【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
カオ転作者あるある:別に神話に詳しくないのに書き始め、調べまくって詳しくなる。
石長比売なんてこれ書くまで瓊瓊杵尊に捨てられた女程度の認識だったよ!
星霊神社から程近く。星祭からも程近く。地獄湯や先日完成したガイア連合山梨第二支部からも程近い場所に知り合いの建てた店がある。
そう──ミナミィネキの悪魔しょうかんだ。
「セツニキがここに来るなんて珍しいですね?」
「ちょっと用事があってな」
「用事?」
「ちょっと俺の
「稽古?」
「一対五で負けるのが悔しいらしくてな?かと言って俺以上のテクニシャン*1となると、ミナミィネキぐらいしか思い当たらないんだわ」
「それは光栄ですけど……セツニキが教えてあげれば良いのでは?」
「俺を満足させたいらしいから、俺が教えるのもな?」
「あ~」
別に満足してない訳じゃ無いんだが。乱れてる姿は普通に興奮するし、柔らかい胸の感覚を楽しんでもいる。
ただ、俺と繋がってる関係で気付くんだろうな。確かに性欲を刺激しているが、それは理性を失わせる程では無い事に。
「夜の関係が滞るのは不味いですからね。私も全力を尽くしますよ」
「おう。期待して──」
からんからんと入店を告げるベルが鳴り、無意識の動きで入り口に視線を動かす。
「あ~お取り込み中でした?」
「んー?」
はて?何処かで見たことあるような?
「セツニキ、どうしました?」
「え、えっと……俺、何かしちゃいました?」
「んー……あっ、思い出した。俺達にしては珍しい気合いの入った復讐者だった奴か」
「…………!」
確か──名前はカズフサニキ*2だったか。
「……セツニキが覚えてるなんて珍しいですね?」
「忘れる物かよ。あの〝眼〟は俺が良く知ってる〝眼〟だしな」
「よく知って──」
「おっと、それ以上は喋るな。お互いの為にならない。俺とカズフサニキはここの客で、時折見掛ける客同士。それが事実で真実だ」
「それで良いんですか?」
「被害者の幅が広がらない内はな?ショタオジ案件にしなきゃ好きにすれば良い」
それがガイア連合山梨支部で、俺達だ。
「一つだけ聞かせて貰っても良いですか?」
「構わないぞ」
「何で気付いたんですか?」
「お前らの〝眼〟の奥に宿る物のお陰だよ。今日、初めて会ったなら気付かなかった」
これはマジだ。だからこそ記憶と一致しなくて中々情報が出て来なかった。
「そんなに分かりやすかったですか?」
「いや、気付けたのはガイア連合でも一部だけだろうな。俺が気付けたのは、その〝眼〟をしていた奴等を何度も殺してるからだ」
「……どういう事ですか?」
「隠してても殺気が見えるぞ。若人」
「カズフサニキ。相手が悪いですよ。それに話は最後まで聞きなさい」
「…………」
取り敢えず今すぐ飛び掛かってくる様な気配が消えた。とは言っても、俺らなら普通に知ってる話なんだが。
「俺は前世で第二次世界大戦を経験した俺達の一人なんだが、職場が最前線でな?
血と硝煙と爆音と戦友を焼く炎の熱を今でも覚えてる。これはたかが転生した程度では消えない、俺の〝罪〟なんだろうな。
「で、何とか生き残っても、飯食って糞して次の日にゃ鉛玉を撃ち込む仕事に戻る訳だ。その時のお相手は前日の戦闘でしぶとく生き残った
「……そうですね。良く分かります」
「で、もちろん俺もこんな〝眼〟になる訳だ」
「…………!」
ミナミィネキには敢えて見せず、カズフサニキだけに見せる。
鍛え上げてくれた上官を殺され、先輩が生き残るべきだと部下に庇われ、妻を頼むと親友に託された俺の
一度、眼を深く閉じて、ゆっくりと開く。前世の怨みを今世の〝ぼく〟に持たす訳には行かない。この身体を奪った時から、そう決めている。
「ま、見抜けたのはそういう理由だ」
「すいま──」
「謝るなよ。この〝
「……そうですね」
さて、余りにもこの
「ミナミィネキ。空き箱と紙とペン貸してくれ」
「エログッズの段ボールで良いですか?」
「おーけー」
一度裏に消えたミナミィネキが注文の品を持って戻ってくる。それを受け取り、工作開始!……すぐ終わるが。
「──良し、完了」
「これは……?」
「誰にでも出来る簡単な金の集め方だな」
紙に書いた文字は──『メシア教被害者救済用募金』
それを段ボールに貼り付け、悪魔しょうかんのカウンターに置く。
「ここに俺のお小遣いから適当に投げ入れれば完了だ」
十万単位で小袋に分けているマッカをそのまま箱へ入れる。
「えっと、これはどうすれば?」
「募金した時点で俺はメシア教の被害者の役に立った気持ちになって満足してる。だから使い道はミナミィネキの好きにすればいいさ。運営資金にしようが──
「……成る程。これなら簡単に集まりますね」
「本気で募金する気のある奴はちゃんと募金先の活動記録を調べて決める。それを手間だと思う奴は、募金を必要とする人間を助けたいのでは無く、
それを否定するつもりは無い。大切なのは、言葉に出さずとも伝えたい事は伝えられるという事だけ。
「必要になったら
「おう。気が向いたらしてやるさ」
四文字を信仰してる奴を無差別に襲わない限りはな。
「何でそこまでしてくれるんです?」
「何の事か分からないな」
答えたら意味が無くなるし。答えるが。
「俺の目的は昔から一貫して変わってない。第一に終末対策の為にショタオジをフリーにする事。第二に従う人間が終末後に人として死ねる環境を作る事。それ以外は全部
「ま、頑張れや若人。飽きたら別の道を探せ。それが先人からのアドバイスだ」
「……覚えておきます」
軽く手を振って、この場を後にする。
願わくば、彼
◇
一度異界に潜り、感情にリセットを掛ける。やはり〝魂の淀み〟を直視すると引っ張られるな。
霊視ニキは俺より見えてるのに良くもまぁあそこまで保っていられるもんだ。
そんな事を考えつつ星霊神社の魔獣寮へ。目当てはもちろん──アニマルセラピーだ。
「あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~*3」
「お主……嫌な事がある度に妾の尾に抱き着くのはやめい。お主の式神に睨まれるのは妾ぞ?」
「アイの尻尾は性欲に繋がっちまうからなぁ。純粋に癒されたい時はやっぱ尾狐様よ」
アイの尻尾は整っていると艷声と共に乱したくなるが、尾狐様の尾はこう……干した後の布団に飛び込んだ気分になるんだ。
「お主もガイア連合の修羅達も
「仕方ないね。もふもふしてるのが悪い」
ぐてーっと尾狐様の尾に抱き付いてると、頭の上に子狐が乗り、後ろから大きい狐がもふ潰して来る。
やめろぉ~ここから抜け出せなくなっちまう~!
「はぁ……後十分だけじゃぞ。ワシも後輩の指導があるからの」
「……結局、主は見付けなかったんだな」
「ワシの主は〝一族〟だけよ」
「さよか」
お互い無言のまま、十分経った。
「良し!充電完了!んじゃ俺は修羅道に落ちてくるぜ」
「そこは望んで落ちる場所では無い筈じゃが?」
「一般試験で下層試験を通過しようと思ったら終わったばっかりらしくてな?四ヶ月後って言われたんだよ。だから下層に行けねーんだわ」
試験は二月、四月、六月、八月、十月の年五回。年末年始は祝詞を上げたりイベントやったりでショタオジが忙しいらしく、試験はやらないらしい。お排泄物ですわー。
「お主、変な所で運が悪いの?」
尾狐様の言葉に肩を竦める。
「一芸の方でも抜けられると思うんだが、俺を知らない俺達も増えてきてな。ショタオジに忖度されたって思われるのも面白く無いし、待つ事にしたのよ」
「その間は足止めを食うのでは無いか?」
「幸い一回修羅道に潜れば一月は問題無い*4し、今のうちに未熟な分野を鍛えるさ」
「お主で未熟か」
「ガイア連合は上下の幅が凄いからなぁ。上を見ると己の未熟が良く分かるし、下を見ると疑問符が一杯浮かぶぜ」
全員メガテン世界だと知っている筈なんだが、連合所属俺達の非覚醒者数の多さに驚く。ショタオジが居ない時に魔界落ちしたら一般人のまま魔界の瘴気を食らう事になるんだが……大丈夫なのかね?
「妾達はその点では楽じゃの。神主殿が〝ろくでなし〟を弾いてくれておる」
「ペットとして買うなら世話を。道具として使うならメンテナンスをしろってだけの話なんだがな」
「それすら出来ないから〝ろくでなし〟なんじゃよ」
「違いない」
お互いに苦笑いを浮かべる。次、来るときはお茶菓子でも持ち込むかねぇ。
「じゃ、元気でな。また来るぜ」
「お主もの」
肉球付きの手を緩く振り、尾狐様が去っていく。それを見送った後、俺もゆっくり帰宅した。
後続は先達のお陰で楽出来る(笑)