【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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ついに幼女ネキ登場!

主人公の予想の結果はタマヤ与太郎様の本編で(笑)


アガシオンを作ろう!

 

 

 帰って大人しく寝るつもりが、四ヶ月〝お預け〟されていた禊が待ち構えて居たので美味しく頂いた数日後。

 

 カンニング発覚によって試験は無事に落第。その後すぐに出した一芸試験の申請は受理された。が、ショタオジが満面の笑みで一芸試験を製作すると張り切っていたので、一週間ぐらい時間に空きが出来た。

 

 何をして暇を潰そうか自室で考えていると、星霊神社から面白い資料が回ってきた。『地獄の辞典』にのみ紹介されているアガシオン生成の術式だ。

 

 まずは基本の確認。

 

 西洋の魔女や魔法使いは猫や烏を使役して〝使い魔(ファミリア)〟にしている。魔女と黒猫のセットは有名だと思う。

 

 アガシオンも広義の意味では〝使い魔*1〟なのだが、わざわざ別枠で紹介されていたので、作者のコラン・ド・プランシー的には違う存在なんだろう。

 

 個人的な認識で言えば、実体持ちは使い魔(ファミリア)、非実体の使い魔はアガシオンだ。メガテンユーザーにとっては壺入りの妖魔がアガシオンだろうが。

 

 作り方は至って簡単。上層に湧く餓鬼を捕まえ、星祭と星霊神社を繋ぐ森からコダマを捕まえてきて悪魔合体すれば完成だ。

 

 ちなみに悪魔合体、悪魔全書による召喚は、悪魔召喚士(デビルサマナー)試験とは別の試験を突破する必要があったりする。

 

 詳しく説明すると、悪魔召喚士の試験を受ける際、必ずサインする必要のある書類の中に悪魔使役以外の異能の行使、発言を封印する術式があるのだ。

 

 それを解除する為にはショタオジの試験を受ける必要があり、式神や犬神、クダ以外の悪魔を使役してる俺達なら強制的に受けていると思う。

 

 これは一般俺達が気軽に悪魔召喚士になろうとする事を回避する為でもあり、()()()()()()()()()()()()()()()()G()P()()()()()()()の対策でもある。

 

 故に俺が破る訳には行かないのだが……実は抜け道があったりする。

 

 

 そう──みんな大好きミナミィネキの店(悪魔しょうかん)だ。

 

 

 実はあの店、娼館として利用する分には顧客情報は守られるが、()()()()として利用すると、報告がショタオジに上がる仕組みなのだ。

 

 これは悪魔合体で高位悪魔を作ろうとする奴や全書から危険な悪魔を召喚しようとする俺達を把握する為でもあり、ショタオジの過保護な面でもある。

 

 まぁ、ライセンス持ち以外の奴に全書による召喚や悪魔合体は許されていないし、試験を受ける時に説明されるのだが。

 

 ちなみにスキルカードの入れ換えだけなら顧客情報は守られる。流石に【讃美歌】とか入れようとすると、上に報告されるだろうが。

 

 現在、星祭で邪教の館の技能を完全に扱え、許可が出ているのは、俺と秋雨ニキの二人のみ。スキルカードの入れ換えだけならもっと跳ね上がる。

 

 取得者の大半が嫁の身体を他人に見られたくない……では無く、出来る人を捕まえるのが面倒だったで取ってくる辺り、マジで優秀だよな。

 

 

 話をアガシオンに戻そう。

 

 

 そんな訳で、悪魔合体でアガシオンを作ろうと思えば簡単に作れるし、全書から召喚する事も可能だ。

 

 しかし、今回は術式を使った正規?の手段で作りたい。

 

 いや、別に面倒な事が好き訳じゃないし、最強のアガシオンを作りたい訳でも無い。

 

 ただ純粋に送られてきた資料に書かれている術式を改良したいんだ。最新のPCパーツが売られてる現代で、Windows98頃のPCを見てる気分になるんだ。分かるだろ、この気持ち。分かれ。

 

 そんな訳で自室を出て製造室へ。途中、ふと中庭を見ると、御神木の桜と大岩のすぐ手前に一本の刀が刺さっていた。

 

 製作は晴彦ニキ。相槌は俺。素材は俺らの破損した武具。刃は武器、鞘を覆う金属は盾を始めとする各種防具。鞘自体はサクヤの生み出した霊木だ。

 

 ちなみにイワナガはサクヤの生み出した炎に耐えうる炉の製作に関わった。協力してくれなければ星祭の炉は吹き飛んでいただろうな。

 

 

 そんな訳で生み出された刀の銘は──『星祭』

 

 

 切れ味は名刀の域を出ないが、強度だけなら神刀の域にある刀だ。色々仕込んだが、たぶん使われる事は無いだろう。使われるとしたら、俺もショタオジも死んだ後だ。

 

 もう少し見ていたい気持ちに蓋をして、製造室へ向かう──前に素材庫に立ち寄り、幾つか素材を拝借。

 

 使うのは中層の素材だ。上手く行くかは知らんが。

 

 

 

 

 製造室の机の上に持ち込んだ素材を置き、いざ加工という段階でスマホが鳴った。随分珍しい奴から電話が来たもんだ。

 

 

『俺だ』

 

『あっ!良かった出てくれた……』

 

 

 安堵の溜め息を吐き出したのは、仙台にある宮城支部のレン子ニキ*2だ。

 

 

『どうした?緊急事態なら俺が行くぞ?』

 

『あ、仙台支部自体には問題は無いの。ただちょっと前に助けた俺達について助言が欲しくて』

 

『取り敢えず事情を話してくれ。じゃないと何も言えん』

 

『分かったわ。始まりは──』

 

 

 レン子ニキの話を要約すると、過労死した育ての親が悪魔化。殺されそうになった時に鵺のデビルシフターとして覚醒。

 

 その後、ガイア連合──というより、レン子ニキが保護したまでは良かったのだが、生存本能に任せて育ての親を食べてしまった事に罪悪感を感じ、自殺未遂を繰り返す子を何とか出来ないか?という話だった。

 

 

『……言いたいことは色々あるが、何で俺に?』

 

『私が知ってる限り、彼女の痛みを本当の意味で理解してるのは()()()()だけだもの』

 

『あー……』

 

 

 母親を喰った餓鬼を食らって生き残ったからな。俺も育ての親を喰った事に間違い無い。とはいえ良くそんな昔の話を覚えていたもんだ。

 

 

『それでどうかしら?何か思い付く事はある?』

 

『俺の方法は乱暴だぞ?それでも良いか?』

 

『……彼女、何度も自殺を試しているのよ。最初は自傷、次は首吊り。覚醒者じゃなかったら死んでいたわ。そして今日は()()()()()()()()()()()()()()()。もう、時間が無いのよ』

 

『了解。じゃ、このまま通話をスピーカーにしてソイツの所へ向かってくれ』

 

『分かったわ』

 

 

 通話先から何処かへ移動するレン子ネキの音が聞こえる。階段を降りる音。それに混じる猛獣の声。怨嗟と怒りか。まぁ、そんなもんだろう。

 

 

『着いたわ。切り替えるわね』

 

『了解』

 

 

 少ししてスピーカーに切り替わったのを確認。憎まれ役をやるのは気が滅入る。ま、今回は仕方無いか。

 

 

『なぁ?顔も名も知らぬ人喰い悪魔。育ての親は美味かったか?』

 

 

 電話先の空気が凍った気がするが、構わず続ける。

 

 

『屍人になってまで助けて貰ったのに、その愛情を無駄にするのは楽しかったか?それとも、そもそも恩を感じて無かったのか?』

 

『────れ』

 

『悲劇の主人公は楽で良いよな?生きる努力をする必要も無い!ただ口を空けて待って居れば、育ての親の代わりになりそうな人間が餌を運んで来てくれる!』

 

「────まれ」

 

『お前を拾わなけりゃ、お前の恩人は幸せになれたかもな?少なくとも悪魔に喰われて無駄死にする事は無かった』

 

 

『ダマレェェェ────!!』

 

 

 転生者の口から漏れ出たのは、魂からの叫び。叫べるなら()()大丈夫。

 

 

『お前に私の何が分かる!血の繋がりの無い私を、愛情と共に育ててくれた人を自分が生き残る為に食らったのだぞ!?私はあの時に死ぬべきだった!彼に喰われ、死ぬべきだったんだ!!』

 

『────馬鹿言うなよ。転生者』

 

『────ッ!?』

 

 

 手加減した殺気を電話先に送り込み、黙らせる。正直、覚醒したばかりの人間を殺さない様に手加減するのは面倒だ。

 

 

『勘違いしてる様だから教えてやる。屍鬼は()()()()()()()()()()を活用してるだけの悪魔だ。身体に残る生前の〝意思〟に引っ張られているだけで、お前の育ての親じゃない』

 

 

 これが屍鬼の厄介なところであり、同時に被害者が多くなる原因でもある。遺体に宿ったMAG(瘴気)が悪魔となるまでの間、身体が腐敗している事を除けば、生前と全く同じ行動を取るのだ。

 

 周囲がその異変に気付ける頃には確実に悪魔化しており、犠牲者が出ているのが嫌らしい。

 

 ただ、一つだけ言える事がある。

 

 

『屍鬼は悪魔化した後も限界まで()()()()()動いて居たのだろう?何故、そこまで愛されておきながら、自殺なんてくだらない事に走る。屍鬼となって尚、お前の為に動く程の〝愛情〟を無駄にする』

 

 

 この世界は糞だ。それは間違いない。そんな糞みたいな世界で、何故、無償の愛をくれた存在を侮辱する。

 

 

『お前と同じ育ての親を喰って生き残った人間からのアドバイスだ後輩。恩人を〝人〟として死なせてやりたいなら、葬式の一つでも上げろや馬鹿野郎。このままだとお前の恩人は〝悪魔〟として死ぬぞ』

 

『……私に……そんな資格があるのか……?』

 

『資格がある無しの話じゃねぇんだよ。世話になったなら、最後ぐらい葬式を上げて別れを告げろ。それが生き残った人間の義務で、お前の恩人を〝人間〟として殺してやれる唯一の方法だ』

 

 

 捨て子を育て、過労死して、化け物としてまた死んだ。何時の世も善人は早死にするが、幾ら何でもそんな最後はあんまりだろう。

 

 それを嘘を吐くだけでひっくり返せるなら安いもんだ。

 

 

『レン子ニキ。残ってる遺品の中で不要な物を使って葬式を上げてやれ。葬式代は俺が持つ。で、名前も知らない転生者。自分で稼いだ金で俺に金を返しに来い。その後は死のうが生きようが好きにしろ』

 

『……お前の名前は?』

 

『泣き虫に名乗る名前は無いんだ。悪いな?』

 

 

 通話を切り、スマホを仕舞う。星祭に来れる最低レベルは三十。最低でも終末が来るまでは持つだろう。その間にレン子ニキが何とかすれば良し。

 

 出来ないなら、そもそも〝助けられなかった命〟として終わるだけ。まぁ、俺には関係の無い話だ。

 

 

 

*1
魔女や魔法使いに使役されている存在をファミリアと呼ぶ為。

*2
タマヤ与太郎様作 【カオ転三次】TS^2ようじょの終末対策 より、仙台支部の支部長。油断するとネキと書きそうになるのは作者だけかな?




タマヤ与太郎様から育て親の葬式話の許可は貰ってます。

若干、挑発気味になったのは幼女ネキが同情や憐憫に耳を貸す様な性格に思えなかったからですね。

嫁の趣味で意気投合するルートは終末まで辿り着けたら投稿するかも?
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