【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
たぶん小ネタのクダの話に繋がるんだと思うんですが、この作品の主人公も引っ掛かったという。
ちなみに↓の本文ですが、美女鬼の足にすっぽり収まってる四歳児とショタオジ(作者の脳内イメージだと十歳ぐらい)の会話です。
「助けてって言われても何しろと?」
「ちょっと異界入って俺の代わりに悪魔狩り宜しく☆」
「無理☆」
お互いにウィンクしながら星を飛ばし合う。笑顔は本来、威嚇的な意味があるとか無いとか。
「式神作ってあげるからさ~お願い~」
「それは興味あるが、具体的に出てくる悪魔の名を言えや」
「大体の神話の高位分霊☆」
「この話は無かった事に……」
勢いで立ち去ろうとしたが、美女鬼とネコマタがガッツリ俺を押さえていて立ち上がれない。くそっ……俺は無力だ……!
諦めて頭の上に乗っかる柔らかい胸の感触を楽しみつつ、古ぼけた頭脳を回す。
「俺でも相手が出来る、または俺以下の強さに制限出来て、尚且つ祀神が封印されてなきゃまだ何とか出来たんだけどな」
正直、英雄クラスまで俺の霊格が上がれば神に頼らずとも行ける気はしてる。
「お?駄目元だったけど可能性ある感じ?」
「うちの秘伝になるんだが、術式の〝永続化〟が出来るんだよ。正確に言えば、発動した術式の効果時間を疑似的に永遠にする術がある。開祖は一人で出来たみたいだが今の俺じゃ無理だし、人間がやると触媒やら準備が面倒だから石長比売に頼った方が早いんだが──」
「メシア教に封印されてる?」
「そう。そして解放自体は可能だとしても、その後にメシア教が敵に回る事を考えるとリスクにリターンが合うか微妙な気がする」
目の前のハオ様が本気を出せば、四大天使でも相手にならないのは確実。しかしその結果、星霊神社の異界の管理を一時的に放置し、さらにメシア教を敵に回すだけのメリットがあるかと言えば……無いだろう。
「うーん……確かに微妙だね。でも悪くも無い。例えば他の霊能組織を支援して解放して貰うのは?メシア教の怒りはその組織に引き受けて貰ってさ」
「メシア教に根切りにされてるぞ」
「えっ」
「メシア教に、根切りに、されてるぞ。正直、国防も危ういと思う。だからこそ俺はアンタと出会えて安堵したんだから」
「えぇ……」
日本の現状を知って愕然とした表情の神主と、それを心配そうに見詰めるネコマタ。たぶん後ろの鬼も同じく心配してる気がする。
「追い討ちになるが、たぶん術の継承も不完全になってるぞ。少なくとも星祭神社は酷い事になってた」
「……どれくらい?」
「基礎が無いのに誤訳の封印術式が残されてるレベル」
「oh...」
今度こそ絶望したのか、アメリカンなリアクションで天井を見上げるハオ様。そんな彼を見つつ、冷めたお茶を飲みながら考えを纏める。
現状、俺にしてみれば事態の解決に一歩前進しているのだ。
目の前の少年という、何にでも勝てる、何にでも使えるJOKERの存在を知ったのだから。
問題なのは、そのJOKERを動かす為には厄ネタ満載の星霊神社の異界を何とかしなければならない、という事だ。
それは常人には不可能で、だからこそ彼をここから動かせないし、彼は動けない。
普通に考えれば四方を囲まれている〝詰み〟状態だが──
「ねぇ、もしもの話だけど、霊的素質が高い存在がたくさん居たら何とかなると思う?」
「そいつらの実力は?」
「まだ卵。雛にもなってないけど、いずれ龍にも神にも成れるぐらいには才能がある」
そんな都合の良い話あるか、と反論するには〝俺〟の存在が邪魔だった。
「そいつらの人格が戦いに向いてるとは限らないぞ?俺は言っちゃなんだが荒事に慣れてたからどうにかなったが、無理な奴は無理だろう」
「最悪、覚醒さえしてくれれば式神を扱える様に出来るから、本人の命に気を配れば平気、だと思う」
式神の燃料扱いか。悪くは無い。が、それをするには幾つか問題がある。その為にも──
「まずはお互いの最終目標を決めるべきか。俺の目標は星祭の奴等と世話になった人ぐらいは終末後も〝人として〟生きて欲しい。そっちは?」
「異界の抑えを楽にしたい。ずっと同じ作業の繰り返しが辛いし、ゲームとかする時間も欲しい。あ、ついでに日本も最低限助けたいかな?」
「おーけー。そこらへんは緩く行こう。お互い本音は隠してるだろうしな」
ついでの部分が遺言辺りか。後は終末に対して言及してない所を見るに、自分だけなら終末後も何とか出来る手段があるっぽいな。
それに相乗りさせて貰えれば俺の目的も自動的に達成されるので、わざわざ追求はしない。
「次の問題は、俺らの業界が基本的に嘘臭いって事だな。
「一応、俺の作る式神は写真とかに写るんだけど、それだけじゃ弱いかな?」
「それは凄いんだが……俺の様にオカルトを正しく継承してる奴等がどれくらい居るのかがなぁ」
ちなみに俺の犬神を含む各種符術は符だけが見える。だから霊視すればダーツの形に見えても、一般人には符だけが飛んでいく様に見える訳だ。それでも信じて貰えるかは微妙だが。転生前の記憶があるせいで、動画加工だと思われるのがオチな気がする。
「取り敢えず、転生者のラインは最低にしておこうか。オカルトを全く知らず、アニメやゲームの知識のみ」
「それってどれくらい?」
分からない事を素直に聞いてくるハオ様を見て、自分の中の疑惑が確信に変わる。さっきからちょこちょこオタク的な話を混ぜているが、全く反応が無い。霊力持ちの前世と合わせて考えると、ロクな娯楽を知らなそうだな。
禊に頼んでファミコン辺りが出来る環境でも整えて貰うか、等と頭の片隅に残しつつ、ハオ様の疑問に答える。
「たぶん斬魄刀*1を欲しがるし、鬼道*2を使いたがるぞ。もしくは影分身の術*3で経験チートかなろう系のチートを望むか」
「???」
「俺で例えると、修行も勉強もしないでアンタになりたい!かねぇ」
「えー……本当にそのレベルなの?」
「たぶん何人かは俺の様に修羅場をくぐり抜けてると思うんだよ。中には前世で寿命を全うしてるからこそ、落ち着いて現状を把握出来てる奴も居る。もしくは現在進行系で社会人やってる奴らは現実が見えてると思うんだ。けど、そんな奴等が怪しいオカルトに飛びつくかと言うと、な?」
「常識や今の幸せ、オカルトに対する危機感があるから避ける、か」
「うむ。飛びつくのは現状に不満があって今を変えたい奴か、
「ロクな人材が居ないね……」
さもありなん。
「まぁ、転生者が一万人ぐらい居れば十人ぐらい引っ掛かって、その内の一人か二人ぐらいは使える奴が来るだろ」
「もうちょっと何とかならない?」
「最悪、終末が近付くに連れてオカルトに走るやつも増えるだろうし、そうなれば楽になる、と思う。俺らがその間にオカルト業界で有名になれればの話だけどな」
これに関しては心配してないが。目の前のハオ様を超えるオカルト能力者は居ないだろうし。
「ま、この話はここまでだ。次の問題はどうやって転生者を覚醒させるかだな」
「普通に修行じゃ駄目なの?」
「そんな根性がある奴はすでに覚醒してるか、第二の人生成功してるだろう」
「あー……」
世界を救うのは俺だぜ!とか貴様らに任せておけん!みたいな上振れする分にはやったー!と喜べば良いだけだ。対策が必要なのは、想定した最低ライン付近の人材をどうするかになる。
「
メガテンを知ってて現実逃避する奴は知らん。流石にそこまで救いの手は長くない。
「借金で首が回らない奴も一発逆転を餌に釣れる。問題なのは残り二つだが……二度目の人生に失敗した奴はまだ良い。逃げ道が無いから
努力したくねぇ!でもチートは欲しい!って奴らだ。と言葉を区切る。
「
「うーん……逆にそこまでキッチリした組織にしなくても良いんじゃないかな?」
「と言うと?」
「頑張る人だけで頑張って、頑張らない人は知らないって感じ?俺達は俺達の目的の為に頑張って、他の転生者達も自分達の目的の為に頑張る的な?」
「趣味サーや互助組織って事か」
そうなると、話は変わるな。
「なら、必要なのはやる気のある奴の背中を押す修行の方か。丁度良いな、頼みたい事もあったし」
「頼みたい事?」
「星祭の巫女達の覚醒。龍や神になれるかわからんが、現地人でも卵から孵るなら転生者だと余裕になるだろ?」
「君じゃ駄目なの?覚醒の為の知識はあるでしょ?」
「知識しか無いし、命の保障も無いんだよな。元々その知識を漁りにここに来た訳だし」
「成る程ね。わかった、準備しておくよ」
「さんきゅ」
知らぬ間に消えていたネコマタが新しく入れてくれたお茶を飲む。さて、残るは最後の問題だ。正直、これが一番厳しいんだが。
何故か余裕な表情でお茶を飲むハオ様の態度に疑念を感じつつ、話し合いの為に口を開く。
「で、肝心の転生者集めはどうやる?」
「えっ?普通にネットで募集掛ければ良いんじゃないの?
ああ……気付いてなかったんだな。
「会社ならともかくネカフェは十年近く未来の話だぞ。ついでにパソコンの一般普及はもっと後だ。ちらほら同じ転生者の頑張りが見えるからこの世界だともっと早くなるだろうが、街の方にもまだ無いんじゃないか?」
少なくとも俺は街中で携帯を使ってる奴すら見たこと無い。
俺の言葉が予想外だったのか、ぽかーんとした顔のまま固まる目の前の少年を見て、さらにお茶を一口。う~ん、良い仕事してますねぇ。
ショタオジが主人公の術式を知らなかったのは、本編で色んな霊能組織から傘下に入れる見返りに秘術を回収してる的な話からネタが湧きました。
個人的にショタオジの知識引き出しはGoogleみたいな検索する言葉によって結果が変わるイメージなんですよね。
ちなみに禊ちゃん達星祭神社の方々が受ける覚醒修行は後の黒札達に取って悪名高い厳しい方のコースの前身です。
だからたぶん本編開始の時に意気揚々と挑む俺達を憐れんでると思う。