・富田トウマ…文武両道な高校生。テグサー1に変身する。
・飛田慶喜…天才的な頭脳を持つ高校生。
・三千院穂乃花…トウマの幼馴染みである女子高生。テグサー2に変身する。
・森涼…冷静沈着な成人女性。卓越した剣術の持ち主。テグサー3に変身する。
・大城茜…天才的なバイクセンスを持った女子高生。テグサー4に変身する。
・レミー・旋風…小生意気な少女。自称『社長』。
・マツナガ…ジン・ガイア帝国の兵士。
・コブンロ…マツナガの部下。
・イーヴィル・ディーン…ジン・ガイア帝国のエリート兵士。
・イリア・ラントム…高飛車な若き女性社長。メデューザに変身する。
・モーラ・フォーゲル…ラントムチームの姉的存在。ロックオン・スナイプに変身する。
・ジョージ・スミス…陽気でチームのメーカー的存在。キャノン・ダイザーに変身する。
・浦島ヒロシ…物静かな男。ダイ・ソードに変身する。
・甲斐田光雄…トウマ達のクラスメイト。
・ゴッドラスト…十年間、ジン・ガイア帝国の陰で憎悪と成長を続けた『元人間』。
・バドリード…マツナガの上司。ゴッドラストに肩入れし、地球上の君臨を目指す。
25-1
「人間達よ、俺達と一緒に平和を掴もう!!ゴッドラストを倒そう!!」
「戦い後のアフターサービスも充実してますよ~っ!!」
「豚汁食いてーっ!!」
徒党を組んだジン・ガイア帝国は一歩一歩、GRN日本支部へと進む。その表情はかつての敵陣に入るとは思えない程晴れやかな表情をしていた。対し、防衛軍の兵士は全員、メニーを装着して横一列にマシンガンを構えている。その列の中心で、隊長の権藤は拡声器で叫んでいた。
「動くな、それ以上進むと撃つぞ!!」
しかし、ジン・ガイア帝国は止まらない。かといって、戦闘態勢に入る素振りは見せない。今度は、帝国の先頭に立つマツナガが叫んだ。
「あっ、そこのアンタ!!この軍隊の隊長か!?なら話は早い!!我々に戦闘の意思はない。上の人を呼ん…!!」
ズドン!!
その時、一発、重い銃声が響いた。
「ぐっ、ふ…」
瞬間、マツナガが銃弾で右肩を貫かれ、その場にばたりと倒れ込んだ。
「な、なんだ!?」
権藤が振り向くと、部下の一人が持つマシンガンの銃口から、一筋の煙が上がっていた。
「ば、馬鹿者!!誰が撃てと言った!!」
「も、申し訳ありません!!撃たねばやられると、思いまして…!!」
「ぐ…!!まずいぞ!!」
権藤はジン・ガイア人を見た。彼らの友好的な雰囲気は一変し、殺気立つものへと変わっていた。
「や、野郎…!!やはり人間共は…!!」
「これだけ言ってもわからないのならば…!!」
マツナガに寄り添い、怒るジン・ガイア人はグググ…と、徐々に『怪人』の姿へと変わる。目の当たりにした兵士達は、戦々恐々した。しゃがんで構えていた者でさえ立ち上がろうとしている。無理もない。なにしろ相手はたった一匹でも戦車、戦闘機に対して殲滅が可能となる程の脅威となる怪人。それが大勢いるのだから。だが、そんな『怪人共』の肩にしがみつく右手があった。
「ま、マツナガ様…!?」
帝国の一人が下を見ると、その手はマツナガの物だとわかった。彼は、出血した右肩を左手で抑えて同胞に呼びかける。
「やめろ、皆…!!最初は誰だって警戒するモンだ…俺は平気だから、続けてくれ…!!頼む…!!」
戸惑う帝国人。すると、傍にいたミルメはマツナガの右肩を支えて指示を出す。
「…わかったわ、マツナガ。続けましょう皆!!コレの事は私に任せて…」
コブンロもその後に続いて兄貴の左肩を支えた。
「兄貴、大丈夫?」
「へっ、コレぐらい平気だ。さ、俺を先頭に進めてくれ」
「う、うん。人間の皆さーん!!俺達の話を聞いて貰っても…」
銃声に怒りや怯む事をせず、ジン・ガイア人は突き進む。いままでにない光景に、防衛軍は戸惑っていた。互いの顔を見合わせ、マシンガンを下ろす者までいた。本来であればこの事態を叱責する権藤も、今までにない『異様な光景』を前にしては部下に対し、機械的な命令しか言えなかった。
「か、各員まだ撃つな!!抵抗した者から撃つんだ…」
『いや、撃て!!今すぐ撃ちたまえ!!』
突然遮る、貫禄ある声。メニーの横に現れたのはキャタピラ付きのロボット。頭に取り付けたモニターには、ハワード長官が映し出されていた。
「ちょ、長官!?なにを…」
『防衛軍隊長、彼らは平和を謳っているが、この場にはトップとなる総統閣下がいない。彼らは所詮末端の一部だろう?信用出来ん。恐らく罠に違いない。話は聞かなかった事にしろ。我々には彼らに構う時間がないんだ』
「は?時間がない?一体なにかが起こるというのですか?」
『ムッ!!な、なんでもないっ!!とにかく敵ならば攻撃を前に撃つんだ!!これは最高権力、長官の指示だ!!撃て、撃てぇっ!!』
権藤は戸惑いの表情を露にする。
「りょ、了解しました…各員、構え、狙、え…」
しかし、軍の絶対的命令の下、従うしかなかった。と、気が付けば、メニーを装着する兵士達の構えは軟質さを帯びていた。
「ど、どうした貴様らーっ!!その構えで銃など持つんじゃ…」
「た、隊長、私達は撃ってもいいんでしょうか…?」
部下の一人が、質問を投げかけた。
「な、なに…?」
「我々の理念は『新種生命体の脅威から人類を防衛する』とあります。で、ですが、彼らはその脅威に値する存在でしょうか!?今の彼らは違うと思います!!もし、また無作為に引き金を引いたら、これまでのジン・ガイア帝国と変わらないのではありませんか!?」
「…軍を管理する組織の命令は絶対だ!!各員、狙え!!う…」
「お待ちなさい、防衛軍隊長!!全員、銃を下ろして!!」
両陣営を貫く鶴の一声。彼らが向いた先にいたのはモーラ。そして、彼女に連れられたテグサーチームであった。
「あなたは、諜報員のモーラ…!?」
颯爽と現れたモーラに驚愕する近藤。
「あの時、島に来た奴と…テグサーマン!?いやそれよりも、アンタ、俺達の話を聞いてくれるのか!?」
テグサーチームの参上に疑問を持つマツナガ。静まり返った両陣営に対し、モーラは口を開いた。
「えぇ、そうよ。今は私達が争っている場合じゃない。近く、ゴッドラストの力によって全世界に隕石が降り注ぐわ!!」
「な、なんだって!?じゃあアイツが急に大人しくなったのは、その準備の為に…!?」
マツナガを筆頭に、ジン・ガイア人はざわめき出す。
「そうよ、そして、それを止める為にここGRNは各国と協力してゴッドラストを原子レベルでぶっ壊すヤバい兵器を発射するわ。でもそれは、日本の大陸にも多くの被害が出る代物なの!!だから…だからお願い!!今は一緒に手を組んで地球を守って!!もしあなた達が、この地球で生きたいのならば!!」
大声で事情を述べるモーラ。その時、キャタピラロボットが彼女の前にやって来た。
『モーラ貴様ぁっ!!よりにもよってジン・ガイア帝国に国家レベルの極秘情報を漏洩しおって!!これでは帝国人が逃げるだけでなく、知られた事で中止要請が入って手遅れになるではないか!!貴様はもうクビだ!!いや、裁判だ!!国家レベルの裁判にかけてやる!!』
「戦いの後、どうとって頂いても結構!!ですが、全てを壊して、テグサーマンの子達を海外に連れて戦後の力にしようとしたあなたのやり方は許せません!!まだ、やるべき事があるでしょう!?」
モーラは思い出す。現在時刻より五分前、モーラはトウマ達がいる部屋の前に来ていた。耳を傾けると、部屋からトウマの声が聞こえてきた。
「くそ!!警報が鳴ったってのに、なんで扉が開かないんだ!?ロックされてんのかぁ!?」
「やっぱりここは事務所に見せかけた牢屋だったのか…よしトウマ、一緒に蹴破るぞ。せ~~のっ!!」
ディーンの掛け声と同時に、モーラはカードキーを使ってドアの電子ロックを解除した。
「「どぁぁぁ~~~っ!!」」
開くと同時に通路になだれ込む男二人。
「いててて…」
ディーンは腕をさすり、その間にもトウマは尻をさすって立ち上がる。
「あ、モーラ!!おい一体、この警報はなにがあったんだ!?っていうか、なんで俺達綴じ込められたんだ!?教えてくれ…」
「…皆、ごめんなさい!!」
深く深く頭を下げるモーラ。詰め寄ったトウマも一歩退いた。
「な、なんだよ急に…もしかして、なんかヤバい事が起きたのか?」
「えぇ、実は…」
モーラは全て暴露した。日本に忍び寄る破滅の手と、テグサーチームを混沌とした世界の後の支配に利用する者の存在を。
「ま、マジかよ…そんな事が起こるのかよ」
「う、嘘でしょう…?ね、モーラさん!?」
穂乃花の同意を求める悲痛な叫びに、モーラは首を振った。
「残念ながら本当よ穂乃花。しかも嘆かわしい事に、下でテグサーマンの整備、修理、データ抽出を行っている外部委託の研究員達はその事を知らなかった…つまり、ウチの長官は必要以外の人材を見捨てようとしているの。お願い、今外にいるジン・ガイアと協力して共に戦って…!!」
彼女が差し出すプラスチックケースには全員のテグサロイドが置かれていた。
「…私は、あなた達をこの災厄の引き起こした企業、国から引き離し、平和を勝ち取ろうと努力した。でも、そんな物は今、無駄になってしまった。仲間を騙してしまうし…特にトウマ、これからあなたに辛い思いをさせてしまうかもしれない。またも組織に裏切られ、親の仇である相手と手を組むなんて…」
「モーラ…」
「でも、こうする事がベストだと信じてお願いするわ。たとえ、共闘自体が間違いだと否定されるかもしれなくとも─」
「…いいえ、モーラ、あなたは間違っていないわ」
突然、割り込む声。
「…あなたは!!」
モーラが振り向いた先にいたのは、防衛軍最高司令官杉元と、かつて最終決戦の際に戦った艦長の谷田。そしてオペレーターの左門の三人であった。杉元はゆっくりと歩み寄り、口を開いた。
「モーラ。話は全て聞きました。確かに、長官の言う事も全体の種を救う為ならば…と思う事もあります。でも、それでも、今まで敵であった者でも共に平和に向けて戦ってくれる方々がいるならば、共に最後まで諦めずに戦いましょう!!そうですよね、谷田艦長?」
「うむ、そうですな…あの時、私が生き延びてシータートルから脱出出来たのは、脱出艇に乗ってきたジン・ガイア人が脱出の道を光線で作ってくれたからだ…私も信じよう、ジン・ガイア人が我々と信頼関係を結ぼうではないか。如何かな、テグサーマンの諸君?」
二人の提案に、頷く左門。そしてその名を呼ばれたテグサーマンの中で、トウマが率先して前に出た。
「…さっき俺達が決めた事がある。それは、属する場所がどんなに最悪でも、平和を脅かす奴は必ず倒すってな。それにモーラ、俺はジン・ガイアの絶滅を願って戦ってた訳じゃない。平和を願う者を守る為に戦ってきたんだ。だから今は、世界中の人と、捕らえられたレミーを助けたいって想いの方が大きいんだぜ!!」
そう言うと、トウマはテグサロイドを受け取る。後に続いてテグサーチームも。
「皆…よし、ジン・ガイア帝国は今すぐそこよ、ついてきてっ!!」
モーラはテグサーチームを率いて走った。そして今に至るのであった。
『くっ、モーラよ!!、考え直せ!!被害が出ると言っても一つの大陸!!憎き旋風重工本社のある地域でもある!!それと世界を天秤にかけるつもりかね!?』
「…」
ハワードの激高を前にしても、モーラは沈黙を貫く。
『それに、だ!!仲良くなった所でジン・ガイア帝国がつけあがったらどうする!?余計な争いがまた始まるだけだ!!だから、我々がこの世界の科学の粋を集めてテグサーマンを強化、その力で異種生命体を殲滅、混沌とした世界を統制すべきなのだ!!』
『おぉそうだ、テグサーマンの諸君よ、これからはデータ抽出の為に海外に行かないか!?勿論ご家族も連れていくぞ!!なんだったら、ハワイの一等地を─』
「お黙りなさいっ!!あなたは科学をなんだと思ってるんですか!?」
怒る飛田の一喝。まくし立てるハワードは思わず閉口した。
『…っ!!』
「…確かに、僕達は負けた。もしかしたらこのまま戦っても勝てないかもしれない。でも、だからって、諦めて全てを壊して、科学を乱暴に使ってまとめて皆殺しにするなんて間違っています!!それではゴッドラストと変わらないではありませんか!?」
「それに、今はジン・ガイア帝国の皆だって協力してくれるって言うんだ。だったら、怪しまずに共に手を繋ぐべきでしょう!?もしかしたら勝てるかもしれない、いや、勝ってみせます!!僕やトウマさんの父が作り、皆で紡ぎ上げた、このテグサーマンで!!」
『ぐ、ぐぅ…』
トウマ達の手元で輝くテグサロイドを前に、ぐうの音も出ないハワード。するとモニターの横から、谷田と左門、そして感慨深げな杉元が顔を覗かせた。
『す、杉元司令!!そうだ、君からも…』
ハワードは慌てた様子で彼女の名を呼ぶ。しかし、当の本人は見向きもしない。
「…ありがとう、飛田さん。よくぞ言ってくれました。ハワード長官、この国で起きた事は我々にお任せください。ギリギリまで戦い続けます」
『な、なにを…!!おい、そこの兵士達!!なにをしている!!今すぐその女を捕まえろっ!!』
そうは言われても、上司同士の意見の違いに狼狽えるばかりの兵士達。権藤もまた、ただ黙って見つめている。人類とジン・ガイア帝国。お互いが、歩み寄る光景を目にする為に。
「さて、ジン・ガイアの代表の方。これからは共に戦いましょう。お互いの平和の為に」
握手を求める杉元。
「あぁ、勿論だぜ!!こちらこそよろしく!!」
応じて、手を伸ばすマツナガ。その光景に、誰もが安堵の表情を浮かべた。ハワードと、もう一人、涼を除いて。
「全員、伏せろ!!」
彼女の叫びと同時に起こる、周囲に数発の爆発。マツナガは思わず杉元を庇った。
「だ、代表の方…!!大丈夫ですか!?」
杉元が見上げると、爆発の破片に当たってか、マツナガは頭部から出血していた。
「へ、これぐらい平気だい。それと、俺はマツナガって言うんだ。そして…やっぱりやって来たか…」
「バドリード!!」
煙の合間から入り口を、マツナガは見た。
「…久しぶりだな、マツナガ」
自身が知っている姿から変わり果て、狂暴さを身につけた、怪人態のネオ・バドリードを。
25-2
「アイツは…バドリードか!!」
杉元とマツナガを守る為、トウマを先頭に駆けるテグサーチームは前に立つ。彼らを前に、バドリードは腕を組んで余裕綽綽で待ち構えていた。
「ふん、ジン・ガイア人め、人間なんぞと手を組もうとは…そんな事はさせんぞ、この私がここにいる全てを滅ぼしてやる」
「なんでだよ…なんでそんな事するんだよ!?俺達は同胞じゃあないかよ!?」
トウマ達を押し退け、マツナガは必死の思いでバドリードへと語りかける。しかし、相手の様相は変わらなかった。
「なぜだと?力を手にしたならば、使うのは当然だろう。憶えているか?お前が失敗を続けたばかりに閣下殿から降格を言い渡された時の事を」
「あの時、廊下を歩いていると、周囲の同胞から顰蹙の目で見られていた。後ろ指も刺された。私は心の中で泣き、こう思った。この世界は己の力が全てだ、手にすればもう周囲を気にせずともよい、と」
「それからあの隕石を見つけ、いいタイミングでゴッドラスト様よりメッセージを頂いた。『我を目覚める手伝いをすれば、力と地位を与えよう』と、な」
「そして私は蘇った!!この強大なる力によって!!そしてゆくゆくは手にするだろう!!両者とも滅び、この世界の覇者の座を!!ははは…はっはっはっは!!」
「ば、バッキャロウ!!そんな事しなくても…皆と繋ぎあえばそれが力になるってのに!!そうだ、今の俺達みたいによぉ!!」
「ふん、そんな言葉だけの、不安定な物など信じるか。私は、私を見てくれる者の下へとつくのだ!!」
「見よ、力があればこんな事だって出来るんだ!!」
バドリードは肩の魚から一人の男を吐き出した。
「あ、あぁぁぁっ!?」
見るなり、マツナガは悲鳴を上げた。地面にドサリと落ちたその男は、行方知れずであった、ジン・バイルであったからだ。
「う、うぅ…」
息も絶え絶えのジン・バイル。
「閣下ぁっ!!」
マツナガは思わず駆け寄ろうとした。しかし、バドリードの左肩の鮫による威嚇が接近を許さなかった。
「くっくっく、私を顎で使い、使い捨てようとした男も、これでは形無しだな」
怒り心頭のミルメは飛び掛かろうとした。
「お、お前ぇっ!!」
唸る様な声も出した。が、バドリードは右肩の鮫を伸ばしてジン・バイルを持ち上げた。
「おっと動くんじゃないぞ!!動けば、この男を殺す!!そうされたくなければ…マツナガ、そこにいる人間共を殺せ!!」
「な!?」
せっかく掴みとろうとした絆が破壊されてしまう。
しかし、閣下を見殺しにしたくない。
ジレンマは、マツナガだけでない。
「くそ、卑怯な奴だぜ…」
トウマやその場にいる者全員は歯痒い思いをしている。
「はっはっは、残念ながらだったな、下らん絆など、所詮足かせでしかないのだ!!」
バドリードの高笑いが広場に広がった。
その時であった。
「マツナ…ガ、兵士諸君よ、よく聞、け…」
ジン・バイルの声が聞こえてきたのは。
「ぐ、コイツ!!まだ喋れたのか!!」
予想外の生命力を前にバドリードは驚愕。一方で助けようとマツナガが一歩前に出た。
「閣下!!今、マツナガが参りますぞ!!」
しかし、ジン・バイルは彼の目を見つめて言葉を続けた。
「く、来るんじゃない…私は力を吸い取られてもう力が残っていない。長くはないのだ。それよりも聞け…バドリードがこうもなったのは…地球のヒエラルキーを掴む為、自然を尊重するあまり、彼に無茶をさせてしまったからだ…その結果が、彼を暴走させた」
「か、閣下…」
「だが、それもこれも全てゴッドラストが作ったものだとしたら、その責任と帝国のこれからの未来の為に、最後に命令する…全員、生きて…くれ。私の…最期の想いを足場にしてっ!!」
ジン・バイルは最後の力を振り絞った。自分の胴に食らいつく肩の鮫にしがみつくと、全身を真紅に光り輝かせた。
「な、なに貴様っ!!や、やめ…」
「さらばだ諸君、マツナガ、未来を託した、ぞ…!!」
ジン・バイルは怪人態となった。
ドンッ!!
そして、轟音とも聞こえる爆発音と共に、高熱、煙と共に頑強な全身を砕いて、自爆した。その爆発によって、バドリードの右肩の鮫は吹き飛び、四散した。
煙が晴れる。
その時、ジン・バイルの姿は、跡形もなかった。
「か、閣下ぁぁぁぁっ!!」
「いやぁぁぁぁっ!!」
姿が見えない、その意味を即座に理解したマツナガとミルメの悲痛な叫び。そしてバドリードは、肉塊となった右肩を抑え、僅かに漂う煙と岩石を前にギロっと睨んでいた。
「くっ、最後にかっこつけて、なにが想いだ。死んだ所でなにも変わらないだろうに!!」
「バドリード…てめぇぇぇっ!!」
突っ込もうとするマツナガ。
「待ちな、マツナガ」
不意に、誰かの手が肩に乗った。振り向くと、テグサロイドを構えるトウマの姿があった。
「と、トウマ…」
「マツナガ、後は俺達に任せて、皆連れて下がってな。お前達は未来を作る者…そして俺達は、今を守る者だ!!行くぞ皆ぁっ!!」
「「「おうっ!!」」」
「「「「チェンジ、テグサーマン!!」」」」
「変身…!!」
テグサーマンは全員変身し、ディーンは変身態となった。
「テグサー…1!!」
「テグサー2!!」
「テグサー…3」
「テグサー4!!」
「イーヴィル・ディーン!!」
続けて、バドリードを前に、テグサーチームは構える。
「「「「「我ら、テグサーマン!!」」」」」
口上によって、力を漲らせて。
「皆、こっちよ!!」
その間、モーラはジン・ガイア人や防衛軍兵士達を連れてその場を後にする。
「…行くぞっ!!」
避難誘導を黙視したテグサー1は全員に指示を出す。各々武器を取り出し、一気に駆け出した。
「ふん、言っておくが、私は前回よりパワーアップしている。宇宙の偉大なる隕石パワーによってなぁっ!!」
取り囲むテグサーチームを前に、バドリードは全身から魚群型の光線を四方八方に発射する。
「う、うわぁっ!!」
不意打ちの上、予想外の破壊力に、着弾したテグサーチームは後方へと大きく吹き飛んだ。
「野郎っ!!」
「こんのぉっ!!」
そんな中、倒れた戦士達の中でいち早く立ち上がったのはテグサー1、2であった。
「無駄だ無駄だ、食らえ!!」
迫る二人に、バドリードは魚群光線を再度発射、またも吹き飛ぶだろうと高をくくっていたが、テグサー2は光線を前に槍モードの風竜剣を超高速で円形に回した。弾かれる光線。同時にテグサー1がテグサー2の肩を足場にして飛び上がった。
「けっ、弾いてくれる!!」
バドリードは空中のテグサー1目掛けて左肩の鮫を襲い掛からせる。その動きは機敏だ。しかし、テグサー1は身を翻らせ、その鮫の首根っこを両腕でしがみつくように掴むと、そのまま一気に落下、真下へ放り投げて本体であるバドリードの頭部に鮫の開いた口を喰らわせた。
「ぐ、ぐぉぉぉぉ!?見えない、取れない!?」
すっぽりと覆い被さった魚にあわてふためくバドリード。魚群光線発射を止めてしまう程だ。その隙を、テグサー1は逃さない。右拳に、青白い炎を宿し、地に足を着けて。
「撃竜、けぇぇぇぇぇんっ!!」
一撃の拳はバドリードの腹部にクリーンヒット。大きく回転させ、ダウンと同時に彼の全身に大爆発を引き起こした。
「ぐぅああああっ!!馬鹿な…お前は、お前に纏わり付く黒いテグサーマンがいなくなって、パワーダウンした筈。にも関わらず、その力は一体…!?」
「俺のこの力は、守りたいという信念から来ている物だ。例え宇宙レベルの支えがなくなったとしても、俺は自らの力で戦い、そして皆やレミーを救ってみせる!!」
「くくく、レミー…か。ならば、その彼女から受け取った力で貴様らを倒してやろう」
「な、なに!?レミーの!?」
「はぁっ!!」
バドリードはゆらりと立ち上がると、全身に力を込めた。ボコ、ボコ、と、全身の筋肉が硬く盛り上がる。肉塊となっていた右肩もぐにゃぐにゃと歪ませて再生させ、全身の傷も瞬く間に塞がっていった。
「ふはははははっ、どうだ、この力!!ゴッドラスト様を経由して、レミーのパワーを頂いたのだ!!くくく、流石だなぁ、そりゃあ隕石も呼べるなぁ!?」
「く、やっぱりレミーとゴッドラストの力で隕石が来ているのか…」
「…動揺したな。その揺らぎが、命取り、だっ!!」
両肩の鮫から放つ、一直線状の破壊光線。テグサー1は咄嗟に右腕で防御したが、防ぎ切れず、それが消えると同時に大きくのけ反る事となった。
「あ、あぶねぇ…!!なんて破壊力だっ!!」
「そらそらそらそぉらっ!!まだまだ行くぞっ!!」
がら空きとなったテグサー1のボディ。バドリードが突っ込む。勢いを利用した膝蹴りが彼の溝落ちに深くめり込んだ。
「が、がふっ…」
二歩下がり、膝をつくテグサー1。彼の頭上ではバドリードがほくそ笑んでいた。
「どうした、どうしたぁ?その様子じゃあ、マスクの中で吐血したんじゃあないか?そんなんじゃあゴッドラストも倒せず、レミーも救えんぞぉ?」
「く…!!」
膝に反動をつけ、アッパーを放つテグサー1。狙った顎はスウェイバックで避けられたものの、息をつかせぬパンチ、キックの連続攻撃をお見舞いした。
「ち、やるっ!!」
強烈な攻撃によって腹部、胸部とダメージを負うバドリード。反撃で自身も格闘攻撃を仕掛ける。バドリードの右ストレートパンチ。それを左手で受け止めたテグサー1の膝蹴りが腹部へと命中する。この一撃は、日本支部にまで届きそうな程の衝突音を響かせていた。いつの間にか、立ち上がったテグサー4は、彼らの戦いを見つめている。
「と、トウマ…すごい戦いだ」
一方で衝撃を耐えたバドリードは反撃の回し蹴りを放って、テグサー1の右肩パーツに衝撃を与える。その刹那、喰らった方は足を踏ん張らせ、右フックを顔面に打ち、バドリードを大きくよろめかせ、その表情も大きく歪ませた。
「ぐ、ぐぅぅぅおお…」
肉弾戦のぶつかり、攻防はテグサー1に軍配が上がっている。テグサー3は冷静にそう判断した。
「トウマなら…たった一人でもあれだけの戦いが出来る」
だが次の瞬間、テグサー1の大振りのパンチを、あえてバドリードは曲げた左腕で受け止め、右肩の鮫を伸ばし、テグサー1の左肩に食らいつかせた。
「ぐ、ぐぅああああっ!!」
予想外の咬合力に叫び、膝を地に着けるテグサー1。
「や、やめろっ!!」
それまで支援攻撃の機会を伺っていたテグサーチームがバドリード目掛けて走った。
「邪魔だっ!!」
食らいついたままの姿勢で、バドリードは魚群光線を周囲に放つ。
「「うわあっ!!」」
「「きゃあっ!!」」
光線は全員の胸部で爆発し、接近を許さない。その間にも肩鮫の牙はテグサー1の肩部に徐々に、徐々に食い込んでいった。
「はははは、このままテグサー1の右腕を頂いてやろうっ!!そうすればゴッドラスト様への貢献となり、あの陰湿小僧より私に新世界を与えてくださるに違いない!!ふふふふ、ははっはは!!」
高笑いで見上げ、周囲を蔑むバドリード。
「へっ、どっちもやらねぇよ…」
しかし彼は、眼前の『獲物』の減らず口を聞く。
「むぅ!?まだ強がりを…なに!?」
すると、眼前を向き直すなり目を丸くした。
テグサー1が震える右手で胸部装甲を開き、撃竜波発射の態勢を取っていたからだ。
「ば、馬鹿な!?こんな至近距離で発射すれば、貴様もただでは済まさんぞ!!」
焦るバドリードは警告をする。
「承知の上だ…!!」
だが、テグサー1は止める素振りさえ見せない。
「くっ!!ならば鮫を離して…!!」
「もっと食わせてやるよ、食後のデザートつきでな!!」
言うが早いか、テグサー1は左手で肩鮫を握り締めてより強く食い込ませる。最早バドリードに撃竜波を防ぐ手段はなかった。胸部の発射口は、強く煌めいている。
「くらえ、零距離撃竜波ぁっ!!」
発射口から一直線の光線が飛ぶ。この一撃は、一瞬の間もなく、バドリードに着弾。両者の間で大爆発が起こり、互いに別方向へと吹っ飛ぶ事となった。
「と、トウマさぁぁんっ!!」
「トウマぁぁぁ!!」
飛田とテグサー2が叫ぶ。胸部が黒焦げとなった両者はお互いの後方へと大きく空を切り、受け身を取る事なく、地面へと叩きつけられる。数秒経過しても身動き一つ取らなかった。
「ま、まさかトウマ、今ので…」
不安で左右を見て、手を合わせるテグサー4。その時、テグサー2が叫んだ。
「あっ、今、トウマの手が!!」
ぴく、ぴく、とテグサー1の指が動く。対して、バドリードは未だに動かない。勝ったのはトウマだ。誰もがそう感じ、テグサーチームは彼の下へと駆け寄った。
「よかったトウマ、無事だったか!!」
真っ先にテグサー1の下へと来たディーンは彼を抱き起こす。
「あ、あぁ…それよりも気をつけろ、奴は、まだパワーアップする、筈だ」
「え、え!?」
テグサー2がバドリードの方を見た。なんと、バドリードは負けじとよろよろと立ち上がっている真っ最中であった。肩の鮫は跡形も残っていない、上半身も丸焦げになった姿であったとしても、彼の戦意はまだ残っていたのだ。
「そ、そんなぁ…」
「ふはははは…まだだぁっ!!私は、この手に力を掴むまで、私は死なないっ!!見よ、我が手にした力を…んんん、はぁぁぁぁぁっ!!」
バドリードの筋肉はどんどんと膨れ上がる。肩の鮫も再生している。これまでの脅威がまたも迫るのか。その場の誰もが覚悟した。
ボンッ!!
だがその時、バドリードの膨れた腕の筋肉は空気を詰めすぎた風船の様に爆発した。続いて、胸部、脚までも。
「な、ななななな…!?なんでだぁ!?」
突然の異変に混乱するバドリード。
「…や、やっぱりそうだ、そうなってしまうんだ!!」
飛田はノートパソコンを操作して解説を始めた。
「ゴッドラストは十年もの間、ゆっくりと時間をかけてあの強靭な力を身につけた。でもバドリードは違う。いきなり力をつけたもんだから、体…血管や臓器が無理なパワーアップに対応出来ていないんだっ!!…恐らく、ゴッドラストはそれを知りながらも彼に力を…」
ボト、ボト、ボト…
「ぐ、ぐ、ぐあぉぉぉぉっ!!」
バドリードの筋肉が次々と削げ落ちる。作られた筋肉は全て失われ、人間態に戻った彼に残されたのは、赤黒く、生々しい傷痕が目立つ全身だけであった。ディーンは、その身体を前にポツリと呟いた。
「あいつ、あの身体…そうか、アイツは数々の戦場で戦って、怪我をして、前線を退かされたんだったな」
「そうだディーン…!!戦場を追い出された俺はもう居場所がなかった、後方や隅に収まる器ではないんだ!!だから、だから…ここで貴様らを…倒して、ゴッドラスト様にぃ…」
ズルズルと足を引きずってでも歩くバドリード。その時、背後から来た男に抱き寄せられて動きを止めた。
「もう、もう止めて下さい、バドリード様!!」
その男は、マツナガであった。曇り空が、次第に晴れていく。
「マツナガ…」
「バドリード様、あなたはゴッドラストに利用されていたんだ!!力を求めたばかりに、その心を…!!」
「ふふふふ、ふふふ…そうかもな…」
「お願いだ、今からでも遅くはない、俺達と、一緒に…!!」
「ならばマツナガ、俺の、俺の頂点に居続けたい願いはどうな…る?誰もが皆、同じ立場など…ありえ、ない…」
「ば、バドリー…!!」
「…俺は、俺の未来は、どこにあるんだぁっ…!!」
バドリードは力なく倒れた。マツナガは突っ伏した彼を仰向けに抱き上げる。その表情は穏やかであったが、その瞳は生気を失っていた。マツナガはその瞳に掌を覆い被せ、静かに眠らせた。
「…バドリード様は俺が幹部になった時、色々とサポートしてくれた。そんな合間にいつも言ってたよ。いつかまた戦場で名を挙げて、怪我したからと見下していた連中を見返すってな。そんな彼の姿は俺の憧れであった」
「でも、こんな…こんな形で見返すなんて、同胞殺して力を手にするなんて思わなかった…!!畜生、こうなる前に止めて、いれば…こんな…!!」
「…マツナガ、すまねぇ」
変身を解除したトウマは背後で話す。
「いいんだよ、トウマ、気にすんなよ。畜生、畜生…!!許さねぇぞ、ゴッドラスト…!!」
雲の切れ間から陽が降り注ぐ。それだけがマツナガの涙と、バドリードの冷たい血を暖めるだけであった。
どうも皆さん!!今回もまた、一週間より早く投稿出来ました!!
また、今回は投稿日付を設定する、予約投稿を行ってみました!!
どうでしょう、ちゃんと出来てるかな?
さて、人類と帝国が共闘する事となりました!!
次回はどうなるのでしょうか!?
話数は残り二話!!
それでは、今回のハイライトと共に失礼しますっ!!
【挿絵表示】
次回も是非、ご覧下さいっ!!
それでは~っ!!