【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
山魈を倒した広場の少し先に、次の仙境へと続く〝門〟があった。合流したミナミィネキを含む全員で潜り抜けると、何ともまぁ異界らしい光景が広がっている。
「北は玄武、東は青竜、西は白虎で南は朱雀だったか」
「玄武は冬と黒と水、青竜は春と青──では無く、実は正しい色としては緑と木。日本では緑を〝青〟と呼ぶのはその為です。白虎は秋と白と金、朱雀は夏と朱と火ですね。日本の龍は基本的に水神ですので良く青竜を水と勘違いしがちですが、蒼天の〝
「流石本職。詳しいな」
説明する手間が省けるのは楽で良い。
「西に台地、北に山、南に池で、玄武を背にして西側──つまり、東側に河がある場所が四神相応の地と呼べるのだったかな」
「ですね。東の青竜が河担当なので、余計に水と勘違いするんですよ」
「一応ちゃんと意味はあるんだぞ?河が氾濫を起こせば、栄養が豊富な土壌と既存の土地が撹拌され、恵みの大地となる。当時はそれを〝何となく知っている〟状態だから豊穣の時は青竜の恵みと考える訳だ」
「言われてみれば成る程と理解出来ますね」
所持している知識に
「ちなみに
「そして始まりを忘れて出て来なくなるまでがテンプレよな」
「ですねぇ」
元素暗記で同じことをやった奴が居るはずだ。少なくとも俺はやった。
「さて、そろそろこれからの方針を決めるか」
東西南北に〝門〟があり、俺らが立っている中央には明らかに麒麟か黄竜と戦うための広々としたスペースがある。
四つの〝門〟を攻略して中央に戻ってくる形になるのは間違いないが、問題はどの順番で攻略するかだ。
「朱雀は霊力っぽいんですが、力と同じで体力を開放する前に解除すると面倒な事になりそうですよね」
「金の白虎か土の黄竜が体力な気もするが、黄竜は立場的に権能だろう」
「硬さだけで言うなら玄武も該当しますよね。五行的には水なので魔な気もしますが」
「玄武は土地が山だからな。体力の可能性は十分あるぞ」
「誰も話題に出しませんが青竜はどうなんです?」
「速一択だろう。土地が河だから魔の可能性もあるが、体力の可能性は無い」
異界のギミックには言い張れるだけの根拠が必要だ。それが無ければ〝概念〟が弱くなり、力技で外せてしまう。……まぁ、ショタオジの封印なので前提からして
「そういえば最後は四神から黄竜か麒麟と二連戦なんですかね?」
「異界の〝格〟的にその可能性は低いと思うが、そうなると想定しておいた方が良いだろう」
「外れたら運が良かったで終わる話だ。むしろ最悪に備えない方がヤバイ」
ショタオジという存在が全ての可能性を〝ありうる〟にするのが本当にキツイ。俺らが分からない様に手を加えてる事もあり得るし。
「あ、私はどうしましょう?」
「ミナミィネキはショタオジの代わりに〝保護者〟を頼むわ」
「了解です」
「試走してる感じ、最初は俺らの
「無解除でのモモタロウがヤバかったからなぁ。それが良いと思う」
レベル一程度の能力で、レベル十クラスのモモタロウはマジでキツかった。たぶん今日一番辛かったと断言出来る。
「それで、結局どの〝門〟から挑むのかね?」
「朱雀は後回しとして玄武か白虎ですかね?」
「じゃ、コイントスで決めるか。表が出たら玄武な」
ピンッ!とコインを弾く。くるくる空を舞うコインを左の手の甲で受け止め、右手を退ける。
「裏だな。白虎から行こう」
『『『了解』』』
メガテンの白虎はどういう性能だっけなぁ。
◇
「そういえばギミック持ちに当たりませんね」
台地へと続く階段を登ってる最中、ふと思い出したかの様に探求ネキが呟いた。
「道中に雑魚も現れんし、四神が持っていったのかもな」
「という事は、必然的にギミックのレベルも上がっているのか」
秋雨ニキの言葉に少し考える。今回は試験的な異界という事もあり、環境を過酷にする様な付与を異界自体に施していない。土地に〝ギミック〟の呪いを掛け、悪魔の〝型〟を【アナライズ】が通りやすくなる様に弄り、代わりに基礎
ほぼ望んだ通りの仕様だが、完璧に出来ていないのは俺らの未熟か。それともショタオジが弄ったのか。判断出来ん。
「まぁ、いざとなったら私がどうにかしますよ?」
「そん時は頼むわ──っとそうだ。二人とも、台地に着くまでの間に飲んどけ」
コートの裏側に差し込んでいた試験管を二人に投げ渡す。
「これは……?」
「
ちなみにスケベ部の作品だったりする。上位の悪魔とセックスしたい!だけどレベル上げは面倒!という怠惰な俺達の為に作られた品で、ショタオジが呆れながらも太鼓判を押した安心安全な保証と確かな効果がある代わりに費用が馬鹿みたいに高い。
中層奥の素材を大量に使う割に伸びないのだ。正直、その素材で『二段の剛力』や『力アップ・中』等のスキルカードを作って装備に突っ込んだ方が役に立つ。
「ふぅ……驕りとは恐ろしい物だな」
「どうした急に」
「いや、知らぬ間に自身の力だけで生きてる
身に付けている物は製造班の作ってくれた物なのにな、と言葉を締める秋雨ニキ。
「秋雨ニキ。前世で〝天才〟とか〝神童〟とか呼ばれてただろ?」
「分かるのかね?」
「まぁ、自身の力だけを追い求められる奴は大抵そうだからな」
俺らの大半は
「シエラ婆は女性故に前世だと武術を極める事に不向きだったらしくてな?あの
俺に言わせれば、あんなのは
「私はまだ手段を選んでいると?」
「勘違いしちゃ行けないのが、勝ち方を選ぶのは決して悪い事じゃないって事だ。
「セツニキは決まってるのかね?」
「俺が望む勝利なんて単純だ。死ぬ時は女の上で。敗北は死んだら認める。それだけだ」
「それって死ぬまで負けを認めて無いじゃないですか」
「当然だろ?生きてる内は勝てる可能性があるんだからな」
前世の様に
「……くくっ。そうだな、確かにそうだ。セツニキの言う通りだな。生きてさえ居れば、いずれショタオジにすら勝てるなら、負けを認めるのは死んだ後で良い」
丁度、階段の終わりが見えた。取り敢えず目視出来た白虎を【アナライズ】するか──
「セツニキ。私の勝利は
秋雨ニキの姿が消える。俺が気付いた時には──
「……わお」
「突然覚醒するの辞めてくれませーん?」
「ふふ。すまんな」
何処か吹っ切れた姿の秋雨ニキの〝魂〟に陰りは無い。これだから天才って奴は面倒臭せぇんだ。
◇
白虎は予想通り体力の制限解除──では無く、力の制限解除だった。なので少し時間を取り、身体を馴らすついでに探求ネキと会議を始める。
「秋雨ニキが新たな【権能】を会得したので、試走の参考にならなくなりました。よって、ここから先は俺と探求ネキの二人旅になります」
「了解です。というか秋雨ニキの新たな【権能】って何なんです?」
「たぶん【貫通擊】だろうな」
「近接系ですし、いずれパッシブ化するんですかね?」
「どうだろうな。パッシブは【貫く闘気】な気もする。ちなみにオンギョウキは通常攻撃にすら色々乗ってた」
実は手合わせの時にフウキに【テトラカーン】を張ったりしたんだが、普通にぶち抜かれたから間違いないと思う。
というか【ガードキル】と【テトラブレイク】と【貫く闘気】がパッシブなのは禁止だろ。これだから近接系は……!
「近接系は武神や闘神に着々と成りつつありますねぇ」
「双子ニキ(兄)も魔神や術神ルートっぽいし、俺らの未来が見えてきてるよな」
「ちなみにセツニキは何になりそうです?」
「……大僧正かインキュバス?」
「……ショボくないですか?」
「煩悩を全て捨て去れば仏になれる気がしないでもないが、仏教と根本的に相性が悪いんだよなぁ」
「女人禁制は俺達には無理ですよね。しかもセツニキは勝利条件に組み込まれてますし」
「それな。──よし、アジャスト完了」
「こちらも大丈夫です」
んじゃ、玄武戦を始めますかね。
◇
霊力が中々外れないのもそれが理由だったり(笑)