お風呂は好きかな?   作:みいつけ党下っ端

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お久しぶりです
アウラを書いて、燃え尽き症候群に陥った作者です。

友達に呪術味強いし、一回呪術廻戦書いたら?って言われたけどあんまりいいネタ浮かばなかった。思いついたので言えば、真人inブルーアーカイブとかいう透き通るような世界観ガン無視キャラをぶち込むとかいうのだった。

そういや今日、クリスマスだなって帰りの電車の中で書きました。



クリスマスは好きかい?

 

「オフロスキー。これはなに?」

 

「サンタ服、というやつだ」

 

「サンタ、服………」

 

赤い服に赤い帽子、所謂サンタ服に身を包んだリーニエが同じような格好をしたオフロスキーを見る。彼女としては、なぜこの服を着せられているのかがよくわからなかった。

 

「今日は特別な日だ。毎年街の子供達にはやっていたが、今年は最近会っていない知り合いにもプレゼントを届けようと思ってな」

 

オフロスキーは昨晩、子供達が寝静まった時間帯に街の子供のいる世帯を訪れ、子供達の枕へとプレゼントを届けていた。城塞都市ハイスにおいて恒例行事であり、現在住む大人達も子供の頃にはオフロスキーにプレゼントを届けてもらっていた。

 

「私は?やる必要性を感じない」

 

「手伝ってくれるのならば、アップルパイを作ってやろう」

 

「やる。大きいのがいい」

 

「いいだろう」

 

オフロスキーの提案にリーニエは即座に頷く。やる必要性は感じないが、対価を用意されるのであれば、リーニエとしても彼のよくわからない行動に付き合うのも吝かではない、というやつだ。

 

オフロスキーはそんな彼女を見て、微笑むと襖を開け、外へと出る。オフロスキーについていこうとしたリーニエは外にあるものを見て、思わず足を止める。

 

「これ、は?」

 

「800年程昔のとある人間が作った兵器の一つだ。“岌戎覇悉(ぎゅうにゅうぱっく)”と呼ばれる特殊な素材からできている」

 

リーニエの目が捉えたのは、明らかに今までリーニエが生きてきたこの世界の世界観を全否定するようなソリと繋がれている謎の鉄でできた生き物だった。

魔法が主流だったこの世界に“科学”というものを取り入れた人も魔族も滅ぼそうとした人族の男の残したものの一つだ。簡単に言えば、ソリとトナカイもどきだ。能力は空を飛べる。以上だ。

そんな彼の発明をまともに使えるはオフロスキーのみである。オフロスキーは唯一弄れるかもしれないと賢老クヴァールに使わせて見たことがあるが、スマホを手にしたお祖父ちゃんの如くなにもできなかった。賢老クヴァール、実は重度の機械音痴である。

 

「早く乗れ」

 

「…………わかった」

 

リーニエは警戒しながら、ソリに座ったオフロスキーの横に座る。どうなるのかわからないリーニエはオフロスキーの腕をがっちりと掴んでいる。

 

「では、行くぞ」

 

「―――ッ!?!!???!!」

 

オフロスキーがボタンを押した瞬間、二人を乗せたソリはトナカイもどきと共に星空へと消えていった。

 

普通の人間や魔族ならまず吐いているそれを数分のフライトでリーニエはなんとか状況に適応することができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずはコイツだが」

 

「寝てる」

 

オフロスキーとリーニエは寝袋に包まって寝ているエルフを見る。

オフロスキーの長年の友であるフリーレンだ。

魔王討伐の旅を終え、彼女は現在、一人旅の真っ最中のようだ。

 

「ここに置いていけばいいだろう」

 

オフロスキーは適当に持ってきた魔導書をフリーレンの鞄の近くにメッセージカード付きで置いておく。

 

「雑。女性へのプレゼントとは思えない」

 

「魔導書の内容は“肌年齢を10才若くする魔法”と“手を保湿する魔法”、“あかぎれを治す魔法”だ」

 

「前言撤回。これ以上のプレゼントなんて早々見つからない」

 

リーニエは、何年もオフロスキーと共に過ごしている。それに付随して“みぃつけた”にいる年月も人間で言えば中々の年月だ。彼女は、女性従業員の悩みも理解できるくらいには成長していた。

 

せっかくだからと秘蔵の魔導書の一つをフリーレンにプレゼントしたオフロスキー。ちなみに次会った時にこんなのあるなら早く寄越せとフリーレンのライダーキックがオフロスキーを襲うこととなるがそれは別の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、次は俺か」

 

「あぁ。クヴァールは石化してるからな」

 

ワインレッドの髪の魔族のいる黄金郷。

 

魔王軍幹部“七崩賢”最強の魔族、マハト。ここは、マハトがかつて拠点としていた都市を黄金へと変えたものだ。街の中を歩けば、当時のまま黄金の像として街の人々は笑い合っている。

 

「まだ“答え”は見つけてないのか?」

 

「あぁ、だがもう少しのような気がするんだ」

 

オフロスキーはこの都市が黄金へと姿を変えることをなんとなく理解していた。しかし、彼はそれを止めることはしなかった。友の“夢”が叶うことを願っているが故に。

 

「ほら、メリークリスマスだ」

 

オフロスキーはマハトに手帳とペンを差し出す。

 

「お前は相変わらず、こういった行事が好きだな」

 

「そういうことを理解することも、大切だと思うぞ」

 

「理解はしている。ヴァイゼの行事にも参加した」

 

手帳とペンを受け取ったマハトは振り返るように目を閉じる。

 

かつて、この街で行われた行事。

 

花吹雪が舞い、人々は賑わう。自身の姿を見た街の者達は笑顔で自身に店の商品を差し出し、子供達は自分へと一緒に回ろうとせがんみ、手を引っ張っていた。自身はその子供達に引かれるがまま――――

 

「そういえば、お前に会うのは初めてだな」

 

「ッ!!」

 

再び目を開けたマハトは、ソリの後ろに隠れているリーニエを見る。声を掛けられたリーニエはビクッと大きく体を揺らす。そして、そりからひょっこりと目元だけを出す。

 

明らかな警戒。普通の魔族ならば、不敬だと切り捨てられてもしょうがないような態度だが、マハトは気にする素振りはない。

 

「随分利口だな」

 

「“みぃつけた”の手伝いをさせている。お前よりも人といた期間は長いんじゃないか?」

 

「ほう?」

 

マハトは面白いものを見つけたと言わんばかりにリーニエを捉えると、手に自身の魔法で黄金の剣を作り出し、リーニエと向ける。

 

「ほら、そんな所で隠れなくてもいいだろう?()()()()が遊んでやる」

 

「お、オフロスキー………」

 

「揉まれてやれ」

 

リーニエは絶望した。

必ず、目の前の黄金郷から生き残ってみせると心に決めた。リーニエは“七崩賢”を良く知らぬ。しかし、これだけはわかる。気を抜けば死ぬ。

 

リーニエは観念して、マハトの前に出てくると、魔法で生み出した剣を握る。

 

「なに、殺しはしない」

 

「“模倣する魔法(エアファーゼン)”」

 

その後、マハトの攻撃を躱すいなすを繰り返したリーニエは、マハトが興に乗り“領域展開”をされかけオフロスキーがストップをかけるまで襲われ続けた。

 

「そういえば、ソリテールが会いたがっていたぞ?なんでも“領域”の対策をできるようになったとか」

 

「よし、次に行くぞ。早くしろリーニエ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから拗ねてるんだね。自分の娘に随分なことするじゃないか」

 

「いい機会だったからな」

 

椅子に座り、夜空を眺めながら語り合う初老の男とオフロスキー。リーニエはオフロスキーの座る椅子の横で頬を膨らませて体育座りをしている。

 

男の名はヒンメル。

数十年前に勇者として魔王を討伐した勇者パーティーのリーダーである。今は王都にて余生を過ごしている。

 

「ほら、メリークリスマス」

 

「ありがたくいただくよ。でも、杖って君ねぇ」

 

オフロスキーはヒンメルに杖を差し出す。クリスマスプレゼントとして渡されたためありがたくいただくヒンメルだが、クリスマスプレゼントにそれぇ?と思わずオフロスキーを見る。

 

「悪いが、勇者パーティーはフリーレンでの繋がりしかないからな。ついでにこれをやる」

 

「これは?」

 

「髪の寿命を伸ばすものだ」

 

「余計なお世話だよ」

 

「言葉を選んだ方がいい。お前、今際の際だぞ」

 

「余計なお世話だよ!」

 

ヒンメルはオフロスキーの貰った杖を使ってオフロスキーを叩く。ヒンメルの頭は最近薄くなってきており、何故か身長も縮んできていた。

 

「アレをどうにかすれば、まだなんとかなるぞ?」

 

「………そういうわけにもいかないんだよ」

 

オフロスキーの視線の先には、邪悪なオーラを吐き出す棚。中には暗黒竜と呼ばれる魔物の角が入っている。

 

「フリーレンに預かっててほしいといわれた。なら、彼女が取りに来るまで預かるよ」

 

「………甲斐甲斐しいことだ」

 

「君にも言えることじゃないかな?」

 

「あのアホを放っておいたらどうなるかわかったもんじゃない。生きてはいけるだろうがな」

 

「それは同感だね」

 

オフロスキーは椅子から立ち上がる。

 

「そろそろ行く」

 

「そうかい。次会うのはいつになるだろうね」

 

「長生きすることだな」

 

「うん。そうさせてもらうよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

「なんだ?まだ拗ねてるのか?」

 

空をかけるソリの上、リーニエは未だ体育座りでそっぽを向いていた。

 

「オフロスキー。私といるより楽しそうだった」

 

「………………嫉妬してるのか?」

 

「違うそんなんじゃない」

 

リーニエはこの気持ちがよくわからない。ただ、オフロスキーが自分を放ったらかして、自分の知らない彼の知り合いと楽しそうに話しているのを見て、もやもやしていた。と言ってもヒンメルとは一度会ったことはあるし、フリーレンとも面識はある。しかし、これはこれそれはそれだ。

 

「オフロスキーは私のお父さん。なら、お父さんらしくするべきだと思う」

 

「あぁ、そうだな」

 

「ん」

 

オフロスキーはリーニエの頭を撫でる。

リーニエは気持ち良さそうに目を細め、オフロスキーにされるがまま頭を揺らす。どこか雑で温かいそれは、リーニエに明確な変化を与えていた。

 

「ん?」

 

その時、リーニエは帽子になにかが掛けられたことを感じ、手にとって目の前には持ってくる。それは、リンゴのパーツがついたネックレスだった。

 

「付き合ってくれた娘に父親から些細なプレゼントだ」

 

「…………もらっておく」

 

「あぁ、そうしておけ」

 

黄色く輝く丸い月が照らす夜空を、一組の親子を乗せたソリが駆けていく。





色々な作品でクリスマス回が書かれていて、自分もせっかくだからってクリスマス回書きました。構想のこの字も練っていなかったから後悔してます。クリスマス回とか考えておけばよかったです。

みんなはクリスマス誰と過ごします?

私ですか?

一人ですよ?
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