イケメンに弱い宿儺様   作:エレメント

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弱み

 

「ごめーん、悠仁。宿儺。ごめんってば、笑って悪かったよ。内緒にするからさ」

 

 コンコンと五条が部屋をノックする。ええいしつこい輩め! 顔さえ見なければ貴様など! ドアをしっかりと後ろ手に抑え、絶対に侵入を許さない構えである。

 

「人間に慈悲などない事など、知らぬと思ったか!」

「せんせー、この件に関しては俺、宿儺の味方だから」

 

 ほんっとうに大変だったんだからな! 

 ちなみに、万一部屋に侵入されてもいいように目隠しを付けている。

 はっ 気配が目の前に! やはり侵入してきたか!

 体を貸せ、悠仁!

 

「ウケる。僕の真似かな?」

「こんにちは死ね!」

 

「目隠ししての戦闘は、僕の方に分があるかな―♪」

「くっそ死ね! 死ね死ねし……」「うわ、宿儺ここで交代する!? 俺にもギフトの影響あるんだけど!」

 

 目隠しを取られ、その顔を見せつけられて俺は逃げた。

 まずい、まずいぞ! 悠仁の頬に口を出し、精一杯の威嚇をする。

 

「いいか! よく聞け、人間! 我が尻尾を振っていると勘違いしてみろ。我が臓物は確かに憎しみに茹だっているのだ。精霊の加護さえ緩めば、その限界まで押さえつけられた憎しみはまっすぐに貴様へと向かうぞ!! その事をよくよく心に刻むのだな!」

「え。そんな深刻なの? そのギフト」

 

 笑うと言うよりも、ちょっとびっくりした様子で五条は言う。

 

「宿儺、とりあえず黙ろう」

「僕はもうちょっとお喋りしたいなぁ♪ 精霊の加護って何かな」

 

 ぐぬぬ! 俺は寝る!! 五条の美貌が衰えるまで!

 

「あー、まあ、これ以上墓穴掘るよりそのほうが良いか……。先生、宿儺、先生の美貌が衰えるまで寝るって。……ああ。本当に寝たな。先生の美貌の圧力減ったかも」

 

 zzz……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――あ”ー!! 宿儺っ 宿儺ーっ!!! 起きろ、本気で起きろ!!!

 

 ふぁ!? ななな、何だ何だ!?

 指が追加で増えた衝撃と虎杖の悲鳴で強制的に目覚める。

 それと同時に、虎杖が奥に飛び込んできて、押し出されるように俺は表に出た。

 出てしまった。

 

「なんだなんだなんだヒェッ!?」

「あ、出たね宿儺。ヒェッて」

 

 クスリと五条 悟は笑う。なんで素顔の五条 悟!!?

 

『貞操の危機だった! マジでマジで! 宿儺なんとかして!』

「この変態教師が! 俺の宿主になにかしたら殺すぞ!!」

「はいはい、その手を取ってから言おうね」

 

 目を隠しながら言うと、馬鹿力でその手を外される。

 

「そうだね。とりあえず、僕の目を見て動くな」

 

 くっ……!! その美しい目、吸い込まれそうだ……あー! 言う事聞いちゃいたくなる! 死ね! 死ね、精霊共! 滅しろ!! 美貌に死ねと言えんあたりほんとこの加護、業が深いな!?

 

「やっぱり、命令には逆らえない感じかな? 命令ほど絶対でもない感じがするけど。ごめんね、虎杖でちょっと実験させてもらった」

 

 その言葉に、虎杖の手に刺し傷があるのに気づく。すぐに反転術式で治した。

 

「あ、悪いね。後で治すつもりだったんだけど」

 

 思考が冷水を被せられたかのように冷える。すまない、虎杖。怖い思いをさせた。

 多分、これからもっと酷い目に合う。

 

「そんなに警戒しなくても……ってのは無理か。【美貌に弱い】、ね。約束するよ。内緒にする。こんなの上層部にバレたら大変な事になるからね。いくつか確認をしたら、宿儺の前では出来るだけ目隠しをするようにする。といっても、僕は忙しいから、護衛をさせる恵と野薔薇には話すけど」

「縛りを結ぶとでも言うのか?」

「それは無理かな。不測の事態も考えられるしね」

「はっ 薄っぺらい約束だな」

「これからの行動で信じてもらうことにするよ。精霊の加護って、どんな物なのか教えてもらえないかな」

「……異世界のギフトだ。知識だけはあるから、案外、俺は異世界人の転生体なのかもしれん。そうだな。ギフトについて、わかり易い例がある。【人助け】というギフトだ」

「人助け?」

「そうだ。ある所に、正義感溢れる男がいた。男は精霊に祈り、ギフトを与えられた。男は精霊から与えられた人助けというギフトに、たいそう喜んだ。これこそが自分にふさわしいギフトだと。男はギフトを活用し、多くのものを助けた」

「【気配察知】や【警告】はわかりやすいけど……【人助け】に【美貌に弱い】かぁ……色んなものがあるんだね。ちょっと想像がつきにくいな」

「そして、ある日の事だ。下衆な男が、亜人……この世界では想像上の生物である獣人だな。その娘を犯し、酷い殺し方をした。当然娘の家族は怒り、下衆な男に制裁を加えようとした。【人助け】を授かった男は、気がつけばギフトの命ずるまま、亜人の家族を殺していた。【人助け】は、亜人と人が争えば、必ず人に味方させた。善悪など関係なくな。男は発狂したが、一度授かったギフトは返上できず、その者を縛る。その後、魂を侵食されてギフトに操られる人形になったのだったか、何らかの方法を得て自由を得たのか……それはわからないが、まあ、ギフトとはそういうものだ」

「天与呪縛みたいなものかな」

「精霊の悪意が介在しうる時点で違う。一応、美貌に弱いにもメリットは有るがな。クソみたいなものだぞ。美貌からの攻撃が効き難くなるなぞ。しかも申し訳程度の効果だ。生まれといい、本当によほど酷く精霊と敵対して死んだとしか思えん」

「ふぅん……試していい?」

「死ね」

「どの程度の強制力があるか軽く確かめるだけだから」

「加害者はいつもそういう」

「そんな酷いことはしないよ」

「加害者はいつもそういう」

 

 その後、体を傷つけられ、体を傷つけさせられた。

 きちんと反転術式で癒やさせられたが。その後、どのレベルの美貌なら有効かも調べられた。ぬぬぬ、屈辱。

 

「ということで、恵! 野薔薇! 悠仁の護衛は頼んだよ!」

「美貌に弱いってギャルかよ」

「難儀な天与呪縛だな……。メリットのない天与呪縛とか最悪だろ。男でも女でも有効なのか?」

「ところで、虎杖……あたしは?」

「へ?」

「あたしは?」

「え?」

「あたしには弱くなんねーのか?」

「はいはい、二人共一応極秘任務だからね。虎杖の護衛は頼むよ」

 

 そして、2年生と顔合わせしつつ交流会である。

 

「真希先輩はセーフなのか?」「セーフ」

「パンダはセーフ、だよな」「おう」

「棘先輩は? 先輩、ちょっと素顔見せて!」「……!」

 

 伏黒と釘崎はなるほど、と頷いて狗巻先輩の襟元のジッパーを上げた。

 

「虎杖ぃ! 棘さんはアウトで真希さんはセーフってどういう了見よ!!」

「お、俺に言うなよ! 精霊に言えって!」

「お前ら、極秘なんだから騒ぐな!」

「「「???」」」

 

 最大の敵が味方にいる状態で交流会スタートである!!

 

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