最強のエンジョイ勢が空を駆る   作:鉄血

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第三十八話

「イヤだ。理由がねえよ」

 

「貴様にはなくても私にはある」

 

そう言うラウラに一夏はああ、そうだろうな。と内心、そう呟く。───ドイツ、千冬姉、と来たら思いつくのは一つしかない。第二回IS世界大会『モンド・グロッソ』の決勝戦でのことだろう。

その時に自分は誘拐されたのだ。そして千冬姉は自分が誘拐されたと知った瞬間、千冬姉は決勝戦を棄権し助けにきたというのが大体の流れなのだが、大方彼女もその口だろう。

 

「貴様がいなければ教官が大会二連覇の偉業をなしえただろうことは容易に想像できる。だから、私は貴様を───貴様の存在を認めない」

 

そういうことらしい。千冬姉の教え子ということ以上に、その強さに惚れ込んでいるのだろう。

だがら、そんな千冬姉の経歴に傷を付けた俺が憎い、と。まあ、気持ちも分からなくはないが、ソレはそれ。コレはこれだ。

一夏にとっては彼女と戦う理由が本当にない。

 

「また今度な」

 

「ふん。ならば───戦わざるを得ないようにしッ!?」

 

ラウラがISを戦闘状態へとシフトさせたその瞬間、爆音がアリーナに響き渡り、ラウラが爆風に飲み込まれる。

 

「・・・ッ!貴様!!」

 

ラウラが怒りで自分に向けられた攻撃先に視線を向け、攻撃した相手を見ると、そこには右肩に装備された拡散バズーカを発射した後のフロイトがいた。

 

「千冬の弟はどうやらお前とはやる気がないみたいだな。なら代わりに俺とやろう。今すぐやろう」

 

「貴様の相手は後だ!今は───」

 

そう声を荒げるラウラにフロイトは彼女を食いつかせるべく、意図的に彼女を煽った。

 

「なんだ、お前は”千冬が勝てない相手とは戦わないのか。千冬の人の見る目はとんだ期待外れか”」

 

「・・・なに?」

 

その言葉にラウラの雰囲気が一気に冷たくなった。

 

「フロイト!?」

 

あからさまなラウラに対する挑発にシャルルも叫ぶ。

そしてそれに食いついたのはラウラだけではない。

 

「一夏ッ!!」

 

「い、一夏さん!落ち着いてください!」

 

「フロイト!お前ッ!」

 

「一夏!気持ちは分かるけど、止めなさい!!」

 

千冬のことを悪く言われてそこにいる一夏が黙っているはずがない。

そのまま突っかかってもう一人増えるのであればフロイトとしても嬉しいことなのだが、そんな一夏達を他所にラウラの意識は完全にフロイトへと向けられていた。

 

「貴様・・・死にたいらしいな」

 

「なら試してみるか?俺を殺せるかどうか」

 

「だ、駄目だよ!フロイト!」

 

射殺さんと睨みつけるラウラに余裕を見せながら笑みを浮かべるフロイト。

シャルルが止めに入ろうとするが、蚊帳の外だ。

そして今まさに戦闘状態へと入ろうとしていたその時──

 

『そこの生徒!何をやっている!学年とクラス、出席番号を言え!』

 

突然アリーナにスピーカーからの声が響く。騒ぎを聞きつけてやってきた担当の教師だろう。

 

「・・・チッ。今日は引こう」

 

横やりにラウラは舌打ちをし、あっさりと戦闘態勢を解除して踵を返す。

そして一度振り返り、フロイトを見て言った。

 

「貴様・・・教官を侮辱した事、後で後悔しろ」

 

「そうか。俺はお前と戦えないことが残念だ」

 

「・・・・ふん」

 

アリーナゲートへと去っていくラウラにフロイトは残念そうな顔をする。

あのまま自分から仕掛けていけばよかった。そうしたら教師の横やりを無視して戦うことが出来たなと今になって思い出す。

このあと千冬に呼び出されるだろうが、それよりも今は───

 

「フロイト!どうして喧嘩を売るような真似をしたのか教えてくれるかな!」

 

「フロイトッ!」

 

「ああもう・・・コイツのせいであたし達まで・・・」

 

「巻き込まれましたわ・・・」

 

「・・・一夏」

 

問い詰めるシャルルに、千冬を悪く言ったことでフロイトに怒り心頭で詰め寄る一夏。そして巻き込まれた鈴音達。

まずは彼等の相手が先のようだ。




ちっふー「余計な事をしてくれたな?」

フロイト「煽ったのは認める。でもそうしないと食いつかないだろうからな。許せ」

ちっふー「許すとでも?」

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