ザビ家の次男   作:ヴィヴィオ

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量子コンピューター関連を修正。
外部にある量子コンピューターにアクセスする機能を髪飾りにセット。


クローン姉妹

 

 

 ハマーン達がガルマや家族達に加えてツィマッド社の面々を迎えにサダラーンで出て行った。ギニアス達はノイエ・ジールの開発の為に偏向メガ粒子砲や有線クローアームの実験機としてブラウ・ブロの制作に取り掛かった。

 俺はクローン技術が完成したので、意識を持つ事に成功したクローンの肉体を出来る限り徹底的に強化して問題点を改善する。ニューロチップも脳に埋め込み生体コンピュータを作成する。頭部に小型化した量子コンピューターへのアクセス装置と小型化したサイコミュ装置を二等辺三角形のような髪飾りとして作成し、頭部に直接植え付ける。これはもちろん試験管の中で成長を加速させて問題が無いかもチェックし、出てきた問題は修正してある。この髪飾りには他の個体との通信や演算能力を共有したり、指示を出したりといったとあるのシスターズ達のようなシステムを再現している。そう、∀ガンダムで出てきたダイレクト・インター・フェイスに似ている。もちろん、こればかりは滅びる原因となるので拡大させる気はない。問題が無いように培養槽の中で調整した強化人間の彼女達だからこそ、大量の情報に耐えられる。自我が消失してしまう可能性すらある。月光蝶であるとかいう時代にはなって欲しくない。

 それにこの子達は機械と人の融合で生まれた新たな人類と言えるし、ある意味これもニュータイプの1つだろう。そんな事を考えながら培養槽に戻して経過を見る。

 しばらくしても問題が起きて死亡してしまった。ニューロチップと髪飾りに対して拒絶反応が起こってしまったようだ。可哀想だが、どうしようもない個体はリサイクルとして新たな肉体を作成する栄養源にする。意識が消失しただけの個体は残して別の個体に施していく。

 数週間掛けて成功体がようやく出来た。まあ、意識が無くなった個体が6体で、それ以外はリサイクルした。クローン技術自体は完成したが、機械との融合はまだまだ研究が必要そうだ。

 

「さて、お目覚めの時間だ」

 

 コンソールを操作して培養槽の1つから培養液を抜いていく。その中には可愛らしい9歳くらいの女の子が裸で漂っている。綺麗な金色の髪の毛をした膝まで伸ばし、染み一つない綺麗な肌を晒して、大きな青色の瞳は虚ろにした状態でぼうっとしている。やがて液体が全て抜けて培養槽の底にへたり込んだ。培養槽の蓋が同時に開いたので、中から濡れている女の子を抱き上げて診察台の上に乗せてタオルで拭いていく。

 

「ん……んん……」

 

 整った綺麗な顔立ちは人形のようだ。左右にある髪飾りに接続端子を挿入してシステチェックとメディカルチェックを行う。意識状態は睡眠状態で特に問題は見られない。与えて置いた知識も記録としてしっかりと保存されている。体調、システム共に問題無し。後は個体識別名称を設定し、マスター登録を行えばとりあえず完成だ。

 個体識別名称をマリナに設定し、苗字をシーリズ名称であるジャガーノートにする。マスターは俺に設定する。

 

「……個体識別名称、マリナ・ジャガーノート。マスター、サスロ・ザビ。遺伝子登録、開始……識別可能物、要求……」

 

 ジャガーノートシリーズには完直径10メートルを消し飛ばす自爆装置がセットされている。最悪は特攻兵器として、また機密保持の為にだ。それらを発動や解除する事などにマスター登録された者の遺伝子情報が最低でも必要としてある。

 

「目覚めのキスって感じだな」

 

 口づけをして唾液を飲ませる。遺伝子情報まで色々とやったから女の子の身体は都合がいい。それに愛玩用というのも含まれている。まあ、ハマーン同様、まだ手を出す気はないが。

 

「……遺伝子情報、登録完了。

 system check……Zoning and Emotional Range Omitted System……error」

「スキップしろ」

 

 超高度な情報分析と状況予測を行い、毎秒毎瞬無数に計測される予測結果を脳に直接送って来るゼロシステム。これをアクシズ内部に設置した量子コンピューターで再現できないか試したが、やはりというか、容量不足だったようだ。名前はラプラスシステムとか名付けたいが、ラプラスの箱とかある訳だしそのままにした。

 

「system check complete

 Medical check……complete

 Starting start」

 

 起動を行うと虚ろだった大きな青い瞳に理性の光が灯り、瞳に様々な文章が流れている現状がコンソールに表示された。気温や温度など大気中の物質に始まり、周りの材質まで全て解析しているようだ。その間に手足を動かして調べていく。しばらくしてから身体を起こしてこちらを見詰めてくる。

 

「おはようございます、マスター」

「ああ、おはよう。身体に違和感とかは無いか?」

「問題無しと判断」

「では、着替えようか」

「了解」

 

 用意した服に着替えて貰う。服は黒い長袖で縁にフリルがある奴と、黒いレースのミニスカート、ガーダーベルトと黒いニーソックス。上に青い半袖のコートの軍服。右の胸元にはジオンのマークが有る。

 

「装着、完了」

「休憩は要るか?」

「必要無しと判断」

「では、まずは姉妹達を起動してみようか」

「了解。シスターズプログラム起動開始。ネットワーク形成……接続完了。シスターズ、起動シークエンス開始」

 

 保管して有った個体が培養槽の中で瞳を開けていく。意識はなく、瞳は虚ろなままだが各自で動いていく。

 

「起動完了。量子コンピューター、接続完了。生体コンピュータ並列接続開始。容量増加に伴い、Zoning and Emotional Range Omitted System、略称、ゼロシステム、限定起動を確認。負荷増大。緊急停止」

「ゼロシステムは後ほどでいい。それよりも培養槽から出すから動かしてみろ」

「了解」

 

 培養槽から出した女の子達はマリナの背後に控えるように整列する。

 

「各自、着替えさせろ」

「了解。任務開始」

 

 身体を拭いて着替えて行く彼女達を観察して問題無いかを調べる。サイコミュと形成されたネットワークを通してのマニュアルとオートでコントロールしている。人型ビット兵器といった感じだな。ミノフスキー通信も備え付けてあるからミノフスキー粒子散布化においても問題なく扱える。それにシスターズは互いに微々たるものだが念波を増幅する事も可能だ。ミノフスキー粒子散布化以外でもちゃんと通信ができるようにしてある。

 

「任務、完了。次の指示を要求」

 

 着替え終わった6人は普通のジオン軍の軍服ではなく、マリナと同じ服装だ。同じ顔で同じ姿をした7人の女の子。作っておいてなんだが、ある意味では凄い。どの個達も情報共有は行われているし、そういう意味では全てマリナなのだが。

 

「これからテストを行う。運動、知能、技術、全てだ」

「了解」

 

 実験室に移動して体力測定などを行う。どの個体も9歳児の肉体だというのに大人顔負けのデータを叩き出してくる。走り幅跳びでは10メートルも飛び上がり、数百キロのダンベルを片手で持ち上げる。マーシャルアーツの映像を見せれば解析して自らの技術として発展させる。身体能力に関してはまさに強化人間として素晴らしい値を叩き出し、超人認定間違いなしだ。

 知識面に関してはアクシズ内部のネットワークや特別な部屋でのみ繋がる外部ネットワークから学習し、どんどん知識を蓄える。技術面の知識も既にかなりのレベルで習得しているし、研究にも役立つ事が判明した。

 そして、何より――

 

「ハインツ、喜べ!」

「完成しましたか!」

「ああ、憎き敵に対して強力な助っ人だ!」

「おお……」

 

 書類整理から診断まで量子コンピューターが髪飾りを通して接続されているマリナ達は瞬時に判断して処理していくので速い速い。矛盾点やおかしな所を瞬時に見つけ出して返却ボックスに叩き入れて、問題無いのだけをこちらに回してくれる。マリナ達が判断できないものはそのままこちらに回ってくるが、それだけでもかなり早く終わるし、教えると直ぐに学習して応用までこなしてくれる。

 

「いやはや、これは助かります」

「じゃあ、この案を実行するか」

「え?」

「私達が利用する大容量演算装置」

「そうだ。小惑星を丸々量子コンピューターで埋め尽くし、並列接続させる」

「しょ、正気ですか?」

「もちろんだとも。演算領域が爆発的に増えれば情報を多角的に解析して予測でき、開発が捗るぞ」

「それはそうですが……」

「書類の処理はマリナ達に回せばいい」

「よし、やりますか」

「うむ」

「了解」

 

 言ってしまえばガンダムOOで出てきたヴェーダを開発するのだ。同じ量子コンピューターだから間違っては居ない。完成すれば更に開発が加速する。

 

「今日の仕事はこれで終わりですね。私はこれから他の部署を見て回ります」

「俺はマリナ達と残りのテストをしてくる」

「わかりました。明日もよろしくお願いします」

「了解」

 

 マリナを連れて射撃場へと向かう。射撃場で様々な銃を試して貰う。

 

「誤差、修正完了。狙い……撃つ!」

 

 拳銃から始まり、ガトリングに至るまで2度目から難なく扱い出すマリナ達。その次にサイコミュ搭載型のシミュレーターでビット兵器も問題なく使いこなした。実機で試したいが、ゼロ・ジ・アールはハマーン達が持って行って居るし、現在3機目を生産しているが、完成はまだだ。

 

「マスター、アレ、乗りたい」

「ザクか。最初はザクからでいいか」

 

 会話など活動しだしているとだんだんと喋るようになってきた。パイロットスーツはまだできていないので、ハマーンやマリオンの予備を着せるが、ヘルメットは専用のが必要なので無しになる。保険として小型酸素ボンベを持たせる。

 

「ギニアス、サイコミュ搭載のザクは何機ある?」

「サイコミュ搭載のは7機だな。バイオセンサー搭載機とファンネル試作型だな」

「ファンネル試作型はたしか巨大だよな」

「もちろん巨大だとも。モビルアーマー用のだからな。まだ小型化には至っていないからな」

「なら、バイオセンサー搭載機だけでいい。それを6機用意してくれ」

「わかった。実験機だから気を付けてくれよ」

「もちろんだ」

 

 生産されているザクⅡはザクII F2型を通常とし、指揮官用のザクII S型、高機動型ザクII、陸戦型ザクIIを生産している。一応、既に地球侵略の為に陸戦型も用意しておいた。どれも後期型だ。まあ、武装にビームライフルがまだ無いんだけどな。現在製作中だ。皆、大型のモビルアーマーでメガ粒子砲とかしか研究していなかったからな。大型化して火力をあげるのは得意でも、威力を出来る限り保ったまま小型化するのは得意じゃないんだ。ガラパゴス化の弊害だな。大型が最適化だと思ってしまっている。

 

「用意するように伝えたから9番格納庫に向かってくれ」

「了解」

「最適ルートを検索。検索完了。マスター、こっち」

「ああ」

 

 マリナと共に向かっていく。

 

「彼女達は誰なんだろうか?」

 

 ギニアスには今度紹介しよう。今は9番格納庫に移動する。そちらではバイオセンサーが装備されたニュータイプ専用高機動試験用ザクⅡが用意されて居た。武装はマシンガンとバズーカ、ヒートホークだ。

 

「じゃあ、説明を聞いてから搭乗して待機していろ」

「了解」

 

 マリナ達は整備兵に説明を聞いていく。俺は管制室に連絡を入れて出る事を伝える。

 

「提督、ハインツさんから内線が入っています」

「わかった。ありがとう」

「いえ、それでは」

 

 内線に出るとハインツが慌てた声を出して言ってきた。

 

「地球連邦所属の艦艇が網に掛かりました。木星から地球へ戻るようです」

「ナイスだ。これから丁度出撃する。サダラーンが1隻、外で作業をしていたな」

「はい。既に回してあります。ですのでお気をつけて」

「ああ」

 

 俺は内線を切ってザクの指揮官機に搭乗してザクを発進させる。

 

「マリナ、サダラーンに乗って移動する」

『了解』

 

 多少拙い動きで出てきたマリナ達は直ぐに動きが修正されて滑らかになっていく。サダラーンに着艦した後はそのままジュピトリスが発見された場所から予測航路の先に移動していく。

 

 

 

 

 

 




プルとプルツーはまだです。

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