繋ぎの話なので今日は短め。
それにしてもエルデンリングがたのちぃ。
時間掛けられるのが土日しか無いのでまだ双月の騎士を倒したとこまでしか進んでいませんが、ボスどころかモブ迄アホアホ火力なの本当酷い。
床ペロしながら罵詈雑言を吐き散らかしていますが、だからこそ祝福に付いた時の安心感も一入ですし、ボス撃破の達成感も同様です。
「中央を無礼るなよ」
決して大きな声では無かったが、しかしベルノライトは気付けば腰が抜け、生徒会室の床に座り込んでいた。
尋常でない眼力と覇気。
そこに居るのは、中央トレセン学園の長として生徒を見守る生徒会長としてのシンボリルドルフに非ず。
――絶対の皇帝と言われた、七冠バ、シンボリルドルフ。
その“威”を受け、ベルノライトは軽率にこの場に来たことを後悔すると同時に、何より日本ダービーに出れないと知って即行動を起こした己の友人、オグリキャップの軽率な一言を恨んだ。
――『あなたの力で私を日本ダービーに出してくれ』など、つまりコネで日本ダービーに出ようとすれば、それはまぁ怒られるのも当然だろう。
とは言え無論、その発言は決して卑しい悪意から産まれたモノではない。
クラシック競走に対する無知と、そしてこれまで出走条件という概念を気にする必要すら無かった圧倒的な戦績が故の無垢から出た言葉だ。
――だからこそシンボリルドルフは“叱った”のだ。
メディア露出の多い中央では、或いはその無知が世間を騒がせてしまうこともあるが故に。
『舐めるなよ』と言いながら、しかし彼女は決して怒っている訳ではない。
それは絞られていない彼女の耳を見れば明らかで、また説教の内容もダービーという称号の“重さ”を教えているだけ。
突如として生徒会にやって来て、余りにも非常識なお願いをして来た者達への対応としては聊か以上に甘い対応だ。
――無垢なのは良い。ただ無知なままではいるな。
出るレースに敬意を持ち、成り立ちを調べる迄は行かずとも、レースの出走枠を一つ埋めるその意味を理解した上で走る――そう言う選手になってくれ、というシンボリルドルフの想いは、しかし悲しいかな。語る本人が、あまりにも“威”に溢れすぎていた。
――オグリキャップの闘志に、火を付ける程に。
ガタン!と音を立て、机越しのシンボリルドルフにオグリキャップが顔を近づける。
「ならば実力で覆す。
常識も…ルールも!この脚で!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「成る程、それは災難だったな」
ベルノライトから顛末を聞いた六平は、それで漸くオグリキャップが妙に熱心にトレーニングに励む訳を把握した。
同時に、ベルノライトがやけに疲れた顔をしている理由も。
災難だったな、と声を掛けてやれば、その返事はヘロヘロとした疲労に満ちたものだった。
(……そう、これが普通だ。
生活環境が変わって、目指していた目標は閉ざされて、挙句の果てに彼のシンボリルドルフから睨まれて……
普通なら弱音の一つや二つ、吐いても良さそうなものなんだが……)
タタタタタタタタ…
足音のする方を向けば、そこには何時もの倍以上の速度でラダーを駆けていくオグリキャップが居て。
その姿に、疲労や不調は微塵も感じられ無い。
(笠松に比べたらここは異国の地、地方から出て来たウマ娘が実力の半分も出せずに去って行くなんてよくある話だが…)
「ま、その心配はなさそうだな」
ボソリと呟くと、六平はオグリキャップに声を掛けた。
「オグリキャップ、次走の事で話がある――」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ペガサスステークス…ですか?弥生賞で無く」
「それでも良かった…いや、そっちの方が良かったんだがな。
どうも集まる面子が酷い事になりそうで、流石に叩きで出すには不適格だと判断した」
次走の話し合いの最中、そう言いながら一つの雑誌をメジロアルダンに渡す鳥林。
彼女が渡された記事を読み進めると、そこには『“ジュニア”王者決定戦!弥生賞が来る!』と題して一つの記事が掲載されていた。
「読んでの通り、どうも弥生賞は朝日杯覇者と阪神JF覇者でぶつかるらしい。
序に京成杯勝者、トウショウマリオ迄突っ込んで来て重賞ウマ娘が三人となれば……流石に面子が豪華すぎるわな」
「両覇者が集うのは二十年前のタケシバオーさんとマーチスさん以来…この激闘を見逃すな、ですか……こうまで実力者が集うのは、やはり中山レース場の改修工事が原因で?」
「だろうな。
工事の影響で弥生賞及び皐月賞は今年は東京レース場での開催が決まってる。
つまり皐月だけでなく、ダービーの下見まで出来る訳で、そりゃあ出れるなら誰だって出たい。面子も多少以上に豪華になろうってもんよ」
その言葉には、これ以上ないほどの実感が籠っていた。
「なら出れば良いのでは――」
「流石に今回ばかりは認めないぞ?
ただでさえ皐月→ダービー間が一月半で疲労が怖いって言うのに、なんでその更に一月半前にほぼほぼ鬼強度が確定してるようなレースに出るんだよ。
どういう意図で出たいのかはまぁある程度想像は付くが、もうあと二ヵ月もすればクラシック三冠が始まる。
悔しさなり、闘志なり、そういう燃料になるモンは、その時が来るまでまで大事に取っておいてくれ」
食い気味に宥めにかかる鳥林。
そも遥か遠くの世界で令和の時代を生きた彼からすれば、足に不安の有るメジロアルダンのような娘は(皐月に)直行こそが正解だと思っている。
とはいえこの世界、この時代のトレーニング技術では叩きに一度出して仕上げるのが主流であり、そして彼は前世では見る側だったが故に馬をG1に直行させる技術など当然知らない。
だから仕方なく叩きのレースに出すというのに、何が嬉しくて明らかに叩きでは済まなそうなレースに出さなければいけないというのか。
(本当は素直に共同通信杯使いたかったんだよなぁ…皐月まで多少期間空くけど府中だし。まぁ朝日杯の疲労が残ってたから止めたけど)
そうなると後府中で残っているレースと言えば皐月に程近いスプリングステークスか、或いは路線違いのフラワーカップ、レベル違いのオープン戦が残る訳だが、前者は中三週の強行軍強いられるため当然論外、後者二つに関してもルール違反では無いが、無論褒められた行いではない。
結局時期的に丁度良かったというのも有って、鳥林はペガサスステークスを選んだのだった。
「知っていると思うがコースは阪神の右回り1600。
同レースに出て来る他のウマ娘についてだが、一応先々月にシンザン記念を勝利したブラッキーエールが出走を表明している。
先月にもエリカ賞を勝って目下四連勝中の相手だが……まぁ朝日杯でディクタストライカ相手に最後まで粘った君とは持っている時計が違う。
油断してまで勝てる相手では無いが、気性も荒いようだし、普通に(茶々入れながら)走れば普通に(自滅してくれて)勝てるだろう。
連勝中の調子の良い状態で皐月に突っ込んで来られるのも迷惑だし、ここらで鼻っ柱を折ってやれ。
後は精々条件戦で一勝してるワンダーテイオーと――」
「……オグリキャップさん」
鳥林が他の出走者に付いて話しているその最中だった。
突如としてメジロアルダンが呟いた名前に、鳥林が『彼女がどうかしたか?』と問いかける。
「……いえ、今日廊下でブラッキーエールさんがオグリさんに絡んでいるのを見かけたんですよ。
あくまで宣戦布告だけのようでしたので放置していましたが、若しかしなくてもオグリさんの次走ってペガサスステークスじゃ無いのかな、と」
「えぇ…でもそれだと中央初戦でいきなり重賞挑戦って事になるぞ?
流石にそれは……」
半信半疑と言った様子で、それでも否定はせずにネットを漁る鳥林であったが、程なくして彼は一つのある投稿を発見する。
笠松トレセン学園が運営するそのSNSアカウントでは、(中央へ)移籍したオグリキャップの初戦がペガサスステークスに決まったこと、是非応援してあげて欲しい旨が書き込まれていた。
(移籍二戦目で毎日杯に出て、そこでヤエノムテキに勝ったことは知ってたが、こっちだと初戦から…いや、若しかしなくても“向こう”でも初っ端重賞挑戦してたりするのか?)
そう言えばタマモクロスに負ける迄は(中央)重賞6連勝とかしてたんだっけ、と思い出す。
今となってはもう確かめるすべも無いが、しかし彼が中央でオープン以下を走ったというエピソードも特に聞いたことが無い。
恐らく間違ってはいないのだろう。
「…どうも本当にオグリキャップが出て来るみたいだな。
しかしさて、そうなるとどうするべきか……」
しばしトレーナー室に静寂が訪れる。
頭を巡るのは、出走の可否――ではない。
一度走ることを決めておきながら、益してやそれをメジロアルダンに伝えた上で、特定のウマ娘が走るから、等といって『逃げ』が許されない事は既に十分すぎる程理解している。
だからこそ、考えなければならないのは当然オグリキャップに勝つ方法。
記憶に浮かぶ“彼”とはまだ天と地の程の差はあるものの、それでも舐めてかかって良い相手ではない。
怪物たるその片鱗は、既にもう知っているのだから。
彼の名を持つウマ娘を地方に縛り付ける罪悪感、そして幾ばくかの安堵は、正月のあの日、ゴール板で露と消えた。
代わりに湧き上がった恐怖と畏怖。
そして微かな“熱”を自覚したうえで、それでも鳥林は思った。
――丁度良い叩き台が来てくれた、と。
来週は資格試験が有るので多分投稿無理です。
再来週までお待ちください。
オグリにクラシック走らせるのは?
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あり
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なし
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原作なぞるだけなら二次創作なんて書くな