ザビ家の次男   作:ヴィヴィオ

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暗躍する者達

 

 

 

 

 

 

地球にある連邦軍基地。その基地の一室で宇宙軍からの報告を受けている初老の男性が居た。

「それで、貴様はアムロ・レイや、カミーユ・ビダンを貸し与えたというのにろくな損害も与えずに敗北し、地球へ逃げて来たというのか?」

『もっ、申し訳ございません!』

「役立たずは我が組織にはいらぬ」

『おっ、お許し下さいっ!!』

「始末しろ」

男性の声が発すると同時に扉の向こうで銃声が響き、報告していた軍人は床に倒れて血だまりを作り出す。次に画面に映ったのは銃を持つ青髪の幼い少女だ。

『任務完了』

「カミーユやアムロと共に帰投しろ。二人は念の為、調整用のポッドに入れて運んでこい」

『任務了解』

通信を切り、男性は次の書類へと目を通していく。すぐに彼の傍に控えている軍服を着た数人のうち一人の少女が飲み物を差し出してくる。他の少女は書類を差し出してくる。彼女達は共通して幼く、瞳はどこか虚ろだ。しかし、男性は気にせず仕事をしていく。

「大佐です」

「通せ」

命令を受け、少女の一人が扉を開いて青年を迎え入れる。

「首尾はどうだ?」

「ムラサメ博士とレイ博士の協力の元、ガンダムMk-ⅢとサイコガンダムMk-IIのロールアウトが完了した。量産を既に開始している」

「Zガンダムはどうだ?」

「そちらもZプラスが完成し、Zは量産を開始している。現在はカミーユが試運転を行っている。こちらが我々が現在保有しているMSとMAだ」

渡された情報を確認する男性は不機嫌になる。

「足りんな。連中はこの技術の先を行っている」

「そればかりは仕方ない。木星を抑えられたのが痛い。今に思えば連中は何年も前から木星での活動を行っていたようだからな」

「ちっ、まあ一番の危険だと判断したアムロ・レイとカミーユ・ビダンはこちらが確保したのだからまだどうにかなるか」

「強化の洗脳、複製の方は問題ないのか?」

「そちらは問題ない。何年も前からムラサメ博士に人材と資金を大量に与えてあるからな」

男性は生まれて少ししてからサスロと同じように行動を起こしていた。実家の資産を運用し、莫大な富を生み出してはそれを投資しムラサメ博士など地球に存在したニュータイプ研究所に所属する者達を集めたのだ。そこでは、強化人間や洗脳の研究を行っている。そして、初期の実験体としてアムロ・レイ、カミーユ・ビダンが使われている。

「しかし、三号機……いや、アムロ・レイはもう廃棄しても問題ないのではないか?」

「あれはまだ使える。それに強化人間の数が十分とはいえん」

「ふむ。まともなニュータイプが1800人ではまだまだたりないか」

「少なくとも5桁は必要だ。それに宇宙をジオンに押さえられた」

「マスドライバーはまだこちらにあるだろうが、どうする?」

「連邦の寄生虫共に時間を稼いで貰う。なに、型落ちしたジムをくれてやればいいだろう」

「量産した訓練用ガンダムではなくか」

「ガンダムは素材にしてリサイクルする。特殊な合金を使っているのだろう?」

「確かにそうだ。節約せねばならぬとは……むっ」

青年が眉間に皺をよせ、背後を振り返る。

「どうした?」

「ネズミが進入したようだ」

青年は部屋に取り付けられた緊急用のボタンをおして基地内に警報を鳴り響かせる。

「金色の亡霊か」

「先程の通信を嗅ぎつけたのだろう。我々がここに居る事を知る者はごく微かだ。それで嗅ぎつけられるまでの時間は今までよりも格段にあった。これはつまり・・・・・」

「ふん。連邦内部の情報は筒抜けという事だろう。使えん連中だ」

「ネットワークを使わず、アナログで情報をやりとりするしかないのは仕方ないだろう」

男性は立ち上がり、青年と共に地下に移動していく。

「お前たちは相手をしてやれ」

「「「「はっ」」」」

控えていた少女たちはアサルトライフルを持って飛び出していく。遠くの方では爆発音が聞こえてくる。そんな中、彼等は地下にある潜水艇に乗って基地から逃げていく。

「金色の亡霊をまともに相手などしていられるか」

「殺しても復活してくるからな」

基地の自爆装置のスイッチを入れた後、そのまま潜水艇で海へと出て彼等の拠点である海底要塞へと向かっていく。

 

 

 

 

 

 軍事基地では金色の髪の毛をした同じ顔の少女達が小型化されたレールガン、エレクトロマグネティック・ライフルとレーザーガトリングを持つ少女が立ち塞がる連邦軍兵士を持ち前の大火力で容赦なく殲滅していく。取り回しがききやすいエレクトロマグネティック・ライフルで歩兵を防壁ごと殲滅し、モビルスーツに対してはレーザーガトリングでコクピットを破壊する。連邦軍が扱うのは初期に近いジムである為にビームコーティングがされていない。

「くそっ、ジオンの亡霊めっ!!」

「近づかせるなっ! 自爆してくるぞっ!!」

彼女達は平気で銃弾の雨を避けたり撃ち落としたりしながら接近して的確に兵士を殺していく。万が一、まぐれで命中し動きが鈍った場合、突撃して敵陣で自爆するのだ。ジオンとの戦争が始まり、地球連邦軍の基地は彼女達の襲撃を何度も受けてきた。それも気付いた時には既に基地内部、それも奥深くに進入されていて手がつけられないくらい破壊される。そんな彼女達に対応するように男性の護衛をしていた少女達がアサルトライフルを撃ちながら特攻してくる。彼女達も爆弾を身にまとい自爆して金色の亡霊を止めていく。しかし、同じ強化人間とはいえ金色の亡霊に蓄積された戦闘記録という名のデータとバックアップツールに差があり、時間稼ぎ程度にしかできない。しかし、彼等からすれば失敗作である彼女達がどうなろうが痛くも痒くもないのだ。彼等にとって改造する人間は地球に腐るほど溢れているのだから。

「任務失敗」

「逃げられました」

「データリンク。自爆装置の起動を確認」

「停止処理を敢行。エラー。時間が足りません」

「私を除いて撤退許可を申請。受託確認。撤退開始せよ」

「撤退」

即座に基地から離れる為に背中に背負った箱を地面に降ろし、その上に乗る。箱から翼が出て、ジェット噴射で空を飛んで急激に離れていく。背後では基地が爆発して崩壊していく。残った少女は基地内に残されたデータを時間の許す限り根こそぎ奪ってネットワークにあげていた。

「マスターに緊急報告」

「地球連邦軍の背後にいる組織を確認」

「秘密結社、て……緊急回避」

報告を送ろうとした彼女達を背後から貫いたのは巨大なビームの光。それを放ったのはかなり遠くに居る巨大な金色のモビルスーツだった。

 

 

 

 




悩んだけど、敵はこいつらでいいよね!
もう変えないです。
アムロさん、カミーユさん、ごめんなさい!

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