【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
「んー?これ、どうなってるんです?」
「まぁ、何らかの〝ギミック〟だろう」
収縮を終えたMAGが具現化しない。否、正確には
「っと、どうやらゆっくり探る時間は無いみたいだぞ」
「
「ミラーマンREFLEXの事か?」
「え、なんですそれ?」
「二千六年に円谷プロダクションが発売した特撮ビデオでな?設定が──おっと、お喋りはここまでみたいだな」
「凄く気になるんですけど!」
「文句なら僵尸に頼む」
土、水、空。ありとあらゆる所から僵尸が現れ、俺達には襲い掛かる。……手応えが変だな。
「【アナライズ】行くぞ」
「了解です」
★【屍鬼 キョンシー】 Lv30 (不老不死の加護)
耐性:火炎・破魔弱点 状態異常無効
スキル:丸かじり 毒・麻痺ひっかき 毒・麻痺かみつき
ドロップ:────
人工的に作られた桃源郷の主である邪仙が呼び出した僵尸。本来ならレベル一程度の強さしか無いが、異界の仕組みを悪用して三十まで引き上げている。
「うーん、流石は悪魔と言うべきかな」
「感心してないで情報共有お願いします」
「ういうい。邪仙が〝数〟のみに絞って大量召喚した僵尸で、不老不死の加護付き。スキルは毒と麻痺の【ひっかき】と【かみつき】で、ついでに【丸かじり】持ちだ」
「〝数〟特化の割には〝質〟も高く無いです?」
「敵のレベルを
「成る程。見事な利用ですね」
「だろ?」
どんどん増えていく僵尸を二人で捌きながら感心していると、何処からか
『余裕を見せていられるのも今の内だけじゃよ。貴様らでは儂の元には決して辿り着けん!』
「聞き取りづらいな。俺には命乞いしてる様に聞こえたが」
「奇遇ですね。私にもそう聞こえました」
僵尸の発生量が増えた。沸点低すぎだろ。
取り敢えず沸いた僵尸共を薙ぎ払いつつ作戦会議。とはいえ同じ修羅勢なので、託し託されるだけだ。
「仙人対決してくるか?」
「じゃ、僵尸は任せます」
「りょ」
探求ネキが離脱する隙を作るために【会心波】を放つ。その生まれた空白を利用して離脱する探求ネキを見送り、少し考える。
僵尸の定義は、埋葬する前に死体を室内に安置しておいた時、夜中に突然動き出して人を驚かせた死体を『僵尸』と呼んだのが始まりだった筈だ。『僵』という字には、強張る、死ぬ、硬い、硬くなるという意味があり、動き出しても死体の様にすぐ硬直する様を指している。
『尸』には死体や亡骸という意味があり、合わせて僵尸──つまり、強張る死体という意味がある訳だ。
ちなみに乾いた
まぁ、生前の様な瑞々しさが無ければ『強張る』事すら出来ない = 動き出せないから当然なんだが。
それなら御札要素は何処から来たんだとなるが、これにも理由がちゃんとある。
湖南省西部よりの出稼ぎの死体を故郷に送り返す際、道士が呪術で死体を起こし、自らの足で帰らせた伝承が大陸には存在する。この時の方法を『
余談だが、この僵尸は日本でも有名な『西遊記』にも登場し、一行を三回襲っている。
一回目は十八ぐらいの美女に化けて、二回目は幾つかパターンがあるが、母親のフリをして老婆になって近付き、殺そうとするが、悟空に八十の婆が十八の娘を産める訳が無いと殺される。
三回目は老翁に変化するが、面倒になった悟空に山神と土地神を呼ばれ、最終的に如意棒で殺される。しかし三蔵が悟空が一日に三人も人を殺したと誤解し、花果山*1に送り返してしまう。
話が逸れた。この後の事は是非『西遊記』を読んで各自で確認してくれ。
ともかく、長く生きた僵尸は理性を取り戻し、神通力を会得し、空を飛び始める。つまり、ショタオジや探求ネキの様なバグみたいな存在になる訳だ。──そう、目の前の僵尸共の様に。
「
「【鋼気功*2】!【マッスルパンチ】!」
「【麻痺かみつき】【毒ひっかき】……オマケの【デスバウンド】!」
「五月蝿せぇしウゼェ……!」
【アナライズ】の情報以外のスキルを使ってるじゃないか!と普通の俺達なら言うだろうが、僵尸という存在を正しく知っていると納得しか無い。
先程説明したのは、あくまでも一般的な僵尸の話だ。死体が動き出した話を元にした
少し話は変わるが、大陸は覇権を取った人間が前時代が作り上げた神話を貶す事が多い。例えば〝仙人〟という概念だ。
俺の知ってる限りだと、最初は肉体を保持したまま神仙──不老不死や神通力や飛翔能力を得て、神の如き存在となる事が道教の理想とされていた。
だが次の時代では肉体という枷を外し、魂のみで神仙に至る事こそが理想となる。
さらに次の時代では一度死んでから甦り、神仙に至る事こそが至高とされた。
どれが正解か俺には分からないが、二番目は仏教の『解脱』の香りがするし、三番目はキリスト教の香りがするが気のせいだ。気のせいという事にしろ。
今回、問題になっているのは、三番目の
一度死んでから蘇り、人を喰いながら長生きした僵尸は神通力と飛翔能力を得て、仙人に至る。
つまり、
そしてレベル三十という数字はショタオジが上層卒業ラインと定める程度には
ウザさが増した僵尸共の猛攻を受け流しつつ反撃。だが、不老不死の加護のせいで即座に再生するから無意味。俺には秋雨ニキの様に〝ギミック〟ごとぶち抜ける火力は無い。さて、どうするか。
「【炎龍擊】!【水龍擊】!そしてこれが我が奥義!【双龍擊】だ!」
「左右で違う龍擊を撃ってるだけだな」
「ふっ。君程度には勿体無いが、僕の秘術を魅せて上げようッ!」
「符術による五重
「へぇ~まだ余裕そうだね?でもワタシぃの魅力の虜になっちゃえ~♪【
「ハッ。胸を大きくして出直して来い小娘」
「それならワタクシの魅了はどうですの?──【
「悪くは無い。が、心は動かんな」
俺に屍姦する趣味は無い。
暫く僵尸共の相手をしていると、万象一切を灰塵と為しそうな、流刃若火の様な
『セツニキ、ヘルプが居るなら空に何かを打ち上げてくれ。流石にこの数は手に余るだろう?』
再生された秋雨ニキの声に従って辺りを見回すと、すでに三桁から四桁に届きそうな量の僵尸が。……ふむ。
「舐められた物だな」
「何を言って──」
「せっかくだ。圧倒的〝個〟に対して〝群〟が勝てない事を証明してやろう」
適当にばら蒔いた呪符を空高く飛ばす。そして解放。
「黄金……?」
降り注ぐ金のインゴットを見て呟く僵尸を気にせず、さらに呪符をばら蒔く。良し、準備完了。
「お前ら仙人や神や仏を名乗る貧乏人には不可能な〝金持ち〟専用の術式だ。富を捨て去る事を美徳とする貴様らには決して使えない、
右手に持つ呪符に霊力を注ぎ込み、起動。
時価総額にして約十億の金塊。それを触媒にして発動するこの術式は、富豪俺達との飲み会が作った切っ掛けとなった。
ショタオジに破れた後、たまたま時間が合ったので飲み会をしたのだが、その席で俺達がショタオジを倒せる術は無いか?という、酔っ払い特有の怖いもの知らずなノリで聞かれたのだ。
その時は無いと答えたが、その戯れ言を真面目に考え、既存の術式を改良・改造し、作り上げたのがこの術式となる。
火に弱いという弱点を抱えてる為、肝心のショタオジはおろかカヲルニキにすら効かないという、まさに無駄な術式なのだが……相手が
この術式のベースになったのは〝十代目〟が作り上げた石龍を創る術式。効果は触れたモノの石化。それをマヨヒガからパクった術式と双子ニキ(兄)の【
故にこの術式の名は──
「
実は
あれだけ権能の説明をしておいて術式に頼る主人公が居るってマ?