便利屋のアルバイト   作:一般通過アルバイター

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感想書かれちゃあよぉ……続き書くしかないじゃないの。


幕間
ハジケ〜ソレが来たなら終わり〜


 

 

 

──ゲヘナに不用意に喧嘩を売ってはいけない。

 

 

これはあらゆる生徒の共通認識である。

 

その理由としてキヴォトス内で最も治安が悪い自治区である、というのは理由のひとつではあるが、それ以上に敵対するとまずい存在が2人いる。

 

その1人が風紀委員長の空崎ヒナ。

 

武闘派だらけのキヴォトス生徒の中でも最強の一角に数えられる彼女。

彼女の怒りを買えばどうなるかは想像に難くない。

 

しかし、彼女だけならまだ対処法はあったりする。

最強と言えど理不尽なまでの高火力を叩き込んでしまえば戦闘不能に追い込める。

 

だが彼女がやられ、ここで出てくるのは田中タロー。

この男こそがゲヘナに喧嘩を売ってはいけないと言われる所以だ。

 

便利屋に所属する彼は本来ならば風紀委員に所属する空崎ヒナと敵対関係にある。のだが、実の所、この二人の仲は悪くない……どころかかなり良好である。

 

暴れるゲヘナ生徒の不良たち。

それらを笑いながら無力化し、時には犬神家よろしく湖に綺麗な生け花を咲かせ、時には洗濯物よろしく干される不良たち。

そんな風に実力を示していくといつしか崇められるようになったタロー。

 

本来なら普段の奇行に頭を悩ませるものなのだが、奇しくもその行いは不良達にまとまりを作り、下手に騒動が起きなくなっていた。

 

つまりは風紀委員の仕事を減らしたのである。……まあタローの存在には頭を痛める場面もあるのだが。

 

他にも仲のいい理由はあるのだがこの場では割愛。

 

結論を言えばゲヘナに手を出せば空崎ヒナが。そして、彼女を倒してもケツ持ちとして田中タローが出てくる始末。

正しく"やってられねー"である。

 

空崎ヒナ繋がりで風紀委員ともそれなりに仲がいいため、厳密に言えば風紀委員に手を出せば田中タローが出てくるということなんだが、これは他校に限らずゲヘナ学園内にももちろん適応される。

 

つまりどういうことか。

 

 

 

 

 

「──田中タローを確保しろ、ですか…」

「キキキ……!ああ、風紀委員だもんな。やってくれるよな?」

 

万魔殿……パンデモニウム・ソサエティー議長、つまりはゲヘナ生徒会長である羽沼マコトがいつものように風紀委員会へ恒例の嫌がらせをしていた。

 

対する呼び出された天雨アコは呆れたような声音で返事を返す。

 

田中タローの確保。

あらゆる学園が失敗に終わったそれを風紀委員会ひとつで対処しろとのご命令。

そんなことができるなら苦労なんてしない。

それをわかってての嫌がらせ。

 

マコトに聞こえないようにアコはため息をついた。

 

 

「唐突ですね。なにか不都合でも?」

「風紀を乱している者がいる。だから捕まえる。何も不思議なことじゃないと思うが?」

 

 

そうして嫌味ったらしく笑うマコトをアコは冷たい目で返す。

 

そんな様子を見て、困っているだろうとお思ったマコトは少しばかりのドヤ顔を浮かべながら言葉を続けた。

 

 

「ま、せいぜい頑張ってくれ、風紀委──」

 

 

──prrrrr……prrrrr……

 

 

その瞬間に鳴り響く着信音。

音の出処はその部屋に備え付けられてある固定電話。

 

 

「「………」」

 

 

両者無言の中で鳴り響くそれは一向に止む気配がない。

 

この場にいるのはアコとマコトのみ。他の万魔殿のメンバーは出払っている。

つまりこの電話に出るのは必然としてマコトになる。

 

電話を手にし、応答ボタンをポチッとな。

恐る恐る耳に当てれば──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もしもし、私タローさん。今ゲヘナ学園の校門前にいるの

 

 

 

 

 

「ひっ……ッ!?」

「……っ!」ビクッ

 

 

恐怖で電話を投げ出すマコトと、そんないきなりの反応にビクつくアコ。

 

あの風紀委員の前でミットモナイ姿を……なんて気にする余裕すらなく彼女は顔を青ざめていた。

 

 

──prrrrr……prrrrr……

 

 

そして再び電話が鳴りだした。

 

もう出たくない。出たくないが出なければもっとまずいことになる。

そんな直感でマコトは電話を手に取り、ボタンを押し、耳に当てた。

 

 

もしもし、私タローさん。今校舎の中に入ったの

 

「………っ」ゾワッ

「………」

 

 

背筋に嫌な寒さが走る。

まさか、まさかまさか……近づいてきている?

その事実にマコトは寒気を覚えた。

 

 

──prrrrr……prrrrr……

 

 

三度の着信。

マコトは慌てたようにボタンを押し、すぐさま耳に電話を押し当てた。

 

 

もしもし、私タローさん。今食堂で唐揚げ定食を食べてるの

 

「………………?」

「……?」

 

 

思わず首を傾げるマコト。それを見てアコもまた首を傾げた。

 

さっきまでとは違う様子。しかしアコは電話の内容は聞こえない。故に何がどうなってるのかも分からない。

 

逆にマコトはただのイタズラ電話だった。そんな結論をつけて既に心に余裕を取り戻しつつある。

 

 

──prrrrr……prrrrr……

 

 

4度目の着信。

マコトは悠々と電話を手に取りボタンを押し耳に当てた。

 

 

もしもし、私タローさん。お腹が膨れたから外に出たの

 

「キシシシ……!」

「……??」

 

 

唐突に笑うマコトにアコが更にハテナを浮かべた。

 

それと反対にマコトは"許された"。そんなことを思っていた。

それ故に出た笑み。

 

 

──prrrrr……prrrrr……

 

 

またもや鳴る電話。

それを涼しい顔して手に取り耳に当てるマコト。既に脅威は去ったと、そう思っていた。

 

 

もしもし、私タローさん。今校舎の外壁をよじ登ってるの

 

「っ!?ひぃぃぃぃ!!」

「っ!?!!???」

 

 

さっきの余裕な態度はどこへやら。取り乱すマコトに驚くアコ。

 

そんなことなどお構い無しとばかりにマコトは必要最低限の荷物をまとめ始めた。

逃げなければ…!そんな気持ちだけが今は彼女の心にあった。

 

 

──prrrrr……prrrrr……

 

 

そしてまた鳴る電話。

最早この電話は恐怖の電話でしかない。

しかし出なければもっと酷いことになるのは目に見えてる。

 

震える手で電話を取り、耳へと恐る恐る……、

 

 

もしもし、私タローさん。今あなたのいる部屋を窓の外から見てるの

 

「っ!」バッ

「……っ」ビクッ

 

 

即座に振り向くマコト。

視線の先には窓がひとつ。しかしそこにはいない。

 

他の場所はどうだろうか。見渡してみるがそれらしき人影は見つからない。

どこだどこだと探していたその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もしもし、私タローさん。今あなたの後ろにいるの

 

「っ」ピタッ

「…………」

 

 

マコトの動きが止まった。

電話は……既に切れてる。ではこの声は?

 

この部屋からの声だ。

そう、もう既に後ろに……"ヤツ"がいる。

 

そろりそろりと後ろを振り返ってみると──

 

 

「ハァーイ、ジョージィ?」

 

「……イヤアァァァァァァアッ!!」

 

 

天井から吊り下がるように、足を上に頭を下にぶら下がる満面の笑みをうかべたタローが居た。

 

叫ぶマコトを即座に捕まえ、ニコニコ笑顔で語りかける。

 

 

「俺を呼んだ?呼んだね?呼んだよね?」

「……っ」ブンブンブンブン

 

 

タローの言葉にすごい速度で首を横に振るマコト。

最早鬼を目の前にした子供である。

 

 

「よーし、マコトちゃん。お兄ちゃんと遊びましょう。そうしましょう」

「ま、ままままて!は、離せ!HA☆NA☆SE!おい!助けろ!風紀委員!行政官!おい!聞こえてるのか!おい!」

 

「………」シランプリー

 

「貴様ァァァァアッ!!」

「さあ!レッツラゴー!」

 

 

最早マコトの声は誰にも届かない。

件のアコも既にそっぽを向いて知らんぷりだ。

 

そのままタローに連れられ天井裏へと連れていかれるマコト。

 

 

やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ………」

 

 

遠ざかるマコトの声。

やがて静かになったその部屋。

 

まさしくホラーな光景を前にしたアコは──

 

 

「………〜〜〜♪」

 

 

鼻歌交じりにご機嫌に、軽やかなステップと晴れやかな顔でその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに余談だが、この数時間後。

マコトは運動場の用具入れの中で見つかったそうな。

 

その顔はもはや18禁と言ってもいいほどに蕩けきった顔で、さらに全身ビクンビクンとビクつかせていたそうな。




マコトちゃんは何をされたんでしょうね(ヒント:ただの指圧マッサージ)



ネタが思い浮かばねんじゃ。
やっぱり原作沿いのストーリーにぶち込む形でいくべきか…。
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