ザビ家の次男   作:ヴィヴィオ

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嫁と愛人、そしてオリジナル

 

 

 

 ハマーン達が大量の軍人達と戻って来た。それも懐かしい気配をさせながらだ。出迎えに出た俺に気付いたハマーンはゼロ・ジ・アールから飛び出て俺に抱きつこうとして――

 

「サスロ様っ――ふぎゃっ!?」

 

 割り込んだマリナによってクロスカウンターを決められて吹き飛んだ。

 

「マリナ……」

「なっ、何するのっ!?」

「マスターに危害を加える者の防止」

「加える気なんてないよ! だいたい、私はサスロ様の妻なんだから抱きつくくらい……」

「ぷい」

 

 マリナはそっぽを向いて俺の腕に抱きついて来た。そして、ハマーンの方を見ている。

 

「何してるの!?」

「っと」

 

 ハマーンももう片方の腕に抱きついてマリナを睨み付ける。なにげに互いにプレッシャーを放ち合い、周りの空気が重くなっている。スパロボ風に言うと、2人は既にニュータイプレベル6はいっているし、シャレにならない。

 

「貴方はなんなのよ!?」

「私はマリナ・ジャガーノート。マスターの目、マスターの手足」

「意味分からない、つまり敵……」

「やめい」

「「ひゃあっ」」

 

 2人を持ち上げてやる。

 

「仲良くしろ」

「でも……」

「了解。マスターの命令通りにする。私は誰かと違ってマスターに従順」

「なっ!? わ、わかった、仲良くする」

 

 ハマーンもどうにか納得したようで、そのまま2人を部屋に連れて行く。その間にハマーンの話を聞いたりした。部屋に着いた後、ハマーンはマリナの私物になんとも言えない表情をしたが、納得はしてくれたようだ。

 

「私が一番だからね。貴方は2番」

「了解。私はマスターの都合のいい女。愛人」

「あっ、それもなんかいい感じが……」

 

 2人が話していると、扉が開いてハマーンに似た少女が入ってきた。

 

「お姉ちゃん、見つけました」

「セラ……ごめん、忘れてた」

「もう……」

「サスロ様、私の妹のセラーナです」

「そうか、よろしくな」

「はい」

 

 セラーナの頭を撫でてやる。その後、彼女もマリナやハマーン同様にベットの上に乗せてやる。その後、俺は仕事をしに出る。外に出ると直ぐにマリナが遠くから走ってくる。

 

「仕事は?」

「問題、無し」

「そうか。じゃあ、護衛を頼む」

「了解」

 

 部屋の中で楽しそうに話しているハマーンやセラーナと一緒に居るマリナとは別で、彼女はシスターズの1体だ。記憶などはネットワークを通じて全てがマリナへと収束されているし、同時に操る事も問題無い。本当にネオ・ジオンの強化人間どころの話ではない。

 そんなマリナと共に一緒にアクシズにやって来た軍人達を呼び出す。1人目は髪の毛をオールバックにして後ろで結んでいる男性。

 

「失礼します。アナベル・ガトー大尉、入ります」

「よく来た。まずは掛けたまえ」

「はっ」

 

 アナベル・ガトー。ソロモンの悪夢という異名を得る事になるオールドタイプ最強の一角といえる存在だ。

 

「君のモビルスーツでの素晴らしい成績は聞いている」

「ありがとうございます」

「そんな君に話があるのだが、まずはマリナ、彼にお茶とお菓子を」

「了解」

「恐縮であります」

 

 マリナが紅茶とカステラを用意してくれた。甘さは控えめだが。

 

「食べながら聞いてくれ。私は君を高く買っていてね。君さえよければ元帥となった私の直属の部隊に参加して貰いたい」

「私が、ですか……」

「ああ。君には現在開発中の高機動モビルアーマー、ノイエ・ジールのテストパイロットを行ってもらいたい」

「テストパイロットですか……」

 

 難色を示すガトー。彼は前に出たいだろうしな。

 

「やって貰うのは実戦テスト。機体はこれ」

 

 マリナがガトーにノイエ・ジールの仕様書を渡す。

 

「読んでも?」

「いいが、もちろん機密事項だ。外部に漏らす事はならん」

「もちろんです」

 

 彼はどうにかしてこちらに引き入れたい人だ。一年戦争時代からノイエ・ジールを乗せればかなりの戦力アップが機体できるだろう。

 

「それで、どうだろうか? もちろん、テスト後はその機体を専用機にして貰って構わない」

「わかりました。お引き受けしたいのですが、一つお願いがあります」

 

 その言葉にマリナからプレッシャーが放たれるが、ガトーは気にせずに居る。この程度では問題無いという事か。

 

「なんだ?」

「はっ。同期のケリィ・レズナー大尉も私同様に参加させていただきたい。彼はモビルアーマー操縦技術は私以上でありますので、ご期待に添えるかと」

「ケリィ・レズナーか。いいだろう、許可する。マリナ、ノイエ・ジールを2機用意するように伝えてくれ」

「マスター、試作機が5機ある。問題無し」

「そうか。では、ガトー大尉。君は彼と共に第10ドックへと向かってくれ。そこにギニアス・サハリン技術少将が居る。彼の指示に従ってくれ」

「はっ!」

「案内は……マリナ」

「了解。直ぐに連れて行く」

 

 部屋の扉が開いてもう一人のマリナが入ってくる。

 

「同じ顔が2人、だと!?」

「彼女達は全て同一個体のクローンだと思ってくれていい。この子に伝えれば私に伝わる」

「わ、わかりました……」

「付いてくる」

「では、失礼します」

 

 ガトーが退出し、色々と軍人を呼び出して話を聞く。黒い三連星のガイア、オルデカ、マッシュにはドムとリック・ドムの開発にテストパイロットとして参加をするように要請した。ジョニー・ライデンなどにはジオニック達に作らせた高機動型ザクⅡを元にゲルググを開発するよう命令しておいたので、彼らの協力をお願いした。

 それらが終わり、最後にある意味では最大の人物を呼び出した。

 

「変な感覚の人が来る」

「そうか。まあ、そうだよな」

「?」

 

 小首を傾げるマリナ。少しすると不思議な何とも言えない感覚が近付いて来る。そして、扉がノックされた。

 

「空いている。入ってこい」

「失礼する」

 

 ヘルムに仮面を被った怪しい金髪が部屋に入ってきた。

 

「「……」」

 

 そして直ぐにマリナと睨み合う。その視線はどちらも露骨に警戒をしている。

 

「まあ、入って座れ」

「はっ」

 

 マリナは睨んだまま動かないので、俺が茶菓子などを用意していく。互いは殆ど動いていないがまあ、無理もないだろう。

 

「それにしても久しいな。数年ぶりか」

「……なんの事でしょうか? 私と貴方は初対面のはずですが……」

「そんなはずはない。お前とはもう随分前に合っているさ」

「……」

「しかし、よくぞ生き抜いてくれた。ジンバ・ラルに情報を流しただけの価値はあったようだ。アルテイシアも息災か? キャスバル」

「どなたかと勘違いされていませんか? 私はシャア・アズナブルです」

 

 いやはや、やはりそう簡単には素性を明かさないか。もちろん、手段も用意しているが。

 

「マリナ」

「DNAのほぼ一致。オリジナル、キャスバル・レム・ダイクンと認定」

「だそうだ」

「いえ、私は……」

「諦めろキャスバル。お前もわかっているようだが、このマリナにはアルテイシアを参考にキャスバルのDNAを使って作っている。言わばお前の女版だな」

「この感覚はそういう事かっ!?」

 

 キャスバルが直ぐに手を動かして銃を抜こうとするが、その前にマリナが殴り飛ばして壁に激突させる。そして即座に追撃をかけキャスバルの両腕を踏みつけて銃口をヘルメットの取れた顔に押し付けて制圧する。

 

「ぐっ……」

「動くな。マスターに対する危害はオリジナルでも許さない」

「お前らしくもないな。熱くなりすぎだ。自分のクローンが居てそんなに乱されたか?」

「……そのようだ」

「マリナ、離してやれ。彼は歳は離れているが友人だ」

「……」

「マリナ」

「マスター、危険」

「問題無い。またマリナが制圧すればいい事だ」

「了解」

 

 2度目でようやくおとなしく解放してくれた。キャスバルも大人しく座る。

 

「さて、話し合おうじゃないか」

「私には……」

「まあ、聞け。ジオン・ズム・ダイクンのやばさは理解できるだろう。あのままいけば、連邦と何の準備もできないまま戦争となり、我々は確実に負けていた。彼の犠牲のお陰で数年の時を得られたのだ」

「だが……」

「それとも皆で仲良く連邦に殺されるか? そして、残された民達は搾取される」

「当時、勝率0.245%」

「っ」

「だが、お前もこのままでは納得しないだろう。父親を殺されたんだからな。だから、お前も殺るというなら俺達の父親を殺せ。それには協力してやる。だが、他の者達は駄目だ。アイツ等はジオンには必要だ」

「父親を殺させるのに手を貸すというのか……」

「そうだ。親父はダイクンを止めるとはいえ、その後はやり過ぎではある。お前達の気が済むのなら構わない。もちろん、俺はダイクン派だろうがなんだろうが、有効な人材は使って正当に評価する。そうしなければ地球連邦に勝つなど不可能だからな」

 

 計画している通り、モビルスーツとモビルアーマーの高性能化による戦力の増加。そして、ニュータイプの確保に始まり、ジオン軍の一枚下。これさえ出来ればかなりの事が可能だろう。何よりジェミニによる地球連邦へのハッキングやクラッキングによる混乱を起こせば更に勝率は上がる。まあ、ジェミニには友軍を監視するという役割もあるがな。横流しを行ったり横領を行う奴が居ないはずがない。厳格な管理体制を敷いて出来る限りの事を行う。幸い、連邦の本拠地であるジャブローの場所もわかっているしな。

 

「キャスバル、どうする?」

「私に選べる選択などないだろう」

「無い」

「そうだな。だが、一応考えて見てくれ。これがジオン・ズム・ダイクンの録画だ」

「わかった」

 

 キャスバルに映像データを渡して隣に座ったマリナの頭を撫でる。

 

「自分のクローンが少女とは、不思議な感覚だな」

「生きている可能は半々だったのもあるが、いざとなった時の保険だな」

「まあ、いいさ。それで、これから私はどうすればいい?」

「キャスバル……いや、これは色々とまずいな。シャアでいいんだよな?」

「ああ、それで頼もう」

「では、シャアには非常に重要な事をお願いしたい」

「なんだ?」

「ニュータイプの研究だ。ジオンに居るニュータイプはハマーン達を除けば君達くらいだ」

「サスロ達はどうするんだ?」

「俺はハマーン達と旅行に出るつもりだ」

「旅行か。君の事は色々と聞いているよ。ロリコンの人形趣味だとな」

「うるさいわ」

 

 マリナはスリスリと俺に顔を擦りつけてくるので可愛がってやる。

 

「まあ、それだけではないんだろう?」

「もちろんだ。各サイドを回ってニュータイプと思われる存在をスカウトしていく」

 

 多少、強引な手段でもな。

 

「これからアクシズは忙しくなる。軍事教導もこちらで行うだろうし、士官学校の生徒も大半をこちらに連れて来ているらしいからな。訓練内容は……」

「そうだな。しかし、君がいなくても大丈夫なのか?」

「問題無い。シスターズが居る」

「シスターズとは?」

「この子達クローンの通称だよ。コマンダーと呼ばれる1個達が全ての個達を統一して操っている」

「それはまた……」

「問題はコマンダーがやられた場合なのだがな」

「それはそうだな。では、私はニュータイプ研究に協力しよう」

「ああ、それとナタリー技術官を君につける。世話をしてもらえ」

「了解した」

「ふむ。後、君にも帰ってきたら嫁をあてがってやろう」

「遠慮して――いや、ありがたく貰おうか」

 

 マリナが銃を持って脅しにかかったようだ。まあ、彼女なら問題無いだろう。ニュータイプの研究者達にはサイコフレームを開発するようにお願いもしてあるからな。シャアのお陰で完成すれば一年戦争で劣化ササビーが出せる。サイコミュの基礎機能を持つコンピューター・チップに関しては髪飾りなどで既に実用化している。後はコアとなる高出力のメイン・プロセッサを開発するだけだ。メイン・プロセッサさえ完成すれば装備も劣化させて通常の物を装備させれば、後は大型化するだけで今の技術でもおそらくササビーは製作可能だろう。

 

「では、期待してくれ。そういえばアルテイシアはどこにいる?」

「今は……」

「名前を変えてサイド7に確認している」

「「……」」

 

 俺の言葉にシャアが考えだしたが、直ぐにマリナが答えてしまった。まあ、マリナの力なら調べられても不思議じゃないな。ジェミニを使えば簡単だろう。セイラ・マスの情報などは伝えてあるからな。

 

「キャスバル、こちらに彼女を呼び寄せるぞ」

「頼む。その方が安全だろう」

「では、任されよう」

 

 ニュータイプ探しのついでに旅行といくか。この為に外装を偽装した商船を用意してある。積荷は緊急時用にザクと護衛のサダラーンだ。このサダラーンにはステルス装置の他にゼロ・ジ・アールを乗せておく。シスターズを乗せておけば単体で制圧可能だろう。商船にはジオンから何名か選んで連れて行く予定だが、俺が選んだのはある女性の部隊だ。潜入工作などはお手の物だろう。そう、彼女の名は――

 

 

 

 

 

 




シャアさんとの和解?
少なくとも敵対はしません。バレてしまってますし。
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