お風呂は好きかな? 作:みいつけ党下っ端
朝起きたら日間一位になってて、驚きました。
友達に即自慢したよね()
皆さんがくれた感想を見てニヤニヤしてる作者です。
色々ネタを提供してくれて本当に助かります。
初のヒンメル没後回。
なんか、色々良くわからないこと語りすぎて知恵熱出したので、ネタ(?)に走りました。作者は小難し話は苦手なのです。
「前日までには間に合ったね」
勇者ヒンメルの没後28年。ここは、中央諸国のグランツ海峡の街。
ここでフリーレンは、弟子のフェルンと共に海岸の清掃の依頼を受けて、3ヶ月が経っており、もう年を越そうとしていた。
「助かりましたフリーレン様。新年祭には参加されますかな?」
「うん」
「歓迎いたしますぞ」
そう言い、町長はお辞儀をして海岸を去っていく。
「正気ですか、フリーレン様。太陽が昇る前に起きるなんて不可能でございます」
自分たちの借りている宿舎への帰り道の中、フェルンは心配そうにフリーレンへと聞く。この街の新年祭とは、いわば初日の出を見る祭りである。早起きができないフリーレンが初日の出を見ると言っているのだ。心配にもなる。
「徹夜するから大丈夫だよ」
「そこまでして見たいのですか?」
「うん。そこまでして見たい。ヒンメル達と旅をしている時だって見たからね」
フェルンにはよくわからなかった。あのフリーレンがそこまでして、見たいというのだ。そんなに特別なものなのだろうか?と。それにフリーレンは、そんなことないと返すのだった。
「おはようございます。フリーレンさ―――
―――寝てる!?」
フェルンが起きると、そこにはベッドの上で丸くなっているフリーレンだった。フェルンは飛び起きて、フリーレンの体を揺らす。
「起きてくださいフリーレン様!新年祭に遅れますよ!」
「むにゃ……お母さん……」
「誰がお母さんですか!!」
フェルンは急いで、フリーレンを起こして着替えさせる。そのまま、彼女の手を引き、街へと繰り出すのであった。
そして、海岸沿いの道に辿り着いたとき、丁度日が昇る頃だった。
「うん。やっぱり。ただの日の出だ」
それを見たフリーレンの感想は、なんとも味気のないものだった。
「そうでしょうか。とても、綺麗ではありませんか」
「そうだね。ただの、綺麗な日の出だ」
「なんか、嬉しそうですね。フリーレン様」
「……………うん。そうだね」
フリーレンは、手摺によっかかりながら、日の出を眺める。
「今回は、私一人じゃ見られなかったな」
「当たり前ですよ。フリーレン様、一人で起きれないじゃないですか。というか、本当にヒンメル様達と旅をしていた時も徹夜したのですか?」
「うん。予めヒンメルに言ってたから、起こしてもらった」
「徹夜できてないじゃないですか。なにが、今回は、ですか」
フェルンは仕方がないとでも言うようにフリーレンを見る。それにフリーレンは余裕そうに笑みを浮かべる。
「でも私。一人で起きて、ここで日の出を見たことがあるんだ」
「嘘ですね」
「えぇ〜〜!?信じてくれないの!?」
フリーレンは自分の話す事を信じてくれないフェルンに非難の声を上げる。しかし、普段の彼女を知っている者からすれば、信じられないのは、残念でもなく当然の結果でもある。勇者一行の旅のときにドヤ顔で、ヒンメル達に話した時も三人同時に嘘だと真顔で言われ、流石に凹んだのを覚えている。
『おーい!お前もこっちで飲めよー!』
その時ふと、呼ばれた気がして、フリーレンはそちらへと顔を向ける。そこには、魔王討伐の旅よりも遥か昔の、自分の本当の名前を最後まで明かす事のなかった仲間達が自分を呼んでいた。しかし、瞬きをした次の時には、彼等は何処かへ消えてしまっていた。
「…………ふふ」
フリーレンは、静かに微笑む。
『フリーレン。新年の日の出は、特別らしいぞ』
『そうかな?普通の日の出だけど』
『新しい年の始まりを"友"や"仲間"と共に見るのは、特別な事だろう?』
『よくわかんないや』
『………そうか』
フリーレンの脳内に溢れ出す、かつて、友と見た日の出の記憶。寝落ちして、起きた時に徹夜で飲み明かしている阿呆共に辟易して、抜け出して一人で海を見ていた記憶。
『先に帰っていいかな?』
『そう言わずに雑談に付き合ってくれてもいいだろ?』
『そんなの、いつでもできるでしょ』
『今したいんだ』
そこまで意味のある行動とは思えないそれにフリーレンは当時、顔をしかめたものだ。それを見て、友はぶん殴りたくなる顔でこちらを見ていたのを覚えている。
『おーい二人共!お前たちもこっち来て飲めよー!』
『こんな所でイチャツイててもしょーがねーだろー?』
『ほら、行くぞフリーレン』
『…………わかった』
耳をふさぎたくなるほど、騒がしい仲間達の輪に友が自身の手を引き、向かっていく。騒がしくて、うっとおしくて、懐かしい思い出。
『覚えていろフリーレン。いつでも話ができるとは限らない。アイツ等とも、俺とも。思った時に出来る時に沢山しておけ。お前は、時間の取り方が広すぎる』
『なんで?』
『話しておいたら、ちょっとは後悔が少なくなるだろ?』
フリーレンは、友がなぜそんなことを言ったのかを理解していなかった。だが、仲間達が死んだ時になって、話したい事が次々と溢れてきて、死ぬほど後悔したことを覚えている。
その後悔を活かしきれず、また同じことで後悔したから、今のフリーレンは旅をすることになっているのだが。そこからあまりにも人と関わらない時間が長すぎたのだ。だからフリーレンは旅をする。彼女は、ヒンメルやハイターとまだ話し足りていない。一年くらいは話のネタが尽きないくらいには。アイゼンとも話し足りないけど、付き合ってくれなかった。まったく薄情な奴だ。
「どうかされましたか?フリーレン様」
「…………ううん。なんでもない」
ふと、フリーレンは横を見る。その横にいるのは、自分の弟子のフェルン。友でも、魔王を倒した仲間でもなく、弟子と見る日の出。だが、友と見た日の出とも、ヒンメル達と見た日の出とも、何処か違うように見えた。
「そろそろ戻ろうか」
「はい」
「あぁ、フリーレン様。良かった。まだいらしたのですね」
十分に日の出を楽しんだ二人が宿舎に戻ろうとした時、そこに町長がフリーレンへと杖をついて歩いてきていた。町長の手には、一冊の本が握られていた。
「今回の海岸の清掃の依頼。まことにありがとうございました。こちら、ほんの気持ちでございます」
「これは?」
「800年前の英雄"フロス"が残したと言われている魔導書でございます。文字が昔の文字で書かれており、未だ解読のされていない魔導書です。長命な貴方ならもしや、と」
「"フロス"が?」
「フリーレン様。"フロス"というのは?」
「800年前の英雄だよ。魔法使いの"リーレ"や仲間達と一緒に魔族と戦ったね。今の時代で知っている人は少ないんじゃないかな」
フェルンは聞いたこともない人名に首をかしげ、フリーレンに聞く。どうやら、かなり前の時代の人物達のようだ。
「かつて、いくつもの強大な魔族を仲間たちと共に打ち倒した英雄でございましょう?」
「うん。そうだね。いくつもの魔族を倒した」
「おや、フロスとお知り合いで?」
「え?あ、あー。うん知り合い知り合い」
町長がフリーレンに聞くと、急に目を泳がせながら答える。フェルンは察する。あ、これなにかあったやつだ、と。
「この一帯は、言い伝えでフロスとリーレ縁の地だと言われております」
「そうなの?特別なことはなかったと思うけど」
フリーレンは心当たりがないようで、なにかあったかと思い出すように考える。きっと、彼女にとっては、そこまで伝えられるようなことのない些細なことなのだろう。
「新年祭もかつてここで、フロスがリーレと共に新年の日の出を見ながら愛を誓いあったことが、起源と言われております」
「へぇ。そうだったんだ。…………ん?」
フリーレンは、興味深そうに頷く。ヒンメル達と見た時が初めての参加だったが、そんなことが由来していることは驚いた。フロスとリーレが愛を誓いあったのが起源、か。中々ロマンチックじゃないか。
ん?誓いあった?
「え、ちょっと待って。誰と誰が?なにを?」
「フロスとリーレが愛を誓いあったと」
「なにそれ知らない」
フリーレンは、思わず頭を抱える。まさかそんなふうに言い伝えられているとは思いもよらなかった。いや、確かに二人で見たけども。
「…………ふ、二人はそんなこと、し、してないと、思うよ?」
「む。そうなのですか?しかし、それでいいのです。言い伝えとは、そういうものですから」
「そ、そっか。で、でも二人の名誉の為にも直した方がいいんじゃないかな」
「良いのではありませんか?二人は、後に夫婦になったと言われております。ラブストーリーの一つや二つあっても」
「夫婦ぅっ!?」
フリーレンらしからぬ大声に、思わずフェルンは耳をふさぐ。昔の英雄の話を聞かされてから、フリーレンの様子が明らかにおかしかった。
「夫婦花と呼ばれるフースとリレの花は、お二人の名前が由来だと言われております」
「なにそれ知らない。本当に知らない」
知らない知らないと頭を振って否定するフリーレン。どうやら、現実を受け入れられないようだ。そんなになるほど?とフェルンは衝撃を受ける。
「その魔導書は、そのフロスが"生涯でただ一人、唯一背中を預けられる者と共にいるために必要な魔法を記したものだ"と言っていたと語られています」
「…………へー」
すると、フリーレンは先程の取り乱しようが嘘のように落ち着くと魔導書を見る。まるで、いったいなにを書いたんだ?と本の著者に聞いているように。なんか、耳がピコピコしてる。なんか、目がキラキラしてる。魚を見つけた猫みたいな顔をしている。
「どうやら、フロスとは親しい仲だったご様子。ならば、その魔導書は貴方が持っておくべきですな」
「うん。もらっておくよ」
フリーレンは頷くと、満足そうに宿舎へと歩きだし、フェルンがそれについていく。フリーレンは歩きながら、魔導書を読み出す。
「フリーレン様、どんな魔法が書かれているのですか?」
そんな昔の英雄の書いた魔導書だ。フェルンだって、興味が無いわけではない。むしろ、フリーレンの知り合いの書いた魔導書だ。興味津々である。
「アイツが仲間と作ったくだらない魔法ばかりだよ。"服の後ろにつららを入れる魔法"や"猫の後ろに野菜を置く魔法"、"徹夜でベッドの上を跳ね続けることができる魔法"。効果も、全部知ってる」
「すごくくだらない魔法だった!?」
フリーレンは、懐かしむように本の文字をなぞるように触れる。フェルンは、800年前の英雄の作ったと思われる魔法があまりにもくだらない効果のものが多すぎて驚いている。
「まったく、アイツもよく考えるよ。何回付き合わされたことか」
「付き合わされたんですね」
「うん。私の枕元でずっとピョンピョンピョンピョン仲間全員で跳ねられた時は、寝れなくて全員殴ってやったけど」
「うわぁ………」
フェルンは思ったよりも使われ方が酷い事にドン引きする。仲間が自分の枕元で跳ね続けるというのは、鬼の所業だ。やってることは、子供のそれである。うざいったらありゃしない。自分でも殴ってる。
「………ん?最重要魔法?」
ペラペラと本を捲っていくと、文字が殆ど無いページがあり、そこに"最重要魔法"とだけ書かれていた。それが聞こえたのか、フェルンも魔導書を覗き込んでくる。読めるわけではないが、気分の問題だ。
「……………それほどまでに危険な魔法なのでしょうか?」
「アイツは、そういう危険な魔法を媒体に残すタイプじゃないんだけどな」
フリーレンは、この本の著者が最重要魔法と書くような魔法を媒体に残しているとは思えなかった。彼は、そういう類いのものは頭の中に永遠にしまっている。勇者一行の旅の時にまさかその類いのものの一つがまさかの本人伝手で、敵側に伝わっていて地獄を見たものだ。
なにを書いたのか、確認の為にも見ておくべきだ。もしかしたらこのページの隠滅も必要になる。
「えっと、なになに………………」
「フリーレン様?」
「ッ!」
「フリーレン様!?」
書いてあった魔法を見て、フリーレンは静かになる。急にどうしたのかと思い、フェルンがフリーレンになんの魔法が書かれているのか聞こうとした時、フリーレンは本をビターン!と音がなるほど思いっきり地面へと叩きつける。
「…………ふん」
「フリーレン様?フリーレン様!」
そして、そのまま魔導書を放って歩いていってしまう。フェルンはフリーレンが怒った理由がわからないまま、魔導書を拾ってフリーレンを追いかける。
「なにが、"ものぐさ寝坊助エルフを朝起こす魔法"だ。バカ」
フリーレンの耳はほんのり赤くなっていた。
【英雄フロス】
魔法使い"リーレ"と共に800年前に魔族との戦争にて活躍したとされるピンク色の髪の英雄。彼とその仲間の活躍が無くしては、今の人間はいないと歴史学者達は語っている。しかし、800年前という事もありマイナーな人物。
かつて彼とその仲間が倒した敵には、山をも両断する力を持った棘の持つ植物のような魔族、人や魔族を改造することを愉悦としていた科学者、人や魔族を見境無く喰らう魔獣などがいたとされ、現代にどれか一つでも生きていたのなら人類の大きな脅威となっていた。
仲間達の死後、リーレと共に忽然と姿を消し、その後の動向が不明となっている。
書いてて、オチに何処か既視感あるなぁ……って思ってたらpixivのお気に入り作品に入ってて笑った作者です。サボさんを登場させたいと、でも強すぎね?って言う気持ちが合わさった結果こうなりました。許して許して。
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