【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
能力が一まで制限されてるという事を舐めていた。試しに適当に実っていた桃を食べてみると、毒で即死した。霊草も同じだ。
レベル三十の異界は伊達では無く、当たりだった筈の〝仙桃〟で過剰回復が起こり、普通に死んだ*1。
なので、諦めてギミックの自力解除の方向へ舵を切る。
「難易度調整って難しいな。自力解除の失敗ペナルティを下げて挑戦しやすくするか?」
「それだと下層で気軽に挑戦する様になりませんか?」
「それは困るな。せっかく作った修行用異界の意味が無くなりかねん」
「最初の霊符を頭装備の解除にします?それなら最低限【アナライズ】は出来る様になりますし」
「そうすると桃や霊草の鑑定難易度を上げないと駄目では無いか?」
「ですね。せっかくのエロギミックをスルーされるのも悲しいですし」
ワイワイ会議しながら封印解除に挑む。頭装備の効果制限はデュラハンの素材から〝首無し〟を抽出、それをベースにラクシュミーの手元に置けないという神話を混ぜ合わせて術式に落とし込んでいる。
この場合、まず解除するのはラクシュミーの神話からだ。最後に手に入れたとされるヴィシュヌの術式が相性としては最高だが、ラクシュミー = 吉祥天と結び付け、毘沙門天から引っ張ってきても良い。
ここらへんは得意分野で勝負になるが、ハッキリ言おう。時間の無駄であると。
「イワナガ~頭だけ解除宜しく」
「……高いですよ?」
「これぐらいなら千マッカぐらいだろ?後で払うぞ」
「はぁ……優秀な信徒の事を喜べば良いのか、それとも都合の良い解除道具として利用される事を嘆けば良いのか分かりませんね」
溜め息を吐き出しながらイワナガが俺の頭に手を翳すと、頭を覆っていたギミックが一瞬で壊された。
「中々良い術式ですね。解くのに苦労しました」
「……私には一瞬で解いた様に見えたが?」
「陰陽道の様に鬼を払う力も無く、仏教の様に魔を焼く力もありませんが、神道は〝穢れを祓う〟事に関しては世界最強ですよ。なので、この〝程度〟は出来て当然です」
「……各宗派の特性は把握していたが、私の想定が甘かったな」
「いや、一応突っ込んでおくが、イワナガとサクヤは本霊に最も近い分霊だからな?解くのに苦労したはそのまま褒め言葉だぞ?」
「そうなのか?」
「ああ。普通の呪いなら側に近付くだけで祓われる。というか秋雨ニキも見ただろう?【神降ろし】した時に片手を上げただけで祓った姿を。あれだけでメシア色に染められた地脈を浄化したんだぞ?」
「……ふぅ。また知らぬ間に傲っていたか」
「ショタオジに挑むのを薦めるぞ。俺ら程度のプライドなんてバキバキに壊してくれるからな」
自然とショタオジの方に視線が行く。良い笑顔でピースされた。
「この件が片付いたら私も今の全力で挑むとしよう。このまま下層へ行くのは危険そうだ」
「うぇるかーむ♪」
ホンットに良い笑顔してやがる。
全員解除が終わった所で再び探索に戻る。今度は道中の品を【アナライズ】しながら進むと、この異界の本質が見えてきた。
例えば、
★桃源郷の桃
人工的に作られた桃源郷内に発生した仙桃の一種。生のままでは美味しい桃に過ぎない*2が、霊的な加工をすると回復効果の増強が期待出来るだろう。
★桃源郷の偽桃
人工的に作られた桃源郷内に発生した仙桃の一種。生のまま食べると、覚醒者であっても致命的な猛毒を保有している。
★桃源郷の【フード デビルピーチ】の幼体
人工的に作られた桃源郷内に発生した仙桃が、星霊神社の異界から流れてくる瘴気を溜め込み、悪魔化する直前の状態の物。食べた場合、捕食者を内部から食い尽くし、デビルピーチとなって誕生するだろう。
ちなみに割合は桃が一割、幼体が二割、七割が偽桃だ。殺意が高い。
「美しくても異界は異界ですね」
「その様だ。無知とは恐ろしい物だな」
「意外に媚薬の材料とかはならなかったんですね?てっきりお尻で気持ち良くなる物ぐらい出来ると思ったんですけど」
「ミナミィネキ。大陸系で桃とエロと不老長寿まで揃ったら、簡単に思い至るぐらい有名な伝承があるだろ?たぶんそっちに吸われたんじゃないか?」
「……成る程。〝
大陸四千年の歴史は伊達では無く、思い付いても普通やるかという、モラルの有無を問いたくなる様な伝承が多々存在する。
〝桃娘〟もその内の一つだ。伝承を簡単に説明すると、果物と水だけで育てた見目麗しい女を素材に不老長寿の薬を作るという内容だ。
これだけならエロの部分何処行った?となるが、安心してくれ。ちゃんと伝承に残っている。
不老長寿に使う素材は伝承によって様々だが、共通するのは
グロ系なら血肉となり、エロ系なら〝アレ〟になる。大抵、処女信仰とセットだからユニコーンの息子も大満足だな。
さらにこの話はバリエーションが豊富で、〝果実娘〟なる別の果実のみで作らせた話が存在している。有名なのは
つまり、甘い匂いと体液の女の子を人体実験で作り出した訳だ。流石大陸だな。エロに掛ける情熱が大国に相応しいぜ。
「あの、皆さん?お願いが──」
『『『りょ』』』
「……まだ最後まで言ってないんですけど?」
「いや、契約結ぶ為にスキル解除と霊力解除を回してくれって話だろ?」
「ついでに能力解除もですね。じゃないと舐められませんし」
「そんなに分かりやすいです……?」
「我々は付き合いが長いというのもあるかも知れんが、ミナミィネキの考えはそれなりに読めるぞ?」
「とはいえ解除アイテムが見付からんのよな。異界の〝格〟的に一つも見付からないという事は無い筈なんだが」
これが深層の三桁クラスの悪魔が存在出来る異界なら、解除手段が自力解除しか無くても不思議じゃない。
下層なら探しづらいか、強敵が持っているかだと思う。クレパスの下とかな。
だがこの異界はレベル三十程度の異界に過ぎない。複雑なギミックを組み込めば、どうしても解除手段が自然発生する筈なんだが──
「む。敵だな」
秋雨ニキの言葉に視線を前へ向けると、そこにはデビルピーチが。駆けつけ一杯と同じノリで【アナライズ 】すると、面白い情報が抜けた。
★【フード デビルピーチ】 Lv5 (レベルダウン25)
耐性:火炎・破魔弱点 大地・水擊耐性 ドレイン耐性
スキル:丸かじり 種マシンガン ドレイン反撃
ドロップ:解除の仙桃 偽解除の仙桃
人工的に作られた桃源郷内で発生した仙桃が瘴気を溜め込み、悪魔化した存在。吸収系スキルに対して複数の状態異常で反撃する特性がある。破魔でトドメを刺した場合にのみ、制限解除のアイテムを落とす事がある。
「トドメを破魔にするのが正解か」
「さっきは物理で倒しましたし、ショタオジが持ってる桃は偽の方ですかね?」
「そうだね~中々面白い素材だよ。具体的に言えばセツニキメタ」
「ドレイン耐性ヤメヤメロ!」
「お喋りはそこまでだ。──来るぞ」
秋雨ニキの言葉と共に構える。しっかし、破魔か。霊符が使えれば楽なんだが、今回は魔法で撃つしかないな。
「トドメは俺が刺す。削りは任せた」
『『『了解』』』
今の俺たちからすると格上とはいえ、モモタロウに比べると雑魚に過ぎず、五分もしない内に瀕死となったデビルピーチに【ハマ】を撃つ。
「物欲センサーァァァ!!」
「ここはドロップする流れでしょう!」
「ま、まぁ、次がありますよ。ほら、お代わり来ましたし」
「三体か。セツニキ、霊力は平気か?」
「おう」
指の間に挟んだ試験管をユラユラ揺らす。何時も使ってる中位の物では無く、下位の霊力回復薬だが今の俺には十分だ。
「準備万端で何よりだな」
「ちょっと前まで岩手に居たからな。霊格が低い奴等の為に準備しておいた残りだ」
「お喋りはそこまでです。来ますよ」
とはいっても修羅勢三人の前に桃如きが相手になる筈も無く。
「2/3ですか。最初の運が悪かっただけみたいですね」
「いや、見た目は全く同じだが、一個偽桃が混じってるぞ」
念のための【アナライズ】は大事だな。修羅勢の癖になるような異界にするべきか?……いや、欺瞞情報に踊る様になっても困るか。悩ましい。
「本当に質が悪い。油断も隙も無いです」
「確かに破魔で倒したら偽桃を落とさなくなるとは書いてないもんな」
「悪魔らしい狡猾さですね」
ここらへんの質の悪さはショタオジの仕込みな気がする。山梨の中層はもう少し分かりやすいんだが。
「ま、取り敢えず一個手に入ったんだ。調べてさっそく解除しよう」
『『『了解』』』
取り敢えず【アナライズ】する。これが大切。カウンターを食らった。糞が!
★解呪の仙桃
人工的に作られた桃源郷内で悪魔化した仙桃を浄化する事によって生まれる仙桃。磨り潰した汁を飲むと、装備制限の一部を解除する効果がある。
「最初の仙境ですし、ここの敵は装備制限のみですかね?」
「モモタロウがワンチャン技能解除だったかもな」
「まずはここで装備制限を解除してモモタロウが正しい流れですか」
「かも知れん。ところで誰が最初に解除する?」
「部位がランダムなのが辛いですよね。運になっちゃいます」
「俺は後回しで良いぞ。ヒーラーだしな」
「それじゃ三人でじゃんけんしますか」
『『了解』』
勝ったのは探求ネキだった。解除されたのは──
「手……悪く無いですけど微妙ですねぇ」
「指輪や腕輪も手扱いなのか」
「本当はもう少し細かく制限掛けたかったのだが、技量が足りなくてな。少し大雑把になってしまった」
「私も属性封印とか細分化したかったんですけどね」
「まぁ、そこらへんは上位の素材無いと辛いだろ。ショタオジなら行けるから慰めにもならんが」
ショタオジが俺達に掛けている『能力制限』は、中層の素材を錬金術で昇華した物を触媒に使って掛けられている。
条件は同じなので、技量が上がれば出来る事は間違いない。が、どれだけ未来の話やら。
「取り敢えず、装備全解除目指して桃狩りですかね?」
「だな。余ったら仙桃でどれくらい効果上がるか試してみたいが」
「確かにそれも大切ですね」
「後は早めに霊力解除も欲しいところだ。じゃないと昼がカロリーバーになるぞ」
「あ、装備制限さえ解除出来れば、収納バッグが使えるので食材提供出来ますよ」
「お、助かる。俺らは霊符収納に頼り過ぎてたな」
「うむ。せめて普通のバッグぐらいは用意するべきだった」
「やはり下層に行くのは時期尚早でしたね」
ミナミィネキの言葉には同意しか無い。さっきから不足が良く見つかるし、俺も今のまま挑んだら危なかった。
「装備制限が後ろの方だったら私の方が駄目でしたから。持ちつ持たれつですよ」
「今回は甘えるわ」
「まだ霊力解除が何処にあるかすら目処が立って無いからな」
「あ、代金どうしましょう?」
「
『『『ゴチになりまーす』』』
「判断が早い!」
「いや、代金全額俺持ちでも良いが、気にするだろ?」
「ですねぇ。トリコ食材*4ならともかく市販の食材ですし」
「まぁ、今度何か奢れば良いだろう。それより桃狩りを始めないか?このまま昼でも私は構わないが」
「いえ、狩りましょう。これからどれくらい掛かるか分かりませんし」
『『了解』』
ミナミィネキと同時に返事をして動き出す。昼前に装備全解除行けるかねぇ。
◇
まぁ、ミナミィネキの悪魔しょうかんに投げ入れたかっただけなんですけど!