シャーレ所属傭兵レイヴン   作:猫又提督

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誤字報告いつもありがとうございます。

今更ですがAC6にアプデが来ましたね。新しい武器に、新しい機体パーツ。早速購入してみたが面白いものばかりですね。特に武器全部ガトリングとかいう頭悪いアセン組めるようになったのはいいですね。

ランクマッチも追加されたみたいで、まあ私はPSplus買ってないんで対人戦できないんですけど。


第28話

 ACに乗ってしばらく待っているとRABBIT小隊が先生と共に出てきた。

 

「お待たせ」

『結局その四人どうするの』

「子ウサギ公園に送ってくれないかな」

『あの公園? 占拠犯を元の場所に戻すってこと?』

「そうだね」

『いいの、それ?』

「うん。僕が決めていいってなってるし、この子達もそっちがいいって言うから」

「さっきから何一人でぶつぶつ言ってんだ。気味が悪い」

 

 本当にこいつら口が悪いな。先生が止めてなければ完全に手を出してたぞ。

 

『分かった。じゃあそれ乗って』

 

 私は輸送ユニットを指さした。

 

「分かった。じゃあ皆、これに乗ってくれるかな」

「なんなのこれ」

「人を運ぶためのものだよ」

「まさかこのロボットで移動するってこと?」

「公園までの距離なら十分歩ける距離ですが」

「この中で絶対あんなことやそんなことをやらされるんだ」

 

 ミユがそういうと他の三人も先生を訝しげな目で見た。私は機体の中でため息をついて『早く乗って』と急かした。

 

 やっと乗ってくれた四人と先生を肩に乗せると、私はその場から飛び上がった。

 

 公園に着くと私はユニットを降ろした。中からは少しふらふらした四人が出てきた。今日は送るだけで終わり、というか処罰はもう終わりらしいので私はユニットを背負いなおしてさっさと帰った。

 

 

 翌日、先生があの四人の様子を見たいというので仕方なくついて来た。別にもう放っておいていいと思うのだが先生が聞かないし、あの四人のことだ。何か危害を加えるかもしれない。

 

 公園の前に下りると先生は歩くと言った。なので先生を降ろし、その後ろからゆっくりとついて行った。公園の道は人にとっては十分に広い道であるがACにはギリギリ通れるほどの幅しかない。両脇にある木のせいで視認性も悪い。頭部分じゃなくて胴体ぐらいの高さの視点が欲しくなる。昨日の喧騒とは打って変わって今日は静かだ。周りの住民もほとんどいなかったし、これぐらいが日常なのかもしれない。

 

「うわっ!?」

 

 先生が何の脈絡もなく転んだ。どんくさいなと思いしゃがむと、先生の足元にはロープが絡まっていた。

 

「と、トラップ?」

「なんだ。やっぱり先生と昨日のロボットか」

 

 木の陰からやって来たのはサキだった。あからさまにがっかりした表情をしている。

 

「な、なんで公園にトラップが。公園にトラップとか危ないでしょ」

 

 先生は足に巻き付いたロープをほどきながら聞いた。

 

「侵入者対策に決まってるだろ」

「あ、先生と昨日のロボットじゃん。そこらへん地雷埋まってるから危ないよ」

「え?」

 

 丁度ロープがほどけた。先生の素っ頓狂な声と張っていたロープが戻っていく音が重なった。先生はその場から立ち上がることもできず座ったままになった。

 

「なんで地雷が?」

「だから侵入者対策だって」

「いくら何でも地雷はやりすぎじゃない?」

「これでも最小限なんだよ。本当は公園の外周に対戦車地雷とか置きたかったのに」

「いや、いやいや。やりすぎだってそれは」

「何言ってんだ。いつまたあの警察のワンコが来るか分からないし、そこのロボットみたいなのが来るかもわからん。特にそこのロボットは今埋まってる地雷が効くかもわからないのに」

「因みに地雷ってどこ埋まってるのかな? 怖くて動けないんだけど」

「具体的な場所は忘れちゃったなあ。爆発すればそこにあるよ」

「そんな無責任な」

 

 生徒や機体が地雷にかかっても問題はないが先生が地雷にかかるのはシャレにならないので、私の手の上に避難させた。そして私が一歩踏み出すと、足元から小さな爆発が起こった。

 

「あ、一つそこに埋まってたね」

「危なかった……」

「サキ、モエ。どうかしましたか……先生たちでしたか」

「ひ、ひいっ。先生?」

 

 騒ぎを聞きつけてミヤコとミユがやって来た。ミユは私たちの姿を見てミヤコの後ろに隠れてしまった。

 

「や、おはよう」

「おはようございます。こんな早朝に一体何の用ですか?」

「大丈夫かなって思って。何か困ったこととかない?」

「大丈夫です。SRTの生徒は皆キャンプには慣れてますから」

「これぐらい朝飯前だ」

「ここは水も使えるから快適だしね」

「木陰も多くて隠れる場所も多いですし」

「だから何の問題も無い。分かったらさっさと帰れ」

 

 その時、全員が硬直し先生が「今の音って?」と言った。私には何も聞こえなかったので先生に何の音が鳴ったのか聞いた。

 

「いや、なんかお腹が鳴った音が聞こえた気がして」

「まさか……雷が近いんじゃないかな」

「それは無理があるでしょ……なんで我慢できなかったのさ」

「しょうがないだろ! 生理現象なんだから!」

「改めてですが、特に問題は無いので——」

 

 また沈黙した。私には何も聞こえなかったが予測は出来た。

 

『また誰かのお腹が鳴った?』

「みたいだね。本当に大丈夫?」

「あ、あの実は」

「そうだよ。昨日から何も食べてないんだよ」

「ここ水はあるけど、逆に水しかないから」

「くそっ、ミサイルなんかより食料を持ってくるべきだった」

「何言ってんの。ミサイルの方が大事に決まってるじゃん」

「は? あんなの持ってたって使わないだろうが。まだライフルの方が役に立つ」

「そっちこそそんな重い教範なんか捨ててその分食料持ってくればよかったじゃん」

「何言ってるんだ。学生が教範を捨てるとかありえないだろうが」

「あーもう。イライラしてきたら余計お腹すいて来た」

「口座が凍結されてるのでお店で買うこともできないんです。このまま私たち餓死していくんだ……」

 

 先生は持っていたカバンからカップ麺を取り出した。

 

「実はね、いろいろと持ってきたんだけど食べる?」

「そ、それはミッシンの鳥ガラ醤油ラーメン!」

「く、くれるんですか?」

「うん、そのつもりで持ってきたから」

 

 ミユが先生のカップ麺に手を伸ばそうとするとミヤコがそれを阻止した。

 

「駄目です。こうして極限にまで追い詰められた状態での取引はよくある手段です。何かしらの懐柔を受ける可能性があります」

「そ、そうだ。第一SRT特殊学園は任務中には何も口にしないんだ。そもそもそれが安全だという保証もない。何かしらの薬物が混入している可能性もある」

 

 それを聞くとミユは手をひっこめて後ろに下がった。モエは訝しげな眼をしている。

 

「それで私たちを懐柔して何をするつもりだったのさ」

「ま、まさか、口では言えないようなことを」

 

 どう見ても未開封なのでそんな可能性は無いのだが、先生は仕方がない、と言ってカップ麺の包装を破いた。

 

「レイヴンも食べる?」

『それじゃあ……カレー味のやつで』

「分かった」

 

 先生がカバンの中から取り出しているうちに私は降りる準備をした。ユニットを取り外して地面に置くと、その横にリフトを置いた。スマホから専用のアプリを立ち上げてボタンを押す。すると箱状になっていたリフトが展開しだした。コックピットを開けて待っていると、展開されたリフトの上部に置いてある車椅子からアームが伸びて私を車椅子まで運んだ。

 

 車椅子が地面に着くと同時にサキが私を指さして声を挙げた。

 

「あ、お前昨日いた……お前があのロボットに乗ってたのか」

「え、うっそ。その姿で乗ってたの?」

「わ、わぁ」

「一体どんな訓練をすればそんな姿に」

「あれ、レイヴンと会ったことなかったの?」

 

 先生は二つのカップ麺にお湯を入れていた。

 

『機体から降りるところ見られたことなかったからね』

 

 私は先生からカップ麺を受け取りながら打ち込んだ。

 

『改めて、私がレイヴン。先生の犬だよ』

「う……昨日の聞こえてたのかよ」

『話し声ぐらい聞こえるよ』

 

 三分経って蓋を取るとカレーのいい匂いがしてきた。朝早くに出てきたのでまだ朝食を食べていない。だからこの匂いを嗅ぐととてつもない空腹感が出てきた。私は先生から割り箸を受け取って割った。持ち手側がとがるように割れてしまった。

 

 キヴォトスに来た当初は箸なんぞ使ったことが無かったので扱いには随分と苦労したが最近になってようやくまともに扱えるようになった。まだ小さいものを掴むのは難しいがカップ麺程度なら難なく食える。

 

 先生も同様に蓋を開けた。カレーの匂いと醤油の匂いが辺り一面に広がった。

 

「う、ぐぅっ」

「ああ、いい匂い」

「こ、こんなもので屈して溜まるか!」

「まだあるから好きなもの選んだら?」

「結構です。そんなもので私たちの意思を折ろうとしても無駄なこと。一度屈してしまえば同じような手口で先生の策略に巻き込まれることになるでしょうし」

「たかがカップ麺なんかに屈するか!」

「そっか」

 

 そう言って先生はカップ麺をずるずるとすすり始めた。私もまだ少し手慣れてない手つきで麺を掴んですすった。うん、おいしい。カレーは万能だ。ご飯にもパンにも合うのだから。

 

「やばい、これはやばい」

「こ、こんな時こそ深呼吸だ。薬物を使用されたときの対処法で習っただろ!」

 

 そう言ってサキは大きく深呼吸をした。この状況だと余計にお腹がすくと思うのだがその対処法は適切なのだろうか。

 

「あー! めっちゃいい匂いしたあ!」

 

 予想通りサキは膝をついて叫んだ。ついでに派手にお腹の音も鳴っていた。

 

「うーん。外で食べるカップ麺ってなんでこんなにおいしいんだろうね」

『外で食べると何でも美味しくなるよね』

「それだ」

 

 半分ほど食べたところで先生は鞄の中から温泉卵を取り出してカップ麺の中に割いれた。そして私にはチーズを一枚渡してくれた。私はそれを受け取りカップ麺にいれた。少し混ぜてから麺を掴むと一緒にチーズも伸びてくる。

 

「そ、そんな。このタイミングで温泉卵だなんてずるい!」

「カレーにチーズだなんてそんな悪魔的な組み合わせをするなんて!」

「ああ、絶対美味しい」

「あそこまでされたらもう」

「だめだ、もう我慢できない」

 

 先生はサキの発言を聞くとカバンの中に入ったカップ麺を見せながら言った。

 

「食べる?」

 

 その問いに四人は間髪入れずに食べる、と答えた。カップ麺を受け取ると皆死に物狂いで包装を剥ぎ、お湯を入れると三分も待っていられないという様子で二分ぐらいで食べ始めてしまった。

 

「ヴァルキューレに編入したらどう? 食料面を見てもそっちのほうがいいと思うんだけど」

「やっぱり食料で釣るのが目的だったんですね」

「これが大人のやり方か。汚いぞ!」

 

 文句は言うが四人の箸は止まらない。それじゃあ、と言って先生は一枚の折りたたんだ紙をミヤコに渡した。ミヤコはその紙を開くと中のメモ書きに目を通した。そこにはエンジェルマートの住所が書いてある。

 

「これは?」

「少なくとも僕からの施しっていう形にはならないから。もし気が向いたらそこに行ってみて」

 

 私たちはカップ麺を食べ終わるとすぐに片付けてシャーレに戻った。

 

 シャーレに戻った先生は机の上に積み重なった書類に手を付け始めた。私は文字を打ち込み、モニターに表示させた。すると通知音のようなものが鳴り、書類に向いていた先生の目線は私に向いた。

 

『あの四人来るかな』

「どうだろうね」

『プライドが高そうだからコンビニの廃棄品を渡したら逆に怒りそうだけど』

「まあ、手段の一つとして提示しただけだから。あの子達が別の手段を見つけたのならそれでいいさ」

『お人好しだね』

「僕は先生だからね。生徒の面倒はちゃんと見ないと」

 

 数時間後、エンジェルマートに寄ると、ソラが廃棄品が減ったと嬉しそうに話してくれた。

 

 

 数日後のこと、先生は再び四人の様子が見たいと言った。食料の確保もできているしもう心配することは無いだろうと思うのだが、それでも一応と言ってきかない。その机にそびえる書類を見る限り、仕事から逃げたいのかもしれない。私はもう何も言わずに先生を公園まで送った。

 

 公園についたが前回のことを考えると先生をそのまま歩かせるのは危ないので、手に乗せたまま公園の奥まで歩いた。中央まで入ると何やら言い争う声が聞こえてきた。

 

「皆さん落ち着いてください。SRTが弁当一つで争うなんてみっともないですよ。弁当ぐらいどれも一緒なんですから」

「じゃあミヤコはどれにするんだ」

「えっと……この唐揚げ弁当で」

「一番高い奴じゃねえか!」

 

 私たちが四人の前に姿を見せると全員言い争いを止めてこっちを向いた。

 

「やあ。いろいろと大丈夫そう?」

「もう、こんな時に限って」

「あ、あの。別に弁当で言い争いになっていたわけじゃないんです」

「そうだ。仲良く弁当を分け合ってただけだ」

 

 別に弁当を取り合ってたぐらいで何も言わないがなぜか必死に弁明しようとしている。プライドが高いせいかもしれない。弁当で言い争うような集団だと思われたくないのだろう。つまらない意地だ。

 

「そ、そう? 仲がいいんだったらそれでいいんだけど」

「喧嘩しているように見えたなら目を洗った方がいいな」

 

 それじゃあ私はメインカメラを洗った方がいいのかもしれないな。

 

「私たちは正当な話し合いをしていただけだ。それが望まぬ結果だとしてもその人の意見を尊重して——」

「じゃあこの焼肉弁当は私ので」

「だぁっ! 待てよ、まだ話し合いの途中だろうが!」

「なによ人の意見は尊重するんでしょう?」

「意見も何も結論しか言ってねえだろうが!」

 

 サキとモエは焼肉弁当を持ちながら口論を始めてしまった。焼肉弁当が引っ張り合われている。先生はそれをにこやかに見ているし、ミユは口論を止めようとしているのだがおろおろするばかりで何もできていない。ミヤコは額を押さえていた。

 

「すみません。お恥ずかしいところを見せました。ですが特に困ったことはありません」

「食料も廃棄弁当で何とかなりました」

「コンビニの廃棄弁当で屈辱を与えて私たちの意志を折るつもりだったんだろうけど、先生の策略には飲まれないからね」

「ああ。だから先生の助けなんかもういらない。だからさっさと帰りな」

「でもちょっと顔色が悪くない? 具合とか悪い?」

 

 私にはサキの顔色は特に変わっていないように見えるが先生はそう見えたらしい。サキへ近づこうとすると、彼女は慌てて後ずさりながら先生を止めた。

 

「わわっ! バカ、近寄るな……」

「え? 匂い?」

 

 私には最後の方が良く聞こえなかったが、先生はそう言って自分の匂いを嗅ぎだした。

 

「うーん。最近忙しくてシャワーしか浴びれなかったからかな? 僕ってそんな臭い?」

『いや別に。臭いと思ったことは無いけど』

「ち、ちがっ。とにかく私に近づくな! 本気で殴るぞ!?」

 

 先生は困惑したが、次にミヤコに近づこうとした。するとミヤコは突然発砲した。先生はその場に立ち止まり一瞬の静寂が訪れた。私はすぐにミヤコへ銃口を向けた。こいつは今あきらかに先生へ向けて発砲した。




最近一段と冷え込んできましたが体調は大丈夫でしょうか? 私は昨日強いめまいと吐き気で立てなくなって三時間ぐらい寝込んでました。皆さんも体調管理は気をつけましょうね。
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