最強のエンジョイ勢が空を駆る   作:鉄血

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第三十話

「ではホームルームをこれで終わる。各人はすぐに着替えて第二グラウンドに集合。今日は二組と合同でIS模擬戦闘を行う。解散!」

 

そう言って千冬は彼女等に行動を促す。一夏からしてみればかなり無茶苦茶な理由でぶん殴られたのもあるせいか、かなり腑に落ちない様子だった。

だが、フロイトにとってはどうでもいい話だ。

模擬戦闘。クラスの弱い連中と戦うのは正直落胆するが、今日に限っては別だ。

シャルル・デュノアにラウラ・ボーデヴィッヒ。

この二人がどこまでやれるのか。フロイトにとってそのことだけしか頭にない。

 

「さて」

 

制服を脱いでさっさとスーツに着替える為に更衣室へ足を運ぼうとしたその時───

 

「おいヴェスパー。デュノアの面倒を見てやれ。同じ男子だろう」

 

と、千冬が教室から出ようとしたフロイトにそう言った。

 

「弟じゃなくていいのか」

 

正直弟の一夏に任せるだろうと考えていたフロイトは千冬の意外な一言に思わずそう答えると、千冬は言った。

 

「しばらくデュノアを付かせてお前が好き勝手させないように抑制させるのもある」

 

「なるほど」

 

どうやら今朝の件について根に持たれたらしい。

まあ自分には不利益はないし、新しい玩具をもらっただけいいだろう。

そんなやりとりをする中、シャルルが声をかけてきた。

 

「君がヴェスパー君?初めまして。僕は───」

 

「ああ、いい。知っている。行くぞ」

 

「う、うん・・・」

 

そう言ってフロイトはシャルルの腕を取るとそのまま教室を出た。

とりあえずアリーナへと向かう為に階段を下って一階へと向かおうとしたその時───

 

「あ・・・フロイト」

 

「ああ、簪か」

 

移動中だったのか簪と廊下で出くわした。

 

「・・・・・っ」

 

そしてシャルルの腕を取るフロイトを見て、簪は少しだけ表情を歪める。だが、それも一瞬ですぐに表情を元に戻した簪はフロイトに言った。

 

「フロイトは・・・今から移動?」

 

「ああ。今から二組との模擬戦だ。”新しい男性操縦者”の面倒を見てやれと千冬に言われたから今からアリーナの更衣室に向かう所だ」

 

「・・・男性操縦者?」

 

フロイトのその言葉に簪はシャルルに顔を向けた。

 

「えっと・・・」

 

簪は困惑するシャルルをジッと観察するように見つめる。

 

「男・・・でもちょっと女の子っぽい。でもアニメだとそういうのもあるし・・・」

 

「あ、あの・・・簪、さん?」

 

「・・・あっ」

 

シャルルを見て一人、ブツブツと呟いていた簪はハッと我に変わり、謝罪する。

 

「ご、ごめんなさい」

 

「えっと、ううん。大丈夫だよ?」

 

どうやらトリップしてしまったらしい。

簪はすぐにシャルルに謝罪した後、フロイトに言った。

 

「えっとフロイトがこの人の面倒を見るんだよ、ね?」

 

「ああ、そうだな」

 

頷くフロイトに簪はシャルルに再び顔を向けて言った。

 

「多分、フロイトの突拍子のないことに驚くだろうけど・・・頑張って」

 

「・・・え?えっ?」 

 

簪のその言葉にシャルルは困惑した様子を見せるが、そんな”彼”に対し、フロイトは言う。

 

「なかなか面白い事を言うようになったな。簪」

 

「前に弐式のジェネレーターを学校のラファールのと取り替えたのを予想外以外の言葉なんてない」

 

「えっ?」

 

その会話にシャルルはホントに?といった表情をしていたが、フロイトは無視する。

 

「まあそんな訳だから。フロイトに付き合う時はある程度覚悟だけしておいて。フロイトも、あんまり迷惑かけちゃ駄目だから」

 

簪はそう言って教室へ歩を進める。

だが、簪の内の霧は晴れないままだった。

 

(・・・なんでこんなにモヤモヤするんだろう)

 

少しだけ、あの人が羨ましい。




千冬「フロイト抑止の為、シャルルをフロイトの部屋に置いておく」

簪「・・・は?」
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