最強のエンジョイ勢が空を駆る   作:鉄血

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第十五話

「織斑くん、おはよー。ねえ、転校生の噂聞いた?」

 

───次の日の朝。一夏は席に着くなり、クラスメイトに話しかけられた。入学からの数週間で、それなりに女の子と話せるようになった。一夏にとっては大きな前進と言えるだろう。

 

「転校生?今の時期に?」

 

今はまだ四月だ。なぜ入学ではなく転入なのだろう。しかもこのIS学園、転入にはかなり条件が厳しかったはずだ。

試験はもちろん、国の推薦がないとできないようになっている。ということはつまり───

 

「そう、なんでも中国の代表候補生なんだってさ」

 

「ふーん」

 

代表候補生といえば。

 

「あら?わたくしの存在を今更ながら危ぶんでの転入かしら」

 

一組にイギリスの代表候補生がいる。今はここにいないもう一人の男に瞬殺されたが。

 

「このクラスに転入してくる訳では無いのだろう?騒ぐほどのことでもあるまい」

 

さっき自分の席に行った筈の箒が、気がつけば側にいた。

 

「どんなやつなんだろうな」

 

代表候補生というからには強いのだろう。あの男は絶対に食いつきそうだが、正直どういう奴なのかは気になる。

 

「む・・・・気になるのか?」

 

「ん?ああ、少しは」

 

「ふん・・・・」

 

聞かれたことを素直に答えたら、何故か箒の機嫌が悪くなる。最近はやたらと機嫌が悪くなったり良くなったりと、忙しい奴だ。

 

「今のお前に女子を気にしている余裕があるのか?来月にはクラス対抗戦があるというのに」

 

「そう!そうですわ、一夏さん。クラス対抗戦に向けて、より実践的な訓練をしましょう」

 

「───その情報、古いわよ」

 

教室の入口から声が聞こえた。・・・凄い聞いたことのあるような声だ。

 

「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから」

 

腕を組み、片膝を立ててドアにもたれていたのは───

 

「鈴・・・?お前、鈴か?」

 

「そうよ。中国代表候補生、鳳鈴音。今日は宣戦布告に来たってわけ」

 

そう言ってふっと小さく笑みを漏らす。トレードマークのツインテールが軽く左右に揺れた。

 

「何格好つけてるんだ?すげえ似合わないぞ」

 

「んなっ・・・!?なんてこと言うのよ、アンタは!」

 

「おい」

 

「なによ!?」

 

そう叫ぶ彼女の後ろから低い声が響く。

バシンッ!と、聞き返した鈴に痛烈な出席簿の打撃が入った。───鬼教官の登場である。

 

「もうSHRの時間だ。教室に戻れ」

 

「ち、千冬さん・・・」

 

「織斑先生と呼べ。さっさと戻れ、そして入口を塞ぐな。入るのに邪魔だ」

 

「す、すみません・・・」

 

すごすごと扉からどく鈴。

 

「またあとで来るからね!逃げないでよ、一夏!」

 

「さっさと戻れ」

 

「は、はいっ!」

 

二組へ向かって猛ダッシュする彼女を見て、一夏は昔のまま変わっていないなぁと呟く。

 

「っていうかアイツIS操縦者だったのか。初めて知った」

 

「・・・一夏、今のは誰だ?知り合いか?えらく親しそうだったな?」

 

「一夏さん?あの子とはどういう関係で───」

 

そのほか、クラスメイトから質問の集中砲火。

その中で───

 

「席を着け、馬鹿共。あとヴェスパーの奴はどうした?」

 

「織斑先生!フロイト君はまだ来ていません!」

 

「あの馬鹿は・・・・」

 

平気で遅刻するフロイトに千冬は頭を押さえるのと同時、教室の扉がガララッと開いた。

 

「・・・カ、ぁ──────」

 

眠そうにしながら教室に入って来たフロイトを見て、千冬は言う。

 

「ヴェスパー・・・さっさと席につけ。遅刻だ馬鹿者」

 

千冬の疲れたような声が教室に響き渡った。

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