全体的に文章の書き方を変えてみました。読みやすくなってたらいいなと思います。
「そういえば通路を挟んだ向かいにもお部屋があるのですが、先生とレイヴンさんはどうされますか?」
「僕は向かいで寝るよ。レイヴンはどうする?」
『私も先生と一緒に向かいでいいよ』
「先生とその格好で二人で寝るの!? ダメ! エッチなのは禁止! 死刑」
「こ、コハルちゃん?」
「私は別に先生もレイヴンも一緒で構わないけど? 丁度ベッドも六つあるわけだし」
「い、いや僕は流石にね……でもレイヴンは皆と一緒に寝てもいいんじゃない? いつも一人で寂しいって言ってたから」
『そ、それは』
恥ずかしいのであまり言ってほしくなかった。でも先生がそう言うと一層ヒフミたちは一緒に寝ようという。
『でも私は先生の護衛としてきたわけだから体裁的に先生と一緒に寝た方が』
「それなら安心してくれ。後で先生の部屋の前にトラップを仕掛けておく。侵入者がドアを開けようとしたら即爆発だ」
「そ、それ僕が開けても爆発しない?」
「大丈夫だ。そこは工夫するから。先生が寝た後に仕掛けるとかね」
「い、いや大丈夫だよ。それにみんな向かいにいるわけだから、トラップは必要ないかな」
「む、そうか」
「え、ええと、それじゃレイヴンさんは私たちと一緒の部屋と言うことでいいですか?」
どうしようかな。まあ向かいならいいか。ここには四人いるわけだし。裏切り者については……締結の阻止で先生の命が目的じゃないから大丈夫だろう。というか裏切り者がいるなら一緒にいた方が分かりやすいか。
『分かった。私もヒフミたちと一緒の部屋にするよ』
「では早速荷物を置いて勉強を」
「あら、でもその前にやることが有ると思いませんかヒフミちゃん?」
「え……何かやる事ありましたっけ?」
やめなさいコハル、目を猫にしないで。アズサも鞄から爆発物を出さないでほしい。というかその鞄に一体どれだけ入っているというのだ。見かけは普通の鞄なのだが出てくるものが明らかにサイズが合ってないと思う。
「掃除です」
ハナコが言ったのは意外と普通のことだった。確かに埃っぽいが私から見れば別にそのままでも十分だと思うがヒフミたちは同調し、先生もやろうと言い出したので私も賛成しておいた。
「それでは皆さん汚れてもいい服装に着替えましょう!」
先生が部屋を出て行ってから皆は体操着に着替えだした。私はそもそも服を持ってないのでこのままで参加する。着替える必要もないし先に出ていくか。
先生はジャケットを脱いだ姿のままで外にいた。
『それ汚れてもいいの?』
「まあ、替えはたくさんあるし。普段からよく汚れるから、汚れが落ちやすいものに変えたんだよ」
『色は変えようと思わなかったの?』
先生の着ているシャツとズボンは白だ。これだと汚れが目立つ。
「いつも白だったからつい癖で白を頼んじゃってね」
先生はこう細かいところがうっかりしているのだ。まあ大事な部分はしっかりしているのでそこまで心配しているわけではない。
私は別館の方を向いた。トリニティは全体的に古風な建物が多いが別館も例にもれず古風な建物だ。規模が小さ
いとはいえ六人で使うには十分すぎる大きさがある。
『これ掃除するのにどれだけ時間かかるかな』
「そうだねえ。結構広いし半日……もしかしたら今日一日ずっと掃除かもね」
『いいの? 三回落ちたらみんな退学なのに』
「二回目の試験までまだ時間はあるわけだし、それに一週間埃っぽいところで過ごすよりかは六日間綺麗な場所で過ごす方がいいでしょ?」
『まあ、それはそうだね』
十分ほど待っているとヒフミたちは体操着の姿で外に出てきた。アズサは少し遅れて銃を担いだまま外に出てきた。
「あ、アズサちゃん。掃除をするだけなので別に銃はいらないですよ?」
「肌身離さず持っていないと、奇襲に対応できない。いつ襲撃されるかは分からないから」
「そ、そうですか」
「そういえばハナコは? まだ来ていないの?」
「私が部屋を出るときにはまだ着替えていた」
「じゃあもう少し待ちましょうか」
数分後、足音が聞こえたのでそちらを向くと「お待たせしました」と言いながらハナコがやって来た、水着で。
「アウトー!」
コハルはすかさずハナコの水着姿に突っ込んだ。ハナコは突っ込まれた理由が良く分かってないようだ。
「なんで水着なの、体操着でいいじゃない、大体泳ぐ予定ないんだからそもそも水着を持ってくる必要ないじゃない、なんで持ってきてんのよ!」
「水着は濡れても動きやすいですし、汚されても洗濯もしやすいですから汚れてもいい服装ですよ?」
ハナコはコハルの疑問に淡々と答えた。確かにそういわれると体操着よりも水着の方が適しているように思えてきた。ただ汚されてもってなんだ、なぜ受身形なんだ。
「だ、誰かに見られたらどうすんの!」
「ここには私たち以外誰もいませんよ?」
「せ、先生がいるじゃん!」
「あら、先生なら別にみられても構いませんよ? むしろもっと見ていただいて結構です」
そう言ってハナコは先生に笑いかけた。先生は苦笑していた。
「ダメ! エッチなのは禁止! 死刑! あなたは水着禁止!」
「あらあら」
結局ハナコはコハルの言う通り体操着に着替えなおしてきた。
「それじゃ、まずは草むしりから始めましょうか」
私には無理な仕事だ。それを知ってのことだろう。ヒフミは私に自由にしていていいと言ったが、皆が頑張って掃除している中私一人だけ遊んでいるというのは罪悪感に苛まれる。何か私も手伝いがしたいというとヒフミはガラクタを片付けてほしいと言った。
『ガラクタ?』
「はい。別館の裏手なんですけど、多分昔壊れた机とか椅子とかそういう備品が沢山捨てられてるんです。私たちだけじゃ時間がかかりそうなので、レイヴンさんに任せてもいいですか?」
彼女の案内で別館の裏手まで行った。そこにはヒフミの言う通りガラクタが大量に、山のように積み重なっていた。思っていたよりも多いがその分やりがいがあると言えるだろう。
『たくさんあるね。これ何処に持っていけばいいの?』
「向こうの方にごみの集積場があるので、そこにもっていって下さい」
『ん、了解。じゃあ機体に乗るの手伝ってもらえる?』
「はい!」
私はヒフミの手を借りて搭乗し、再び別館の裏手に回った。ACに乗ってから見るとその山は幾分か小さく見えた。早速ガラクタの山から一つかみしてみた。大量のガラクタが掴まれ、一部掴みきれなかった物がぼとぼとと落ちていく。思ったよりも数を掴めなかった。あと十回は繰り返さなければならない。
ヒフミの指さした方向に集積場があるはずだ。掴んだガラクタをこぼさないように歩いていると、恐らくここだろう、ゴミが沢山集められている場所があった。ついでに『集積場』という看板も見つけた。ここで間違いない。このガラクタは一体何ゴミだろう。私は〇〇ゴミと書かれた看板を一つずつ確認していった。
『粗大ごみ』と書かれた看板の下に、いくつか備品らしきものが置かれている。私はその看板の下にガラクタを置いた。別館に戻り、また裏手からガラクタを掴めるだけ掴み集積場までもっていく。それを三回繰り返したころでこれ以上置けなくなってしまった。置き場は仕切りで分かれているのだが、これ以上は他のごみ置き場に溢れてしまう。別館に戻ってヒフミに相談すると、また別の場所に集積場があるそうだ。私は次からそこまでガラクタを運びに行った。
ガラクタを全て運び終わったころ、丁度草むしりも終わっていた。草を抜いた後を少し掃いてから、今度は中を掃除することになった。
「げほっ、げほっ、ここすっごい埃っぽいんだけど」
「家具が多いからでしょうか」
入ってすぐにコハルが咳き込んだ。最初に入ってきた時はそこまで気にならなかったがいざ掃除をしようと意気込むとここは随分と埃っぽい。コハルがここの掃除を申し出た。私も家具を拭くぐらいなら出来そうだったので私もここの掃除を申し出た。
「ではコハルちゃんとレイヴンさんはここの掃除をお願いしますね」と言ってヒフミたちはさらに奥に入っていった。
「あなた掃除の仕方ちゃんと知ってる?」
『いや知らない』
「知らないのに掃除しようとしてたの!?」
『私も何か手伝った方がいいと思って』
「そ、そうなの。じゃ、じゃあ私が教えてあげるわ! しっかり聞きなさい!」
コハルは自分で掃除用具を準備すると、私にいくつか渡し、家具の一つで掃除の仕方を教えてくれた。
「いい? まずは家具の埃を落とすの。それから濡れた雑巾で水拭きする。それが終わったら乾拭きよ」
コハルの指示通りにまずは埃を落としにかかった。渡されたはたきで家具の表面をはたく。埃が舞い上がって私は咳き込んだ。コハルも同様に片目を閉じながら咳き込んでいた。
「うぇ、マスク準備すれば良かった」
はたけばはたくほど埃が舞い上がる。ロビー中に蔓延し目を閉じたり腕で口を覆うだけでは到底耐えきれない。埃の匂いでくしゃみも止まらなくなった頃、コハルは突然走り出し近くの窓を全開にした。
「っはあ! 苦しかった~。窓開けるの忘れてた。あなたも窓開けるの手伝って」
私も近くの窓に腕を伸ばしたが留め具に手が届かなかった。
『届かないや』
「それじゃドア開けてきて。それなら出来るでしょ」
入口のドアを開けると周辺の埃っぽい空気は外の新鮮な空気と入れ替わっていく。私は少し外に出て深呼吸をした。生き返った気分だ。
やがてロビー内の空気は外の空気と入れ替わり、だいぶマシになった。全ての家具から埃を落とした私たちは、はたきから濡れた雑巾に持ち替えた。
「ねえ、その格好どうにかならないの?」
コハルは椅子を拭きながら聞いた。雑巾から手を離せなかったので久しぶりに思考読み取り機能をONにした。
『別にいいじゃない。着たら包帯を取り替えるのが面倒』
「せめてなにか羽織るぐらいしなさいよ! そ、そんなは、はれ、破廉恥な格好して学校を歩き回らないでよ!」
『そんなに変な格好かな?』
「変でしょ!? なんでそんな裸同然な格好するの!」
『肌は全然露出してないなんだけど』
「包帯は服じゃないの!」
『そう言われても、無いものは無いんだけど』
「なんで服持ってないの!?」
『だから包帯を巻き直すのが面倒になるんだって』
「また着直せばいいじゃない! それぐらい面倒くさがらないでよ」
『えー。昔からこれで過ごしてたから今更着たってなあ』
「む、昔から? その怪我昔から治ってないの?」
『手術のせいか怪我が全然治らないんだよね。昔は触れるだけで痛くって服なんか到底着れなかったよ』
「い、今も痛いの?」
『今はそこまでじゃ無いよ。まあもう慣れちゃったからね』
「な、なんかごめん」
『謝る必要はないよ? なんで皆すぐ謝るの?』
「なんか強要させちゃったみたいだから……でも服を着なくてもいい理由にはならないから! 着れるならちゃんと着てよね」
『気が向いたらね』
他の皆も掃除が終わったようで、ロビーにやってきた。
「わぁ、随分と綺麗になりましたね」
「あ、終わった?」
「ええ、布団は今干しているので多分午後には乾いているはずです」
「トイレもピカピカだ。 衛生面はバッチリだぞ」
「レイヴン掃除終わったって」
私とコハルは家具を拭き終わったあと、椅子やソファに座って休憩していた。コハルは私の名を呼んで知らせてくれたが私もとうに気づいていた。コハルは椅子から立ち上がり私のそばにやってきて私の腕と腰に手を回した。コハルの手つきはどの人よりも優しかった。多分私が怪我の話をしたからだろう。
「二人とも仲良くなったみたいだね」
『掃除しながら雑談したからかもね』
「これで掃除は終わりですね。時間はかかりましたがとてもいい気持ちです。これなら勉強にも身が入りそうです!」
「あ、待ってください。まだ一か所残っていますよ?」
教室に戻ろうとする私たちに、ハナコは待ったをかけた。まだ一か所残っているそうだが果たしてどこかあっただろうか。
「え、どこか残ってましたか?」
「はい。プールが」
ハナコに連れられてやってきたのは別館から奥まった場所にあった屋外プールだった。ベンチや飛び込み台などがあって充実したつくりだが周辺の床やプールの槽は黒ずみ、プールの底には黒ずんだ水が溜まってしまっている。
「これは、だいぶ大きいですね」
「どこから手を付けたらいいかわからないな」
「でもこの合宿にプール必要ないんだから別に掃除しなくてもいいじゃない」
「いえいえ、想像してみてくださいよ。この大きなプールで楽しくはしゃぎまわる生徒たち……楽しくなってきませんか」
ハナコはなぜか先生の顔を見ている。先生は顔を反らし顎に手を添えながらしばらく考えその内「ま、まあ?」と生返事をした。
「でも、ここだけ掃除しないというのもなんだか変ですしね」
「このサイズのプールだ。昔はきっと使われてたんだろう。それでも、こんなふうに寂れてしまう。vanitas vanitatum」
アズサは急に聞き取れない言語を話した。ヒフミも「えっ?」と聞き返した。
「古代の言葉ですね。全ては虚しいものであるという意味です」
「すべては虚しい」
「皆さん! 今から遊びましょう! 今から掃除して、プールに水を入れるんです。明日から勉強しなくちゃいけないんですし、この際今日は遊んでしまいましょう」
「え、え、いいのかなあ?」
「うん。そうだな。問題ない、水着もちゃんと持って来てある」
そう言ってアズサはさっさと建物の中に入ってしまった。
「さ、ヒフミさんもコハルちゃんも早く着替えてきてください。先生とレイヴンさんもあったら着替えてきてください」
「い、いやあ僕は流石に準備してきてないなあ」
『私はそもそも着替えの類は持ってない』
「あら? そうだったのですか?」
「僕たちは代わりにプールサイドを掃除するよ」
「ではそちらはお願いしますね」
水着に着替えてきたヒフミたちは早速プールの中に入ったがなぜかハナコはそのままだった。
「なんであなただけそのまんまなのよ」
「スクール水着はコハルちゃんに着用禁止と言われてしまいましたので。安心してくださいこの下に別に水着を着ているので」
「なんでスクール水着以外も持ってるの」
「さあ、早く掃除しちゃいましょう。そしてみんなで遊びましょう!」
ハナコはコハルの疑問を無視してホースを取り出した。それに続いてヒフミたちもモップを手に取った。私と先生もモップを取り出してプールの掃除が始まった。
一万UA突破ありがとうございます! これからも頑張って続けていきます!