ザビ家の次男   作:ヴィヴィオ

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ジオンの本気

 

 

 

 

 迎えに行ったサダラーンがアクシズに帰還した。乗っていたのはガルマや技術者達なのだが、他にも色々と来たようだがとりあえず放置する。

 

「兄上、お久しぶりです」

「ガルマ、久しいな。それで、後ろの2人は?」

「こちらに行くように言われました」

「ああ」

 

 キシリアとドズルの2人が不貞腐れたような姿でいる。おそらくギレンの兄貴の仕業だろうが……なんでだ?

 

「実は、喧嘩ばかりしているので、兄上に纏めてもらうようにと……」

「面倒な……」

「まあ、頑張って」

 

 確かに原作でもただでさえ少ない戦力を別けてピンチに陥ってたよな。さて、どうするかな。

 

「これ、手紙」

「ふむ」

 

 手紙を確認すると、俺を元帥としてキシリアとドズル2人を自由に扱えとの事だった。父を除けば総帥としてギレンの兄貴が居るからナンバー2といえる。

 

「それで兄上、これからどうするのですか?」

「キシリア」

「なんですか?」

「お前、後方担当な。補給とか頼む」

「わかりました」

「ドズルは宇宙軍の指揮官を頼む」

「サスロの兄貴はどうするんだ?」

「俺は前線を色々と動く。それ以外の事は基本的に任せる。2人で協力しろよ。仲違いは負ける理由になるからな。ジオンの戦力は少ないからな」

 

 3人にしっかりとジオンと連邦の現状を教える事にする。少なくとも戦力を別ける事はさせない。それに最終決定権は俺が持っているしなんとかなる。ちなみに少しでも戦力が欲しいし、トップが前線に出るのは間違っているだろうが俺も前線に出る。ニュータイプはそれだけで戦力になるしな。

 

「では、教師として教えよう」

「ガルマもか?」

「ぜひお願いします」

「しかし、ガルマには……」

「いえ、できます!」

「まあ、頑張って貰おう。何、できなくても教え込むから問題無い」

 

 徹底的に教え込んで被害を減らす。それがベストだろう。コロニー落としをはさせないようにしないとな。虐殺も止めないといけない。シローが仲間になる可能性もあるしな。

 とりあえずジェミニによる教育コースを演算してプランを作成し、それを施していく。その間に技術者達と面談していく。今回、ジオニックも含めて本国に体裁を整える数を残して、それ以外の優秀な技術者達を全てこちらに寄越したようだ。軍人も殆ど送ってきている事からギレンの兄貴の本気度が伺える。

 さて、技術者を呼んで面接を行う。

 

「入れ」

「失礼します」

 

 数人が入ってくるが、原作のキャラを確認した。

 ジオンの名家であるカーウィン家の令嬢で、ソフトエンジニアとしての才能は超一流といわれるメイ・カーウィン。

 大きな目で頭皮は薄毛、頭髪もヒゲも黒い太ったアクの強いユダヤ系中年男性。ニュータイプの権威と言えるフラナガン・ロムと助手の老人。

 元はジオンのフラナガン機関所属だったが、ジオン製のモビルスーツでは対ニュータイプ兵器、EXAM研究に限界を感じたため、自らの開発したEXAMシステムを手土産に連邦に亡命した裏切り者、クルスト・モーゼス。こちらはモビルスーツに限界を感じただけで、感じさせなければいいのだ。もちろん、首輪は付けておくし、いざとなれば消す。

 

「では、それぞれ話を聞こうか。2人はニュータイプ研究でいいんだな?」

「もちろんだ」

「ええ」

「こちらに関しては貴重なデータもあるし、被検体に対する実験は勝手に行う事はできないと思え。まずはジェミニで計算してからになる。それで問題なければ実行に移す。ニュータイプは貴重だから理解してもらいたい。もちろん、こちらが手に入れたデータは君達に回す。問題無いな?」

「もちろんです」

「はい」

「では、最後に君達には首輪を付けてもらう。ニュータイプ研究に関しては最重要機密となる。もしもの場合を備えてこちらの技術者には全員、首輪を設置している」

「っ!?」

 

 メイは顔を青ざめさせたが、他の者達は納得した表情をしている。子供にはまだきついだろう。

 

「実際、どうなるのかのう?」

「普通にこれだな」

 

 首を切る動作をして見せる。

 

「なるほどの」

「さて、軽い方かそれとも……」

「か、帰っても……」

「残念ながらここに来た時点で数年は帰れないな。それに君は部署が違うから大丈夫さ」

「ほ」

「お嬢ちゃんの希望はどこなんじゃろ?」

「システムエンジニアです」

「裏切られたら問題はあるだろうが、そこまで手はまわらん。我々は常に人手が不足しているからな。という訳で、覚える事は多々あるだろうが、君には期待している」

「ありがとうございます!」

「もちろん、2人にもだ」

「うむ」

「はい」

 

 他の人達から話を聞きながら次々と面接を行い、人を分配していく。大量の人口増加により、食糧生産プラントも大忙しだ。

 ツィマッドやジオニックの科学者連中がドムの開発に乗り出し、戦艦専門の者達が地球用の輸送機や戦闘機の開発に乗り出した。

 

「戦いは数だよ、か。まさにその通りっと」

 

 その対策としてフラナガン博士達も参加してサイコミュ兵器として無人機を操れるようにできないかとお願いしておいた。後は一部の小惑星に地球と同じ重力をコロニーの技術で再現して耐久テストなど行う施設を作る。むろん、無人機でだ。重力を再現するのに大掛かりな施設で無茶な方法をとっている為、生身の人間では死んでしまう。もちろん、人の代わりになる人形を配置してデータは取るが。検証実験もせずにデータの上だけで作られた物ほど欠陥がおおいからな。ガトルやドップとか。

 どちらにしろ、大量に処理する物が増えたのでまた数ヶ月は書類やプレゼンテーションで忙しかった。

 

「こっちの処理が終わればハマーン達の帰還はもうすぐか。しかし、どうするかな」

「?」

 

 ベットの上で抱きつきながらマリナが小首を傾げる。マリナは常に俺の傍に控えて護衛もするので、寝所も一緒だ。最初は座ったり床でいいと言っていたが、ベットに引きずり込んだ。まあ、ハマーンも居なかったし、温もりが欲しかったのもある。愛玩用としても使えるようにしたからだが、スキンシップも普通に行ってくる。いらない知恵を回収したりしてだ。

 

「もうすぐ妻が帰って来るからな」

「問題、無い」

「そうか?」

「そう。排除する」

「いや、駄目だからな」

「再考を、願う」

「却下。仲良くするように」

「了解」

 

 喧嘩にならなければいいが。できれば仲良くして欲しいな。ハマーンって結構嫉妬深いし……いや、今ならまだいけるはずだ。頑張って教育しよう。うむ、それがいい。

 

 

 

 

 


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