イケメンに弱い宿儺様   作:エレメント

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救済

「少し遠くまで出かけるぞ」

 

 責任問題になってはいかんからな! 我らはちゃんと報告の出来る偉い子なのだ。

 

「あんな爆弾発言の後で許可が出るわけないでしょ。今襲撃の後始末で大変なんだから、良い子にしててもらえないかな。というか、勝手に出ちゃダーメ」

 

 実際、五条は書類を持って忙しそうにしていた。

 

「別に自分を助けに行くわけではないぞ。メカ丸を助けに行くのだ」

「メカ丸?」

「呪霊と縛りを結んでいるようなのでな」

「それ早く言ってもらえないかな?」

 

 ガシッとアイアンクローをされ、虎杖が中で痛い痛いと訴える。

 

「呪霊側からの京都校のメンバーを傷つけないという契約を破棄したタイミングで助けに入ることが重要なのだ。彼奴の治療が契約を破った対価なのでな」

「治療? そうか、メカ丸の天与呪縛か……なるほど」

「そういうことだ」

「そういう事か……。メカ丸。どうせ聞いてるんだろ? 今のうちに降伏しな。すぐ助けに行かないと君が危ない」

『……ワカッタ』

 

 トンボ型のメカが降りてくる。なんと。展開が早いな。

 

「他には?」

「うむ……。そうだ津美紀が危ないのだった。津美紀に呪いをかけた呪霊を倒さねばならぬ。あとそこに俺の指がある」

「なるほど。罠を仕掛けるにしても、宿儺は居ないほうが良いか。……よし。七海を寄越す。呪いを祓いに行っておいで。ただし、七海と恵と釘崎と離れては駄目だよ」

「そうだ、ついでに吉野順平……呪霊と一緒にいた子の住所を教えてくれ」

「何故僕が知っていると思ったの? 名前さえわかれば、探せると思うけど。伊地知に探させるから、呪いを祓った帰り道にでも寄っておいでよ」

「うむ。俺が見事高専に引き込んでやろう」

「後、黙っていることはないかな?」

「傑の体が呪霊に奪われて辱められてるぞ」

「待って」

「では、俺は津美紀を救わねばならぬのでな」

 

 そうして、引き止める五条を振り切って呪霊を退治しに来たのだが。

 

「逃げなさいっ 虎杖くん! 宿儺!!」

「ナナミンっ」

 

 いや、まさか真人と出会うとは。

 

「いや、良いこと聞いちゃってさぁ。宿儺の中の人チェンジできるんだって? いいな、チェンジしたい。チェンジで」

「お断りだ」

 

 まだ指は4本。3人を庇った状態では分が悪いか……!

 

「一緒に来てもらうよ」

「っ」

「はい、そこまで」

 

 そこに現れたのは、五条 悟!!

 

「人質交換と行こーか♡」

 

 火山の首を投げ出し、俺達を回収する五条。おおっ 頼もしいぞ。さすが最強!!

 

「傑の体もすぐに返してもらうよ」

「っ 何でもお見通しか。未来からの転生体ってのは事実なのかな?」

「情報がダダ漏れではないか」

「お互いに、ね!」

 

 真人は破裂する。逃げられた。

 

「メカ丸は無事。むしろ前より健康だよ。ただし、上は1人しか捕まえられなかった。蜥蜴の尻尾切りって所かな。まだちょっとバタバタはしているけど、ひとまず安全かな。吉野順平の家はもぬけの殻だったし、ひとまず戻っておいで」

「思ったのだが、もう少し虎杖たちは特訓が必要だな」

 

 原作の方が強かった気がする。

 

「ん。お望みなら僕が訓練をつけてあげるよ」

 

 ということで、戻って高専内でおとなしく訓練をしていたのだが。

 特訓のあと、甘味を食べていると五条が厳しい顔で告げてきた。

 

「通り魔や犯罪者が殺される事件が全国で相次いでいる。特に学校は鉄壁の守りと言っていい」

「!?」

『なりふり構わんな。どうあっても転生をさせないつもりか』

「君には、どうしても転生してもらわないとならない。だから。僕が直接殺ることになった」

「はぁ!? どういうことだよ、先生!」

『正気か? それで転生がうまくいくかはわからんぞ』

「何もしないよりはいい。君が死んだ時の時間と状況を話して欲しい。大丈夫。僕最強だから。ちゃんと、君が憎めるように殺してあげる」

『……見殺しにすることは承諾した。だが、これは……っ 俺は! 俺は! 殺されるのが大嫌いだ! これだけは譲れん!!』

「宿儺っ……! どうにかならないのか、先生!」

「こればっかりはならないね。……ごめん」

 

 そして、五条は俺を引き寄せ、素顔を見せた。

 

「さあ。話して。君がいつどこで、どんなふうに死んだか」

 

 荒れた。荒れに荒れた。

 俺が暴れようとする前に、釘崎が荒れまくって俺は何も言えなくなった。

 釘崎がガラにもなく泣くから、泣けなくなった。

 幸吉が土下座して、伏黒がぶん殴って、本当めちゃくちゃで。

 

 虎杖も一旦、拘束されることになって。

 

 御札の部屋で、拘束されて、俺はその時を待ち続けることになった。

 

「ごめん、ゴメンな宿儺。俺、何も出来なくて……!!」

 

 お前が謝るな。巻き込んですまない。

 

 ああ、時計の針が進む。心臓が破裂しそうなほどドキドキする。

 怖い。

 

 そして、俺の意識は、体は。

 

 

16:00。

地下牢

 

虎杖は、生得領域で宿儺を抱きしめていた。

西洋風の部屋が、骨と血の池となる。

 

「すく、な……?」

「触るな下郎」

 

 虎杖を切り裂いた両面宿儺は、恐れていた通り、中身が違っていた。

 

 虎杖と両面宿儺は、双方ふらつきながら頭を押さえる。怒涛の如き記憶が流れ込んできていた。

 

「お、れは……宿儺? 宿儺ぁ!」

「気安く呼ぶな!」「お前じゃねぇよ!」「知っておるわ馬鹿め! 馬鹿な、俺が両面宿儺として産まれなかった場合の記憶だと……!? 呪術師だと、この俺が!」

 

 虎杖の中にも、確かに記憶がある。両面宿儺の記憶。順平が殺されたこと。

 嘲笑されたこと。自身の死。忘れろと言われた縛り。全て、全て。全て。

 

「宿儺……宿儺のところに行かないと。探さないと! 失敗した上、宿儺の前世が死んでたら、何のために……!」

 

 

 

 

16:00

高専

 

「あ。あああ。ああああああああああああああああああああ!! 失敗してんじゃない、これで宿儺死んでたらマジ五条先生殴る!」

「俺も」

 

 違う世界線の記憶が流入する。

 それは、そういうことだった。任務失敗。

 

「高校へ向かうぞ、釘崎」

「うん!」

 

 

 

 

 

 15;30

 高校近くの公園

 

「せめて、苦しまないように殺してあげたかったけど」

 

 それでは、未来が変わってしまう。半端に生かして、悲鳴をあげられるようにしないといけない。しかも、それでうまくいくとも限らない。

 

「気分の悪い仕事だよね、全く。そうは思わないかい? 傑」

「ちょっとは動揺して欲しいな」

「ま、覚悟はしていたから多少は、ね? それにしても、腐った蜜柑ってほんと頭おかしいね。自分たちの存在に関わることなのに、彼女の場所を漏らすなんて」

「私達は君をマークしていただけだよ。より確実にするために、絶対に君が動くと思った。そして、私達は少し未来を変えるだけでいい。私達の勝ちだ」

「そうかな? 君達を静かに速やかに殺して、その後に宿儺の前世を殺す。簡単さ」

 

 戦いが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

15:55

高校教室内

 

「やっば。早く行ってお使い終わらせておかないと、テレビ始まっちゃう」

「じゃあね、また明日」

「また明日!」

 

 急ぎ足で校門へと向かう。

 校門を通り過ぎた時。トスッと小さな音がして、衝撃。

 

「ぐっ……。に、げて」

 

 小さな声。

 目隠しの不審者。ナイフ。血。

 

「っ ……失敗か!」

 

 つぶやかれた言葉。

 私は、悲鳴を上げるべく口を開き、その口を防がれてパニックとなる。

 

「だーいじょうぶ。今は逃してあげるから」

 

 そして、ふわりと体が浮く。こわい、こわい、こわい!

 振り向くと、そこに額に傷跡のあるイケメンがいた。

 

 目が合うと、にこりと笑う。

 

「それでいい。私のことだけ見てて。落ち着いて。安全な場所に移動するから」

「は、はい♡」

 

 う、うわあ。男の人に抱きしめられちゃった。って、そんな場合じゃない!

 

「さっきの子は……!?」

「大丈夫だよ。……ぐっ」

 

 私達は、同時に頭を押さえる。

 

 いやっ 怖い! 私の足元に、気持ち悪い化け物がいるのがみえる。

 こいつに乗ってたから浮いてられたんだ。

 

 ……気持ち悪い? 私は呪霊で、呪いの王なのに?

 

「な、なにこれ……いや……いやあああああああああああああああああああああああ!!」

 

 服が破けて、体に刻印が浮き出てくる。

 慌てず騒がす、格好いい人は私に上着を羽織らせてくれた。

 

「……ふむ」

「なに!? 何なんですか、何が起こって……」

 

 そう言っている間にも、ものすごい情報が頭に流れ込んでいく。

 そうだ。私は……私は……!

 

 私が救うはずだったリールは!? 私が生まれ変わらなかったら、どうなっちゃうの!?

 

 でも、今更遅い、全てが遅い。

 ああ、なんてこと。なんてこと。なんてこと。救済はなってしまった。

 私は救われてしまった!!

 

 因果が流転する。

 

 人の生死こそ影響はなかったけれど、生きているすべての人達にあるべきはずだった記憶が世界中にばらまかれ、同時にその記憶に対する恐怖が起点である私に集まり、呪いを形作っていく。

 

 両面宿儺が恐怖を集めて真の呪いとなってしまったように。

 私は、私は、再度呪いとなってしまった。

 

 ああ。ああ。ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!

 

 私は、俺は、夏油を弾き飛ばして、走った。

 お母さん! お母さん! お母さん!

 

 急いで走って、家に飛び込んで。

 

 そこは赤く染まっていて。

 

 笑う真人が、赤い、紅い、果実のようにまんまるに膨れた「それ」を手にクスクスと笑っていて。

 

「あ、待ってたよ、宿儺の中の人? 無事チェンジできたようで良かったー。……いいね、その顔。でもなんで呪霊になってんの? まあいいや、ちょっと好みのタイプかも」

 

 果実から、聞き慣れた、何よりもまた聞くことを乞うていた声が聞こえた。

 

「コロシテ」

 

「……してやる。

《殺してやる!》(溺れて死ね!)!

《殺してやる!》(埋もれて死ね!)!

《殺してやる!》(燃えて死ね!)!

《殺してやる!》(切り刻まれて死ね!)!」

 

水が、土が、火が、風が真人を襲う。

 

「あっは。君の殺意って、とっても可愛いね」

 

 ああ、薄っぺらな言葉。薄っぺらな魔法。薄っぺらな。薄っぺらな。薄っぺらな。

 

「あああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 私は爪を振り回し、獣のように飛びかかっていた。

 




探してくれてた人がいたからって思いましたが、
やっぱり別作品でしたかね。
思い上がりでした……。

読んでくれる人いなさそうでしたら、そっと消します。
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