試合当日、第二アリーナ第一試合。組み合わせは織斑一夏と凰鈴音。
噂の新入生同時の戦いとあって、アリーナの席は全席満員。それどころか通路にまで立って見ている生徒で埋め尽くされていた。
会場入りできなかった生徒や関係者は、リアルタイムモニターで鑑賞するらしい。
そんな中、フロイトは格納庫で簪と一緒に鑑賞していた。
「さて、コイツが件の代表候補生か。ある程度機体を調べてはみたが・・・面白い装備をしている」
「・・・見えない砲撃」
衝撃砲《竜砲》。空間に圧力を掛けその圧力で砲身を形成し、余剰で生じる衝撃を砲弾として打ち出す武装。
「見えない砲身は中々に厄介だ。特に銃口の先を予測して回避するような奴にとっては特にな。だが、アレを撃ち出す際に微妙にだがタイムラグがある」
「タイムラグ?」
フロイトのその言葉に簪はフロイトを見ると、そんな簪の返答に彼は答えた。
「ああ。空気を圧縮し、砲身を形成する際に空間が歪むのが目視でも確認できるぞ。その状態から0.5秒後から一秒後に砲弾が発射されるからその間で回避行動を取れば問題ない。強みを押しつけるなら砲身射角がほぼ制限なしで撃てるのと、砲身が見えないことによる不意打ちが強みと言ったところか」
「見ただけでそんなことまで分かるの?」
衝撃砲の特徴を正確に言い当てるフロイトに簪は驚きを隠せない。
「”似たような奴と戦ったことはあるからな”」
フロイトはかつてステルス迷彩で機体そのものが見えない敵と何度か戦ったことがある。
まああっちはレーザー兵器を使用したステルス自体を無駄にした兵器構成だったので大したことはなかったが。
そんなことを話し合っている中で試合は後半戦に入る。
ここから面白くなるかと思った次の瞬間だった。
ズドォォォォォンッ!!!
と、遠方から大きな衝撃がアリーナや離れた格納庫全体に響き渡った。
「な、なに?」
簪は辺りを見渡す。だが、周りは特に異変はない。
だが、フロイトは画面に映るその”乱入者”に視線を動かさなかった。
やり合う織斑一夏と凰鈴音を襲うビーム兵器。恐らく、ブルー・ティアーズより出力は上だ。
そしてビームが放たれた方向には異形のISがいた。
肩と頭が一体化しているような胴体に他のISでは見ない全身装甲。
そんなイレギュラーにフロイトは笑った。
「なに?このIS・・・」
簪は画面に映るイレギュラーに困惑した様子だ。
だが、今の彼にとっては些細な問題だ。
ゆっくりとフロイトは立ち上がる。
そして───
ISを装着する。
「フ───」
簪は突然ISを装着したフロイトに声をかけようとして───だが彼のその顔を見て、声をかけられなかった。
”笑っていた”。
今までにない笑み。面白い物を見つけたという顔だった。
そして───
「さあ───楽しませてくれよ」