【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
悪い子はいねぇーがー!
「お、セツニキ。食事終わった?」
「おう。ここからは寝落ちするまで飲むぜ!」
「じゃ、召集するか。──セツニキが飲み始めるってさー」
『『『待ってました!』』』
その言葉を合図に各々が好きな酒を持ってやってくる。ガイア連合所属俺達で構成された呑兵衛の会*1の面々だ。
「煙草吸う奴も多いし、空気清浄機動かすぞー」
「おけおけ。じゃ、俺は防音結界張るわ」
「いつの間に覚えたんだ?」
「嫁を遠征させてる間に頑張ったぜ!」
「う~ん、これは正しい呑兵衛の姿」
「酒が入ると煩くなるしなぁ」
「しゃーなし!配慮さえ忘れなきゃ良いだろ」
ワイワイ騒ぎながら準備を進めて行く呑兵衛共を見守りながら、煙草に火を着ける。
俺が防音結界を張っても良いが、コイツらは楽しく飲む為に努力を欠かさない
「お、セツニキ、美味そうなモノを飲んでるね?アタシにもちょーだい?」
「グラス持ってこい。作ってやっから」
「オッケー!他に飲むやつ居るー?」
『『『飲む飲む!』』』
「うん、面倒だしお盆ごと持ってくるわ」
「どうせ全部使い切るだろうしな」
俺達は美味しいお酒が大好きなのだ。だから他人のお酒も大好きだ。
お盆ごと運ばれてきたグラスでチルカノを量産する。というかグラスにも時間停止が掛かってるな。不味くなる前に飲み干すから関係無いが。
「っかぁ~!ストレートはキツイな!南米の風を感じるぜ!」
「同じ南米なのにチリ産のピスコと結構差があるな?」
「チリ産は単式蒸留器で複数回蒸留、または連続式蒸留器を使ってる筈だよ~?アルコール度数調整の為に加水するし、樽で貯蔵する事もあった筈~」
「ペルー産は単式一回で加水無しでボトリング*2で、アルコール度数は寝かせて安定のみだぞう」
「酒飲みは博識!古事記にもそう書かれてた気がする!」
気が付けばピスコのボトルが俺の手を離れていた。代わりに俺の前に置かれていたのは
取り敢えず飲むしか無いな!という訳で飲み干したグラスを【浄化】して注ぎ、一口。
「…………んー?」
「どうしたセツニキ?」
「これウイスキーか?凄く美味しいが、ドリアン酒*4っぽい」
「どれ、儂も一口」
「ほい」
差し出されたグラスに太陽酒を注ぐ。頼めば待機中の美人な
「……凄く美味しい果実酒?少なくとも大麦でもライ麦でも米ですら無いのう」
「だよな。美味しいから飲むが!」
「当然じゃな!」
グラ爺と二人で飲みながら適当なツマミを摘まんでいると、太陽酒が俺達の手元から離れていった。代わりに置かれていたのは赤ワインのボトル。
「どれ、今度は儂から行こう」
「じゃ、俺はその間にツマミを取ってくるぜ!」
お、チリコンカルネ*5がある。これとローストビーフで良いな。
皿ごと強奪して席に戻ると、すでに酒の種類が変わっていた。今度はギリシアのウーゾ*6か。
「赤ワイン用に持ってきたのが無駄になったな」
「それは赤ワイン組に渡せば良かろ。代わりにマリネを貰ったしのう」
「それもそうだな」
取り敢えず赤ワインを持っていった呑兵衛共に持ってきた料理を渡し、代わりにオリーブオイルを使った料理を数点頂く。呑兵衛達の飲み会では良くある事だ。
適当な空きグラスにウーゾを注ぎ、一口。うん、良い辛さだ。
「ウーゾは土地によって味が変わるらしいの」
「北部は辛いまま水割だが、南部は砂糖を入れて甘口にするらしい」
「ほう。何時か行ってみたいのう」
「ここがメガテン世界じゃなかったらなぁ」
気軽に行ってこいと言えたんだが。中東ではメシア教の勝利が確定したみたいだし、とてもじゃないが勧められない。
「儂でもまだ足りんか?」
「全ての神話の本霊がショタオジクラスだと考えるとな。怯えすぎの可能性の方が高いが、グラ爺を失う訳にもいかん」
「むぅ。確かに未だショタオジに勝てぬ儂では不安もあるか」
「終末が来なけりゃ何時かあの領域に辿り着ける自信はあるんだがな。世界の方が持たないだろう」
「厄介なもんじゃの~」
お互いに水割にしたウーゾを飲む。辛さが心地好い。
「さて、ここで俺は味変タイムに入るぜ!飲みたい奴は早い者勝ちな!」
『『『うぇ~い!』』』
控えていた式神に頼むのも面倒なので、空きグラスを集めて
「お。アニスの匂いが消えて飲みやすくなったな」
「私はこっちの方が好きかも?」
「覚醒者じゃなかったら〝お持ち帰り〟されそうな味だね」
「ガイア連合は安心して飲めるから良いよね!」
女俺達がワイワイはしゃぎながら飲むのを尻目にウーゾレモネードを飲み干し、今度はストレートに砂糖をぶちこむ。分量はもちろん適当だ。
「む、それが先程言ってた南部の奴か?」
「おう。飲むか?」
「頂こう」
グラスの中身を飲み干したグラ爺のグラスで新たに作り、机の上を滑らせた。
「あちらの御客様からです」
「壁なんじゃが?」
『『『ぶほっ!』』』
もう完全に酔いが回った俺らの爆笑をBGMに酒を飲み、ツマミに手を着ける。
◇
死屍累々の宴会場の中で
辺りを見渡せば、散乱した麻雀牌やトランプ等を式神達が片付けている。邪魔するのも悪いので、そそくさと寝床になった座布団を隅に寄せて外へ。
「おはよう。流石の早さだな」
「おはよう。老人の朝はこんなもんじゃて」
作務衣姿のまま庭に降り立ち、グラ爺と軽く手合わせ。骨を折ったり折られたり。流血はしてないし、死んでも居ないので本当に軽くだ。
その後は二人で朝風呂へ。着替えは山梨支部に常時置かれている修験者用の衣類一式だ。脱衣場にある魔改造された洗濯機に着ている衣服を叩き込み、ボタンをぽちっとな。
後は腰に
『『あ゛ぁぁ~』』
宴会明けの朝風呂は最高だな!降り注ぐ陽光が気持ちいい。
「星祭も負けておらんが、やはり
「メイドイン富士の温泉に【占術】で把握したその日の利用者に合わせてショタオジの分身が霊草を突っ込んでるからな。流石にそこまでの手間暇を星祭じゃ掛けられん」
「霊草の調合は可能でも、占術は無理じゃな~」
「【占術】の才能のある悪魔を降霊させるのもアリだが、未来予知出来る悪魔は面倒なんだよな」
ゲームの時とは違い、ほぼ確定で交渉相手の出せるギリギリまで雇用料を吊り上げられる。
そこまで苦労したのに明日の天気ぐらいしか占えなかったりするし、労力に見合わない。
「子飼いの霊能者の中には居らんのか?」
「何人か居たが、予知系統の才能はレベル上限の方に加工しちまったよ」
こういう希少な才能は器の素材として凄く良く、プラス五以上は確定する。才能が高ければプラス十五すら現実的なラインだ。……それでも三十に届かないが。
「良くもまぁそんな提案を受け入れたのう?」
「木っ端の占い師でも〝視〟えるぐらい終末が来る事は確定っぽくてな。本人は視たくも無い滅びの未来を視ずに済むって喜んでいたぞ」
「あ~……成る程のう」
全員が全員、滅びの未来に抗う勇気を持てる訳じゃない。特に予知系能力者は抗う力すら予知の才能に吸われている事が多く、抗う為には手足となって動く者が必要なのだが……
「遠くない未来で世界が滅びますと言っても、信じてくれる人間は今の段階だと皆無だろう。むしろ
「それで一縷の望みを掛けてセツニキを頼りに来たのか」
「正確には星祭だけどな」
星祭の巫女達の霊格は四十を越えている。必然的に裏で有名になり、彼女達に救いを求める者達は多くなって来た。
大半はガイア連合の方へ依頼を回しているが、緊急時に出撃するのは子育てに忙しい彼女達*7では無く、星祭所属の
その際に神の如き力を目撃し、俺らを崇拝する者達も出て来ているのが最近の悩みだな。門前街の地価も跳ね上がったし。
「やれやれ。儂らはショタオジに勝てぬ程度の人間なんじゃが」
「それな」
過剰な期待をされたところで出来ない事は出来ないのだ。それを理解せずに助けを求められても困る。
これからも増えるであろう救援要請に対して、諦めの感情と共に二人で溜め息を吐き出した。
◇
実は現地民改造手術を行っていたという。
未来視ってキツすぎだよなぁ。