ザビ家の次男   作:ヴィヴィオ

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アクシズ

 

 サイド3を出発して木星へと向かうグワジンの中、ギニアス達との話し合いが終わった俺はハマーン達の様子を見に行く。ハマーン達はシミュレーターでノリスや兵士達と一緒にモビルスーツの練習を行っていた。この時代、まだジオンではモビルスーツは完成していないが、基礎構造などはできているし、そのデータを元にして訓練が行える。それにこのシミュレーターにはゼロ・ジ・アールのデータも入れてあるし、アプサラスのデータも追加した。

 

「どうだ?」

「難しいですな。ザクなどは比較的簡単に扱えるのですが、ゼロ・ジ・アールやアプサラスとなると……」

「パッカード大佐、君にはアイナが搭乗するアプサラスの護衛を頼みたい。ニュータイプでないとその性能を十全に発揮でないゼロ・ジ・アールは無理だが、その発展型のノイエ・ジールなら宇宙でも充分に使える。ゼロ・ジ・アールはその練習と思ってくれ」

「わかっています。モノにしてみせます」

「頼む」

「はっ」

 

 画面ではハマーンが乗るゼロ・ジ・アール対アイナが乗るアプサラスとマリオンが乗るゼロ・ジ・アールが戦闘を行っている。ハマーンは2対1だというのに2人相手に引けを取っていない。シャアのように完全に避けるのではなく、ダメージを負わない攻撃を感覚で見極めてIフィールドで防ぎ、攻撃を最小限の動きで避けて反撃のメガ粒子砲をお見舞いしている。

 

「アイナ様達は機体を使いきれておりませんな」

「まあ、無理もない。3人の戦いが終わったらしっかりと教えるか」

「是非にお願いしたい」

「任せてくれ」

 

 ハマーン達が終わり、出てくるのを待つ。

 

「サスロ様、どうでしたか!」

「ああ、良かったよ」

 

 近付いて来たハマーンの頭を撫でてやる。この頃のハマーンは本当に素直で可愛らしい。

 

「ただ、甘い点もある。だが、訓練時間から考えても充分な値だ」

「はい! もっと頑張りますから教えてくださいね」

「ああ。マリオンもアイナも良かったぞ。これから休憩して反省会をしよう」

「「「はい」」」

 

 それから仕様書には書いてない方法や技術の習得方法などを教えていく。特に作業をしながら別の事をして脳に負荷をかけマルチタスクを練習させる。それをグワジンの停止中にノーマルスーツを着せて宇宙空間で命綱一本で帰還するという訓練を行う。もちろん、発信機を取り付けて直ぐに救助できるようにしてある状態でだ。船の灯が漏れないように暗くした状態で宇宙を感じる能力を強化するこの訓練は確実に彼女達を成長させる。その訓練が終わった後、3人は誰かに引っ付いてくるのだが、これは仕方ないだろう。他の兵士達にもやらせたが、ノリス以外はかなり辛そうだった。だが、命の危険と精神的圧迫こそニュータイプの覚醒を促せる。ハマーンも戦場に出てより強く覚醒したのだから。

 

「マグネットコーティングやサイコフレームの用意もしないといけないな」

 

 訓練が終わり、夜になった。自室でこれからの事を考えているとノックされた。

 

「どうぞ」

「お邪魔します」

「ハマーンか、どうした?」

 

 やってきたのハマーンで、その姿はネグリジェだった。

 

「そ、その……妻になるから、一緒のベットで寝ないといけないって」

「それは……」

「それに怖くて……」

「そうか。じゃあ、寝るか」

「いいの? 仕事は……」

「構わんさ。おいで」

 

 ハマーンをベットに連れて行く。

 

「マリオンはどうした?」

「マリオンはアイナと一緒」

「そうか。そっちでも良かったのだが……」

「ここでいいよ」

「わかった」

 

 ハマーンに腕枕をしてやりながら一緒に眠る。流石に6歳のハマーンに手を出さないのでそのまま眠った。

 朝起きたら、ハマーンが起きるまで待って一緒に朝練をやって食事を取る。ハマーンは必死に俺と同じような訓練をしてくるので止めて特別メニューを与えた。彼女に触発されたのか、マリオンもアイナも必死に頑張ってくれる。そして、これは兵士達にも言える。子供が頑張って居るのに大人が頑張らないのはおかしいという事だ。原作みたいにアクシズを軟弱な兵士だけにするつもりは無いので徹底的に兵士達は鍛えさせて貰う。ブートキャンプだ。木星までは1年もかかるのだから。その間も考えてシミュレーター上ではるが、アプサラスとゼロ・ジ・アールの完成度を上げていく。それらをアクシズに送って作成と改良を行わせる。そして出てきた問題点を送って貰って更に改造を繰り返す。データ自体は秘匿回線であるし、暗号化も行ってある。所定の場所で解除しないとウイルスを送りつける方法でだ。ちなみに順番としてアプサラス、ゼロ・ジ・アールの順で行っている。

 間を見てハマーン達とも遊んであげて仲良くなり、世話をしていく。ギニアスもアイナとの仲を戻して時々一緒に居る。こんな感じで1年が過ぎてアクシズへと到着した。

 

 

 

 

 アクシズに到着し、ハマーン達に部屋を用意した後、パーティーを開いて皆に改めて紹介したらやはりというか、なんというか、ロリコンと言われた。まあ、顔に似合わずそれぞれ話し合って仲良くはしているからだが。まあ、それらが終わって早速、格納庫にやって来た。

 

「サスロ様、ゼロ・ジ・アールとアプサラス共に建造を完了しております」

「ハインツ、ご苦労」

「はっ」

 

 巨大な2つのモビルアーマー。小惑星1つを丸々専用ドックにした甲斐がある。

 

「テストは明日行うが、それ以外はどうだ?」

「現在、アクシズとモウサ、その他の小惑星の改良を完了。追加の小惑星の開発に移行しております」

「モビルスーツの生産ラインは?」

「こちらも作成を完了し、既にザクⅡの量産を開始しております」

「武装と材質は」

「武装はザクバズーカとヒートホーク、スタングレネードで、装甲の材質はガンダリウムαです。鹵獲防止用に自爆装置も用意してあります」

「パーフェクトだ、ハインツ」

「はっ」

 

 ザクはザクでも数段性能が強化されている。ジオンの優位は確実だろう。そういえば、脱出用にコアファイターみたいなのは取り付けた方がいいか。

 

「出来たモビルスーツの一部はこちらで訓練とし小惑星の開発に従事させろ」

「よろしいので?」

「構わんさ。どんどん改造してアクシズに連結させる。生産能力で我々は地球連邦に負けているからな」

「了解しました。しかし、木星に来た数十年前とは全然違いますね」

「当然だ。何の為に前倒しさせて戦艦などを送り込んだと思う」

「それもそうですね」

 

 木星調査団という名目の元、戦艦数隻を作成して開発用のアームと探査機などを積み込んで両親を説得してこちらにやって来た。それから数十年をかけて木星とアクシズの開発を行なったのだ。必要な資源はその辺にゴロゴロしているし、補給さえしっかりとしていればどうとでもなる。問題は人間の精神だ。何人も死んだが、皆ジオンの為に頑張ってくれた。

 

「ドロスとサダラーンは?」

「どちらも完成しています」

「では当初計画通りに両方を量産しろ」

「はっ」

 

 ドロスで宇宙空間における大量輸送を行い、サダラーンで地球圏内を移動してもらう。モビルスーツは76年には本国に送らねばならないが、ドロスに積めるだけ積めばいいだろう。それまではこちらで使用して開発に従事させる。小型のパワードスーツはあるが、やはり重機の代わりに使えるのが大きい。

 

「それと無人偵察機を木星の周りに飛ばしているな?」

「もちろんです。地球連邦の船は見つけ次第お知らせいたします」

「頼む」

 

 これで問題は残り少ないだろう。パイロットの育成問題もあるが、そちらも問題は無い。

 アクシズの最深部にある極秘研究所では現在、クローン技術を使っている。

 

「さてと、調子はどうかな……」

 

 無数に並ぶ培養槽の中では金色の髪の毛を持つ少女が漂っている。俺のデータだけで作成して居るので今から、ハマーンやマリオンのデータを入力する。遺伝子に関しては俺のを使用せずに友人の遺伝子を利用させて貰った。

 

「ふむ。やはり、ニュータイプ能力の劣化は防げないか。なら、別のアプローチを行おう」

 

 量子コンピュータと接続し、膨大な演算処理を行えるようにニューロチップを脳内に設置する。ニューロチップは脳神経 (ニューロン) の回路網 (ニューラルネットワーク) における信号伝達や情報処理の仕組みをまねてモデル化した素子で量子コンピューターと接続できれば人間の限界を超えた計算が容易くできる。例えば瞬時に攻撃の軌道を予測したりする事だ。高度になればゼロシステムのような未来予測すら可能だろう。

 長く戦えるように身体も頑丈にし、肉体の劣化も徹底的に押さえる。寿命を長くするように調整する。

 

「拒絶反応もあるだろうが、トライアンドエラーだ」

 

 実際、情報を入力した何体かは死亡したり廃人と化した。その子達を実験体にしてより精度の高い物を作成する。クローン体による人体実験を行なって経験値を蓄積してより良い完成度を目指す。シスターズとかも色々な技術を利用する。使い終わった実験体は分解して再度利用する。ちなみに少女にしている理由などは非常に簡単だ。男の身体など弄りまわしたくない。

 

「まあ、精神が生まれていたらできないな」

 

 意識を持つ前に急激に成長させて実験を行っている。それでも意識を持ってしまった子は丁重に管理して電脳空間で育成している。もちろん、軍事技術も教え込んでマスターである俺に逆らえないようにしてある。

 彼女達は肉体の技術が完成するまではこのままだ。完成すれば施した後、目覚めて貰う。

 

「まもなくこちらも完成するな。やはりニュータイプの数が増えたのはありがたい」

 

 こちらが完成すれば兵力の問題もある程度目処は立つ。運用機体も作成せねばならないが。

 

 

 

 次の日、パイロットスーツを作成する為に子供達はナタリー中尉に預け、俺はギニアス達技術班達と実験だ。

 

『準備完了しました。発進どうぞ』

「ゼロ・ジ・アール、サスロ・ザビ出る!」

 

 巨体が専用ドックから発進して宇宙を自由に飛びまわる。直ぐにもう一機出てくる。

 

『ノリス・パッカード、アプサラス出るぞ』

 

 高速で飛んでくるアプサラス。操縦者はノリス・パッカード大佐だ。アプサラスは元から宇宙空間でも使用できるように改造してあるので問題はない。

 

『二人共、問題なければそれぞれ試験を開始してくれ』

「『了解した』」

 

 俺達は耐久力や機動性のテスト、メガ粒子砲の威力などを確認していく。デブリの回避技術などを確かめつつ、数時間の実験を行う。実際に作って動かさないと問題が分からないからだ。それにお互いの機体にメガ粒子砲を撃ってIフィールドの効果を確認してみる。

 

『ジェネレーターの出力力は予想以上に消費しているな』

「ジェネレーター出力は元々大幅に大きく取ってあるから問題無い範囲だ」

『ですな。しかし、移動しながら射撃は辛いですな。なかなか命中しません』

『どちらかを自動制御にするという手段もあるが……』

「火器管制のシステムならこちらで俺の動きを元に作成しよう」

『軌道制御も自動だけでは危険ではありますから、どちらも用意して切り替え可能にすべきでしょうな。人が乗る必要はないかと思われるかもしれませんが、細かな場所はどうしても人が要りますので』

「そうだな。両方を用意しよう。パターン化された攻撃など回避は容易いからな。では、火器管制から行おう。的を出してくれ」

『わかった』

 

 両方の自動制御プログラムを作成して何度か試し、ノリス大佐のアプサラスとドックファイトを行う。こちらの攻撃を大量のスラスターで避けるし、瞬時にメガ粒子砲を撃ってくる。まあ、お互いにやってるのだが。それらが終わればシステムチャックとオーバーホールを行なって機体の損耗率を調べる。チェックが全て終われば稼働時間を調べる為にも小惑星の開発を手伝う。こちらに持って来る為にアプサラスとゼロ・ジ・アールの大型スラスターは便利だしな。兵士達もモビルスーツに乗って一生懸命に作業していく。

 作業が終わって帰還すればハマーン達が迎えてくれた。

 

「お疲れ様です、サスロ様」

「ああ、ありがとう。ハマーン達もそのパイロットスーツ、似合ってるぞ」

「えへへ」

 

 パイロットスーツ姿のハマーン達からタオルを受け取って休憩室に入る。子供達が飲み物を取ってくれたりと色々と世話をしてくれる。

 

「サスロ様、ゼロ・ジ・アールはどうでした?」

「ある程度完成した。後は今回見つかった修正点を直せば終わりだな」

「乗っても大丈夫ですか?」

「もちろんだ。いや、最初は一緒に乗るか」

「はい!」

 

 喜ぶハマーンの頭を撫でつつNT専用モビルスーツの開発も開始しようと思う。アプサラスは宇宙仕様にしてあるし、武装も増やしたい……いや、これってもうビグザムだよな。よし、ビグザムはなかった事にしてアプサラスとしよう。うん、それがいい。それと子供用の操縦席も用意しないといけないな。

 

 

 

 

 

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