テグサーマン   作:クロッカーズ

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《登場人物》
・富田トウマ…文武両道な高校生。テグサー1に変身する。
・飛田慶喜…天才的な頭脳を持つ高校生。
・三千院穂乃花…トウマの幼馴染みである女子高生。テグサー2に変身する。
・森涼…冷静沈着な成人女性。卓越した剣術の持ち主。
・レミー・旋風…小生意気な少女。自称『社長』。
・マツナガ…ジン・ガイア帝国の兵士。
・コブンロ…マツナガの部下。


第四話『強敵』

4-1

 

未来島総統執務室。煌びやかな調度品に囲まれ、

ジン・ガイア帝国ジン・バイル総統閣下は席に着き、高級机についた肘の上で手を交差させて呟く。

 

「テグサーマン、どうやらかなり脅威となる者が現れた様だな」

 

彼は軍服に身を包み、七三分けの銀髪の中年紳士と人間と違わぬ姿をしていた。

 

「そ、そうなんですよ。アイツら、予想以上のパワーをしていまして…なので、戦力の差で敗北してしまい、指揮には、その、問題なかったと思いますんで…へぇ」

 

人間態となって、金髪の短めのリーゼントを構え、黄金色のスーツを羽織ったマツナガは必死に自分に落ち度がないと弁明する。すると、横にいたジン・ガイアの軍服に身を包んだ秘書、ミルメは総統のアイコンタクトを受け取り、資料を開けてマツナガの戦いを分析し始めた。

 

「まず最初のイエティマン戦は戦力のリサーチ不足が原因で敗北、次に試験的実戦投入をしたカモシガンは撤退に失敗して敗北、更に…」

 

「わぁっ、やめろ馬鹿!!ホントの事を言うな!!」

 

事実を言われ始めたマツナガは、両腕を振って慌てて止めようとした。

 

「...事実を報告するのは軍では当然の事ではなくって?」

 

「るせぇっ!!言い方ってモンがあるだろが!!」

 

クールな顔立ちと美しい茶髪の長髪という、見た目に違わぬ位に淡々と答えるミルメに、マツナガは肩を上げてキレる。そんな二人を見て、ジン・バイル総統は言い争いを止める様に顔の前で組んでいた手をスッと二人に向けた。

 

「ここで言い争いをしても仕方がないだろう。それよりミルメ、奴は中央アジアから帰って来たか?」

 

「はい、中央アジアの拠点を制圧し、先程帰ってきました...入りなさい」

 

ミルメが扉に向かって入室を促すと、一人の青年が入室してきた。

 

「失礼します」

 

入室した彼はトウマと同年代の見た目をしており、黒いショートヘアの前髪の一部は白いメッシュとなっていた。そして、その奥には、鋭く、妖しくキラリと光る黄色い瞳が隠されていた。

 

「よく戻ってきたなディーン。報告に聞いたが中央アジアでの活躍は見事だったぞ」

 

「ありがとうございます。早速ですが、例のテグサーマンについて教えて下さい」

 

総統に戦績を褒め称えられたディーンはニヤリと喜びながら次の任務を聞き始めた。総統はミルメを見、気付いた彼女は持っているテグサーマンのデータ付きの指令書を彼に渡した。

 

「どうだ、出来そうか?」

 

資料の戦闘力を見て興味深くニヤつくディーンを見て尋ねる総統。資料から目を上げると、嬉しそうに答えた。

 

「こんなに面白そうな奴に会えるのは楽しみですね...ま、これで怪人級の無駄遣いは減りますね。どっかの誰かみたいに」

 

「なにぃ!!てめぇ、そりゃ俺の事を言ってるのか!?」

 

遠回しに皮肉を言われて腹が立ったマツナガは元の怪人の姿へと戻って襲い掛かった。この姿に戻ると、人間態の何倍もの力が出せる様になるのだ。

 

「うぉぉぉ!!」

 

飛びかかるマツナガは右フックを繰り出したが、ディーンは人間態のままでその腕を左手で素早く掴み、足払いで地面に伏せさせた。

 

「ぐ、うぉぉぉ…いってぇ…」

 

痛みに苦しむマツナガを前に、ディーンは冷ややかな笑みをし、手を離しながら「では行って参ります。吉報をお待ち下さい」と言ってその場を後にした。

 

総統が視線で見送るこの時、マツナガは思った。ディーンの爽やかな去り方、自分の情けなさを照らし合わせ、(くっそ~、いつかその生意気な鼻を明かしてやる!!覚えとれ!!)と。だが、これといった案が思いつかなかったのは秘密である。

 

4-2

 

一方でトウマ達『テグサーチーム』は涼の怪我が治り、彼女専用に完成された三体目「テグサー3」を眺めていた。地下の研究室で全員の視線がそれに注がれる中、間に入って飛田は簡単に説明する。

 

「基本的なデザインはテグサー2と変わりませんが、後頭部の下半分のヘルメット部分がカットされ、その代わりに後方からの攻撃に備えた白い髪の毛状のシールドを装備し、」

 

「更にテグサー2には無かったこの肩のアーマーはテグサー1程の堅さはないですが動きやすく、白兵戦の際に邪魔になりません」

 

「そしてメインの刀、これは涼さんの自前の刀を見本に再現し、違和感なく扱えると思います」

 

飛田の説明を聞いた他のチームはおぉ〜と感心する。そんな中、涼はマネキンの様に立つテグサー3にそっと触れ、ポツリと独り言を呟いた。

 

「そうか、やっと私用のテグサーマンが完成したか...私の怪我も完治した事だし、後は1、2の正規装着者を募るだけだな」

 

「えっ!?え、えっと涼さん。それって、私達の他に予備の人を探すって事?」

 

前向きな方向に要約しながら、笑って誤魔化すように穂乃花は質問する。対して涼の表情は変わらず、冷ややかであった。

 

「そうじゃない、お前達二人はこの戦いから降りて、戦闘に長けた成人に装着して貰う...素人の学生には任せられん、これから厳しくなるであろう戦いには邪魔だ」

 

内心考えていた答えを辛辣に言われて、穂乃花の笑顔は固まった。そんな彼女の背後から、今度は飛田とレミーが飛び出した。

 

「そ、そんなの横暴です!!開発者の僕が許しません!!」

 

「そうよそうよ!!いくらアンタが色々と皆の音頭を取る人物でもこれは見逃せないわ!!」

 

「…」

 

二人の文句を前に、無言を貫く涼。すると、我関せずといつの間にか椅子に座っていたトウマが呟き始めた。

 

「ま、しょうがねぇんじゃねぇか?俺達はまだまだどんなことでも中途半端な所が残ってるヒヨッコな学生なんだし」

 

「トウマさん!!」

 

吐き出したように出た呑気な発言に、制止するように声を荒げる飛田。しかし、トウマは立ち上がって言葉を続けた。

 

「ただ、俺達の誰かを守りたいという気持ちは新しい成人の奴らとは変わらない。それだけは分かって欲しいもんだぜ?」

 

「…ふん、口だけはなんとでも言える。だが、お前達みたいなのにコレを扱わせるのは無謀、宝の持ち腐れだと言ってるんだ」

 

「そ、そんな…ちょ、ちょっと、涼!!いくらなんでも言い過ぎじゃない!?」

 

睨み合う二人に、割り込むレミー。室内は一気に一触即発な状況に。穂乃花は口をあんぐりと開け、不安げに交互に彼らを見る。その時、敵出現のアラームが飛田のノートPCから鳴り始めた。

 

「な、なんだ?」

 

飛田がそのPCを操作し、詳細を見ると彼の顔がみるみる青ざめ始めた。

 

「こ、今度の相手は幹部級...!?マズいな、今までの怪人級とは一つ上の存在がこの近辺に現れるなんて…!!皆さん、今までの怪人級と比べて今回のは遥かに強いです!!注意して下さい!!」

 

「了解だ…!!行くぞ!!」

 

涼の指揮の元、レミー以外のメンバーは出入口に向かい、その場を後にした。

 

(あんな喧嘩しちゃったけど大丈夫だよね...皆必ず帰って来てよね!!)

 

人が去り、静まり返る室内。その中で残されたレミーは胸のブローチを握りしめ、不安そうに思うのであった。

 

4-3

 

いつもは人々の笑顔で賑わういつものアーケード街。しかし、突如現れた怪人によって穏やかな時間は一瞬にして一変した。

 

「う、うわあああ!!」

 

「きゃああああっ!!」

 

怯え、逃げ惑う人々。その後ろで防衛軍メニーが倒れる。這って逃げ出す。そんな彼らの背後を見て背を曲げ、退屈そうに額部分の角を撫でる異形の生命体がいた。

 

「やれやれ、中央アジアの時の方がもっと手応えがあったよ。こんなにつまらないんじゃ、俺だけでなく、君たちの言う怪人級だって相手に出来ないよ、きっと…」

 

すると、帝国の蹂躙を止めようと、変身したテグサーマン達が到着した。

 

「やっと来たか...おっ、新しいのも来てるんだね」

 

嬉しそうに話すイーヴィル・ディーンを見てテグサー1は驚いた。いままでの動物風の姿と違い、テグサーマンと同じでアーマーを装着した人間の様な姿をしていたからだ。黒地の体にグレーのがっしりとした肩アーマー、テグサー1とよく似た同じくグレーの胸部アーマー、そして顔もまた同色グレーの幅の厚いV字型の板に上に向かった細長い斜線状のゴーグル部分は冷たく恐ろしい雰囲気を醸し出していた。テグサー2を見ると少し震えていた。生きているとはいえ、防衛軍兵士が怪我をして這うようにの下がるを見るのは今回が初めてだからだ。テグサー1は彼女の為に先陣を切ろうとしたが、その前にテグサー3の腕が彼の行く手を阻んだ。

 

「トウマ、ここは私に任せて貰おう」

 

「涼、お前一人で無茶する気か?初陣だろ?この前までの連中とは違うんだぞ!?」

 

「ならば、私も今までと違うテグサーマンを見せてやろう。二人は手を出すな、はぁっ!!」

 

「あっ、オイ!!」

 

制止も聞かず、テグサー3は刀の柄を持って勢いよくイーヴィル・ディーンに立ち向かい、居合い斬りで斬りかかる。しかし、刀身接触ギリギリで後方へジャンプされて避けられてしまう。

 

「逃がすかっ!!」

 

一瞬の間を置かずに次にテグサー3は腰につけたクナイを投げつける。空中にいては自由が効かないと判断した上、内蔵してある電撃ならば感電して動けなくなるのを確信したからだ。だが次の瞬間、なんとイーヴィル・ディーンは空高く飛び、十m程の高さで浮遊し始めたのだ。

 

「と、飛んだ...」

 

「やるねぇ、新しいテグサーマン。あんなに素早い斬撃と連続攻撃は初めてだよ。でも、俺には敵わないけど、ね!!」

 

空から勢いよく急降下したイーヴィル・ディーンはテグサー3に向けて青竜刀を上から思い切り振り下ろした。テグサー3はなんとか刀を横にして受け止めるが、がら空きになった胸を蹴飛ばされ、後方へ大きく吹き飛ばされた。

 

「く、くそぉー!!」

 

アーケード街の柱に激突したテグサー3。動かない彼女を見て激怒したテグサー1は拳を固めて何度も振り下ろした。しかし、熟練された動きで全て避けられ、最後には空高く飛び上がって逃げられてしまった。それに負けじとテグサー1は両脚を踏ん張って、力強く飛び上がった。

 

「だ、駄目だ、テグサー1。迂闊に飛んじゃダメだ!!」

 

飛田の警告通り、テグサー1は空中で失速、そのまま墜落し始める。

 

「くっ、お、落ち...ぐあっ!」

 

高度が下がる寸前、テグサー1はイーヴィル・ディーンの足によって首をきつく締め上げられた。

 

「フッ、空中で首を絞められるのは苦しいだろう?」

 

「ガッ、ウグッ!!」

 

いくら堅牢な装甲でも、気道の締め上げは防ぎようがない。テグサー1は息が詰まり始め、腕を振って必死にもがき始める。すると、イーヴィル・ディーンの背中に銃弾が連続して命中し、火花が散った。彼が後ろを見ると、テグサー2が剣のエネルギー弾を最小限に抑えて連続発射しつつ、こちらへと飛んで来ていた。

 

「トウマを離せー!!」

 

「そんなに仲間が返して欲しければ返してあげるよ、それっ!!」

 

イーヴィル・ディーンは勢いよく掴んでいた足でテグサー1を投げ飛ばし、迫るテグサー2へと激突させた。

 

「ぐあっ!」

 

「きゃっ!」

 

ぶつかった二人はそのまま地面に倒れこみ、テグサー1はテグサー2に押し潰される形となった。

 

「うぅ...いてて…穂乃花、さっさと降りてくれ。お前、結構重いからよ…」

 

「はぁっ!?女の子になんて事言うのっ!!サイッテー!!」

 

女の子のデリケートな部分に触れられたテグサー2は怒り心頭、馬乗りになってテグサー1の顔面をはたき始めた。

 

「いててっ!!馬鹿、んな事やってる場合かっ!!」

 

「うるさい、うるさい、もうっ!!」

 

イーヴィル・ディーンはその様子を見て頭をかきながら、はぁ~、と深いため息をした。

 

「やれやれ、安っぽいいちゃつきだねぇ。そろそろ戦ってもいいかな?」

 

「おい、馬鹿やってないでさっさと立ち上がるぞ!!」

 

「えっ、う、うん!!」

 

「私も...まだ戦えるぞ」

 

さすがに気持ちを切り替えるぞと、各々立ち上がるテグサーマン。するとテグサー1はテグサー3の肩をしっかりと掴んだ。

 

「俺達が力不足なのは分かるが、今の戦力でやれる事は全て使うべきだ、三人で行くぞ。飛田、どうすればいい!?」

 

「今の戦力で出来るのはコンビネーションアタック213です。でもこれは皆さんイメージCGを見ただけで一度も練習した事が...」

 

「今それしかないならやるしかない!!行くぞ穂乃花!!」

 

「な、おい待て!!」

 

テグサー3の制止を聞かず突撃する二人。テグサー3は仕方がないと思いながら同じく突撃を始めた。いまここに三人で初のコンビネーションが炸裂する。

 

「うおおおおっ!!」

 

一列に並んで突撃する三人。それを見ながら飛田は脳内でコンビネーションを確認する。

 

(まず最初に相手に接近したテグサー2が風竜剣を振り回して相手の視覚を撹乱し、次にテグサー1がテグサー2を飛び越えて背中から標的を怪力で押さえ付ける。そして、最後にテグサー3が一閃斬りでトドメ!!これでキマるはず!!)

 

飛田が確認を終えた瞬間、作戦通りテグサー2がイーヴィル・ディーンに接近する。突然槍となった風竜剣の大回転を間近で見たイーヴィル・ディーンは少しだけ仰け反り、その隙にテグサー1に羽交い締めにされた。

 

「うおっ、油断した。は、離れられない...!!」

 

「今だ、涼!!」

 

「ああ!!」

 

頷くテグサー3は、刀に青白いエネルギーを纏わせる。

 

「行くぞ、必殺!!天下無双刀、一閃斬り!!」

 

そして強烈な一撃を与えんと急接近。だが彼女は見た。眼前でディーンが、目を歪ませてニヤリと笑う姿を。

 

「待ってたよ...三人揃って近付くこの時を...一人やられて逃げられたら後々面倒だからね...」

 

「な...!?」

 

彼の角はいつの間にか光り輝いていた。

 

「必殺、ディーン・ブレイカー!!」

 

ディーンが技を叫ぶと同時に、彼の角からは無数の超音波の刃が辺り一面に放たれた。

 

「「「うわぁあああああっ!!」」」

 

肉眼でも視認出来る波形の技はテグサーマン三人の体にクリーンヒット。衝撃で吹き飛ばされた彼らはテグサーマンから強制的に変身を解除される事となった。

 

「つ、うぅぅ…」

 

「い、いった…」

 

「くぅ…」

 

地面に倒れ、痛みで呻く三人。そんな彼らに向けて、無情にもディーンは歩みを進めた。

 

「中央アジアからわざわざ来たのにこの程度とはガッカリだよ...じゃ、死んで貰おうかな」

 

コツコツと三人、そして飛田に近付く強敵。その手には青竜刀が。彼らの危機は今、刻一刻と迫っていった。

 




皆さんどうも!!
今回も画像付きでお送り致します!!
またしても文章同様下手な絵でございますが
よろしくお願いします!!

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