【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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今回の話はガイア連合へのショタオジの過保護力を血縁&少数に注ぎ込まれるとどうなるのかって自己解釈に基づく話になってます。

たぶん、これぐらいすると思うんだよなぁ。



驢馬だと思った?残念!英雄でした!

 

 取り敢えず、今は出来ることをコツコツ進めようという事で星霊神社での会議は終了。俺はそのまま星祭の方へ帰宅した。その翌日、今度は禊を連れて星霊神社へ。

 

 流石に本殿は危険過ぎるので拝殿での面会となったが、あんな目に遭っておきながら当主の生存を素直に喜び、再び仕える事を誓ったのは凄いと思った。

 

 そして、そこからすぐに修行が始まり──

 

 

「生きてる……私……生きてる……!」

 

 

 二週間と少しで禊が覚醒した。覚醒したと同時に手に入れた〝カード〟を握り締め、喜びの涙を流している。

 

 ちなみに修行自体はハオ様が担当、俺は記憶を〝抜いて〟何度でも初心で修行が出来る様にする役だった。覚醒した時にしていた修行はペルソナ修行。目覚めたのはアルカナ永劫のクシナダヒメ。

 

 一週目で目覚めなかったのは、たぶん立ち向かう勇気が足りなかったのと自身の『ヒロイン願望』を認めたくなかった辺りか。そんな風に考察していると、隣でハオ様が首を傾げた。

 

 

「うーん?分家は才能無かった人達の集まりって話だけど、彼女、英雄に成れるぐらい潜在能力ありそうだよ?流石にレベルは一だけどスキル一つに耐性二つあるし」

 

「流石に一人目じゃ断言出来ないが予想は付くぞ?因果の逆転だろ」

 

「あ~自画自賛になるけど、俺が生まれた血筋が()()()()()()って事ね」

 

「たぶんな」

 

 

 世の中の霊能組織が血涙を流しそうな話だ、本当に。

 

 

「よし、今回の事でコツも掴めたし、他の子は纏めてやっちゃおうか。転生者(お仲間)を集めた後の為にも山梨に悲願のネット開通する為にも金策しなきゃだし」

 

「おいおい通常業務はどうするんだよ?流石に俺と禊一人じゃ回らないぞ?」

 

「君が教えてくれた術を使えば行けるでしょ」

 

 

 そう言って、ハオ様が()()する。

 

 

「俺が教えたのはあくまでも思業式神であって、勝手に擬人式神に改良して、その後すぐに()()()()まで昇華した術じゃないんだよなぁ」

 

 

 俺が教えたのは陰陽師にとって基本となる思業式神の浅間神社式。術者の霊力と思念だけで構築され、身の回りの世話をする、霊力が無ければ見えない存在*1を作り出す術だ。

 

 それをこの男、勝手に擬人式神*2にした後、擬人式神の経験を本体と共有可能、思考自体も切り離し可能な上に自身で()()()()()()()()存在にしやがった。天才は居る、悔しいが。

 

 

「この術、便利だよね~。お陰で管理業務全般が凄く楽になったよ」

 

「星祭まで分身が出せればファミコンぐらい出来るんだけどな……大気中の霊力が足らなさすぎてまさか維持出来ないとは」

 

 

 木っ端陰陽師の俺とは違い、高位分霊を凌駕するハオ様の分身は維持するだけでも周囲の異界を枯渇させて尚足りないぐらい燃費が悪い。

 

 ちなみに記憶継承や共有を切って、電話代わりにするぐらいなら維持出来たみたいだが、それでは意味が無い。

 

 

 ゲームがやりたいのだ。どうしても。

 

 

「覚醒修行終わったら、星霊神社(ここ)でお疲れ様会でも開いて皆でパーティーゲームでもするか?」

 

「マジで!?おっしゃ頑張ろ!」

 

 

 見た目相応の喜びと共に気合いを入れる神主と、覚醒したが故に自身の部下が辿る道を思い、静かに祈る禊。

 

 問題は山積み、足りないものは一杯。それでも一歩づつ進んでる事を実感出来る日々は、中々心地好かった。

 

 

 

──二ヶ月後。星祭神社『鍛練用異界』前。

 

 

 

 「お前らも無事に覚醒者と成れた。俺と当主様とその配下の式神達で訓練も施した。そこまでして漸く当主様が実戦訓練の許可をくれたから、今日は前々から言ってた異界での実習をやるぞ」

 

 

 相変わらず禊以外は顔を隠しているが、俺がここに来たばかりの時とは違う。

 

 全員が覚醒者となった。

 

 地獄の様な覚醒修行を乗り越えた。

 

 だから異界なんて恐れる必要は無い。

 

 何て言い出したら、一度ぐらい痛い目を見せないと駄目なんだが……

 

 

(家族を全員失って、その後に見付かった親戚だから気持ちは分かるが……どんだけ過保護なんだよ)

 

 

 俺の想像以上に神主は身内に甘かった。ゲロ甘だった。

 

 巫女達の背後に立つのは、純白の布にも見える式神(一反木綿)

 

 それが──人数分。素材は転生者の血肉(俺の半分)と本人達の修行の際に吹っ飛んだ肉片全部と星霊神社の異界産で作られ、当主様が全てハンドメイドした一品だ。

 

 レベル的に見れば大したこと無い。というか術者を越えられない。だが断言出来る。〝アレ〟を侮る奴はオカルトの才能が無い。あれは主神級の霊力を使い、神業を駆使して作られた神話クラスの代物だ。

 

 下手すれば今の時点で日本の全霊能組織を越えているかも知れない。そんな代物だ。

 

 それだけでもお腹一杯なんだが、巫女達が着けている()()()()はメガテン的に言えば【奈落のマスク】と同等の性能がある上に【気配察知】と【気配希薄】と【認識阻害】は確実に付いている。他にも何か付いてる気がするが、取り敢えず言える事は神器だ。ちなみに禊も狐のお面を顔の横に着けている。

 

 何処かの女郎系ネコマタの知識を元にデザインされた遊女の様な()()()()()の巫女服に至っては、歩く要塞と言って良い程の霊的強度*3と驚異の継戦能力*4を誇り、たぶん着用者は脱いだ時の方が疲れやすいと感じるだろう。

 

 もちろん鼻緒が()()()の白木の下駄や長足袋にも【悪路走破】や【疾駆】の効果が付いている。

 

 

 どの装備も常に清潔に保つ【清浄】や周囲の霊力を回収して自動的に修理する【メンテナンス】、胸が大きくなっても安心な【最適化】が付いているお陰で風呂やトイレ以外で脱ぐ必要も無いのはやり過ぎだろ。

 

 

 コイツラを神話の戦いに投げ込む為の装備か?

 

 

 俺が人数分集めてきたジャックナイフが唯一実力相応の品と言える。いや、可笑しいだろ。

 

 これだけの装備を整えて尚、異界に入らせる事に懸念を示していた辺り相当だ。まぁ、身内を失う事が〝トラウマ〟になってるのかも知れないが。

 

 

「ここは鍛練用の異界だし、その装備なら危険は無い。だが本物の異界は決して侵入者の有利な状況にはならない。その事を念頭に置いて各自動けよ。んじゃ始めろ」

 

 

 一人、また一人と異界に消えていく。ここの異界はソロ専用という事もあるが、出てくる悪魔の強さは本当に駆け出し用だし、一体づつしか出ない。にも関わらず、彼女達には高性能な式神まで付いている。

 

 さらに不測の事態に備え、当主様から独立した〝都〟と名乗る神主の分身*5が異界を外から監視しているのだ。

 

 

 俺がここに居る意味よ。

 

 

 特にやることも無いので煙草を吹かす。太古の昔から香草を焚いたりする様に、術と煙の関係は切っても切れない。

 

 例えば煙を悪魔に纏わり付かせ、擬似的な【霊視】状態にする術や煙に概念的な拘束を付け加えて捕縛する事も出来る。イメージとしてはケムリンのモクモクと同じだ。

 

 薄く広げて索敵する事も可能だし、何かと便利に使い倒せるのだが、俺が死ぬ前には喫煙者に厳しい世の中になっていた。この世界も終末を回避すれば、また自宅吸いでも近所からクレーム貰う世の中になるのかねぇ。

 

 短くなった煙草の灰を近くの設置型灰皿に落とす。そういや昔は某千葉ランドにも灰皿があったな。当時は父親が居ないと来れない場所だったという事もあり、そちら(財布係と運転手)に配慮していたのだろう。落ち着いたら当主様も連れて行ってやるかな。たぶん行った事無いだろうし。

 

 つらつらと取り留めもない事を考えていると、禊が戻ってきた。その後すぐに他の巫女達も出て来る。全員、怪我どころか汚れ一つ無い。

 

 

「どうだった?」

 

「一度だけ攻撃後の隙に放たれた天使の【ハマ(浄化の光)】に当ってしまいました。戦利品を倉に置いた後、また挑みます」

 

 

 禊が説明している間にも、巫女達が戦利品を纏めて異界の隣にある倉に持ち込んでいる。ちなみに異界の前には北木石で作られた鳥居があり、その先は瑞垣だ。一般人が見たらなんでこんな場所に鳥居?と首を捻るだろう。関係者以外立ち入り禁止の本殿近くにあるが。

 

 

「天使が使う浄化の【ハマ】や怨霊の使う呪いの【ムド】は直撃すると概念的に死が付与される可能性があるからな。訓練で当ってる様じゃ〝本物〟なら死ぬぞ」

 

 

 少しづつメガテンのスキル名を混ぜていき、適応させていく教育方針。こいつらも組織が大きくなったら転生者の対応をする事になるだろうしな。

 

 

「はい。……あの、ナナシ様ならどうやって対処しますか?」

 

「初見の奴なら感知した瞬間に全力攻撃、その後に最速で距離を取って様子見。ダメージが通る様ならそのまま全力、手応えが無いなら属性を変える、反射してくるなら万能属性で殴(霊力に直接干渉す)る。理想は初手で討滅で、消費を気にするのは二度目以降だな」

 

「消費を気にするのは駄目な事でしょうか?」

 

「それは実力や知識が付いてから気にするべきであって、判断材料も術の手応えもわからない素人が気にする事では無いな。霊力が切れる前にすぐ逃げる。生きてりゃ俺ぐらいにはなれる。死んだら終わりだ」

 

 

 式神が【サマリカーム】を使える気がするが、敢えて言わない。彼女達に長生きして欲しいのは俺も同じだからだ。……腕がもげても動けると思うけどな、こいつら。

 

 

 厳しい修行は伊達じゃない。

 

 

 そんな会話をしていると、巫女の一人が俺に御辞儀をした後、禊の耳元に何か囁いた。

 

 

「戦利品の収納が終わったみたいなので鍛錬を再開しますね」

 

「別に戦利品に大した価値は無いんだ。そこらへんに風呂敷でも敷いて、後で纏めてでも良いと思うけどな」

 

「ナナシ様や当主様の感覚ではそうなるのでしょうが……ナナシ様が作った霊薬は近隣の霊能組織が高値を付けているのです。このナイフも高額で売れますし、野晒しには出来ません。当主様からも円を出来るだけ稼ぐように命じられていますし」

 

「んー……それなら教えておくか。俺達〝覚醒者〟が一番大切にしなきゃいけないのは円でもドルでも無く、お前らの巾着に入ってる金貨だぞ。流石に一枚じゃ買えないが、それは不老長寿が買える貨幣だ」

 

「こんな物が……?」

 

 

 取り出したマッカを不思議そうに眺める禊と巫女達。

 

 

「聖剣も買えるし、若返りの水も買える。強力な妖──悪魔を仲()にする為にも使えるし、悪魔に対して命乞いする時にも使える。大体それ一枚で一万円の価値があると思えば良い。そう考えれば、どれだけ価値のあるものか分かるだろ?」

 

 

 使えるのは終末後な気がするが。いや、俺らの組織の通貨になるか?霊的な価値の基準として使えるし、浄財魔術(マッカを対価に力を借りる)系統や銭闘術(銭投げ)系統の術の対価に指定されてるし。

 

 

「あの、このまっか?は当主様やナナシ様に献上した方が宜しいでしょうか?私達では使い方も分かりませんし……」

 

「その使い方を覚えるのもお前らの仕事だ。それに俺も当主様も数十マッカ程度だと全てにおいて物足りない。最低で五桁からだ。だからそれはお前らの物で問題無いぞ」

 

「どうしましょう……普通の貴重品ならともかくこんな霊的な貴重品を置ける蔵なんて無いのですが」

 

「メシア教に壊されたっぽいしな。んー、だったら修行終わりに本殿の神台に置いておけば良いと思うぞ?たぶん信玄餅の加護のお陰で預かってくれる筈だ」

 

 あそこは都が星霊神社と行き来する為に使ってる場所だし、女型の分身だからか甘いものが嫌いじゃない。

 

 この話も聞いてるだろうから持っていってくれるだろ、たぶん。と思ったら、当主から直々に他のお菓子もよろしくと念話が飛んできた。

 

 

「信玄餅……?」

 

「一週間に一回、色んな種類の菓子を捧げておけば良いらしいぞ。その内、指定されるかもだが」

 

「よく分かりませんが、わかりました。神事として行いますね」

 

「そこまで固くならなくて良い。掃除のついでに捧げるぐらいの気持ちで大丈夫だ」

 

 

 あれだけの力を持ちながら祀られるのが苦手な辺り、人間だよな、うちの当主。

 

*1
見た目は術者の望むまま

*2
形代や人形等に思業式神を憑依させる術。一般人でも見える

*3
【スクカジャ】と【ラクカジャ】が常に最大付与される。ペルソナのオート系。耐性は全部。

*4
【中治療促進】と【中気功】の効果

*5
この為だけにショタオジは地脈を繋げた。相変わらず本体の分身は来れない




彼女達の一反木綿は俺達の嫁のプロトタイプですね。攻撃系のスキルは【搾り取る(丸かじり)】しかありませんが、代わりに【サマリカーム】や【カバーリング】など術者の保護系の術式をマシマシにされてます。

たぶん俺の嫁計画が進んだ時に最初の被検体になる式神でもある。

ちなみにショタオジの分身がゲーム出来なかったのは、本編か小ネタに確かパーティゲームしかやった事が無いという話があるからです。
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