【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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こんな奴が居るから修羅勢は頭が可笑しいって言われるんだ!


未来からの贈り物4

 

 

「──って訳で、試験の一週間前に〝義眼〟の移植を頼みたい」

 

「それは構わないんだけど……普通、そこまでする?」

 

 

 急患も居らず、医学関係の論文を読んでいたフェイスレスニキを捕まえて依頼。返ってきたのは当然の反応だった。

 

 

「ショタオジに挑む為の伝説の武器とか運命さんはくれなかったからなぁ」

 

「そもそも挑むことが間違い……とは言えないね。こんな世界だし」

 

「俺らは偽典でゾンビになったモブ側だしな」

 

 

 もしくは都庁で死んでた遺体か。

 

 

「手術の方は大丈夫だよ。急患が来たら厳しいけど、時間は空けておける」

 

「助かる。じゃ、俺は義眼作りに行ってくるわ」

 

 

 席を立ち上がる直前、ふと湧いた疑問をフェイスレスニキが口にした。

 

 

「これは興味本意な質問だけど、どんな眼にするつもりなの?」

 

「【透視】と【解析】がメインで、試験が終わったらセリスをオッドアイにする予定だ。ま、正直な話、通るとは欠片も思ってないが」

 

 

 でも、やっておかないとショタオジに負荷を掛けられないんだよな。

 

 

「見破られること前提でも手抜きは出来ないんだね」

 

「ショタオジに挑むってのはそういう事だ」

 

 

 この世界で〝ぼく〟の身体を奪い、〝儂〟の記憶を受け継ぎ、〝俺〟となったあの日から、それなりの月日が経った。

 

 先祖代々受け継いで来た知識を使える興奮と、この世界がメガテンだと把握した時の絶望。

 

 後にガイア連合と呼ばれる組織作りに奔走していた時は、世界が変わっても変わらぬ人の醜さに嫌気が差した事もある。組織の役に立たず、甘い汁を吸う俺達(寄生虫)を処理したくなった事なんてもっと多い。

 

 それでも我慢してここまで来れたのは、ショタオジが居たからだ。

 

 このメガテン()みたいな世界で、絶対的な安心感を与えてくれると同時に、人並みの幸せを得る事すら許されなかった奴が居たからだ。

 

 未だに影すら見えず、聳え立つ山の頂きを仰ぎ見る毎日。正直言えば、追い付けるなんて欠片も思っていない。

 

 それでも誰かが側に立ってやる必要があると〝儂〟は思う。別に〝儂〟じゃなくても良い。カヲルニキでも霊視ニキでも修羅勢の誰かでも良い。

 

 誰かが背中を叩いて、お前は人間だと言ってやる必要がある。じゃないと世界で最も新しい神になってしまう。

 

 それだけは認める訳に行かない。こんな糞みたいな世界で、何の幸せも得られぬまま、世界の終わりを見届けさせる訳には行かない。

 

 たぶん〝今〟が最後のチャンスだ。俺には未来が見える能力なんて便利な物は無いが、それでも予想はつく。平行世界の俺は失敗した。だからこそ過去に()()を送った。せめて平行世界の、別のショタオジの幸せを願って。

 

 

「どうしたの?随分怖い顔をしてるけど」

 

「いや、改めて無謀さを実感しただけだ。たぶんこの会話も見られてるだろうしなぁ」

 

「あー……ショタオジ(相手)は【未来視】に【過去視】持ちだもんね。しかも射程不明という」

 

「手札をオープンにしてポーカーをやってる様なもんだな。だから俺は限られた期間内でロイヤルストレートフラッシュ狙いするしか無いんだわ」

 

 

 勝負になるのはファイブカード辺りからだろう。それ以外の手札じゃ勝負にすら出られない。

 

 

「出来そう?」

 

「ペルソナ組の力も借りれば何とか?」

 

 

 すでにLILINを送って返事を貰ってるし、嬉しい事に承太郎ニキも手伝ってくれるらしい。流石、花京院の魂を賭ける男は違うぜ!

 

 

「探求ネキやブーストニキにも声を掛ける予定だから、俺が築き上げてきた金と人脈を駆使した勝負だな」

 

「得る物は何も無いのに良くやるねぇ」

 

「終末が近くなったらショタオジも忙しくなるだろうし、遊べる内に遊ばないと後悔するかも知れないだろ?」

 

「……終末なんて来なきゃ良いのにねぇ」

 

「ホントにな」

 

 

 二人同時に溜め息を吐き出す。嘆いていても変わらないが、たまには吐き出さないやってられんわ。

 

 

 

 

 フェイスレスニキに依頼を終えた帰り道。今度は修羅勢の掲示板に協力をお願いする。

 

 

☆【目指すは】星祭神社総合スレ195【山頂!】

 

 

────────

 

──────

 

────

 

 

 

500:名無しの星祭

 

キリ番げと

 

501:名無しの星祭

 

おめ

 

502:名無しの星祭

 

おめ!

 

503:名無しの星祭

 

おめ〜

 

504:名無しの星祭

 

下層中盤@4 嫁アリ2pt予定

 

505:名無しの星祭

 

ノアタッカー

 

506:名無しの星祭

 

ノアタッカー

 

507:名無しの星祭

 

ノタンク

 

508:名無しの星祭

 

ノアタカ

 

509:>>504

 

〆 星祭の異界門前で

 

510:名無しの星祭

 

りょ

 

511:名無しの星祭

 

りょ

 

512:名無しの星祭

 

りょ

 

513:名無しの星祭

 

うい

 

514:名無しの星祭

 

オンゲなら解散不可避だな……!

 

515:名無しの星祭

 

ほぼフルアタみたいなもんだしなぁ

 

516:名無しの星祭

 

まぁ、嫁がカバーしてくれるでしょう

 

517:名無しの星祭

 

旦那かもよ?

 

518:名無しの星祭

 

昔はパーティに人数制限なんて無かったのに……!

 

519:名無しの星祭

 

六人も嫁式神連れてきた馬鹿が悪いw

 

520:名無しの星祭

 

暗黙の了解で嫁、ペットは一人まで(装備型はok)になったんだっけ?

 

521:名無しの星祭

 

そそ。わんにゃんパラダイスが来て主催者がキレたからね

 

522:名無しの星祭

 

まぁ、全ロール分居たから明らかにソロでよくね?になったからなぁ

 

523:名無しの星祭

 

もしくはフレパだよな

 

524:賭博師

 

流れを断ち切るッ!次の一般試験の時にショタオジと遊ぶから暇な奴はカモン!俺は……ショタオジを超える……!

 

525:名無しの星祭

 

おー、またやるのか

 

526:名無しの星祭

 

一般試験で対決って何やんの?カンニング攻防?

 

527:名無しの星祭

 

いや、無難にテストの点数で勝負じゃないか?

 

528:賭博師

 

>>526が正解。俺はくそみそニキの駒として全力でカンニング、オンギョウキはショタオジの駒として全力で阻止。【未来視】持ち同士のバトルだぜ!

 

529:名無しの星祭

 

興味無かったけど、その対決カードは興味あるなw

 

530:名無しの星祭

 

魔型は結界やら知識で役に立つけど、近接型要らなくね?

 

531:賭博師

 

ショタオジがたぶん貼るであろう結界を壊してダイナミックカンニングしても良いんだぞ☆

 

532:名無しの星祭

 

うはwww

 

533:名無しの星祭

 

あーそもそもが真面目な試験じゃないのなwww

 

534:名無しの星祭

 

どちらかというとお笑い系のテストかw

 

535:名無しの星祭

 

窓ガラスぶち破ってオンギョウキを躱してカンニングペーパーをセツニキに届ける。……これ、動画おけ?

 

536:賭博師

 

テストにモザイク掛かるだろうけど、カンニング部分は許可取ってみる──okだとよ。返信はえーなおい

 

537:名無しの星祭

 

まぁ、ショタオジはこういうくだらない遊び好きそうだもんなw

 

538:名無しの星祭

 

先生!この掲示板も見られてるだろうけど平気なん?

 

539:名無しの星祭

 

関係なくないか?【占術】で見られてるだろうし

 

540:名無しの星祭

 

方法は各自で考えて、当日まで黙秘か

 

541:賭博師

 

一応、俺とくそみそニキ以外は占術の対象外ってハンデ貰ったから、お前らが集まって話し合うなら大丈夫だぞ

 

542:名無しの星祭

 

つまり、当日までセツニキは俺らのカンニング方法を知らない方が良いのか

 

543:名無しの星祭

 

じゃ、参加者は旅館の共有スペースな

 

544:名無しの星祭

 

りょ

 

545:名無しの星祭

 

りょ

 

546:賭博師

 

期待してるぜ。お前らも〝本命〟だからな

 

547:名無しの星祭

 

任せとけ!

 

548:名無しの星祭

 

これ程期待の出来ない任せておけもないよなw

 

549:名無しの星祭

 

それな!

 

 

 掲示板を閉じて、次は電話だ。さてさて、何人が参加してくれるかな?

 

 

 

 

 電話も終わり、本日最後の仕込みだ。向かう先は事務課の居る依頼斡旋所。話すお相手はちひろネキになる。

 

 

「ちひろネキ~ちょっと時間くれないか?」

 

「ん~仕事終わってからで良いです?」

 

「おけおけ。じゃ、夜にまた──」

 

「ちひろさん!こんな餓鬼放っておいて俺と飲みに行きましょうよ!」

 

 

 わお、ちひろネキ狙いの俺達か。珍しいな。

 

 

「御免なさい。お断りします」

 

 

 瞬殺わろた。

 

 

「ちょ、俺よりこの餓鬼の方が良いって──」

 

 

 活きの良い俺達が俺の身体に触れた瞬間、まるでスライムの様にぐちゃぐちゃになって死んだ。

 

 突然の即死(R18G)に静まり返る室内。仕方なく【サマリカーム】を使い、復活させる。

 

 甦った彼は何が起きたのか分からないらしく、数瞬だけ呆けた後、再び俺に掴み掛かった。そして死んだ。

 

 

「【サマリカーム】」

 

「セツニキ。これ、どういう事です?」

 

「俺、これでもレベル六十の高位霊能者で自動デバフ系権能持ち。そんな俺に敵対心丸出しで触れたら自動反撃(オートカウンター)が発動するに決まってんだろ」

 

「あ~成る程」

 

 

 会話してる間に意識を取り戻したのか、俺達と目が合う。

 

 

「て、テメェ!俺に何をした!」

 

「【サマリカーム】?」

 

「ふざけてんのか!それは蘇生魔法だろ──」

 

 

 再び胸ぐらを掴んで死ぬ俺達。俺に恐れの目を向ける傍観者。

 

 

「面倒だし、次の蘇生が最後な?コイツに死んで欲しく無い奴が居たら連れていけ。──【サマリカーム】」

 

 

 再び甦る俺達。今度は即座に回りにいた奴等が無理矢理引き離した。

 

 

 

「離せよッ!一発殴ってやらなきゃ気が済まねぇッ!」

 

「やめろっ!相手が悪すぎる!今度こそ死ぬぞ!」

 

「あんな糞餓鬼が俺より強いって言うのかよ!」

 

「そう言ってんだよ!」

 

 

 ギャーギャー騒ぎながら受付から消える俺達を見送り、改めてちひろネキと向き合う。

 

 

「ジャンニキの店を予約しておく。終わったらLILINか電話くれ」

 

「何事も無かった様に会話続けるのやめません?」

 

「って言っても、俺は何もしてないんだが?」

 

「まぁ、そうなんですけど」

 

 

 呆れた様なちひろネキに肩を竦めて見せる。今回は本当に何もやってない。

 

 

「というかセツニキが高位霊能者って気付けないもんなんですか?私は覚醒してないので分かりませんけど、彼は一応、覚醒者なんですよ?」

 

「修羅勢なら霊力感知式の(トラップ)対策で体から漏らさない様に*1訓練してるからな。それで勘違いしたんじゃないか?」

 

「ちなみに解放すると、どうなります?」

 

「んー……非覚醒者なら当てられて重度の霊障で障害持ちだな。俺の場合【誘惑(マリンカリン)】とか持ってるから一瞬で乱交パーティーが開催されると思う」

 

 

 その言葉を聞いた瞬間、傍観していた俺達が勢い良く依頼斡旋場から逃げ出した。何て正しい判断。高位悪魔からも同じように逃げてくれ。

 

 

「……仕事が無くなったので奥で話を聞きますよ」

 

「これ俺のせいなのか?」

 

「何も悪くないですけど、セツニキのせいだと思います」

 

「解せぬ」

 

 

 今回は本当に何もやってないのに。

 

 

 

*1
皮膚の一枚下ギリギリに留める高等技術。これを怠るとオート系が日常生活を壊しに来るので、修羅勢なら必須だったり。




オート持ちは制御が大変そうですよねぇ。コントロール出来るまで呪符でぐるぐる巻きになりそう
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