8年ぶりに合った彼女が病んでいた件について   作:赤い靴

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3話 書店、18禁コナー、委員長。何も起きないハズもなく

「お兄ちゃーん。朝だよー。昨日からずっと寝てるねー。起きなー。一緒にランニングに行こうよー」

 

 千蒼(ちひろ)は義理の兄である、章文(あきふみ)の部屋に入った。

 気持ちのいい気温の日曜日。連日快晴の、胸がすくような天気。ランニングをするには完璧な天候だった。

 

 本来であれば日曜日の学業は休みが多いが、志紀(しのき)兄妹が入学した高校は『自習学習』と題し出席を取らない日として開かれている。これも進学校の所以である。

 

 しかし、勉強など自身で解決できる章文と、そこまでして勉強したくない千蒼は、日曜日ぐらい家で過ごす事を決めていた。

 家族とのスキンシップを大切にする想いがある為であった。で、あるからして、千蒼は章文の部屋に侵入しているのだ。

 

「くぅー……、ぐぅぅぅ──…」

「お兄ちゃーん……朝ですよー……ランニングに……。熟睡中だ…」

 

 千蒼は辺りを見渡す。

 脱ぎ捨てられた制服とワイシャツと乱雑に置かれたカバン。

 机の上には難しそうな本が積まれており、パソコン前のキーボードはひっくり返っていた。マウスは床に落ちている。

 

「昨日帰ってから急いで部屋に行ったきり……。何かあったのかな?」

 

 千蒼は知っている。こう熟睡している兄はそう簡単に起きない事を。彼が中学生の頃から今に至るまで、千蒼による『いたずら』はバレていない。それが千蒼に拍車をかけた。

 まず最初にランニングウェアを脱ぎ、昨日章文が脱いだであろうワイシャツを着る。兄の自室に入り、ソコまでにかかった時間は1分未満である。恐ろしく手馴れていた。

 その後、ワイシャツに染みた匂いに包まれながら、カバンのファスナーを音が鳴らないよう、ゆっくりと開けた。兄の荷物をチェックする為だ。そして愕然した。その赤い箱を手に取り、穴が開く程見つめる。

 

『日本産の0.01ミリ!!薄さを越えろ!!3枚入り』

 

 封は切れていた。中身を慎重に取り出す。これは夢だ、何かの悪い冗談だ、と思いながら。

 

「1つ無い……!!まさか…結衣さんと…もう…!?」

 

 千蒼の行動は早かった。

 熟睡する兄の上に馬乗りをし、上半身の重さをゆっくり兄へと移す。

 

「ぅぅうぅ……これがぁ…アフリカゾウのぉ…重さぁぁかぁぁ……」

「誰がアフリカゾウよ…」

 

 寝言を言う章文に、千蒼は小さな声で突っ込んだ。勿論、それはただ一方的なモノで、その返しは来なかった。

 そして千蒼は彼の首元に口を付け、キスマークを付けた。1度ならず2度、3度と繰り返す。

 10分後。気が済んだのか千蒼はゆっくり立ち上がり戻ると、ランニングウェアを拾い上げた。

 

「絶対に…振り向かせてみせるから…!!」

 

 そう言って部屋を出、洗濯機にワイシャツ、タオルや衣服と共に洗剤を入れ回した。

 40分後には終了するだろう。千蒼はデジタル時計にアラームをセットし、外に出た。

 今日は本当に運動日和の天気であった。

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

 僕が目を覚ましたのが10時手前。熟睡していた。その所為もあってか…謎に身体が重く軋む。

 まぁ、風呂も入らず寝てしまったのが原因だろうな。階段を降り、脱衣所で服を脱ぎ洗濯機に入れ、簡単にシャワーを浴びる。

「ぐぅ~」とあり得ない程にお腹が鳴っていた。髪を乾かし、少し遅い朝食を食べにリビングに行く。

 

「あ…お、お兄ちゃん、オハヨー」

「おはよう…お前は早いな……。ホント、昨日と逆じゃなくて良かった…」

「ん?どういうこと?」

「なんも無い」

 

 千蒼からは石鹸の香りが漂っていた。きっと、朝早くからランニングでもしたのだろう。天気いいし。僕も一緒に行けば良かった…気持ちいいだろうな…

 

「お兄ちゃん、さっきさ…シャワー浴びてたけど…何か異変どかあった…?」

「異変?…シャンプーは変わらないし…洗顔も終わってなかったし……。ワカラン」

「あっ、そうなんだ。私もランニング後にシャワー浴びてさ、温度を上げたんだよね」

「1℃、2℃の変化じゃあ、僕は気づけない。つうか、そこまで気にして生活してねぇわ」

「そう?なら良かった。あははは」

 

 僕は戸棚から、マイマグカップを取り出しコーヒーを作る。そして、その辺にあるパンを切り分けテーブルに置き、椅子に座る。

 テレビは妹が占拠している。その為、撮り溜めしたドラマを片耳に食事を進めた。

 

「なぁ千蒼。これから僕さ、書店に行こうと思うんだけど…一緒に行くか?」

「ううん、私はコレ見てるからいいや~。本はあんまり好きじゃないから~」

「おいおい…。その言葉、親父が聞いたら泣くぞ?……アレ?親父は?義母さんと買い物か?」

「ママは朱音と買い物。あっ…そうそう。朝早くにね、パパの編集者さんが来てパパを拉致したの~。最長で3日間、監禁するって」

「へっ、ざまぁねぇな」

 

 昨日を思い出す。あぁ、いい気味だ。僕は嬉しい。

 

 食事を終え、食器の片づけを済まし、僕は自室に向かい着替えた。

 財布には数枚の諭吉。所詮、本だけだし十分だろう。それと充電されっぱなしのスマホを手に取る。

 

「?」

 

 いままで触れていなかったので、通知が溜まっていた。

『99+』。初めて見るソレに若干興奮しながら、その送り主を確認して血の気が引いた。

 結衣であった──

 

 簡潔にまとめると『生きているか?』『連絡先は有っているか?』『テストの件で、勉強を教えて欲しい』『日曜日は用事があるから、また月曜日』の4つだ。

 僕はそれぞれの回答をするため、スマホの画面を操作する。

 

「これで良し。んー、テスト勉強か…。結衣用の参考書も買っておこう。うん、そうしよう」

 

 そうして僕は玄関を出た。

 街の地形はまだ頭には入っていないので、地図アプリを駆使し、品ぞろえが多い店を調べ上げ、自転車を漕ぎ始めた。

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

 結衣への参考書はすぐに決まった。僕の独断と偏見によるものだが『面白さ』を重視した。

 勉強に対し「面白い」か「面白くない」の2つのパターンがある。「興味が無い」は「面白くない」に分類しよう。

 僕の経験上やはり「面白い」と感じる人の方が良く伸びたり、テストの点数が良かったりする。

 しかし中には「面白くない」に属しながら、満点をとる変態が居るが…そいつは真の天才なので無視する。

 

 まぁつまりは、結衣と僕の参考書も決まったので、少し店内を見て回ろうと考えついた。

 日曜日だからか売り場関係なく、人は点々と居りその皆が学生のようだった。

 

「おいおい……まじかよ…!」

 

 進学校から近くは無いが、アクセスし易いにも関わらず、なんと盛大に、18禁コーナーがあるでは無いか!!!

 暖簾の隙間から見えるは紙媒体の本や、レンタルビデオであった。

 ここの店長とは話が合いそうだ。語り明かそう、明かし語ろう。紙媒体の叡智なる書物について!!!!

 

「あっ。じゃあ…いってきまーす」

「何処によ?」

 

 暖簾に手を付けた瞬間、僕の背後から声が掛かった。

 重たい鉄の様な女性の声。まさか…高校の教師か!?

 

 振り返るとそこには、僕と同じ年頃の女の子がいた。

 すっきりとした藍色のショートボブ。今日の自主学習に参加したらしく制服姿で、ややタレ目。そこから放たれる微笑は仏のような包容力を感じた。

 だが僕の状況はヤバい事には変わらないので、白を切る為に嘘を吐いた。

 

「ごめんなさい。多分人違いだと思いますよ?こう見えて僕は20歳ですし、会社員です」

「そう?その籠に入った参考書はどうなの?」

「妹のですよ…。今年で高校2年。今からでも大学受験の勉強は早くないハズですよ」

「ん~。頭が回るヒトは厄介だな~」

「ハハハ、頭が回るも何も、真実を語っただけですから。では、失礼」

 

 再度僕は、その煌びやかな暖簾に右手を伸ばした。その時であった。彼女が僕の左手を取り、進行を妨げたのである。

 

「いや…なんですか?」

「なんですか、じゃなくてさ……。私、貴方と同じクラスメイトなの。だから、貴方の名前も知ってるわ」

「えっ…!?」

「やっとコッチを見てくれた。じゃあ自己紹介しようよ」

 

 その少女は半歩下がり、軽く頭を下げて行った。

 

「<榎本(えもと) 綾香(あやか)>です。貴方のクラスの委員長をしてます。よろしくね?志紀(しのき) 章文くん」

「えっと…。……。僕の名前を言ってしまっては…自己紹介の意味が無いじゃんか……」

「あ、そういえばそうね。ごめんね、聞かなかった事にして。お願い」

 

 両手合わせ、綾香は僕に謝った。腕を出したことにより、彼女の大きな胸が目立つ。まるで「スイカだ…」と、呟いてしまった。声に出てしまった。

 

「…ん?何がスイカなの?まだ季節じゃないと思うけど…」

「あぁイヤごめん!……鮎!!鮎みたいに綺麗だなって!…ほら良く言うだろう?鮎はスイカの香りがするって…」

「え…まって……意図が良く分からない……」

「鮎は『清流の女王』って言うだろう?それだけ僕にとってキミは、綺麗に映ったんだよ」

「え、あ、んん?あ、ありがとうございます?」

 

 綾香は戸惑いながらお礼を言った。実際、その容姿は美しかった。だが結衣の方が可愛いけどな。

 

「じゃあ委員長。また月曜日に教室で会おう。またね」

「あ…そ、そうね。月曜日に…」

 

 それを聞き、僕は(きびす)を返す。今度こそ、18禁エリアの暖簾に手を掛けた。

 

「いやいやいや…だからね。さっきから何も解決してないのよ」

「いいじゃんか、この先に入ったってさ。本一冊買えば、この店の利益になるんだぜ?」

「でも章文くん、17歳だよね?その先は18歳以上じゃなきゃだめだよ?」

「そんな事いってしまえば、この世の10割の少年が飢え死にする。たまには毒も啜らないとイけないんだ」

「そんなに男の子って大変なの!?」

「あぁそうだ。気を許せば、人格が乗っ取られるからな。と、言う事で…じゃあまた明日」

「じゃなくてさ…!」

 

 グイ、と服を引っ張る。その所為で首あたりが露出する。空調をきかせているからと言っても5月だ。すこし冷たい…

 

「……。あの~委員長さん…。そろそろ放してくれてもいいのでは???寒いっす。服が伸びちゃいます…」

「ねぇ章文くん…。ソレってなに?」

「ソレと言われても……。てか、なんでそんなに恥ずかしそうに言うんだ?女児向けの絆創膏でも貼ってあったか?だとしたら末っ子の悪戯だ」

「ち、違うの…絆創膏じゃなくて……」

 

 しばらく口ごもり、委員長は言った。

 

「キス…マーク…。キスマークがあるのよ…。もう、結衣さんと…そこまでいったのね……」

「は??? 言っている意味が分かりませんが…?」

 

 キスマーク?なんだそれは?身に覚えが無い。…そもそも、キスマークが出来る程、濃厚に接した人間は居ねぇよ。

 そんな中、委員長はスマホを取り出し、パシャリと数枚写真を撮った。その後、ソレを僕に見せた。

 確かにキスマークであった。赤く、少し黒く、内出血を起こしている。それも1つでは無い。合計で8か所もあった。

 

「よし委員長。僕の話を聞いてくれ」

「何の話よ…。自慢話?」

「違うって…。現に僕は、そういう行為はした事無いし…本当に身に覚えが無いんだ…」

「えっ…でもソレは…。…苦しい言い逃れね」

「本当に違うんだ。…あっ。今、思い出したんだけど朝、目覚めた時に身体に違和感があって…」

「違和感?どんな感じなの?」

「身体が重いと言うか…胴体あたりがペチャンコになっている感じと言うか……なんだが身体が軋むような感じで…」

 

 僕が言い終わると、委員長は唇に指をやり考え出した。そして、考えが固まるなり「えっと」と何度も繰り返した。

 

「なんなんだよ委員長…。言いたいことがあるなら、言ってくれ」

「章文くん。もしかして、かも知れないけど」

 

 数秒の沈黙の先、彼女は口を開いた。

 

「病気なのかもしれないわ」

 

 その一言を聞いて僕は青ざめた。

 結衣との学校生活は始まったばかり。しかもまだ、彼女を送り出せる程に救済できていない。

 色んな考えがよぎり、一つの結果に辿り着いた。

 

「ここ書店だろ…。医学の本もあるはずだ……。一応大丈夫だと思うが……調べてみようぜ…」

「いい案ね、そうしましょう…」

 

 そうして僕らは医学、特に内出血に関しての本を漁った。

 その誰もが『基本的には問題ない』とは書かれているが、中には『白血病のリスク有り』とも書いてあった。

 血の気が引いた。立ち眩みがする。

 

「って章文くん!…大丈夫?」

 

 よろめく僕の背中に手を回す委員長はそういった。そして僕は、淡々と過去を語った。

 

「僕の母親……癌で亡くなったんだよね……。癌のリスクは遺伝する、と聞いた事がある……。もしや……」

「待って…一回さ、診察して貰おう?…きっと大丈夫だよ?元気出して?」

 

 そして僕らは、厳選した参考書を置き店を後にし、バスに乗り込むなり、近くの皮膚科のクリニックに進んだ。

 なにも無い事を…僕はただ祈っていた。

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

「うん、キスマークだね。うんうん。キミたち若いのに元気だね~。あ、勿論キミたちのプライバシーは守るよ。安心して励むとヨイ!!」

 

 終わった。

 何もかもが終わった。

 

 この古びれたクリニック。その担当医のおじさんは、ニヤニヤしながら僕と、委員長にそう言った。

 恥ずかしすぎて死にたい。きっと、委員長も同じ気分だろう。今や顔を合わせられない。

 

 受付で会計を済まし外にでる。運よく止まったバスに乗り込んだ。一番後ろの席。一席空けて僕と委員長は座った。

 

「……。……」

「…。…………」

 

 この空気がキツイ。今すぐに逃げ出したい。明日から、どんな顔して合えばいいのだろうか。

 このまま黙っていても平行線だ。勇気を出して、僕は委員長に語り掛けた。

 

「「あの…」」

 

 このタイミングで言葉が被るとか有り得ねぇ。話す機会を失った。

 

「お先、いいよ」

「……。あ、うん。じゃあ話すな…」

 

 キッカケを与えて貰い、今回の事について謝罪をした。

 要らぬ心配を掛けさせた事。恥ずかしい思いをさせてしまった事。18禁コーナーに入ろうとした事。

 

「いや、最後のは要らないんじゃないかな…?…そもそも入っちゃダメな訳だし…」

「じゃあ委員長の前では辞めるよ」

「懲りないねキミは…」

 

 バスが揺れる。目的地まで3分程度だろう。

 

「次は私。…私もキミに謝るよ。ごめんなさい。冷静さが足りなかったよ」

「いやいいんだ。この事は悪い夢だった事にしよう…。忘れるのが手っ取り早い…」

「でも私は…覚えておきたいな。キミと初めて話した日だし、ここまで仲良くなった日でもあるから」

「そうか、僕は忘れる。また月曜日、僕に記憶が残っていたら友達でいて欲しい」

「そうだね…。あぁ、そうそう。思い出した…」

 

 委員長は僕の方に向き、指先を回し始めた。

 

「6月の末にね、この高校では文化祭があるの」

「文化祭…?進学校だろココは…」

「部活動に力を入れ始めた近年から、文化祭にも力を出し始めたの」

「はー、これまた大変ですね…」

「ねぇ章文くん。私と一緒にクラスの副委員長をやらない?文化祭の出しものを決めないといけないんだけど」

「僕が副?…悪い冗談だろ?…転校したての人間がそんな大層な事、出来るわけがない。それと、僕は結衣に集中したい。初日にかましたんだ。委員長も分かるだろう?」

「まぁキミの言い分も分かるけど……。結衣さんを書記をして、私、キミ、結衣さんの3人でやろうかなぁ、って考えていたのよ」

「結衣も?」

 

 それは以外な案であった。

 もし…もしだけど、結衣にやる気があって、少しでもクラスをまとめて自信が付く様に為れば、僕としては万々歳である。

 しかし当たり前だが、僕は結衣ではない。その為、彼女が今「どうしたいか」なんて分からない。

 無理やり手を引っ張るような事はしたく無い。

 

「もし、僕が引き受けるとしても…結衣と一緒じゃなきゃ嫌だ。意味が無い」

「あははは。どうしてそんな、カッコイイ台詞をさっきから言えるのかな?」

「結衣だから…だな。それが大きいのかもしれない」

「キミは結衣さんの事が、本当に好きなんだね?」

「当り前さ。小学校の頃の話だけど、僕は結衣の明るさに憧れていたんだから」

 

 目的地に着いたバスは、書店の近くで僕らを降ろし行ってしまった。

 参考書や絵本を買い、委員長と別れの挨拶をし、自転車に跨った。

 念の為と、連絡先を交換した。きっと、僕らを引き寄せる気が満々なのだろう。

 

 家に着くと、我が家の天使の朱音が迎い入れてくれた。

 僕の腕を取り、そこに吸血するかの如くキスをされた。あぁ、そういう事か。

 この跡は朱音によるものなんだと理解した。そうなれば、身体の違和感も納得できる。僕の身体の上に乗って吸っていた、と想像できる。

 

「にぃに、おかえり!!」

「ただいま、朱音。あ、絵本を買って来たぞ!!」

「え!?うれしい!!ありがと!!」

 

 わーい、と声を上げ絵本を持ちリビングに行ってしまった。

 なんだかんだあったが……朱音を見て落ち着いた。

 

 月曜日は色々やるとこがある。

 それに向けて今からしっかり休んでおこう。

 

 この3日間は最悪な日だったが、色々と進展があった。

 そのお陰で、色々と見えてきたと思う。

 自室に戻り、散らかる部屋の片づけに入る。

 

「あれ……僕のワイシャツって…洗濯に出したっけ?」

 

 こんな下らない疑問が浮かぶほど、気が楽になった。

 それはそうと親父はこの日は帰ってこなかった。ざまぁ見ろ。

 

 

 

 




午後15時11分――

『綾香とのメッセージ』

あやか  『いま暇してる?』
あきふみ 「丁度ひま。今さっき、テストの採点が終わった所」
あやか  『ふーん。で、どうだったの?』
あきふみ 「5問、間違えていた。委員長は?」
あやか  『へー。私は1問だけ』
あきふみ 「うわ、オシイな。どこを間違えていたんだ?」
あやか  『地理ね。海流と、そこで採れる魚の種類を間違えていたわ』
あきふみ 「イギリスか?」
あやか  『そうね』
あきふみ 「タラだな?」
あやか  『もう分かっているから言わないでちょうだい』
おきふみ 「で、なんて書いたんだ?気になるな…」
あやか  『に、ニシンって書いたわ』
おきふみ 「www」
あやか  『しょうがないじゃない!事前に映画を見ちゃって…』
あやか  『ニシンのパイが離れなかったのよ…』
あきふみ 「あたし、このパイ嫌いなのよね……」
あやか  『月曜日、覚えておきなさい』
あきふみ 「はて、なんのことやら」



◇◇



人物紹介


・志紀 千蒼 (旧姓:黒井)。15歳。私立能生高校、1年生。
・身長160。薄い少し茶髪、ミディアムの髪。薄いピンク色の唇。健康的にやけた肌。
・兄曰く「胸は無い」

・小学2年生の時、となりの部屋に引っ越ししてきた章文と仲良くなる。
・章文の父は、まだ会社員だった為帰りが遅く、章文は黒井家にお世話になっていた。
・章文により2度、命を救われている。1度目は信号無視の乗用車。2度目は悪質な変質者。章文本人は、もう覚えていない。
・中学一年。兄のファンクラブを乗っ取る。
・お肉と甘いモノが好き。兄とお茶をする際は、カフェモカかホットミルクを飲んでいる。お茶単体は、あまり好きではない。


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