【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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それでは試走編スタート!


セツニキゼミでやった所だ!試走編1

 

 

「じゃ、まずは俺が出てみるわ」

 

「ヒーラーは後の方が良いのでは?」

 

「自己回復出来るしな」

 

 

 タンクヒーラーなんて存在は稀に良くある事よ。

 

 そんな事を考えながら安全地帯の外へ一歩進む。

 

 

「────ッ!」

 

「セツニキッ!?」

 

「……大丈夫だ。予想以上にやべーぞ、これ」

 

 

 覚醒者として霊格が高くなった分だけ、それを喪失した時の感覚が酷い。これが下層の厳しさか。試作品は入った瞬間に全員()()()から、たぶんこれに状態異常も付与されてるな。好き勝手作り過ぎた。

 

 

「全員出たらラジオ体操だな。じゃないとロクに動けねーぞ」

 

「了解です。それじゃ私も出ますね──ッ」

 

 

 探求ネキが一歩外へ出ると、俺と同じく膝を折る。

 

 

「では私達も食らうとしよう──これは厳しい」

 

「『能力制限』はショタオジ担当でしたからね。私達も初です──っと、ヤバいですね、これ」

 

 

 秋雨ニキ達もまるで重度の風邪に掛かったかの様にふらりと体勢を崩すが、何とか持ち直す。

 

 

「いや~覚醒者でも良い訓練になりそうで何よりだよ♪」

 

「サクヤ。神主殿から離れない様に」

 

「分かってるよお姉ちゃん。これは流石にヤバそうだし……」

 

 

 ショタオジの分身が無意識に垂れ流している霊力のお陰で弾けているが、その範囲外へ出れば俺らと同じくギミックを食らうだろう。

 

 正直、それが正解だと思う。結構洒落になってないぞ。

 

 取り敢えず全員でラジオ体操を踊り、身体を今の能力に合わせていく。

 

 ついでに箱から出てきた『魔法制限』解除の霊符を破くと、淡い光が俺の身体に吸い込まれた。

 

 

「どうかね?」

 

「【ディア】三回でたぶん気絶する(霊力切れだ)な」

 

「ヒーラー(笑)」

 

「アイテム用意しておいて良かった。スキルが無い分だけ、たぶんレベル一の頃()よりキツいぞ」

 

「私なんてただの格闘家(笑)ですからね」

 

「私はえっちなだけです!」

 

「私も格闘家(笑)だな」

 

「格闘家(笑)格闘家(笑)ヒーラー(笑)エロいお姉さんのパーティーです!……解散不可避だな」

 

「まぁ、身内パ*1みたいなもんですし」

 

「確かに。それで、誰が先頭行きます?私でも良いですよ?」

 

「私が行こうか」

 

「じゃ、格闘家男に先頭任せて、格闘家女、エロい人、ラスボスと神様二人、ヒーラーもどきの順な」

 

「エロい人の後ろに最強クラスが居るの笑うんですが」

 

「冒険開始直後に魔王と出会うファンタジーはクソゲー」

 

 

 雑談しながら進んでいると、第一村人(悪魔)を発見。……うん。

 

 

「【アナライズ】が装備封印のせいで使えねぇ!」

 

「仮称・デビルピーチで良いかね?」

 

「それで行きましょう。──来ますッ!」

 

 

 探求ネキの注意と同時に()()()()()()で桃に牙が生えた悪魔が飛んで来る。

 

 狙われたのは──先頭に居る秋雨ニキでは無く、その後ろに居た探求ネキか。

 

 

「いきなり私ですか!」

 

「見事な頂肘(ちょうちゅう)。俺じゃなかったら見逃しちゃうね!」

 

「ボケてる場合じゃないですよ!予想以上に硬い!」

 

「了解」

 

 

 ローブに差し込んでいた試験管を取り出し、()()()しながら投擲。そこへ探求ネキが追撃し、さらに秋雨ニキが踵落としでトドメを刺す。

 

 

「体感的にレベル五ぐらい上の様だな」

 

「そんなもんですね。それよりセツニキ、何を投げたんです?」

 

「〝軟化〟と〝弱体〟の概念を抽出して液状化したモノ──メガテン的に言えば、中層奥素材の【ラクンダ】薬だ」

 

 

 上層の素材で作られた薬だと、中層の悪魔に通らない事が多い。もちろんレベル三十まで来た俺達に上層産の回復薬は物足りなくなる。

 

 ショタオジが言うには〝概念〟が弱いそうで、俺の理解だとアイテムのレベルが足りてない。

 

 だからこそ修羅勢は現在の狩り場の素材で武具や薬品を作り、素材を集める為に狩りへ行く。イメージ的にはモンハンのG級に上がったばかりのプレイヤーみたいなもんだな。

 

 これが卒業間近になると、スキルだけで何とかなる様になってるからショタオジは上手く作ったもんだ。

 

 

「……セツニキ、私達が作ったギミックの内容を察していたのか?」

 

「いや?というか昔は俺らも用意してただろ?各種薬品 」

 

「────そうだったな。いつの間にか自身のみを頼る癖が付いていたようだ」

 

「製造班の戦闘用アイテムは中々面白いのに勿体無い。──こんな物もあるのに」

 

 

 新しく現れた仮称・デビルピーチに先読みしながら丸い球体を投げ付ける。すると、()()()()()()()()()()()宙に縛り付けた。

 

 

「うわ、これどうなってるんです?」

 

「〝粘着〟と〝空間〟の概念を抽出した奴を投擲用の玉に詰め込んだもんで、見ての通り空間に敵を絡め取れる」

 

 

 説明しながらラクンダ薬を投げ付けると、ミナミィネキがトドメを刺してくれた。お、何か落ちたな。

 

 

「スケベ部の部長として私も発注しなければなりませんねぇ──っと、これは……桃?」

 

「【アナライズ】無い上に霊符に仕舞う事も出来ないからショタオジに持たせておくか」

 

「ちょ、俺荷物持ち?」

 

「俺の予想が正しければ、面白い素材(フォルマ)の筈だからな。暇潰しになるだろ」

 

「へぇ~それじゃ楽しみにしようかな」

 

 

 ミナミィネキがトスした桃が宙を舞い、ショタオジの手に収まる。あの桃はどっちかねぇ。

 

 

「今、気付いたんですけど、周りの霊草や木になってる桃が解除アイテムだったら詰んでません?」

 

「霊符の形とは限らないもんな。仕方無い、いざとなったら俺か秋雨ニキが漢判定するか」

 

「やれやれ。貧乏くじを引いてしまったな」

 

「セツニキ、ナチュラルに女性を除きますよね」

 

「ただの毒なら苦しむだけだが、下痢とか感度三千倍になりたいなら巻き込むぞ?」

 

「お任せしますね!」

 

 

 良い笑顔の探求ネキに苦笑いを返す。ギミック担当にミナミィネキが居る以上、エロ関係は確実に入ってるんだよなぁ。

 

 そうこうしている内に川が見えてきた。ついでに明らかに()()()()物も見える。

 

 

「桃繋がりか。今の状態だと辛そうだな」

 

「仮称・モモタロウと言った所か」

 

「今ならスルー出来ますけど、どうします?」

 

「無駄に体力を使うのもアレだし、迂回するか──」

 

 

 続きを口にする直前、川を流れていた巨大な桃が割れ、中から悪魔が飛び出してきた。

 

 

「秋雨ニキッ!ガードするなよ!」

 

「確かに腕ごと持っていかれそうだな!」

 

 

 上段の構えのまま飛んできたモモタロウがそのまま刀を振り下ろす。ギリギリで躱わす俺達を見て、ニヤリと笑った。

 

 

「美味しそうな餌がこんなにもたくさん!今日は良い日だな!」

 

「ハァッ!!」

 

「おっと、危ない。中々活きの良い奴だ」

 

 

 秋雨ニキの掌底打ちを避けた姿には余裕が見える。レベル差は十くらいありそうだ。

 

 

「前衛は秋雨ニキで他はフォロー!推定十レベル上だと思え!」

 

『『『了解!』』』

 

「貴様が指揮官か!ならば先に叩いておくとしよう!」

 

 

 ゆらりとモモタロウの姿が消える。気付いた時には俺の目の前に居た。考える暇は無い。

 

 刹那の間に様々な考えを巡らせながら、無意識の内に動けたのは訓練の賜物だった。

 

 

「──っぶねぇ!」

 

「ほう?今のを避けるか」

 

 

 掠っただけにも関わらず、見事に骨を折られている。まるで非覚醒者と悪魔が戦ってる様な戦力差だな。結構、絶望的だ。

 

 

「セツニキ!」

 

「大丈夫だ。それよりどうにかしないとマジで死ぬぞ」

 

「ですね。ふぅ──行きます!」

 

「元気な女子(おなご)だ!()いのう。俺の嫁にしてやろうか!」

 

「死んでも御免ですッ!」

 

「私も行きますッ!」

 

 

 女子二人が息を合わせて連擊を叩き込むが、その全てがのらりくらりと避けられる。

 

 まずは────足を貰うか。

 

 

「オラッ!これでも食らえッ!」

 

 

 指に挟んだ五本のロケット鉛筆を投擲。

 

 

「ハッ、何かしたの──ぬおっ!?」

 

「ふっ、馬鹿め。()()が頼ってる事の意味を身を持って知れ」

 

 

 モモタロウが避けた先に()()()()して追い掛け、足と地面を()()の様な物で張り付けるアイテム──ロケット鉛筆 type 伸縮自在な愛(バンジーガム)

 

 ガイア連合創設初期の頃から頼ってる、古参製造班は修羅勢の事を良く知っている。

 

 何度も武器を折り、防具の肌触りにケチを付け、使いづらいアイテムに文句を言う修羅勢達と根気よく付き合ってきた奴らの作品だ。

 

 お前如きの技量で避けられる訳が無いだろ。

 

 

「帰ったらチェックしないとなッ!本格的に便利そうなアイテムが多いッ!」

 

「全くですッ!」

 

 

 秋雨ニキと探求ネキが猛攻を仕掛けているが、地味に通りが悪い。流石は格上か。

 

 取り敢えず援護のつもりでラクンダ薬を構えると、ミナミィネキに手で制止された。

 

 

「セツニキばかりに頼るのも何ですし、私がやりますよ」

 

 

 そう言って近付いたミナミィネキがピンク色に発光する怪しい液体を持ってモモタロウに近付く。

 

 

「何だそれは!?や、辞めろ貴様────ぐぁぁぁぁッ!」

 

「ふふ。出来たばっかりの新薬の実験、試してみたかったんですよね」

 

 

 白煙に包まれたモモタロウが上げる悲鳴が、雄々しい物から女の子みたいな悲鳴に変わっていく。

 

 白煙が晴れる頃には()()()ちゃんにジョブチェンジしていた。……心なしか霊格が下がった気もするな。

 

 

「うーん♪良い出来です!契約を結べないのが残念ですね~」

 

「き、貴様ッ!俺をこんな姿にするなんて──あひん」

 

「大丈夫ですよ。初めての女の子には優しくするので♪」

 

「私は優しくしないがな」

 

「同じく」

 

 

 容赦無く女体化したモモ子ちゃんに拳を叩き込む秋雨ニキ達。ただ、ミナミィネキだけは殴ると同時に快楽も教え込んでいる。

 

 ミナミィネキの探求力(エロ力)を考えれば、SMのどちらでも楽しめるのは不思議じゃないが……やけに手慣れてるな。悪魔の調教で訓練していたか?

 

 そんな事を考えていると、モモ子ちゃんがMAGとなって異界に還った。ドロップは──刀か。

 

 

「強敵だった。やはり霊格は正義だな」

 

「ですね。やりづらくてしょうがないです」

 

 

 刀を拾い、こちらに差し出しながら溜め息を吐き出す二人。

 

 

「そんなにか?」

 

「敵がチグハグでな。霊格や能力は私より高いのに、剣の技量自体は修羅勢以下なのだよ。これが中々やりづらい」

 

「私達も元のレベルから一程度に抑えられてますが、設計が上手く行っているのであれば、あちらはレベル三十から十程度まで落とされてるだけですからね。そもそもの技量が三十程度しか無いのでしょう」

 

「モモ子ちゃんになったので、三十以上なのは間違いないと思いますよ。この薬品、元々は中位以上の天使をスライムに変える薬品を改良した物ですし」

 

「何というか流石だなぁ、ミナミィネキ」

 

 

 エロの為に出来た副産物が凶悪過ぎるが、天才なんてこんなもんな気もする。

 

 

「天使が主への信仰心を捨て去り、肉欲に溺れる瞬間が美しいのです。その為に頑張りましたよ~♪」

 

「楽しそうで何よりだ」

 

「ところでセツニキ、これからどうします?」

 

「まずは戻って漢解除だな。流石にこれはキツい」

 

「分かりました。それじゃ一旦戻りましょう」

 

「あ、それなら俺が飛ばして上げるよ──ほい」

 

 

 女神二人を巻き込む隠形で隠れていたショタオジが俺達を【転移(トラポート)】で飛ばす。【脱出(トラエスト)】じゃないのは異界の外に出てしまうからだろうな。

*1
フレンドのみで構成されたパーティー。みんな好きなジョブで来る関係でバランスが酷い事が稀に良くある。




諸君。我々は常に〝叡知〟を求めて生きてきた。

ある者は外れを引いて萎えた経験もあるだろう。

ある者は外れを克服して新たな扉を開いただろう。

だからこそ、私はここ好きがやけに多い〝とある一文〟を見てこう考えた。

知識を与えると同時に──新たなる〝叡知〟を無知なる後輩に教えるのも〝先達の義務〟なんじゃないか、と。


まぁ、明日の話なんですけどね!
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