アクシズに帰還した俺は直様アクシズを含める小惑星群を地球に向かわせる。来年の79年には到着する事になる。その間に最優先事項としてステラとフォウとサラの強化だ。彼女達の身長から特別仕様のパイロットスーツとコクピットを用意させている間に終わらせたい。まずは得られたデータとこちらの所持しているデータを使ってジェミニに計算させてクローンで実験を行う。ある程度成長した人間にニューロチップを埋め込んでどうなるかだ。副作用が出る事はわかっている。計算では能力を劣化させれば問題は無いはずだ。ジェミニに繋げられてゼロシステムを使えるだけだけで十分だ。
数日かけてステラ達のクローンを作成して実験を繰り返して彼女達に適応させたニューロチップを作成。それから頭の一部を開いて埋め込む。他にも身体を強化して頑丈にしていく。幼い身でモビルスーツの全速力に応えられるように。
本当はゆっくり成長を待つつもりだったが時間はないようだし手段は選ばない。それに彼女達にはサイコフレームを搭載したノイエ・ジールⅡに乗ってもらう予定だから強化は必要だ開発されたサイコフレームはMSサイズでは十分な出力が得られないので、更なる改良がなされるまではMAのような大型の機体の構造材として用いることにする。この一年で大型のを作成するのもありか。まあ、無理だろうけどな。
「ステラ達の専用モビルスーツも作らないとな」
いっそモビルアーマーの内部にモビルスーツを搭載してみるか。モビルアーマーがやられたら装甲をパージして……コストが掛かりすぎるな。毎回パージしていたらいったいいくら掛かるやら。連邦はともかく、俺達の資源は限られているからな。
「サスロ様、成長させますか?」
「いや、そこまではいいだろう」
他の研究員達も含めて研究を開始している。プルとプルツーを作る為に必要な人材だ。
「それよりもフォウやステラの調整を急ぐぞ」
「了解です」
ニューロチップを埋め込み、調整し終わった後2人を寝かせる。フォウに関してはカミーユに対する対抗策になるだろう。相手がタイムトラベラーならだが。転生者や憑依者なら無理だが。
「残りの作業は我々が行っておきます。サスロ様はモビルスーツ開発部などに」
「わかった」
女性の研究員達にステラ達を預けて移動する。
モビルスーツ開発部では現在、ドム……リック・ドムとゲルググを開発している。一年戦争中、彼らはこの2機の開発を超短期間で成功させた天才達だ。それに加えてギニアス達を含めたジオンの科学者達。アクシズの豊富な資源とガラパゴス化によって遥かに進んだ特化技術を手に入れた。元が優秀な科学者達をジェミニがサポートし、色んな技術に転用して応用を行い全体的に進化させた。そんな事が行われれば色々と危険な進化を遂げている。
「それで、どうなったと?」
「宇宙用ドムでしたが、性能不足で宇宙用の汎用機の開発は中止し、後継機の開発を行う事にしました」
メイの説明を聞きながら考える。ゲルググが実戦配備の遅れの為にリック・ドムが開発されたんだからな。ゲルググもザクの代わりに生産を開始したが、数が足りないのでザクも存在する。ザクに関してはまだ色々と使う……というか、一部が更に開発されてザクⅢとして開発されている。
「そうか。それで?」
「実際にテストを行なった所、リック・ドムⅡは充分にゲルググと張り合える機体となっています」
「ならばよし」
ゲルググとリック・ドムⅡどちらを選ばせても問題無いようにする為と補給と修理の観点から出来る限り共通部品を使うように指示しておいたが、これくらいなら問題無いな。
「ニュータイプ専用機の開発は?」
「シュネー・ヴァイスの開発もしっかりと終わってるよ!」
「ファンネルの開発は終わったのか?」
「そっちも終わってこっちに送られて来たよ」
「そうか。なら早速実験するようにしよう。マリオン達に頼んでくれ」
「はい、わかりました。お願いしますね、マリオンちゃん」
「任せて」
「それじゃあ、頼む。ところでガルマは?」
「ん」
マリオンが指差すと画面上でリック・ドムⅡがザクの兵士相手に大立ち回りを行っている。バズーカ砲やマシンガンの弾丸を避けて的確にビームバズーカで撃ち落としていく。その動きはニュータイプとは違うが、エースパイロット並だろうか。
「攻撃予測システムも問題無いみたいだねえ」
「予測システム?」
「ゼロシステムを元に作った奴だよ。ジェミニから常にデータが送られて来る状態でなら使用可能だからね」
「問題点は?」
「戦艦に子機を搭載する事で問題無いらしいよ」
「わかった。まあ、任せるか」
俺はギニアス達に会いにいく。ギニアスの所ではキャスバルがノイエ・ジールⅡの実戦テストを行っていた。現在、78年の6月。もうすぐ戦争が始まるが、なんとか間に合ったようだ。
「これで戦争に勝てるな」
「ああ。準備は整っている。彼のお陰でノイエ・ジールⅡが完成したよ」
「ノイエ・ジールの方は?」
「そちらも完成している。Ⅱはニュータイプ専用機構を組み込んで改造するだけだからね」
だけって、だけって言いやがったぞコイツ。さすがのチート技術者だ。
「そう言えばシローと言ったか、君が連れてきた男は」
「どうだ?」
「使える。指揮官としてもパイロットとしてもな。ただ、アイナとの仲は認めん」
ああ、やっぱりそうなったんだな。シローのデータを探して調べると戦績が凄まじい事になっていた。コウ・ウラキとか目じゃない。今もノイエ・ジールⅡに乗ったキャスバルを相手にアイナとシローが乗るノイエ・ジールが高速で射撃戦闘を行なっている。一時も止まらずに正確な射撃を行うキャスバルに対してアイナとシローは連携で対応している。俺が研究所にこもった2,3ヶ月でここまでとは恐れ入る。
『くっ、やってくれる! だが、やられはせん!』
『くそっ!』
『シロー!』
流石にキャスバルに2人は叶わないのだろうが、これからどんどん鍛えていけばいい。少し待ってキャスバルがこちらに来るのを待つ。ギニアスはアイナ達の元に向かった。
「待たせたかね」
少しするとララァを連れたシャアがやって来た。ララァはシャアに付き従っているようだが。
「いや、大丈夫だ。それでアルテイシアの事なんだが……」
「アルテイシアの事だが……」
「どうするつもりだ?」
「彼女にはガルマの嫁になってもらう」
「おい、貴様っ」
シスコンのキャスバルが俺の服を掴んでくる。
「待て、これはジオンが1つになる為に必要な事だ。ダイクン派とザビ派が統一する為には古来から用いられている政略結婚が重要だ」
「ぐっ……」
「どうしても嫌ならお前がキシリアと結婚してもいいぞ?」
「そ、それは……」
「しゃ、シャア……」
キャスバルの服をつまんで不安そうにしているララァ。
「そ、相談する。時間をくれ」
「任せた。こちらは兄貴を説得するからな」
「父親は無視か……」
「どうせ消えるのだからな……では、出来る限り早い段階で返事をしてくれ」
「わかった」
さて、後は兄貴の説得だな。まあ、こちらは大丈夫だろう。兄貴も理解しているはずだ。もし、理解していないなら……悪いが排除させて貰う。
「く、黒いです……この人、危険です……」
「知っている。それに我々の……ジオンの味方だ」
「はい」
おっと、思念が漏れていたか。気を付けないとな。
「おう、兄貴」
「ドズルか、どうした?」
「ちょっと聞いてくれ。実は士官学校の生徒であるゼナとな……」
「付き合っているのか?」
「ああ、知っていたのか。それで結婚しようという話になってな……ギレンの兄貴を説得するの手伝ってくれ」
「いいぞ。どうせキシリアかガルマにダイクンの子供と結婚してもらうつもりだ。問題無い」
「え? 生きてたのか?」
「そうだ。既に確保した。いい加減、ザビとダイクンの軋轢を解消する。任せておけ」
「わかった。頼むぜ。それでよ、話は変わるが研究班が開発したビグザムを貰っていいか?」
「結局作ったのか。構わないから持っていけ」
「助かる」
後少しで本国であるジオン公国に到着する。向こうに付けばハマーン達も12歳になるし、結婚してしまおう。戦争になる前にしておいた方がいいだろう。ついでにドズルやガルマの結婚式も行えばいいだろう。これで士気も上がるだろうしな。ああ、親父には連邦の暗殺という形で死んでもらおう。
ギレン
執務室で1人、サスロの報告を聞いて私は考える。
「ふむ。確かに効率的ではあるな。我々スペースノイドの地位確立の為には重要な事だ。地球連邦との戦いは電撃作戦でしか勝ち目が薄いのも事実。確執が無くなるならばその方がいいだろう」
結婚式の前に父上には病死して貰おうか。いや、毒で衰弱させてキャスバルに止めをささせた方がいいか。結婚式の後にでもな。アクシズの連中は私がいうのもなんだが、本当に逝かれている連中が多い。サスロを筆頭にしてだが。連中は真にジオンの為を思ってくれているのだし、今回の案は素晴らしい。ダイクンは排除せねばならなかったが、今のジオンならば問題無い。それと活躍した奴等に褒賞を与えねば。特にサハリン家の事なども手を出した方がいいな。
「しかし、随分と甘くなったものだな、私も。だが、悪くはない。全てはジオンとスペースノイドの為に。ふむ。どうせなら国をあげて結婚式をするか……地球連邦も招待し、結婚式の終了と同時に暗殺させるというのも素晴らしいか」
秘書に連絡を入れて準備を行わせる。サスロが送ってきた金髪の子供だが、優秀で使える。
「ギレン様、予算と式場の手配が終了しました」
「うむ。ついでに軍監などを動かして不正を行っている奴とスパイ共を排除しろ」
「了解。排除した後の指示は……何時もの通り」
「そうだ」
「了解。任務を開始する」
不正を行っている物は捕縛した後、資産を没収して強制労働かアクシズへの実験体行きだが、スパイは脳をスキャンし、身体情報を記憶してから生産プラントの資源に変換する。定時連絡の方法などが分かれば身体情報から読み込んで作成した偽物の映像が受け答えをしてくれる。既に何人も処理しているから手際は疑っていない。まあ、脳をスキャンすると死んでしまうのが難点だがな。
「さて、私は演説内容でも考えておくか」
しかし、軍部の事をほぼ考えないでいいのは楽だな。サスロに任せておけばいいというのは気が楽だ。ドズルもキシリアも仲が悪いから任せきる事ができない。ガルマはまだ幼い。そう考えるとサスロが居てくれて助かったな。感謝の気持ちも込めて式は盛大にしてやるか。