【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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もうこの章は書き終わってるんですが、次の話は頭空っぽにして書いた馬鹿話です(笑)


追記:どくいも様、完結おめでとうございます!


他の方の作品に感想を書くのってドキドキしない?作者は凄くするからここで(笑)


未来からの贈り物8

 

 

 残り五分を切った辺りで、唐突に結界が()()を残して消失した。

 

 

「……この未来は〝視〟てたけど、改めて見ると信じられないや」

 

「そうか?俺としてはこの結果は当然だと思うが」

 

「その心は?」

 

「俺の呼び掛けに集まった奴等は、登る山は違えど一人残らず山の頂きを目指してるからな。()()()()、時間さえあれば割れるだろ」

 

 

 エドニキを筆頭とする製造班も、フェイスレスニキを始めとする医療班も。

 

 俺らを始めとする修羅勢も向上心の塊の様(趣味に全力)な奴等だ。

 

 そこに不可能があるなら壊して先へ進むし、無理なんて二文字は辞書から破り捨てている。それでも進めない時はすぐ仲間に頼るし、その事に抵抗が無い。そんな奴等が集まってるんだ。結界如きじゃ止まらないだろう。

 

 

「この光景を見れただけでも、セツニキの誘いに乗って良かったよ」

 

「ついでに敗北もプレゼントしてやんよ」

 

「それは楽しみだね。──オンギョウキ、全力を出せ。俺に勝利を捧げろ」

 

「承った」

 

 

 空間が歪む。オンギョウキから吹き出す深紅のオーラが俺の【オートランダマイザ】を吹き飛ばす。……ここまで力量の差があるのか。やべぇな、これ。

 

 

──ふぅ……こうなる事は〝視〟ていたが、改めて見ると覚悟が揺らぎそうになるな。

 

──あっくん……。

 

──安心せい。アヤツの相手は儂らじゃ。それを誰にも譲るつもりは無い。

 

 

 ヤル気満々の修羅勢からも色彩豊かなオーラが吹き出す。バフを積み、チャージを開始するその姿は頼もしい。

 

 

──ここまで来ると、流石に非戦闘員の俺達は何も出来ないな。

 

──ま、映画でも見るノリで観戦してようよ。オンギョウキも修羅勢も俺達を巻き込む未熟者じゃないしね。

 

──俺さ、普段は地元で動いてるから知らないんだけど、山梨って何時もこんな事やってんの?

 

──この規模は珍しいけど、やってるかやってないかっで言ったらやってるな。というか、大なり小なり同好の士が集まって好き勝手やってるからなぁ。

 

──製造班は定期的にコンペやってるし、僕の医療班も学会開いて報告したりしてるよ〜?流石に毎日じゃないけど、一月に二、三回は何処かしらで何かやってるんじゃないかなー?

 

──山梨スゲー。

 

 

 のほほんとしたブーストニキの声色は完全に観戦者のソレだ。まぁ、俺も似たようなもんだが。

 

 取り敢えず椅子を抱えて結界のさらに端、非戦闘員が固まってる位置まで移動する。……ショタオジが着いて来ないって事は、最後は()()()()か。

 

 

──お、セツニキも来たな。

 

──当事者なのに完全に傍観者で笑う。

 

──これほど他力本願な受験生も居ないよな。

 

──『『『それな!』』』

 

 

 仕方無いだろう。他に出来る事が無いんだから。

 

 そんな事を思ってる間にも時間は進む。気が付けば、残り時間は一分に迫ろうとしていた。

 

 エドニキ達と共に固唾を飲んで見守っていると……

 

 

────パリィィィィンッ!!

 

 

 ついにショタオジの結界が破られ、その奥から修羅勢が現れた。

 

 

「割ったのはカヲルニキとハム子ネキか。あの二人なら最後の結界をごり押せるわな」

 

「そうなのか?」

 

「ショタオジを除けば人類最強クラスだぞう」

 

「うへー」

 

 

 ブーストニキが畏れと呆れ混じりの声を上げたのと同時、全戦力がオンギョウキとの戦闘を開始。

 

 

「三歩必殺!」

 

「温いわッ!」

 

「くっそッ──ぐえ!?」

 

 

 放たれた【マッスルパンチ】を右手で払い除け、そのまま止めを刺す。その一瞬の硬直を縫うように駆け出したのは、斥候系俺達だった。

 

 だが本気を出したオンギョウキは止まらない。

 

 

「何処へ行こうというのだね?」

 

「唐突なムスカ辞めろッ!」

 

 

 突っ込みながらも斥候系俺達がオンギョウキの目に向かって真っ赤な玉を投げ、指弾で割る。辺りに撒き散らしたのは──たぶん霊的素材入りの唐辛子入り刺激玉(カプサイシン)だな。

 

 

「タイミングは見事よの!だが甘い!」

 

「ガバッ──だが腕は貰うぞッ!【自ば──」

 

「温い温い温いッ!その程度で主を越えられると思っておるのか!」

 

 

 貫いた俺達ごと次の俺達を殴り付け、そのまま脇腹を抉るように真横へ腕を振り抜く。その動作だけで斬擊が飛び、俺達に防御を強いる。

 

 

「早すぎて何も見えねー!取り敢えず俺達が死に掛けてるのは分かる!」

 

「セツニキ、引っ張れる?」

 

「りょ」

 

 

 

 【念動】で瀕死の俺らを退避させつつ、次々とオンギョウキに挑む俺達の為の足場を作っていると、まるで()()()()()な速度で〝何か〟が飛んできた。だがオンギョウキは反応するのすら面倒だと言うように〝それ〟を口で受け止め、噛み砕く。

 

 

「やっちまったな、オンギョウキ」

 

 

 俺の言葉を体現するかの様にオンギョウキが血を吐き出す。だが、その動きは衰えない。

 

 

「クハハハハッ!!見事な射撃!見事な滅鬼弾*1!だが俺はまだ負けぬ!この血沸き、肉踊る光景こそが我が戦場!我が故郷!!これ程の楽シイ祭を終わラセルのはマダマダモッタイナイ!!」

 

『『『それについては同意してやるよ!』』』

 

 

 上位修羅勢と交戦を始めたオンギョウキの表情は〝喜〟で溢れている。当然、修羅勢もだ。

 

 というかオンギョウキの奴、〝鬼〟としての本性が出てるな。ショタオジが焦ってないから大丈夫なんだろうが──

 

 

「コレヲ使ウノハ久々だ!末代まで誇ルガイイ!!【バーサーキング】ッ!」

 

 

 即座に結界を多重展開。それは駄目だろ。いや、それだけ追い詰められてるんだろうが。

 

 

「セツニキ。あのスキルの効果知ってるか?」

 

「偽典の主力級スキルで、ゲーム的に言えば〝狂戦士化〟する技だな。まぁ、見ての通りデメリットを踏み倒してるし、余計な〝オマケ〟まで付いてるから原作とは別物だが」

 

「それは分かる。結界の内側に居るのに震えが止まらないしな」

 

 

 魂が脅威を感じているのか、エドニキの手足は小刻みに揺れている。

 

 真上を見上げれば、燦々と輝く満月が。確か鬼神系の月齢パターンは満月か新月の二択だった筈。まぁ、そういう事なのだろう。

 

 

「何か凄いもんが見えるんだけど、これ俺の目が可笑しくなった訳じゃないよな?」

 

「最上位の悪魔は()()()()()()()()()()異界を構築出来る。その実例が目の前にあるだけだ」

 

「オンギョウキの霊格を考えれば出来ても不思議じゃないけど、こうなるんだねぇ」

 

 

 空は暗闇に覆われ、満月だけが輝く世界。光が差し込む大地には無数の物言わぬ躯と鮮血の大河。

 

 その地獄と呼べる場所で、鬼とはこういう存在だと。人如きが狩れる存在では無いと、修羅勢を子供の様に吹き飛ばす事で証明している様にも見える。

 

 オンギョウキの【バーサーキング(権能)】はとてもシンプルだ。自身が最も〝強くなる〟環境を構築しているだけ。それ以外に何の効果も無い。それ故に──()()()()()()()()()()

 

 

「ドウシタッ!その程度か友人タチヨ!!」

 

「ッざっけんなッ!!んな訳がねぇだろ!!」

 

「フハハハハハッ!それデコソヨ!!」

 

 

 天を裂き、大地を割る様な一撃を数人単位で受け流し、僅かに出来た隙を狙って修羅達が果敢に攻める。

 

 お互いの立ち位置を入れ換えながら、もはや常人では何が起きてるか把握すら不可能な超高速(領域)の戦闘は、観戦者達が音を上げるには十分だった。

 

 

「凄い事が起きてる事しか分からん!」

 

「これが神の領域の戦いかぁ」

 

「ショタオジはこれより強いってま?」

 

「ま。というか、これでも全員手加減してるんだぞ?」

 

 

『『『マジで!?』』』

 

 

 驚きの声を上げる製造班の気持ちも分かるが、事実なんだよな。

 

 

「え、これで手加減ってどこら辺が?」

 

「土地や地脈に影響が出てないからな。ショタオジも修羅達(馬鹿共)の制限の為に弱めに作ってるっぽいし、本気でやってたら今頃この異界は吹き飛んでるぞ」

 

「目の前の戦いのレベル的に笑えないんだが!!冗談だよな!?」

 

「…………だと良いな?」

 

『『『まじかぁぁぁぁぁぁっっっ!?』』』

 

 

 非戦闘系俺達が絶望顔(顔芸)を披露している内に戦いは終盤へ。最初の口火を切ったのはグラ爺だった。

 

 

「いい加減沈めェェェェ!!」

 

「貴様コソぉぉぉぉ!!」

 

 

 オンギョウキの拳とグラ爺の槍が競り合う。そこへシエラ婆が懐へ潜り込み、掌底を放つ。

 

 それに対してオンギョウキが取った行動は単純だった。

 

 

「むぅ!?」

 

「ぐっ──!」

 

 

 ほんの少しだけ自身の力を緩め、グラ爺の槍を懐に居るシエラ婆へと受け流す。剛柔両極とでも言うべきかね。見事なもんだ。──だが俺らも伊達に修羅場を潜っていない。

 

 

「今じゃ!儂らごと殺れ──カヲルニキ!!」

 

「──────【ラグナロク】」

 

 

 乱戦中とは思えない程、静かな空間にカヲルニキの声が響き渡る。否、実際には刹那にも満たない時間だったのだろう。

 

 視界を埋め尽くす深紅。オンギョウキの権能ごと破壊する程の火力。ショタオジのS.O.F(スピリット・オブ・ファイア)とは違う、とある〝神〟を殺す為に磨き上げられた権能。

 

 それはグラ爺を、シエラ婆を、足止めに参加した修羅達を辛うじて原型を留めている程度まで炭化させ、息の根を止めた。──だが、それ程の火力を受けて尚、オンギョウキは立ち塞がる。

 

 

「マダダッ!まだ俺は生キテイルッ!きサマラに勝利はワタサン!!」

 

 

 所々炭化した体。それでも決して揺らがず、立ち塞がる姿はショタオジの式神に相応しい程に雄大だった。

 

 

「……だけどな、オンギョウキ。くそみそニキの最後の一手は優しくないぞ」

 

 

 ずっと控えていてくれた。何度も仲間の窮地に駆け出しそうな姿を見ていた。それでも、皆の勝利の為に堪えてからこそ、この一手はオンギョウキには止められない。

 

 

 

*1
桃源郷産の素材を限界まで昇華して作られたライフル弾。舌以外に触れると効果を失う代わりに舌に触れさえすれば、作中通りの威力がある。




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