【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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神代木を求めて 打ち上げ!

 

 

「いやー!バクテリアは強敵でしたね!」

 

 

 苦労から解放されたショタオジがファンタをイッキ飲み。気持ちは凄く良く分かる。

 

 

「まさか異界に適応した上に進化するとは……」

 

「しかも、桃紅木だけを狙い撃ちにしてたな」

 

 

 ジャンニキに謝って一度予約を取り消し、俺も交えて再び神代木作りをしたのだが、聞くも涙、語るも涙の苦労があった。

 

 

「俺の用意した魔界樹とかセツニキの用意した紫檀や花梨には見向きもしなかったよね」

 

「たぶん探求ネキの霊力が陰陽(いんよう)混ざり合って丁度良かったんだろうな。あそこって桃源郷っぽいし」

 

「紅木は大陸の二胡(にこ)にも使われますからね」

 

 

 本当に疲れたのか探求ネキが焼き鳥にかぶり付いて、さらに烏龍茶をイッキ飲み。見た目が良いだけあって様になるな。やってる事は疲れたOLだが。

 

 

「おう。お前ら、追加だぞ~」

 

「お、ジャンニキさんきゅ~。さっきは悪かったな」

 

「いや、この面子で予想外が起きる事を予想しろって方が無理だろ。俺でもセツニキと同じ行動取るぞ」

 

「だよね~俺、マジで最後のつもりだったもん」

 

「私もです」

 

「だよな」

 

 

 事前に何回か成功していて、だからこそ俺とショタオジはふざけたのだが、あの時にはすでに変異*1していたらしい。

 

 正直、聞いても頭が理解出来なかった。同時に細菌を弄る恐ろしさを改めて知った。少なくとも俺程度の浅学で手を出して良い領域じゃない。

 

 

「これで全部だな?そんじゃごゆっくり~」

 

 

 食べ終わった食器を下げてジャンニキが消える。そして俺の目の前には上海ラーメンと餃子が。

 

 

「先に言っておくが、俺は食事中に喋るつもりは無い。では、頂きます」

 

 

 しょうゆ豚骨のスープ。そしてスープに良く絡む柔らかい中太麺。上海ラーメンと言う名だが、実は大分県の佐伯ラーメンの元祖らしい。

 

 しょうゆ豚骨だが最近の流行り程こってりしておらず、どちらかというとあっさり目。流石はガイア連合の最高位料理人のジャンニキだな。良い味してるぜ。

 

 

「本当に食べるのに集中してますね……」

 

「セツニキは食事中マジで喋らないよ」

 

「昔から何ですか?」

 

「セツニキが四歳の頃からの付き合いだけど、お茶ならともかく食事中はマジで喋らない。ネコマタが色仕掛けしようが【誘惑(マリンカリン)】しようがね」

 

「え、今ですらレベル差ありますよね?」

 

「うん。だけど【誘惑】って認識しないと意味が無いからね。本来は六感に働き掛けるから目を閉じても意味無いけど、味覚以外を閉じられたらキスでもしなきゃ通らないからさ」

 

 

 箸休めに餃子に手を伸ばす。俺は皮はもちっとしていて、底はちょい焦げ目のカリっとした羽根つきが好きだ。みっちり具が詰まってると尚良し!

 

 付き合いが長いからか、ジャンニキの食堂で餃子を注文すると、別のお願いをしない限りこの餃子が出てくる。古参の特権だな!

 

 

「何というか本当に食べるのが好きなんですねぇ」

 

「それもあるけど、戦中、戦後経験者だからね。セツニキが誰かに作って貰った物を吐き出す所は見たこと無いなぁ」

 

「え、そうなんですか?製造班の試作霊薬とかかなり酷い味ですよ?それでも?」

 

「うん。飲み込むよ。ネコマタが最近セツニキに悪戯したけど、普通に全部飲み干してたし」

 

 

 再びラーメンに戻る。とはいえ残りの麺は少ない。スープを飲み干して炒飯を頼むか、スープにご飯を入れるか。それが問題だ。

 

 

「とはいえ食べ終えてから的確な味の批評するから、料理系俺達の鼻を何度も折ってるけどね」

 

「あ~だから調理の俺達から畏れと尊敬の入り交じった視線を向けられてたんですね」

 

「その道を進む専門家には厳しいんだよ。本音を隠す方が失礼って精神」

 

「前世が若い俺達には古くさいって言われそうな昔の価値観ですけど、私は好きですよ」

 

「俺も好き。客は専門家を信頼して、専門家は全身全霊で依頼を遂行。失敗したら〝何で失敗したんだ!〟って罵声じゃなくて、〝貴方程の人が失敗したならそれが運命なのでしょう〟って受け入れるっていうかさ」

 

「そんな素敵な関係だと、専門家は全力を尽くすしか無いですよね」

 

「本当にね~」

 

 

 味わって食べていたら、スープを飲み干してしまった。必然的に炒飯を頼むしか無くなったな。これも〝運命(fate)〟の導きだろう。

 

 

「追加で炒飯頼むが、お前らは?」

 

「ポテトと焼き鳥盛り合わせで!」

 

「あ、俺も追加で何か海外の飲み物~」

 

「ノンアルならSPEZI(シュペツィ)でも頼むか?」

 

「何それ?」

 

「ドイツの飲み物で、果汁入りオレンジ、コーラ、レモンジュースを0.375、0.375、0.25で割った飲み物だな」

 

 

 発祥は第二次世界大戦中だ。アメリカと敵対した事によりコーラの原液が手に入らなくなったので、限りある資源になったコーラの原液の消費量を落とす為に作られたという話だ。

 

 日本で飲む場合はコーラとファンタオレンジを1:1で割れば良い。ドイツの風を感じられるぜ*2

 

 

「あ、私もそれお願いします。ちょっと飲んでみたい」

 

「りょ。じゃ、ボタン押すぞ~」

 

 

 数分雑談していると、ジャンニキ自身が注文を取りに来てくれた。

 

 

「────以上で良いか?」

 

「はい。大丈夫です」

 

「セツニキが来ると色んな所のレシピが集まるな」

 

「え、セツニキそんな事までしてんの?」

 

「前回来た時はブルガリアのバニツァ*3のレシピ渡して作って貰ったな」

 

「何でそんな事を?」

 

「嫁達が料理のレパートリーを増やしたいって言ったから、最高峰の料理人の味を刻み込みたくて?」

 

「いずれ妥協するなら普通の味からでは無く、最高峰からってのが持論なんだっけか」

 

「俺も含めて日常的に食べる料理に時間を掛ける余裕は無いからな。いずれ妥協する事は分かってんだから、どうせなら最高峰から妥協して欲しいだけだ」

 

「そう言って貰えて料理人の冥利に尽きるぜ。じゃ、すぐ作ってくるわ」

 

 

 ジャンニキが厨房に戻るのを見送り、餃子を摘まみながらビールを流し込む。ッ──かぁ!やっぱりこの組み合わせは最強だな!ライバルは唐揚げぐらいじゃないか?

 

 

「見た目と行動がチグハグ過ぎる……!」

 

「ショタオジだけには言われたくねーわ」

 

「私に言わせれば二人ともチグハグなんですけど?」

 

「まぁ、俺はもうそろそろ成長期だしな。ショタオジと違って背も伸びるだろ」

 

「え~セツニキは伸びないよ?──俺がそう決めた

 

意地でも伸びてやんよ

 

 

 その幻想を俺はぶち壊す!

 

 

「二人とも仲良いですね~」

 

 

 のほほんと漬物をポリポリ齧る探求ネキを見て、ふと思い出す。

 

 

「そういや久遠*4は呼ばなくて良いのか?」

 

「大丈夫ですよ。今日は外で食べてくるって伝えてますし」

 

「ショタオジは?ネコマタ呼ばなくて良いのか?」

 

「分身を本物の俺って誤魔化してるから、その印象の補強役に置いてるよ。見破れるのは霊視ニキを始めとする修羅勢だけだし、そっちは俺が自由にしてても黙ってくれるからね」

 

「術者や修羅勢やってると、どれだけ凄い事をやって貰ってるか理解出来ちゃいますからねぇ」

 

「まぁ、ショタオジが息抜きしてたら疲れてるんだろうな、で見逃すわな」

 

 

 こっそりジャンニキにLILINを送り、ネコマタ用のお土産を依頼する。代金はもちろん俺持ちだ。

 

 

「まぁ、俺もたまにはこういう時間を楽しみたい──あ、思い出した」

 

「ん?」

 

「星祭の隠れ家ありがとね~お礼を言うのを忘れてた」

 

「まぁ、あの程度なら幾らでもな」

 

「それって私が聞いても大丈夫な話です?」

 

「大丈夫大丈夫。誰も来れない俺だけの部屋を用意して貰ったってだけだから」

 

「一人になりたい時間ぐらい誰にでもあるだろ?俺としては大した手間じゃないし、星祭の結界関係もやって貰ったからそのお礼も兼ねてな」

 

「成る程。確かに一人になりたい時はありますよね」

 

 

 ショタオジが子作りする為の部屋とは流石に言えないわな。食事中だし。

 

 その後、暫く雑談していると、ジャンニキが料理を運んできた。もちろん俺は食事に集中する。

 

 炒飯はパラパラ米が立った奴より、俺は少しべちゃっとしてる方が好きだ。具材はハムとネギと卵とカマボコ。スープはもちろん中華スープ。

 

 中華スープはネギとワカメだけのシンプルな奴が好きだ。ラー油等は入れず、ごま油と白ごまだけで勝負してる奴が良い。

 

 前世だと付き合いも多くあり、色んな場所で食事したが、高級な中華料理店よりもチェーン店の独自メニューだった中華スープが一番美味かった。

 

 未だにあれを越える中華スープを飲んだ事は無い。ジャンニキの奴よりも、だ。

 

 

「食事ってもっと穏やかな雰囲気でやるもんだと思ってましたけど、セツニキとの食事は妙な緊張感がありますね」

 

「セツニキと式神達の食事風景は中々面白いよ?食べてる時は全員無言で、食べ終わったら飲み物やデザートを摘まみながら雑談みたいな徹底振り」

 

「式神は主人に似ますからね」

 

「いや~あれは食べてる時は絶対に構って貰えないから大人しく食事してただけだと思う。それが知らぬ間に定着したみたいな?」

 

「あ~成る程」

 

「御馳走様でした。やっぱりここの料理は美味いな」

 

 

 星祭の中居達も頑張ってはいるが、勝てる日は遠いだろう。

 

 

「ここに慣れると地方巡業が辛いんですよね」

 

「地方にも美味しい物はたくさんあるが、季節限定だったり並ぶ必要があるからなぁ」

 

 

 特にスイーツ関連。人気商品はマジで買えない。

 

 煙草を口に咥え、火を付ける直前に気付く。

 

 

「吸って良いよ?」

 

「私も大丈夫ですよ?」

 

「いや、外で吸ってくるわ」

 

「了解。行ってら~」

 

 

 席を立ち、個室の外へ。そのままネコマタ用の土産の支払いを終え、外の灰皿の前で火を付ける。

 

 食後の一服は何でこんな美味いんだろうな。ほろ酔い気分の煙草も美味いし、朝日を浴びながら珈琲と共に吸う煙草も美味い。

 

 嫌煙家に配慮するが、俺がやめる時は一生無い。まぁ、俺達が多くなったら店前の灰皿も撤去され、店内は禁煙になりそうだが。

 

 そしたらここに足を運ぶ回数は減るだろうな。ランチならともかく、俺の中で酒と煙草はセットだ。少なくとも夜に来る事は無くなるだろう。

 

 吸い切った煙草を水の張られた灰皿へ投げ入れ、再び店内に戻る。残り僅かな時間を噛み締めるとしますかね。

*1
原因を探る為にショタオジが【過去視】まで使った。

*2
個人の感想です。

*3
卵と白チーズを薄いパン生地で包んだブルガリアの伝統料理。

*4
探求ネキの式神。名言されてないが、たぶん一騎当千の関羽。やはり大きいは正義。

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