しゃちくな生徒のひとりごと   作:古典派*

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今回のお話を投稿するにあたり、残酷な描写タグを追加しました
幕間とか閑話にあたる回ですので気分が悪くなる前にブラウザバック等対処をお願いします



Intermission 1

 

 

 

 夜も随分と更け、“先生”をトリニティの正門まで送り届けたカナタはその足で執行部の執務室まで戻ってきていた。

 朗報はあったものの、残った仕事は依然としてカナタの執務机の上に図々しくも鎮座しているのだ。

 このペースでいけば朝に幾らか仮眠がとれるか、さもなくば晴れて四徹目に突入するだろう。

 

 しかしてそれなりに気分転換の叶ったカナタが万年筆を手に、やおら仕事を再開しようとした時だった。

 

『──♪────♪』

 

 静かな執務室に着信の通知が響く。

 バイブレーターと共に起動したのは、連絡事項が多すぎて最早普段使いになっている執行部用の配給スマホではなく、無地のカバーで保護されただけの飾り気の無いカナタの私用スマホだった。

 

「…はい、星見カナタです」

 

『D.U.、X86、Y25、Z3。嘔吐処理』

 

「…五分待ちなさい」

 

 意味不明な単語を羅列する電話口の相手にそれだけを返し、カナタは電源ごと通話を切った。

 業務用スマホを執務机の上に放り出し、代わりに机の傍らに提げていた鞄から引っ張り出したのは楕円形ののっぺりした何かだ。

 

 カナタが真っ黒にコーティングされたそれに掌を這わせると、数瞬の後そこから表面が波立ち、ばくりと楕円形のそれのパーツが開いていく。

 やがてパーツの展開が終わったのか、中になにやら部品の覗くそれをカナタは躊躇いもなく顔に押し当てると、今度は頭部を呑み込むように絡繰が組み上がった。

 

 そうして出来たのは、顎から頭頂部までを滑らかな鏡面素材で覆った黒いのっぺらぼうだ。

 後頭部は展開された蛇腹構造で覆われており、カナタの特徴的なローポニーテールだけが機構の裾からはみ出している。

 いつの間にやら袖を通していた長尺の真っ黒なコートも合わさり、僅かな(あか)りの(とも)る執務室にぬうと立つ姿はまるで伝承のブギーマンに形を与えたかのようだった。

 

『──行くか』

 

 声も顔も姿も、ヘイローさえも不気味な鎧の中に隠して、名前のない怪物が街へ解き放たれた。

 

 

 

 

 

         ◆

 

 

 

 

 

 

 駆ける、駆ける。

 塀を越え、壁を駆け上がり、建物の狭間を跳ぶ。

 パルクールと呼ばれる障害物を越えて走る技術を、マスクに内蔵された酸素過給機で心肺を超過駆動しながら使いこなすことで、カナタは超人的な速さを以て街を駆けていく。

 

 故に、体感としては何秒と数えるまでもなかった。

 圧倒的なまでの速さは「あっ」と言う間にトリニティ自治区を飛び出し、D.U.の肥溜め、ブラックマーケットの中枢まで届かせる。

 体操の現役選手も手放しに拍手で迎えそうな五点接地を決め、音もなく降り立ったのは、その闇に紛れた薄暗い路地裏だった。

 

『ジャスト四分か。相変わらずイカれてるね』

 

 暗闇から気配も悟らせず滲み出るように現れたのは、カナタと同じ様な服装と仮面を着けた人物だ。

 ただ、彼女の着ける仮面はカナタのそれとは違い、落ち窪んだ眼窩と鈎の付いた(くちばし)を模しており、ペストマスクの(たぐい)であると見てとれる。

 

『『カラス』、状況は?』

 

『待機要員以外は通常任務へ移行。プレゼントは三階に』

 

『そうか』

 

 あまりにも端的なやり取りだけで疎通をとると、カナタはそのまま壁に向かって跳躍し、ものの数秒で以て三階へ到達した。

 

『…“名付き”が雁首揃えて何をしている?』

 

 嘗ては会議室として使われていたのか、すっかりとぶち抜かれ向こうの窓さえ見えるワンフロア。開け放たれた窓の(へり)から侵入しながら、カナタはそう問い掛ける。

 反応は三者三様だった。

 

「ひ、ひぃっ?!またバケモノ…!?」

 

『お久しゅう、たいちょぉ。元気そうで嬉しいわぁ』

 

『手数掛けてスンマセン隊長。…バケモノ呼ばわりしてんじゃねえクズがッ!!』

 

 どこから持ち出したのか、崩れかけの机に腰を下ろし、掲げた扇子を小刻みに振るい挨拶する狐面。

 規律正しく頭を下げた後、激しく昂る大きく左右に裂けた口を模すワニの面を着けた少女。

 そして、パイプ椅子に縛り付けられ、今しがた打ち据えられた身形(みなり)の良い一般人。

 

 カナタは深く溜め息を吐いた。

 

『追い詰めたら始末しろと言っただろう。何故()()が生きている?』

 

「ひいぃっ!?」

 

 欠片も情というものが見られない冷酷な一言に男は悲鳴を上げる。

 突然窓から現れた怪人が殺気を抑えることもせず「とっとと始末しろ」と冷たく言い放ったのだ。生命が絶望の淵に立たされたものとしては最低最悪の恐怖を感じずにはいられないだろう。

 

『漸く捕まえた重要参考人なんだ。ただ始末するのは勿体無いじゃないか』

 

 そう言いながらストップをかけたのは、ゆったりとした動作で階段を上ってきた『カラス』と呼ばれた少女だ。

 しかしカナタは(かぶり)を振るい、いかにも煩わしげにその言葉を否定する。

 

『悪人相手なら死体に聞いた方が正確だ』

 

『それじゃあ生の声で証拠がとれないだろう?』

 

『…これが知っていると?』

 

 じろりと不気味なのっぺらぼうを男に向ける。舌が縮み上がったのか最早悲鳴すら出てこない様子の男からは覇気というものが一切感じられず、カナタ達が求めるものを持っているとは思えない。

 だが、()()()の調査を命じていた彼女らがこうしてカナタを呼んだなりの理由はあるのだろう。

 疲労か呆れか、どちらともわからない溜め息を噛み殺しカナタは男の前に立った。

 

『おい』

 

「あっ、あぁ…な、なんでもはなッ──」

 

『詰め物確認』

 

 男がなにかを話そうとした瞬間に、カナタは彼の顎を掴み、そのまま口が開くように凄まじい力で奥まで押し込んでいく。男の顎が外れようが御構いなしだ。

 

『はいな、ごめんなさいねぇ。…詰め物発見やけどぉ──これは虫歯の治療跡やわ。不養生さんやねぇ?』

 

「がぁ…──────ッ!!?」

 

 狐面の少女はするりとカナタの隣に立つと全く無遠慮に男の口に手を突っ込み、見つけた詰め物を無造作に引きちぎる。

 声にならない悲鳴を上げる男に、狐面の少女は然したる関心を向けるでもなく引きちぎった彼の歯を放り棄てた。

 

『あらしまへん』

 

『ご苦労。…さて、犬嶋権蔵。尋問の時間だ。私の質問に答えてもらう』

 

 カナタは抜歯の痛みに悶絶する男の顎をごきりと戻すことで更なる痛みの渦に叩き落とすと、懐から取り出した無機質な棒切れを強引に引き寄せた男の顔の前に持ってくる。

 

『これが何か分かるか?ボイスレコーダーだ。我々はお前の証言を求めている』

 

「ハァ…ハァ…だ、誰が喋るか…!どうせ殺されるんだろうが!」

 

 先程までは媚びへつらおうとしていた男の態度が急変するが、彼視点で言えば僅かにも残っていた生存確率がカナタの振る舞いでゼロになったのだから無理からぬことだろう。

 どうせ死ぬならばなにも話すことはない、とこのように抵抗するのは想定しうることだった。

 

『ああ、()()()()()()()()()()()()。よく考えろ』

 

「は…?」

 

 言葉の意味を理解できなかったらしい男が呆けた顔で見返すが、恐らく彼からはのっぺりとした面に写った彼自身の顔しか見えないだろう。

 

『『キツネ』、例のものを』

 

「おいちょっと待て、それはどういう…」

 

 次の瞬間、がらんとしたフロアに男の絶叫が響き渡った。

 新鮮な血を纏った爪が主から放たれ、リノリウムの剥げた打ちっぱなしのコンクリートにかつんと軽い音を立てる。

 

『質問も発言も許可していない。聞かれたことにだけ答えろ』

 

 ただ力のみで爪を引きちぎった手先に僅かに付着した血液を払いながら、いっそ無関心なまでに感情のない声でカナタは言う。

 先程に続き痛みに悶絶する男とそれを一顧だにしないカナタに『あらあら』などと憐れみつつも、『キツネ』は命じられた仕事をするべくゆったりとしたコートの下から取り出したファイルを開いた。

 

『犬嶋権蔵はん、四十六(しじゅうろく)歳。お仕事は表が経営コンサルでぇ、裏の方が詐欺師ゆうことでよろしおす?』

 

「ハッ…ハァ…、あ、ああ、そうだ!その通りだからやめてくれ!」

 

 痛みに悶え苦しむこと時間も惜しいと言いたげにグッと入れられた力を指先から感じ取ったのだろう。男は顔を恐怖にひきつらせ、『キツネ』の言葉を肯定する。

 

『ほなら──教唆したものも含め、詐欺三百六十四件、恐喝百二十七件、横領七十三件、その他諸々、七百八十二件の犯罪について関与を認めますかぁ?』

 

「な…っ、ぎゃあああぁぁぁ?!」

 

 驚愕の後、絶叫。質問に即座に答えられなかった彼の爪は床に打ち捨てられた。

 

「し、した!か、数までは分からんが罪状には覚えがある!」

 

『おおきに。帳簿から裏付けさせてもろたさかい数は間違いあらへんよぉ』

 

「か、隠し金庫の…あぁ、やめ──!!」

 

 カナタは男の学習能力のなさに少し呆れながら、四本目についた爪に、正確にはそれを必死に隠そうとする指にそっと手を置いた。

 男は逃れようとするが無駄なことだ。彼の手首は椅子の手すりに革ベルトで固定されている。

 なにより、たかが一般人が今のカナタから逃れられるはずもない。

 

 仕事は終わったとばかりに『キツネ』は開いた扇子をひらひら振るい先に座っていた机に腰を下ろし、それを見届けたカナタは尋問を再開する。

 

『お前の罪の幾つかは、誰かから指示を受け取り(おこな)った。間違いないな?』

 

「そ、それは…あっ、アァーーー!!」

 

 大の男がみっともなく泣きじゃくり、すがり付くように蹲ろうとするが、四肢や腰を固定されているせいで上手く動けない。

 結局、彼が肯定したのは、片手の爪を全て失ってからだった。

 

「…そうだ、そうだ。だから、こんなこと…やめてくれ…」

 

『ケッ、テメエのせいでどんだけの人間が路頭に迷ったか分かってて言ってんのか?いいからとっとと全部吐けよ、クズが』

 

『私語はメーよぉ、『ワニ』ちゃぁん。たいちょぉにシバかれてもウチ知らへんよぉ?』

 

 今のところそうするつもりもないが、彼女らを訓練する際、足腰が立たなくなるまで叩きのめし普段の生活に規律を叩き込んだのはカナタだ。

 あまりに羽目を外しすぎれば『キツネ』の言う通りにする必要があり、カナタにそれが出来ることを知る『ワニ』はそれきり押し黙った。

 

『では、その人物の名前を吐け』

 

「そ、れは──」

 

 あからさまな逡巡を見せる男の、爪が残る片方の手の甲に人差し指の先を乗せる。

 元より直ぐに話すとは思っていない。万が一男が生き残ったとして、その人物の名前を話せば彼はその人物に消されるだろうと分かっているからだ。

 まあ()()()()()()()()()()()()()無駄な葛藤だが、詐欺師として冴え渡った男の頭脳はその思考で以て現状を天秤に掛けているのだろう。

 

『…三、二、一』

 

「…待っ──がああぁっ!!!」

 

 だからこそ、カナタの待ち時間と爪を剥がされる痛みは彼の中でその意味を増していく。

 

『…三、二、一』

 

「…ッ!グウウゥー!!」

 

 手の甲を押し潰し、出来た隙間に指を差し込み、引きずり出した指から爪を剥ぐ。

 慣れきった所作は完璧で効率的だ。

 

『…三』

 

「い、飯前文勝だ!飯前工業のCEO!」

 

『…この状況で私に嘘を吐くとは、大した胆力だ』

 

 ぶちり、と音が鳴り、爪が落ちる。掠れた絶叫が響いた。

 

「ハァッ…ハァッ…そ、そんな…なんで…」

 

『おいおい、誰にも悟られず君をここに拐ってくるより、容疑者周辺の記録を探る方が簡単だろう?態々ここに君を連れてきたのは()()()()()()()()()()()()?』

 

『そもそも始めに言ったはずだ。()()()()()()()()()()()と』

 

 事実など既に探り当てているのだ。あとは出題者から解を引き出すだけでいい。

 言外にそう悟らせて、カナタは最後の指に手を置いた。

 

「あ、あぁ…あぁ、…カイザーコーポレーションの…────理事だ…」

 

『…まあ、こんなものか』

 

『それなりに耐えたんじゃない?気絶しなくてよかったね』

 

 項垂れる男の頭を『カラス』がポンポンと軽く叩く。カナタは用の済んだボイスレコーダーのスイッチをオフにした。

 

『処理は任せるが、聞きたいことがあるなら好きにしろ。私は外のゴミを片付ける』

 

『へえ、結構早かったね?流石はカイザーの子飼いってとこかな』

 

 集音機能を持つ内蔵型のヘッドホンと訓練された感覚に引っ掛かる闖入者の存在を、カナタは少し前から捉えていた。

 ブラックマーケットに悲鳴が響くのはそう珍しいことでもないが、その野次馬ならば兎も角、組織だった動きで建物を囲み狙撃手まで配置する辺り、存在の露見を防ぐためにカイザーが派遣した連中であろうというのは見当外れな推理でもないだろう。

 何れにせよ、火に寄せられた蛾の末路など昔から相場が決まっていた。

 

『んじゃ、処理はこっちでやっときます。…おい『カラス』?』

 

『ハイハイ、たいちょぉがやるぅゆうてこの人が仕事する訳ないやんねぇ。ウチらでやりますえ』

 

 そんなことを言い合いながら項垂れた男に近付く二人を他所に、どこか楽しげに窓の外を眺め始めた『カラス』を背を向けてカナタは階段を下っていく。

 

 

 

 

 

         ◆

 

 

 

 

 

 

 一階まで下ったカナタは手始めに足音を殺し裏口までやってきていた。近距離で高精度に音を拾うヘッドホンはドアの傍で突入カウントを始める何者かの姿を捉えている。

 ご丁寧にジェスチャーでカウントをする誰かの合図を待たず、カナタはドアの真正面で銃を構えていたオートマタの顔面をドアごと蹴り砕く。

 

「!?」

 

「うっ、うて…」

 

 驚くヘルメットのバイザーに抜き放った『ウェルス』でクモの巣を作り、即応しようとしたオートマタの胸部を『プライド』でバラバラにする。

 ただし、二丁とも今の姿は全く違う。服装に合わせ黒く塗られたアタッチメントで覆われており、一回り大きく分厚くなっていた。

 バレルなどは五十センチに届くかどうかというところまでに伸長されており、P90と見違える程である。

 

「なんっ…!」

 

 路地に詰めていたヘルメットを被る数人が構えた銃に機先を制し、二丁を正確に射撃する。

 内蔵のバイザーには最新鋭のFCSによって導き出された弾道予測が表示されており、丁度いいタイミングで引鉄を引くだけでヘルメット達はバタバタと倒れ伏すのだから、カナタとしては楽なものだ。

 

 カナタは路地に倒れた彼女らを一顧だにすることなく助走をつけると、壁に掛かった室外機を足掛かりにして異常な跳躍力で以てビルの屋上まで飛び出した。

 

「ハァ?!なんだこい…」

 

 撃ち下ろそうとしていたのか、その光景を目の当たりにしたオートマタはそのまま飛び上がるカナタに頭部を蹴り砕かれ永遠に機能を喪失する。

 跳躍によって生み出されたエネルギーはそれだけに留まらず、宙に放り出されたカナタは体を捻ると眼下の標的に三度引鉄を引いた。

 そして、漸く落下に転じたと思えば、やっとの思いで狙いを定めようとしたオートマタの首を両足に挟み、百八十度回転させた勢いで屋上に哀れな機械の体を叩き付けることで全ての落下エネルギーをそれに押し付けることに成功せしめた。

 

「糞が!今ので何人やられた?!」

 

「とにかく撃て!動きを止めなきゃ…」

 

 ばがん、と音がして声は途絶えた。もはや用を成さないヘルメットが屋上の床に転がる。

 

「ひ…」

 

 屋上の待機要員が全滅するまで、十秒を待たなかった。

 ともあれ、カナタは屋上の縁に足を乗せ、不自然な静けさを湛えるブラックマーケットを見下ろす。

 少し見回してみればその原因が特定できた。

 

『ゴリアテか。危機管理意識はあるらしいが、莫迦の極みだな』

 

 通称ではあるものの、伝承に伝わる巨人の名を冠した巨体は各所に数えるのも呆れるほどの砲門を持ち、頭部に列車砲並みの主砲を携える制圧兵器である。

 …まあ間違っても街中で展開するようなものではない。それだけあの男が漏らした情報は重要なものなのだろうが、この形振りの構わなさはカナタにはどうにも馬鹿げた思想が見え隠れしているような気がしてならなかった。

 

『スクラップ作りのボランティアか。…まあ、たまには悪くなかろう』

 

 連絡を受けたのか、将又最初からここが狙いだったのか、緩慢に狙いを定めつつあるゴリアテに向けて愛銃を構える。

 

 変化は明瞭だった。

 アタッチメントに彫り込まれた溝に、銃把から充ちるような青い光が昇っていく。

 やがてバレルの先まで達した光が銃身全体を輝きで覆うのと同時、ゴリアテの主砲が轟音を迸らせた。

 

『──神秘の光を見るがいい』

 

 カナタが引鉄を引くと、射線上のあらゆるものを引き裂いて二つの光条がブラックマーケットの闇を貫く。

 この一瞬であらゆるものが破壊された。

 射線上を飛翔した巨大な砲弾も、それを放ったゴリアテの主砲も、億を超える巨体を動かすゴリアテの中枢部も、それらを支えていたブラックマーケットの道路も、何もかもが一瞬で崩壊し、ただゴリアテが爆発炎上する衝撃波が全てを飲み込んだのだ。

 

『…はあ…』

 

 原因たる本人は愛銃をその長大さ故に太股に移動したホルスターに納めると虚しげな溜め息を吐く。

 

『四徹確定か…さっさと終わらせてシャワー浴びよう…』

 

 あまりにも所帯染みた嘆きは白み始めた空が運んできた風に紛れて消えて、オートマタの残骸と気絶者が残る屋上には黒い影は欠片も残っていなかった。

 

 

 





次回からアビドス編です
再履修ついでにDQM3で遊んでくるので気長にお待ちください
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