お風呂は好きかな? 作:みいつけ党下っ端
大学の課題提出期限間近に掴んだアウラの能力の核心!!!!(欠片も掴めていない)
どうも、書き溜めが出来ずにその日その日のノリとテンションで書いていることに焦っている作者です。
申し訳ないですが、感想への返信が少ししかできなくなりそうです。課題が、課題が終わらんのや(泣)
バタフライエフェクト起きすぎぃ!注意報発令。
「久しぶりね、フリーレン。ざっと80年振りかしら」
「そうだね、アウラ。引き返してくれると助かるんだけど」
勇者ヒンメルの没後28年。北側諸国グラナト伯爵領郊外。
ここは伯爵領の街を一望できる崖の上。そこで魔族とエルフが相対する。魔族、アウラの後には沢山の首のない鎧を身に纏った兵士達が控えている。それに対しエルフ、フリーレンの側には誰もおらず、一人でアウラの前に立ったことがわかる。
「いやよ。だって――――」
アウラが言葉を続ける前に彼女の後ろに控えている兵士の数人がフリーレンへと襲いかかる。フリーレンは慌てる様子もなく、兵士達の攻撃を躱す。彼女の周りを首のない兵士達が囲う。
「―――私の方が優勢だから」
アウラの顔は余裕に溢れている。かつて、自分は目の前のエルフに敗れた。しかし、それは彼女と共にいた勇者ヒンメルといった仲間がいたからだ。
アウラはフリーレンからあふれる魔力を見て、そう判断付ける。
フリーレンは落ち着いて自身やアウラの周りを見る。
「あのときより増えてる。これだけの数を操れる魔族の魔法はとんでもないね。人類の魔法技術では想像もつかないほどの高みだ」
フリーレンはその一点に対してのみ素直に敬意を示す。未だ人類には到達できていない、高みにある魔法技術。
「でも」
フリーレンは一人の兵士へと魔法を打つ。兵士に大きな外傷などない。しかし、普通の死体に戻ったように力なく倒れる。
「最悪で醜悪な魔法だ」
「あら酷い。頑張って集めたのに」
フリーレンの目からはアウラから見ても怒りが滲み出ていた。
その時、フリーレンは気付く。一人、アウラの横に控える死体に。
「そいつの首は落ちてないんだね。いや違う。縫い合わせたのか」
アウラの横には首に糸でなのか他の死体と違い、首を繋ぎ合わされた死体があった。その死体の顔は、グラナト伯爵領の領主グラナト伯爵に似ていた。
「ウィリアムのこと?私のお気に入りなの」
アウラは横にいる死体を見て、彼の頭をポンポンと撫でる。
「面白いのよ、この子。私のこと、死ぬほど憎しみの籠もった目で見てたのに、首を落とす前に私のこと"可哀想"って言ったの」
アウラは無機質な目で死体の首をなぞる。
「だから、生かしてあげたの。生きたまま、仲間の首を落とさせてあげたの。そしたら、自分で自分の首切っちゃったのよ」
アウラはその時の光景を思い出してなのか、薄く笑みを浮かべる。
「死に際にこの子、私になんて言ったと思――――」
「もういい」
瞬間、彼女に直線的に"人を殺す魔法"が飛んでくる。しかし、何処で学んだのか人間の魔法体系において開発された防御魔法で防ぐ。
「お前はもう喋るな」
「…………いいわ、最高の気分よ」
アウラは理解している。人は、怒りに支配された人間は単調になる。それは、人間と戦っていれば自然とわかる人間の"習性"。
フリーレンへと首無しの兵士達が襲いかかる。死体というのは、いわばただの人形だ。人形に複雑な命令は実行できない。例えば、平民の死体に剣を持たせて襲いかからせた所で、不格好で周りの死体を斬りつけることだってある。それに対し、兵士の死体は生前、戦いの訓練を積み、戦場を経験している。するとどうだ。死体の彼等も洗練された剣を振るえるじゃないか。
死体を操る上で必要なのは死体の生前の"経験"だ。だが、そういうものは大抵一瞬でも自分の支配から抗う。だから首を落とす。それにより、最強の不死の軍団が完成する。実に簡単なことなのだ。
フリーレンは死体へと魔法を打つ。その魔法に当たった死体達は、傷一つつくことなく、その場に力なく倒れる。
「驚いたわ。私の魔法が解除されてる」
そういう彼女は、特段驚いているようには見えない。
「でもどうして?前は派手に吹き飛ばしてたじゃない。魔力消費が激しいのにそんな回りくどいことするの?」
アウラの記憶に映るのは、容赦なく自分の兵隊達を跡形もなく消し飛ばすフリーレンの姿だ。しかし、今の彼女には死体を消し飛ばそうとする姿は見えない。
「後でヒンメルに怒られたんだよ」
「なら、尚更どうして?」
アウラはなにも知らぬ幼い子が親に何故?と聞くように何処までも純粋にフリーレンに問う。
「ヒンメルはもういないじゃない」
既にいない人に言われたから何だと言うんだ。また言われるのが面倒だからしない、それならわかる。鬱陶しいったらありはしないのだから。だが、もう言われることがないのなら、それをやる必要なんてない。
文句を言うやつは既にいないのだから。
『アウラ。人の、"意志の力"を舐めるなよ。いつかお前の首に、それは届く』
「それとも、それも"意志"というやつなのかしら」
アウラの頭にウィリアムが死に際に自身に言った言葉が過る。"無垢"な魔族にはそれがなんのか、さっぱりと言っていいほどわからなかった。
「うん。よかった」
それを聞いて、フリーレンは安心したように言う。
「やっぱり、お前たち魔族は"化け物"だ。容赦なく殺せる」
「あら、それは貴方の大好きなあの物好きにも言えるのかしら?」
「言えるよ。アイツも立派な"化け物"だ」
それを聞いて、アウラはつまらなそうな顔をする。面白い反応でも期待したのだろうか。
「行きなさい」
アウラがそう命じると、死体達はフリーレンへと押し寄せる。剣を持つ者、槍を持つ者、弓を持つ者。多種多様な兵士がフリーレンへと襲いかかる。
フリーレンは振り下ろされる剣を杖で受け流し、自身の顔へと突かれる槍を躱す。弓の兵士達が放った矢を魔法で打ち落として、通りすがりに何人かの死体をアウラの魔法から解放しながら、弓の兵士達へと近づき、その中の一人の胸を足場にして空へと翔ぶ。
弓兵達は空へと翔んだフリーレンへと弓を構え、
「"
矢を放つ前にフリーレンの魔法により解放され、地面へとバタバタと倒れていく。
フリーレンは着地するために地面へと向かうが、空中で無防備なフリーレンを死体が逃すわけなく、槍を持った兵士達はフリーレンへと槍を突き出す。フリーレンは自身を狩るために突き出された槍の一つを掴むと、滑るように槍を伝い、地面へと素早く降りて、槍を突き出した兵士達の死体を解放する。
解放した死体から次の死体へと顔を向けた時、死体達の動きが止まっていた。
「…………リュグナーが死んだわ」
フリーレンが死体達と戦っているさなか、アウラは感じとった。街の中にいる部下の支配の魔法が切れた事に。
「これで首切り役人は全滅だ。失敗したね、アウラ」
「そうかしら?貴方を討ち取れれば戦果としては十分。あの子達も"報われる"わ」
フリーレンは顔を少し顰める。"報われる"などと仲間意識の欠片もないような奴が死んだ奴に対してよく言ったものだな、と。
「やっぱり。貴方、魔力が尽きる気配が全くない。保有する魔力に対して放出している魔力をも抑えているのね」
そして、アウラは考察するようにフリーレンを見る。それにフリーレンは目を見開く。
「普通に"服従させる魔法"を使えば、押し負けるのは私。まったく、魔力総量を偽るなんて魔法使いとしての誇りとかないのかしら?」
「言葉を使って欺くお前たちには言われたくない」
「使える手段を使わないなんて、馬鹿のすることよ」
すると、アウラは天秤を前へと出す。フリーレンはその行動を訝しむ。先程、使えば負けるのは自分と言っていたのに使うとでもいうのだろうか?
「直接が駄目なら、代理でも頼もうかしら」
瞬間、フリーレンは最近嫌でも見慣れてしまった特殊な魔力の流れ方を感じ取る。フリーレンは急いでアウラを始末するために魔法を――
「"領域展開"」
打つ前に魔力が霧散し、周りが真っ暗に染まる。自身の視界には、目の前のアウラだけが鮮明に写っている。
次の瞬間、スポットライトがアウラとフリーレンに当てられ、次に全体の光がつき、赤や銀色の紙吹雪が舞い踊る。赤い絨毯に赤と黒のチェックの柄壁に見たこともないうるさい機械が沢山おいてある目が煩い場所。自分とアウラは高台のような場所で、巨大な真っ白なルーレットが見える場所に立っていた。
「"
フリーレンは、まさかアウラが領域展開を使えるとは思っていなかった。できる素質はあったであろうが、アウラがそれを使えるようになるために誰かに教えを請うとは思えない。
「クヴァールが基本を教えてくれてたの。私が使えるようになったのはこの前だけど」
おのれクヴァール。またお前かクヴァール。
フリーレンの頭には、自身を馬鹿にするように高笑いをする獣のような顔の魔族が思い浮かぶ。フリーレンへの嫌がらせというものに関しては、クヴァールという魔族はトップレベルである。彼女の嫌な部分を的確についてくる。
「私の"
フリーレンはアウラの話を聞くしか出来ない。何故か攻撃魔法の一切が使えなくなっており、殴りに行こうにも死体達が邪魔してアウラへと直接いけない。
「ここでは"賭場"が終わるまで、お互いのあらゆる暴力行為、魔法による接触は禁止。"賭け金"はお互いの"所有する魂の魔力量"。負けたものは"賭け金"に使われた"魂"の"支配権"を相手に譲渡する。これがここ、"帰順土場"のルール」
「随分丁寧に教えてくれるね」
「"格上"を服従させるには、これくらいのことはしなくちゃいけないのよ。面倒くさいことこの上ないわ」
アウラがフリーレンの目線を右へと促す。フリーレンは促させれるままに右を見る。そこには、大きな天秤が二人の間に佇んでいた。
『親。アウラ様、"賭け金"を』
「"ベット"」
アウラがそう言うと、アウラの周りにいる兵士達の死体から青白いものが溢れ出し、天秤へと乗っていく。天秤の皿に重みが乗せられ始めたアウラ側の皿が段々下へと落ちていく。そして、白かったルーレットが全て黒に染まる。
「なるほどね。アウラ、魂も服従させられるようになったんだね」
「えぇ。お陰様でね」
この領域において、アウラのメリットは本来ならば服従させることの不可能な格上の相手を服従させられるようになること。デメリットは領域の能力の説明義務、自身が不利なゲーム、負けた時に自分が服従することとなる可能性の三つ。メリットの代償にいくつかのデメリットを背負う。いわば"縛り"である。
本来なら。
アウラもただ80年こそこそと隠れていた訳では無い。アウラの"服従させる魔法"は、魂を媒介に体の支配権の奪取する魔法だ。しかし、アウラはこの80年で"魂"の支配までもを可能とした。実際は己の力だけでなく、クヴァールの研究成果を勝手に読んだことが大きく起因しているのだが。
人間に興味を持つようになったクヴァールは、同族の魔法にも興味を持つようになった。そんなクヴァールは戦争の裏で研究の限りを尽くしていた。その中でも魔王に唯一性を認められた"七崩賢"の魔法の研究には特に力を入れていた。戦闘が好きであるが、元来研究肌なクヴァールには様々な魔法を解き明かし、進化させるという過程はクヴァールの性分と合っていたのだ。
その過程で得た研究成果も特に見せびらかす為にではなく、単純な知識欲を満たす為に行った行為の副産物。故に研究成果を調子に乗って人間の真似をして魔導書としてまとめこそすれど、それを自分から誰かに見せることはしなかった。だが、それを見たものがいた。
それがアウラだ。
"服従させる魔法"の進化の先。領域展開。その対策方法etc。それは、アウラにとって宝の宝庫だった。一つを極める魔族にとって、これほど完成された教科書はなかった。アウラは最終的に勝てばようかろうの精神の持ち主である。使わない手はない。
「さぁ、貴方の番よ?フリーレン」
それにより、彼女はデメリットの一つを克服したのだ。自分以外の魂を天秤の皿に乗せられるようになったのだ。
『子。フリーレン様、"賭け金"を』
「……………"ベット"」
フリーレンは自分の魔力を天秤へと乗せていく。乗せられた兵士達の魂とつりあうように。すると、ルーレットは黒と赤が交互になるように色が分かれる。
「あら、これ以上賭けなくていいの?」
「お前の事だ。負けた時の事も考えてる」
「信用ないわね」
アウラは肩を竦めるが、その通りである。"帰順土場"の最もな利点は、自分の魔力を殆ど使うこと無く、相手の魔力のみを強制的に消費させること。沢山乗せなければ負けてしまう可能性が高くなる、だからといって沢山乗せたら"賭場"が終了した瞬間、アウラの"服従させる魔法"をくらってアウト。
アウラにとっては完璧な布陣である。
「それじゃあ、ルーレットスタート」
ルーレットが回りだし、何処からか巨大なボールが飛び出すと、音を鳴らしながらルーレットの外側を回り始める。動体視力で追おうと思えば追える程度のスピードでボールは、ルーレットの外側を回る。
段々とボールが遅くなっていき、遠心力がなくなり、ゆっくりと下に落ちては台に弾かれるを繰り返していた。そして、勢いを無くしたボールはゆっくりと赤の枠に入った。
『フリーレン様WIN。"賭け金"の譲渡が行われます』
「あら、おめでとう」
「…………」
アウラは問題ないというように答える。フリーレンは自分に掛け金にされた兵隊達の魂の支配権が譲渡されるのがわかる。どうしたらどうなるというのが大凡その時に知識が頭に流れ込んでくる。突然の不快な情報にフリーレンは顔を変えることなく、アウラを見る。
その時、フリーレンは魔力が練れるようになっている事に気付く。
「"安らかに眠れ"」
支配権を譲渡された兵士達に一つ、命令を命じて、フリーレンはアウラへと"人を殺す魔法"を撃ち込む。フリーレンの命令を受けた兵士達は、アウラの横に控えるウィリアムを除いて、力なく全員が地面へと倒れる。
「野蛮じゃない」
アウラはフリーレンの放った"人を殺す魔法"をバックステップで避ける。しかし、それを逃がすフリーレンではない。フリーレンは天秤を使わせる暇を与えるアウラに与えない。
「"
「ウィリアム」
アウラをフリーレンの出した炎が飲み込む。炎が晴れると、そこにはアウラを守るように盾を構えたウィリアムが立っていた。
「"賭け金"で魔力を大量に賭けさせた。さっきから魔法も散々使っている。そろそろ"服従させる魔法"を使っても…………は?」
アウラは天秤を構え、固まる。
フリーレンはその隙を見逃してやるほど甘くはない。アウラへと魔法を放とうとすると、ウィリアムがそれを阻止するようにフリーレンへと剣を振るう。フリーレンはウィリアムを解放させるために魔法を使い、
「ッ!?」
「戻りなさい。ウィリアム」
アウラがそう告げると、ウィリアムはフリーレンから離れ、再びアウラの横へと控える。
「"
アウラが天秤を構える。天秤の両方に大量の魂が集まる。
「"
魔力が無くなった筈のモノから再び魔力を感じ、フリーレンは周りを見る。そこには、アウラの支配から解放した兵士の死体達が再びゆっくりと起き上がり、フリーレンへと武器を構えていた。
次の瞬間、フリーレンは再び、"賭場"のルーレットの高台へと立っていた。
「あーホント。なにが、"魔族は化け物"よ。お前のほうが遥かに"化け物"だ」
高台の上で、アウラは頭を掻きむしる。それは、今まで余裕を保っていた彼女からは考えられなかった。
「全部、全部全部全部全部」
天秤に再び、大量の兵士の魂が"ベット"される。
「やりなおしじゃない」
【帰順土場】
七崩賢、断頭台のアウラの領域。
彼女の魔法、"服従させる魔法"の弱点。自身以上の強者を服従させる事を可能にさせる領域。自身の領域へと入った者と、己の"所有する魂の魔力量"を"賭け金"に"賭場"を行う。"賭け金"が多ければ多いほど、ルーレットは賭けた者の色が増える。この"賭場"に勝利すると、"服従させる魔法"により、"賭け金の支配権"が所有者に譲渡される。
アウラ戦は、まだまだこれからだろ?
あ゛ー?そうか?そうだな。そーかもなぁ!!