フロイトが戻ると、部屋にはシャルルがいた。どうやら少し前に戻ってきたらしい。
「えっと・・・よろしく、フロイト」
「ああ」
シャルルと同室となったフロイトは互いに短く挨拶をすると、フロイトは鞄を机の上へと投げ捨て、椅子に座った。
「晩飯は食べたのか?」
「ううん、まだ。少し前まで質問攻めにあってたから食べてないよ」
「そうか。なら、風呂に入ってから飯を食べに行こう。今なら食堂も開いている」
「うん、分かった」
そう言ってシャルルは準備をし始める。そしてフロイトは自分が使う“ラファール・リヴァイヴ”を机の上に置く。
そしてフロイトはシャルルを見た。
「そう言えば風呂はどうする?先に入るか?俺はどっちでも構わんが」
「あ、僕は後でいいよ。フロイトが先に使って。だってさっきまで格納庫に行っていたんでしょ?」
「わかった。なら、先に使わせてもらう」
「うん」
そしてにこっと笑顔を見せる。
だがフロイトは気にすることなく、そのままバスルームへと入っていった。
フロイトがバスルームに入っていったのと同時───シャルルは机の上に置かれたフロイトのIS───ラファール・リヴァイヴに目を向ける。
「・・・・・」
授業の訓練で見たフロイトのラファールの動き。
恐らく内部を相当弄っている筈だ。
十分もあればデータは抜ける。が、少々後ろめたい気持ちくらいにはなる。
「はぁ・・・」
嫌だなぁとシャルルは思う。
この後、織斑一夏の白式のデータも盗らないといけない。
後ろめたい気持ちでシャルルはフロイトのISからデータを取ろうとしたその時───。
「なに溜め息をついているんだ。データを取るなら早く取ればいいだろう」
「・・・・ッ!?」
後ろからのその声にシャルルは勢いよく振り向いた。
そう。そこにいたのは先ほどバスルームに入っていったフロイトだった。
「い、いつからそこに?」
「お前が溜め息をついていた所からだ」
「さ、最初から・・・」
フロイトのその言葉にシャルルは顔を引き攣らせた。
そしてそんなシャルルにフロイトは言った。
「ああ。あと、お前が”女“だということもな」
「・・・・ッ!」
フロイトのその言葉にシャルルは身体を強張らせた。
そしてそんなシャルルにフロイトは笑みを浮かべる。
「おいおい、そんな分かりやすい反応をするなよ。それに俺はお前が女だっていうことを言うわけがないだろう?」
「・・・えっ?」
困惑するシャルル。
そしてそんな彼女にフロイトは提案した。
「お前がデュノア社からのスパイだということは知っている。デュノア社が経営危機だということもな。───だからお前、俺をデュノア社のテストパイロットにしてみないか?」
その提案はシャルルにとって極上の提案であった。