの腕自体に下手な部分は見られなかった。それは確かだ。

だから、少女から返却されたデッキを確認してみることにした。

もしや、デッキ構築力が壊滅的だっただけでは?と、そう思ったからだ。

 

しかし、それは違った。

1枚で問題なく動くカードと、単発ながら優秀なお手ごろ罠。魔法は基本使えば手札が増えるか手数が増えるもので揃え、かつその枚数も最低限で押えていた。

あとはモンスター・モンスター・モンスター。有用で再利用可能なリクルーターと、そこから出せる壁モンスターや無効効果持ちで固められたそれは、デュエルモンスターズへの豊富な知識量に裏打ちされた選出だった......『と思う』。

 

分からなかった。なんでこのデッキを使って、あそこまでボロクソな動きになるんだろうか。

 

「今日はもう閉店だ、帰れ」

 

「なんだと!?我はまだ......」

 

「○ろされてぇか......?」

 

「............ハィ」

 

「うむ、流石に良い時間であることだ!これにて失礼致します!またの布教を楽しみにしていてくだされ!」

 

「優勝出来ましたし、多少の違和感は無視しておくとします......明日......早番、タイムカード切り残業、ウッ頭がっ......」

 

店先で考えていても仕方ない。常連を帰し、アタシは店の入口を施錠する。店内をタバコ片手に戻る中、ふと返却された貸し出しカードの段ボール箱が目に入る。

 

「......あ?」

 

この闇鍋からあのデッキが組めるやつがなんでだろな......そう思いつつ箱を持ち上げた時だった。

妙に端の方へ固められた束が、他とは分けて入れられている。一度箱を下ろして手に取ると、枚数はちょうど40枚。デッキ分の束だった。

 

「まさかアイツ、あの短時間でデッキを2つ作ってたのか?」

 

なぜ2つも用意しているんだあの阿呆、その時間があるならさっさと参加すりゃいいのに......そう思いつつ取り出したデッキを確認する。

決闘者ならよくあることだ、デッキっぽい束があれば確認したくなるというのは。......あるよな?

 

そうしてデッキを見ていると、知らず知らずのうちにカードをめくる手が早くなっていく。既にシャッフルレベルの早さでカードを確認していき、仕舞いには思わず卓へデッキを置いて1枚1枚広げていった。完全に広げ終えた後、デッキの全容を把握したアタシは歯を食いしばりながら呻くことしか出来なかった。

 

「......あ゛?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、てんちょ。お疲れ様、です」

 

なんか今日は店仕舞い遅いな?そう思いつつバックヤードで待っていると、俯いたリョウさんが戻ってくる。常連さん達と話していたみたいだし、イベントがある日は遅くなりがちなのかもしれん。

 

「明日、は何時からになります、か?」

 

「......」

 

「てんちょ?」

 

な、なんだ?リョウさんの反応がない。眠いのかな?そう思いつつ顔を伺おうと近づき......胸ぐらを掴み、持ち上げられた。

 

「て、てんちょ????」

 

「おい、ツラ貸せ」

 

「え?え???」

 

「来い」

 

リョウさんは、能面のような無表情だった。でも、怒ってる顔よりずっとずっと怖かった。掴まれた胸ぐらはすぐに離され、リョウさんは来いとだけ伝えて先に店内へ戻って行ってしまった......な、何事?

 

 

 

 

 

 

「えーと、その」

 

「......」

 

「な、なにか不備とか、ありまし、たか?」

 

連れて来られたのは、いつも掃除しているデュエルフィールドだった。来てから終始無言のリョウさんは、ソリッド・ヴィジョンの機械の横で何やら操作している。何も喋ってくれないから非常に怖い。

 

「......よし」

 

「?」

 

すると、何かを呟いた後リョウさんが手になにかフリスビーの様なものを2個持ってこちらへやってきた。

俺の目の前まで来たリョウさんは、身長が結構デカいのでかなり威圧感がある。特に、少女のボディは身長がかなり低いので前世より怖さ倍増しだ。

 

「さっきは胸ぐら、悪かった」

 

「あ、いえ......あの、掃除がダメでした?」

 

「いや、別に?そんな理由じゃねぇよ。コレつけろ」

 

「?......これ、って」

 

差し出されたのは、フリスビーでは無かった。無骨な、しかしハイテクさもある形状。似たような形をした五箇所のカードをセットする場所。

デジタル液晶のようなものが着いているが、それ以外は俺にも見覚えがある物だった。

 

「デュエル、ディスク......あの、一体何を?」

 

「あん?決まってんだろ、コレ使うっつったらよ」

 

そう言ってリョウさんは、俺に差し出したものとは別のデュエルディスクを自分の腕に装着し、サイドポーチからデッキを取り出した。

こちらへと見せつけるようにゆっくりとデュエルディスクへデッキをセットした瞬間、ディスクから『entry』という音声が鳴る。

 

「デッキは、さっきの貸し出しでお前が用意していた奴で良い。デュエルだ、アタシにアンタの実力、本気で見せてみろ」

 

突然の事態に唖然としつつも。これからデュエルがもう一度できる、その事に俺の体は急激に戦意を滾らせてきたのだった。




次回はまるまるデュエル回。
vsリョウてんちょ

本編ではしたくないキャラ紹介
○モリンフェンLOVE:変人枠。もう名前で使用デッキバレてそう。
○黒き堕天の翼:可哀想な人枠。セリフ考えるのがかなり面倒。厨二病では無い(本人談)
○月月火水木金金:常識人枠。名前の読みは「ヒマなし」らしい。分かりづらいのでイベントでは月月火水木金金さんと呼ばれる。名前長い。
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