【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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ちなみに隠し通していた主人公の最初の権能は実は【アイテム使用(霊符・呪符)】でした。

あれだけはショタオジ(手加減したすがた)に割り込める速度だったり。

前々世由来の権能が【ソウルドレイン】、前世由来の〝一族〟の権能が【アイテム使用】になります。


セツニキゼミでやった所だ!試走編7

 

「お疲れ〜。消化試合だったね」

 

「中層奥で良く見掛けるしなぁ四神」

 

「玄武以外は良く出会いましたよねぇ」

 

 

 丁度レベル五十前後なんだよな。だから交戦回数はそれなりにある。

 

 

「もっと難易度上げたほうが良いかな?」

 

「こっちはこのままで良いんじゃないか?本命の方は常にレベル五ぐらい格上にする必要はありそうだが」

 

「簡単に超えられては困りますけど、絶対に超えられないのも違いますしね」

 

「俺としては皆もう満足してくれても良いのにって感じだけどな〜」

 

「気持ちは分かるが、ショタオジの強さ(山の頂き)が見えたなら登りたくなるもんだろ」

 

 

 少なくとも俺は登りたい。頂上からフハハッ!まるで人がゴミの様だ!って言いたい。

 

 

「中々思い通りには行かないか」

 

「ショタオジがメシアを名乗るなら、メシア教を思い通りに動かせると思うぞ?」

 

「思い通りにならない人生万歳!」

 

「反応が早い!私で無くても見逃しませんが」

 

「まぁ、考えうる史上最悪の侮辱だしな」

 

 

 俺も言われたらキレるかも知れん。

 

 

「三人とも。雑談はその辺にしてそろそろ進まないか?」

 

「ギミック次第では夕飯までに帰れなくなりそうですしね」

 

「それは困るな。んじゃ探求ネキ、次行くか」

 

「了解です」

 

 

 秋雨ニキ達に見送られ、四神を倒した直後に湧いた〝門〟を潜り抜ける。壱の仙境から見えていた浮島は二つ。故に次が最後だろう。

 

 

「何か中華色が薄くなって日本っぽい雰囲気が混ざり始めました?」

 

「朱色の橋はともかく鳥居は日本の文化だしなぁ」

 

 

 池──というより、湖の浮島と浮島を繋ぐ橋の色は朱色。入口と出口に立つ鳥居も朱色。何と言うか日本の庭園を巨大化させた印象を受ける。

 

 

「日本の神社が朱色なのは厄除けや魔除けの意味があるんでしたっけ」

 

「元々は錆止めの成分が朱色だったみたいだな。後は空や鎮守の森に映えるからって意味もある」

 

「太古の昔から動画映えを気にしていた……?」

 

「まぁ、見てスゲェ!って言わせる様な光景は昔っから変わらんって事だな」

 

 

 交通が今ほど発達していなかった時代。たった一度、たまたま訪れた来訪者を信徒として取り込まなければならなかった神社や仏閣は、貧しくとも門構えだけは立派にする必要があった。

 

 生活臭漂うスペースは人の目の届かぬ場所に押し込み、神聖な雰囲気作りを頑張っていた訳だ。

 

 二人でゆっくり橋を渡り、浮島から浮島へと渡る。悪魔(原住民)の姿が見えないのが不気味だが、進む以外に選択肢が無い。

 

 半ばギミックにハマってるんだろうな、と諦めの境地になりながら進んでいると、視線の先に小舟が見えた。

 

 

「どう考えても罠ですねぇ」

 

「湖底からパックリか、悲劇の沈没船(タイタニック)か。どちらかねぇ」

 

「んー……和風ですし、船幽霊か海坊主では?」

 

「対策は底の空いた杓子と煙草か。禁煙ブームの前世なら死んでいたな!」

 

「凄い嬉しそうですね……」

 

 

 探求ネキの呆れた視線を無視して懐から煙草を取り出す。いやー、本当は吸いたく無いんだけどギミックの為だからな!参っちゃうな~!

 

 二人で船に乗り込み、煙草を吸い始める。すると、即座にポコポコと水面に水泡が浮かんだ。

 

 

「行動が早い!」

 

「この距離なら泳いで帰れるよな」

 

「私達の身体能力なら飛べる距離ですもんね」

 

 

 二人で何が出てくるのかゆっくり待っていると、水泡が船から離れていく。

 

 

「海坊主だったみたいだな」

 

「現れる前に帰っちゃいましたね」

 

 

 何事も無く対岸に着き、船から降りる。何というか……

 

 

「術者二人で組むと、ヌルゲー通り越して虚無るな」

 

「知識 is ぱわー!」

 

「ギミック対処という点では間違ってないわな」

 

 

 会話しながら先に進んでいると、前方の桃園から甘ったるい桃の香りが漂ってきた。同時に薄い霧が辺りを包み込み、隣に居た筈の探求ネキの姿が消える。……【幻惑(ダストマ)】と【魅力(マリンカリン)】か。

 

 ギミックとはいえ俺の耐性を抜くとは素晴らしい。──だけどな?

 

 

「セツニキ!無事──」

 

「【絶命剣】」

 

 

 スキルの〝概念〟を乗せたトランプで探求ネキ(笑)の首を跳ね飛ばす。

 

 

「──何故、分かったのですか?」

 

「分かってないぞ?妨害効果のある霧で霊力を誤魔化し、桃の強い香りで体臭を隠し、動きや体重まで一致させたお前を俺は()()()()だと認識してる。でもな?」

 

 

 改めて説明するまでも無いが、俺達は修羅勢だ。しかも何の情報も無い中で【ドッペルゲンガー】に襲われた古参だ。

 

 

「探求ネキなら初手に声掛けなんてしないんだわ」

 

 

 やる気があったら気配を消して急所*1狙い、無かったら気配を出しながら【物理反射】を確かめる程度だろう。俺と男鹿ニキがやったようにな。

 

 

「……相方が心配では無いのですか?」

 

「ハッ」

 

 

 思わず鼻で笑ってしまった。心配されるのは俺の方だと言う事に気付いてないらしい。

 

 

「仲良さそうだったので恋仲かと思いましたが……どうやら読み間違えた様ですね……」

 

 

 首だけとなった探求ネキが身体と一緒にMAGに還る。今までで一番楽なギミックだったな。

 

 周囲を覆っていた霧が晴れた。同時に桃の香りが物凄く強く香る。鼻が効かない。中々厄介な状況に──

 

 

「……きゃー!人殺しよー!」

 

「ふざけてないで手伝ってください!数が多い!」

 

「へいへい」

 

 

 取り敢えず桃娘を虐殺してる探求ネキに背後からトランプを投げ付ける。()()()()()()()掴んで投げ返された。

 

 

「俺を確かめるかー?」

 

「面倒なので敵陣の真ん中にお願いします。範囲叩き込むので」

 

「りょ」

 

 

 命令通りレベル五十の身体能力で敵陣のど真ん中に着地。【ヤブサメショット】が飛んできたので【霞駆け】で避けながら周囲を切り捨て、ついでに拍手一回(煩悩即菩薩)

 

 

「いや、避けられたら確かめられないんですけどー?」

 

「当たるまで連射すりゃ良いだろ」

 

「それもそうですね」

 

 

 さっきの三倍降ってきた。容赦無さ過ぎる。

 

 取り敢えずそこらへんの盾*2を掲げて脱出。返す刃で【霞駆け】を発動。五倍降ってきた。

 

 

「流石の俺も死ぬぞー?」

 

「蘇生してあげますので安心してください」

 

「だが断る。このセツニキ、死ねと言われたら意地でも生き残る事を信条としているんだ」

 

 

 当たりそうな【ヤブサメショット】にトランプをぶつけて迎撃。その隙を突いて探求ネキが距離を詰めたので【ソウルドレイン】で迎撃。

 

 

「ちょ、死ぬんですけどー?」

 

「蘇生してやるから安心して死んでくれ」

 

「だが断る。この探求ネキ、死ねと言われたら意地でも相手を殺して生き残る事を信条としているのです」

 

「殺意たけぇなオイ」

 

 

 お互い殺り合いながら周囲を巻き込んでいると、ギミックの方が先に終わった。

 

 

『『軟弱な奴め』』

 

 

「いや、君達が容赦無さ過ぎるだけだからね?」

 

「とは言っても、異界で仲間とはぐれたら敵だと思えが常識だしなぁ」

 

 

 【ドッペルゲンガー】以外の悪魔も普通に化けてくるし。

 

 

「取り敢えずセツニキ。確認です」

 

「ういうい」

 

 

 探求ネキの弱パンを甘んじて食らい、代わりに弱パンを放つ。ついでに【清浄の祈り】で纏めて回復する。

 

 

「毎回思うんですけど、それって【清浄の一喝】ですよね?【権能】じゃないのに何でスキル名(発動キー)を変えられて、そんな速さで構築出来るんです?」

 

「発動するまで()()()()()()()()からに決まってんだろ?」

 

 

 ちなみに叩く位置を変える事によって別のスキルが発動する様にしている。普通の人間は【権能】なんて無いからな。霊力が在った時代の〝一族〟は、この様にして【権能】の真似事をしていた訳だ。

 

 

「何というか流石修羅勢と言うべきですかね」

 

「いや、これどちらかというと日本の教育の成果だぞ?」

 

「というと?」

 

 

 流石に二度ネタはつまらないので、歩きながらの会話に切り替える。ショタオジ達はまた気配を消した。

 

 

「日本人は行列に割り込まないだろ?朝の通勤ラッシュですら規則正しく並んでるしな」

 

「あー成る程。()になるまで繰り返した訳ですね」

 

 

 頭の回りが早い人間との会話は楽で良いな。

 

 

「ちなみに修羅勢の大半は同じような事をやってるぞ。もちろん探求ネキもな?」

 

「……言われてみれば【スキル】を意識して放って無いですね」

 

「どんな分野でもそうだが、無意識で出来る領域まで高めて(ようや)く皆伝を与えられるのはその為だ。これをさらに極めると【権能】になる訳だな」

 

「それだとセツニキの【清浄の祈り】は可笑しくないです?とっくの昔に【権能】になってる筈ですけど」

 

「俺、神道家。仏教系統(こっち)が【権能】になると、仏が石長比売に下った事になりそうでなぁ」

 

「あー……だから名前を故意に変えて、意識的に【権能】から遠ざけてる訳ですか」

 

「yes」

 

 

 ちなみに同じ理由で【色即是空】や【煩悩即菩薩】も止めてる。これから先も【権能】として使う事は無いだろう。

 

 

「お、終点っぽいな」

 

「普通なら下品な光景ですが、不思議と調和してますね」

 

 

 朱色の橋の先には、銀の根、金の幹、白金(プラチナ)っぽい仙桃の実っている桃の木が。何処か蓬莱の玉の枝*3を彷彿とさせるパチモンだが、感じる霊力的に下手すれば〝本物〟と同等な気がするな。

 

 

「火鼠の皮衣、燕の産んだ子安貝、龍の首の珠、仏の御石の鉢、蓬莱の玉の枝。鼠は【火炎無効】のスキルカードを差し込めば良いだろ。燕に産ませた子安貝は燕に変化する女神*4に産んで貰えばオッケー。金銀七宝を魔術で石鉢に変える事は可能。蓬莱の玉の枝はパチモンが目の前にある」

 

「龍の首の珠はどうするんです?」

 

「青龍には無いし、黄龍は手持ちだった筈だ」

 

「残念ながらメガテン世界じゃ揃いませんか」

 

「龍玉の原点とされる如意宝珠(チンターマニ)で良いなら適当な仏からパクれる気がする」

 

「ふむ。かぐや姫を頂けそうですね」

 

「問題なのはかぐや姫に式神(俺の嫁)を越える価値があるかどうかだな」

 

「ショタオジ製で私達の理想ですからねぇ」

 

 

 会話している内にMAGの収束が終わる。さて、何が出てくるかな?

 

*1
首、心臓、股間辺り

*2
モモタロウと桃娘

*3
竹取物語でかぐや姫が要求した五つの難題の一つ。銀の根、金の茎、白い玉(真珠)を付けた物とされているが、東方を知ってる人間には七色の玉を付けると刷り込まれてると思う。ちなみにこの難題を出された車持皇子は三年掛けて職人に作らせたのだが、かぐや姫を食べる直前に代金の取り立てに遭い、夜の運動会(意味深)に失敗している。

*4
実は一杯居る。ケルト神話なら海の王マナナンの娘のファンド。ギリシア神話のピロメーラーは歌わない鳥として燕になった。




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