ザビ家の次男   作:ヴィヴィオ

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連邦の白い悪魔

 

 

 

地球連邦軍高官

 

 

 

 ジオン軍の巨大な兵器の接近が確認された。ビームシールドが破られる保険も考えて地下深くにモビルスーツを移動させておいた。そのお陰でジオン軍の巨大兵器による攻撃でビームシールドは予想通りに破られた。ならばこちらも予定通り切り札を切るとしよう。

 

「全軍、これより我々グラナダ防衛軍はジオンに対する遅滞戦闘を行う。全艦主砲発射準備」

 

 私の声が響き、ドックに収められた艦隊が主砲を準備していく。

 

「ジオンにくれてやるくらいなら破壊して構わん。やれ」

 

 主砲によって塞がれた通路や天井を貫通させて大穴を開かせる。そこから切り札であるモビルスーツ隊を突撃させる。

 

「モビルスーツ隊、アムロ・レイ少佐を先頭に発進しろ」

 

旗艦のブリッチにあるモニターにコードの繋がれた黒いヘルメットを被った者達が映し出される。

 

『了解。アムロ・レイ、モビルスーツ隊出撃する!』

 

 大穴から宇宙へとガンダムを先頭に大量のジムが出撃していく。これで我が軍は無事に帰れる。

 

 

 

アムロ・レイ

 

 

 

「全員に告げる。敵のモビルスーツはこちら以上の性能を誇っている」

『事実なのでありますか?』

「そうだ。前線に居るザクはジムでも問題ないだろう。問題はゲルググやその他の新型機だ。各自、前のデータを渡していたが、上方修正しファイブマンセルであたれ」

『『了解』』

 

 この部隊に配属されてから、俺達は対モビルスーツ戦闘を徹底的に教え込まれてきた。5人で盾、攻撃、情報、支援、指揮と別れさせられた。少なくとも一般兵に負けるとは思えないほど訓練させられた。そんな集められた奴らの中で俺はトップクラスの実力を手に入れた。

 

『少佐、識別名、ザクが大量に来ます』

「了解した。これより俺が突っ込んで引っ掻き回す。お前達は乱れた所を殺れ」

『『はっ』』

 

 スラスターの出力をあげてガンダムで突撃すると同時に目の前に居る整然と整列したザクの軍団に違和感を覚える。

 

「なんだ、この違和感は……」

 

 整列したザクが順次構えたのはバズーカ。ザクバズーカであるなら単発なのだから恐れる必要も無いのだが……

 

「ちっ、全員散開しろ!」

 

 ザクが構えたバズーカが光った瞬間、直ぐに指示を出して回避行動に移る。次の瞬間には光の奔流が幾重にも放たれる。それも全て同じタイミングで面を制圧するような攻撃だ。まるで一つの意思に操られているような感じがする。

 

『第4、8、9、部隊全滅!』

『第12、65、73、89部隊も全滅しました!』

 

 報告を聞きながら嫌な予感がどんどん上がる。見れば、撃ったザクの後方のザクが、隙間からバズーカを出している。更に後ろのザクがバズーカを出している。微妙にずれこそすれ、それが5体1セットで数十体によってなされている。

 

『レイ少佐、いけるか?』

「中将、これはかなりきついですが……問題はありませ――」

『どうした?』

「高機動モビルアーマーが迂回してそちらに向かっています! 出るのを急いでください!」

『了解した』

 

 よもやノイエ・ジールすら生産に成功しているとは……ジオンめ、やってくれるな!

 微かなビームび隙間を回避行動を取りながら接近し、相手のビームバズーカを狙ってこちらのビームライフルを撃つ。連射する為に至近距離で配置されていたザクはビームでバズーカが誘爆し、周りごと吹き飛ばす。

 

「むっ、これは……」

 

 瞬時にザク達が散開しジム達に向けて砲撃を繰り返していくが、違和感の正体がわかった。

 

「無人機か! っ!?」

 

 遠方からビームが飛んでくる。回避と同時にただの兵士には避けられない絶対に命中する一撃を放つが、相手のゲルググはそれを避けながら高速で接近してくる。

 

「相手は俺と同じニュータイプか。いや、それだけではないな」

 

 ニュータイプとはいえど、拙い操縦の1機だけならば相手にならない。だが、飛来してくる複数の意思によって操られる無数の小型の自立型機動砲台によって操っているのが数人だと理解できる。更に突撃してくる巨大な兵器の存在が楽に勝たせてくれない。

 

『そこの白い機体よ! 私がお相手しよう!』

「ニュータイプじゃないな。何者だ」

『我が名はアナベル・ガトーだ!』

 

 何者かはわからないが相手に取って不足はない。ここで落とせばジオン軍の戦力を減らす事が出来る。

 

「っ!?」

 

 直ぐにシールドを上に向けて小型の自立型機動砲台の攻撃を防ぐ。すると強烈なプレッシャーが襲いかかってきた。

 

「この気配、何者だっ!!」

『ほう、私の気配を感じるか。君が何者かは知らないが、危険分子は排除させてもらおう』

「くっ……」

『ハマーン、セラーナ、ここは私達が引き受ける。君達はジムの始末を優先してくれ』

 

 これは厄介だ。だが、勝てない敵ではない。

 

「ザクが移動していく。操っているのはアイツか」

『何を安心している。お前はここで落とすと言っただろう。我々だけだと思わない事だ』

「何?」

 

 高速で飛来してくる物体を回避し、ビームサーベルで通り抜けざまに切ろうとするが、それからメガ粒子砲が放たれて慌てて回避する。それは他の物体と合体して一つの機体となった。

 

「……また新型か。ジオンは化け物か」

『これはグレートジオング。ジオンの象徴であり、我が父が乗っている。はじめまして、アムロ・レイ』

 

 続いて巨大機体が現れた。グレートジオングの次に緑の巨大な黄緑の機体。ジオンは本当に容赦していないな。作っている機体もそうだが、俺を潰す為にここまでの戦力を投入してくるか。

 

『俺はサスロ・ザビという。サラも含めてジオンの精鋭達だ。おとなしく武装を解除して投降してくれるなら悪いようにはしない』

「断る。その行動は参謀本部より許されていない。俺に出来るのは貴様らを殺すだけだ」

『……何?』

「そちらから出てきてくれるのはありがたい。ここで落とさせて貰おうか!」

『愚かな』

 

 バイオセンサーを発動させ、機体を加速させて黄緑色の機体に突撃する。胴部のメガ粒子砲が放たれる前に上昇して最初に現れた大型モビルアーマーにビームサーベルで斬る。

 

『速いっ!』

 

 残念ながらIフィールドで防がれたが、そのまま装甲を蹴って加速し、一番操縦技術の拙いゲルググに接近し、掴んでクィン・マンサに投げつける。赤い大型モビルアーマーから放たれた小型の自立型機動砲台をバルカンで撃ち落とし、グレートジオングと呼ばれた機体のビームを機体をずらす事で最小限の動きで避ける。黄緑色の巨大なビームサーベルが背後から迫るが、それを横にずれて回避。ビームライフルを首に添えて放つ。残念ながら身体を後ろに倒す事で回避された。だが、そのお陰で蹴って距離を取れた。

 

「しかし、こっちのビーム兵器ではどうしようもないな。何時までもこいつらの相手もしていられないが……本当にこのバリアが厄介だ」

 

 数センチの移動で2機の大型モビルアーマーから放たれるクローを回避してビームサーベルでまとめて切断する。

 

「仕留めきれないが、時間稼ぎはできるな」

 

 こちらのガンダムがもっと高性能であれば、どうにかなったのだが……これが限界か。先程の黄緑色の機体だって、あちらと同じ技術で作られたガンダムならば打ち取れたはずだ。

 

「中将、そちらはどうですか?」

『こちらは出る事ができたが、次々と落とされている。悪いが戦線を離脱する。レイ少佐も戻って来い』

「了解」

 

 仕方ない。大型モビルアーマーのスラスターだけ破壊してさっさと撤退するか。ゲルググと呼ばれる機体ならばむしろ追ってきてくれる方がありがたい。複雑な回避機動を行い、スラスターをバルカンで破壊。急いで戦域を離脱する。

 しかし、ただで逃がしてくれるはずがない。なのでコアファイターを分離させて機体を爆発させる。その風圧を加速に利用して離脱した。ガンダニュウム合金の散弾はさぞかし痛いだろうしな。

 

「特にゲルググをかばった黄緑色の機体は傷が大きいだろう。これで終わってくれると助かるんだがな……」

 

 全員に撤退命令を出し、俺達は離脱した。予想通りというか、遠隔操作されていたザクの動きが黄緑色の機体が負傷した事で動きが悪くなった。それが脱出を助けた要因だろう。まだ子供だからだろう。それが彼らの発したハマーンから予想できる存在だ。

 

「グラナダの爆破を行う。残存艦隊に集結し戻るぞ。今回の敗戦を糧にしろ」

『『了解!』』

 

 カミーユ達の方はどうなっているか分からないが、補給次第救援に向かうか。

 

 

 

 

 

 

 




アムロ強いよ、強すぎだよ

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