最強のエンジョイ勢が空を駆る   作:鉄血

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第ニ十一話

「・・・で?何か言い分はあるか?ヴェスパー」

 

「何のだ」

 

職員室。

千冬のデスクの前で立たされるフロイトは言い分はと問う千冬に短くそう答える。

そんなフロイトに千冬はため息をついた。

 

「無断でISを使って戦ったのはまあいいだろう。たまたまだったとはいえ、山田先生や他生徒達に怪我がなかったからな」

 

千冬は手にした報告書に書かれている内容に沸々と怒りが湧いてくる。

この男は何処まで周りに迷惑をかければ気が済むのか!

 

「戦闘後、一夏達と戦ったのもまあいいだろう。お前のことだ。なぜ戦ったのかはある程度分かる。だが・・・」

 

千冬は反省していない顔のフロイトをギロリと睨みつけ、口を開いた。

 

「何処のものか分からん未登録のISのコアを私物化する奴があるか!馬鹿者!さっさと出せ!政府が出せと昨日からうるさいんだ!」

 

「ストレスの溜め過ぎは身体に良くないぞ。千冬」

 

「誰のせいだと思っている!」

 

今朝の千冬のモーニングコールは政府からの圧力電話だ。そんなもの千冬からしてみれば知ったことではないが、フロイトが関わっているのなら話は別。

この馬鹿からISのコアを取り上げなければ千冬の睡眠が確保出来ない。

怒りを爆発させる千冬に対し、フロイトはどこ吹く風だ。

それどころか千冬に提案を出してきた。

 

「なら俺と取引しよう」

 

「・・・なに?」

 

眉を顰める千冬にフロイトは言った。

 

「まず、俺が求めるものは一つだけだ。このISのコアを俺にくれ。俺のロックスミスのコアにしたい」

 

「・・・此方の利益は?」

 

「そうだな・・・俺からの案件がしばらく減る。それ以上必要か?」

 

「・・・・・」

 

この時、千冬は本気で迷った。

此処で政府に謎のISのコアはフロイトのISのコアにすると言ってしまえば、これからしばらくのあいだフロイトの案件も減る。そう考えると一石二鳥なのでは?

そんなフロイトの提案に千冬は───

 

「・・・いいだろう。その提案に乗ってやる」

 

「ああ。これで俺もしばらくはロックスミスの製作に集中出来る」

 

そう嬉しそうにするフロイトに千冬はため息をついた。

 

「本当に何も起こしてくれるなよ?」

 

「ああ、起こさないさ。”俺からは”な」

 

その嫌な言い分に千冬は露骨に眉を顰める。

 

「その言い方だと面倒事は他所からやってくる・・・という言い方だな」

 

そんな千冬の反応にフロイトは笑う。

 

「ああ。お前の弟・・・一夏だったか。あの男はどうやら面倒事の中心にいるらしい。あの無人機も恐らくはアレが目当てなんだろう」

 

そう言うフロイトは続ける。

 

「面倒事は向こうからやってくる。しばらくはそれを遊び相手にするさ」

 

そう言ってフロイトは千冬を背に職員室から出る。

そして奪ったISのコアをポケットから取り出し、ここには居ない誰かに言った。

 

「篠ノ之束・・・次の面白い玩具を早く用意してくれよ。俺が知るあの猟犬と同じようなイレギュラーをな」




フロイト「俺の案件はしばらく減るとは言ったが、なくなるとは言っていない」
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