お風呂は好きかな?   作:みいつけ党下っ端

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オフロスキー(偽)がフリーレン世界に与えた影響。
その1、クヴァールお爺ちゃん
時系列バラバラになりそうだけど、許して許して。
マハトVSオフロスキーは少し書きたい。


お話は好きかい?

「なるほどのぅ。殺しきれぬ故に封印する。妥当だな」

 

愉快そうに笑う人の数倍はある獣の体躯を持ち合わせた腐敗の賢老と呼ばれる魔族、クヴァールは、膝をつき、自身の石となりかけている体を見る。そして、目の前で瀕死となっている先程まで自身と戦っていた者たち、勇者一行を見据える。

武器を杖代わりに倒れないように立っているドワーフ。立てずに尻もちをついている人間。杖を向けてこそいるが、殆ど魔力が残っていないエルフ。仲間たちの一番前に立ち、未だ自身と向き合うように剣を構える人間。

 

「ヒンメル、ハイター、アイゼン、フリーレン。ふむ。儂がここまで追い詰められたのは、人間相手ならば初めてよな」

 

「まるで、人間以外に追い詰められたことがあるみたいな言い方だね」

 

「オフロスキーという同族よ。普通の条件下ならば勝てるが、やりづらい魔族よ。ヤツは」

 

エルフ、フリーレンは、まさかここで知り合いの名前が出てきたことに驚く。勇者一行として、仲間たちと旅に出る前は、かなりの頻度で会っていた魔族の友人だ。

 

「ヤツの特徴は、なにより手数の多さ。一芸を極める魔族にとっては、異端。殴った相手の内部を破壊可能な打撃武器、それを十全に扱える近接戦闘能力、シャボン玉による攻撃の無力化、水による多種多様な攻撃」

 

クヴァールの言葉にフリーレンは、心の中でうんうんと頷く。彼女もオフロスキーと戦ったことがあるため、その厄介さは身にしみて理解している。

 

「なにより、"領域展開"だったか。いやはや、あれほどまでに完成された結界魔法は見たことがない。まさしく奥の手よ」

 

クヴァールは、思い出すようにうんうんと頷く。

 

「"己の在り方"、いわば"己の世界"を結界の中に発生させる結界魔法。見事綺麗な魔法術式、しかし、長生きしている大魔族か、優れた才能ある魔法使いにしか使えない魔法。結界魔法の一つの完成形に近いな」

 

「随分と詳しいじゃないか」

 

「ん?あぁ、ヤツの口から概要だけ教えられたのよ。そこから解析するのに何十年要したか」

 

その時、フリーレンの体に稲妻が走る。なにそれ、聞いてない。長年、オフロスキーと関わりのあるフリーレンは、勿論、彼の"領域"についても研究していた。しかし、上手く進んでいないのだ。

 

「ククク。どうやら、オフロスキーの知り合いのようだな。なにも教えてもらえてないのか?」

 

「…………お前には関係ない」

 

「…………ふむ。長命故に感情の起伏が乏しいエルフに一定の"独占欲"を湧かせるか。尚更、面白いやつよな。ヤツは」

 

「ど、独占欲?」

 

ここから、勇者一行を殺すことなど幾らでも出来る魔法を持つクヴァールに警戒しながらも、明らかに冷静さを少し無くしているフリーレンと、剣を構える人間、ヒンメルは別の意味でフリーレンを心配するような声を上げる。喋る余裕のない他二人は、大丈夫かコイツ等という目でフリーレンとヒンメルを見ていた。

 

対応こそできるであろうが、ここで"人を殺す魔法"なんぞ撃たれれば、普通に被弾するのではないかと心配してしまう。それを見て、クヴァールは不思議そうに首をかしげる。

 

「??不思議な事ではないだろう。仲の良い友人の秘密を敵が知っているというのは、お前たちからすれば、良くは思わんのだろう?」

 

「…………あ、あぁ。なるほど」

 

何処か安心したようなヒンメルを見て、クヴァールは顎に手を当てる。そして、手の平をポンと叩く。

 

「あぁ、なるほど。ヒンメル、おぬし。フリーレンに思いをよせ―――」

 

「切り刻むぞ、この野郎!」

 

「―――う、うむ」

 

先程の戦闘で感じた気迫とは、また違う。普段ならば、向けられる事のない気迫にクヴァールは思わず、たじろぐ。

 

「………いい加減、封印されたらどうだ」

 

「そうケチくさい事を言うな、フリーレン。人と言葉を交わす事など無いのでな。思いの外、楽しくてのぅ」

 

本来ならば、既に封印魔法は完了しているはず。しかし、未だ腰までしか封印出来ていないクヴァール。見て、フリーレンは警戒を強くする。

 

「フリーレンよ。お節介だろうが教えてやる。あれは、基本になる結界魔法の構造式に別の魔法の構造式を完全に融合させて完成する。故に人それぞれ構造が違う」

 

「…………なるほど、わからないはずだ」

 

フリーレンは、今の今まで何故、領域展開が解析出来ないのかがわかった。つまるところ、オフロスキーの魔法の構造式が合わさって、オフロスキーの領域が成り立っているのだ。元々1や2なのではなく、1と1を足して、新たな1を作っていたのだ。わからないはずだ。

 

「オフロスキーがよく話していたおったぞ。人は面白いと。まぁ、そうさな。1000年以上、魔族と戦争をして生き残っているのだ。そんな種族が弱いわけない」

 

クヴァールは、感慨深いと言うように腕を組み、目らしき黒い窪みを細める。

 

「"人を殺す魔法"も100年もすれば、一般的な魔法にでもなっているだろう。自慢ではないが、あれの開発には、かなりの時間を要したのだ。ん?となると、新たに防ぐための魔法も開発されるのか。ククク、今から封印が解けるのが楽しみよ」

 

「安心しろ。封印が解けた時は、私が殺してやる」

 

「おぉ、怖い怖い」

 

フリーレンがクヴァールを睨めば、それを流すように手を上げる。ヒンメルは感じる。まるで、人と話しているみたいだ。

 

「ならば、話題を変えよう。例えば、魔族にも"感情"はある、などどうだ?」

 

「……それは本当か?」

 

すると、ヒンメルは驚いたようにクヴァールに聞き返す。すぐにフリーレンがヒンメルを諌め、クヴァールを睨む。

 

「耳を貸すな、ヒンメル。戯れ言だ」

 

「フリーレン。"感情"と"心"は別物だ」

 

クヴァールの言葉にフリーレンは思わず、首をかしげる。

 

「"感情"とは、相手に向ける"願望"よ。こうしてほしい。こうあってほしい。といったな。我等魔族は、貴様等に"願望"を向けておるよ。"どうか油断してください"とな」

 

「それに対し、"心"とは、相手が向けてくる"感情"の"受け皿"よ。相手が自身をどう思い、どう願うのかを理解する。それに対し、返す"感情"を選ぶ。それが、"心"だ。故に"魔族"には"心"がない。向けられる"感情"の"受け皿"がないのだからな」

 

まぁ、魔族の儂なりの考え方だがな。そう付け加え、クヴァールは口を閉じる。ヒンメルは、少し考えるように目線を下にする。対するフリーレンは、軽く鼻を鳴らすのみ。そこにきっと、二人の魔族への考え方の違いが出ているのだろう。魔族アンチのフリーレンは、そんなんいいから喋ってないで早く封印されろとしか思っていない。というか、この問答でヒンメルが変に希望を持っても困る。

 

「一つ聞きたい」

 

「どうした?ヒンメルよ」

 

「人と魔族はわかりあえると思うか?」

 

「無理だろうよ」

 

ヒンメルの質問にクヴァールは即答する。あまりにも早い回答にヒンメルは、呆気にとられる。

 

「人は、内省的で普遍的な生き物よ。"群れの中でいかに明日を生きる"かを考える。故に村を、町を、国を作る」

 

「それに対し、魔族は、短絡的で刹那的な生き物なのだ。"一匹でいかに今日を生きる"かを考える。魔王様に従っているのも、"ただ自分より強いから"基本、その一点のみ」

 

「生き方から違うのだ。生物は環境が変われば、生きることに窮屈する。魚など良い例だ。陸の上で共に生きられるか?出来んだろう?つまり、そういうことよ」

 

クヴァールの石化は、やっと胸元にまで進行していた。

 

「オフロスキーに言われ、人に興味を持ち、観察し、まさに今、その人間たちと意見を交わしている。故に言い切ろう。オフロスキーは、異端だ。人間と魔族は共生は出来るだろうが、わかりあえる時は永遠に来ない」

 

「…………そうか」

 

クヴァールがそう締めくくると、ヒンメルは悲しそうに目を伏せる。クヴァールは目の前の自身を退けた者たちを見据える。

 

「…………さて、そろそろいいかのぅ」

 

その時、フリーレンは感じた。クヴァールの封印への抵抗が弱くなったことを。

 

「儂の魔力はもうすぐ底を突く。既にヒンメルは息を整え、フリーレンは魔力を最低限回復し、後ろの二人も十分に動けるであろう?」

 

「…………なにが目的だ」

 

「なに。せめて、この腐敗のクヴァールを退けた猛者共への報奨よ。死なれたり、戦えなくなるほどの怪我を負われては、報奨とは言わんのでな」

 

「なにを、いって………」

 

その時、ヒンメルの勘が今すぐ逃げろと、今までにないほど大きな警鐘を鳴らす。

 

「時にフリーレン。儂が最初になにを話したか覚えているか?」

 

「そんなの――――」

 

フリーレンは、背後から何者かに首に鎌のようなものが当てられるような感覚がした。

 

「同族ができたのだ。儂に出来ぬ道理はあるまい?

 

「逃げろ!皆!」

 

「もう遅いわ!」

 

クヴァールの口が、大きく歪む。

 

 

「"領域展開"」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「"衆生比良坂遊行(しゅじょうひらさかゆうこう)"」

 

 

 

 




【腐敗の賢老 クヴァール】
どれだけもっても許されるヤバい魔族。オフロスキーの影響で、人間っておもしろ!となったお爺ちゃん。クヴァールに付随して、その友人の黄金さんとも知り合いであるオフロスキー。つまり、黄金さんも領域展開できる。その後、それを知ったフリーレンの肘がオフロスキーを襲う。


【衆生比良坂遊行】
入れたら勝ちタイプの領域
"人を殺す魔法"が"必中"で大量に飛んでくる領域。入ったら死ぬ。今回の展開時間は、魔力ギリギリで封印完了までの時間の僅かの数秒。四人は、五体満足で出ることはできた。真面目にフリーレンは、領域対策の開発が必要と感じた。その後、旅の裏でフリーレンの膝もオフロスキーを襲う。


一芸魔族くんが受け入れられるように一芸の発展という形で落ち着いた領域展開。
アウラが領域展開するとき、印とかじゃなくて天秤使って欲しい。やりなおしじゃない。とか言って欲しい。

一番なにがみたい?

  • 黄金郷VS風呂好き
  • アウラ「やりなおしじゃない」
  • 宿泊みぃつけた(2、3話)
  • 風呂好きとエルフの旅記録
  • 何いってんだ、全部見せろ!
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