【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
下層の不思議で悪辣なショタオジダンジョンで選ばれるエリアは、大まかに分けて三タイプある。
一つ目は〝火山〟や〝雷平原〟の様な、悪魔狩りと素材採取が出来る
中層の様な
敢えて言うなら、
二つ目は先程破壊した〝選択の間〟の様なギミックや〝雷鳴山脈〟の様な移動自体が困難な異界だ。
ここは階層主が居ない代わりに地形やギミックが嫌らしく、ハッキリ言えばレイドバトルよりも時間が掛かる。
とはいえ権能でごり押し突破は可能で、俺の様なドレイン持ちは大気中のMAGを奪いながら正面突破も可能だ。斥候タイプが居れば、全てのギミックを正攻法で
そして三つ目。秋雨ニキを始めとする
ギミックは、たった一つだけ。
内容も分かりづらい物では無く、凄くシンプル。
────吸収したMAGの、超効率的運用。
それが修羅勢が満場一致で〝糞ギミック〟認定した吸魔の塔の正体だ。
「狼煙の数は?」
「まだ三つだ!」
「じゃ、今回は全員耐久だな。──死ぬなよ」
『『『応ッ!!』』』
襲い来る悪魔達を逆に薙ぎ払う。だが火力特化型では無い俺の攻撃は、直ぐ様
これが吸魔の塔の糞ギミックその一。マハバリオンですら吸収出来る程の
しかも、吸魔の塔から降り注ぐマハバリオン系は吸収出来れば全ステにバフが、無効以下には確定感電という糞さ。
時々守護者が分霊化*2して、俺ですら死にかける事態になる事は稀に良く起こる。山梨は地獄の別名だったかな?
「セツニキッ!新人の援護頼める!?」
「了解。デカいの行くぞ」
指に挟む呪符は
「〝
大地が隆起し、壁となる。ただ真っ直ぐ、何者にも邪魔の出来ぬ一本道を囲う様に。花魁達が自身の美しさを見せ付けながら、男を迎えにいく〝花道〟の様に。
「うおおおおっ!?」
「落ち着け新人ッ!今のうちに逃げろッ!」
「りょ、了解!」
実力が微妙に足りてない新人がこちらに駆けてくるので取り敢えず回復。さらに呪符を適当にばら蒔き、生み出した壁に張り付け、起動。
道を隠す様に棘が無尽蔵に生え続け、茨のアーチを作り上げる。
「あーあー、困ります御客様。困りますよ御客様、踊り子さんには触れないでください」
『『『触れられんわッ!!』』』
壁の向こう側に追いやった俺らから突っ込みを貰えたので、さらに呪符を展開。
「ふっ。俺に惚れると怪我するぜ?──〝衆合地獄〟」
「やべぇ!?全員、誘惑注意!!」
『『『応ッ!!』』』
壁の内外に生えた茨に悪魔達が突撃を始める。なんか一部の俺らも釣れたが、すぐに回りの奴がフォローに入ったので大丈夫だろう、うん。
衆合地獄の刑罰は物凄く分かりやすい。触れただけで怪我をする程に鋭い剣の山の上で、絶世の美女が罪人達を誘惑するだけだ。
元々スケベな奴等が落ちる地獄という事もあって効果は抜群。効かない奴は【
俺の術が〝足止め〟としてそれなりの効力を発揮し、戦況を何とか
だが、今日は星の巡りが最悪らしい。
「セツニキッ!〝赤〟だッ!」
「全員聞いたな?こっからが本番だぞ」
『『『応ッ!』』』
取り敢えずムラサキに【
「臨時休憩所張ったから適当な所で戻ってこい。治療終わった新人はここの警護な」
「すっげー快適!しかも入っただけで【浄化】もしてくれる!」
「俺、こっから抜け出せないんだけどッ!」
叫んだ瞬間、薬を飲む余裕を得る為に戻ってきた俺らに掴まれ、敵陣のど真ん中に投げ込まれた。それを唖然とした表情で見ている新人達。
俺らなんてノリと勢いでここまで来た芸人集団だからな。ふざけた奴も、投げ込まれる事が分かった上でやってるから心配するだけ無駄だ。
「しっかし何処の馬鹿だろうね?吸魔の塔を準備待たずに破壊したのはさ」
「〝火山〟でギミック解除したぐらいだし、新人抱えてるんじゃないか?」
「あ~……星霊神社も新人育成中だったかー」
「オラッ!回復終わったら行くぞ!セツニキ、やばくなったら頼むわ」
「じゃ、行ってきまーす」
回復を終えた俺らが再び戦場に戻っていくのを見送り、式神達をヤバそうな場所へ投げ込む。
アイとオオマチの二人は
「【魔封剣】ッ!……まさか練習中の技を使う羽目になるなんてねッ!」
剣を掲げ、【マハジオバリオン】を吸収、過剰な霊力を
仕組みとしてはそこまで難しくない。耐性を抜かれない様に【雷撃耐性】の〝概念〟を重ね、さらに【雷撃ブロック】を発動。
【雷撃吸収】まで無理矢理持っていき、その状態で【魔法吸引】のスキルで【マハジオバリオン】を引き寄せてるだけだ。
一応、全属性対応出来る様に装備は整えておいたが、本人の技量を考えると下層の序盤以降は厳しい。要練習だな。
「セツニキ、どうする?〝赤〟が上がったって事は他も落とされる可能性があるぞ?」
「俺らだけなら高度な判断で臨機応変に動けるが、今回は新人も居るしな。一周目は耐久だ」
「聞いたかッ!作戦に変更無しッ!作戦に変更無しッ!」
『『『了解ッ!』』』
「ちょっと男子ぃ~?もうちょっとしっかりしてくんな~い?」
「おう、悪いな──お前、何処からそんな声出してんだよ」
「えっ?そんな違った?」
「ああ。なんていうかフォントが違ったな」
「まじか~俺の秘められた力がでちゃったか~」
「ちょっ!?先輩方っ!ふざけてないで真面目にやってくださいッ!」
「お前のせいで後輩ちゃんに怒られたじゃんか。責任取れや」
「へいへい。レベル七十以下は離れておけよ~。──お前ら、自分には雷擊が効かないと勘違いしてないか?」
『『『────ばかな!?われわれのたいせいがぬかれただと!?』』』
セリスがわざと吸引しなかった
神の如き力なんて物が無くても、〝言葉〟という物は簡単に人を死に追いやる事が出来る。
神の如き霊格のある覚醒者がそんな物騒な〝
「先輩……」
「カッコいいっしょ?惚れても良いんだぜ?」
「何で最初からそれをやってくれなかったんスかッ!私、今日だけで何度も死にかけてるんスよッ!?悪魔に魂を取られそうになってるんスよッ!?」
「いや~後輩ちゃん達の経験値を奪っちゃうのはあれかな~と」
「真面目な話すると、俺ら古参勢は中域まで権能禁止してんだよ。修羅道卒業してないのに下層行こうとする
「う……」
「俺も柄じゃなく真面目な話するけど、俺の権能なんて
「サポーター系のアタシじゃ修羅道キツイんスよ!先輩達には分からないでしょうけどね!!」
俺らの視線が誠一郎ニキに向かう。
「【活性の炎*3】行くよ~」
「「うぇ~い」」
「ついでに【強化の炎*4】も行くよ~」
「「「 いぇ~い!」」」
「最後に【転生の炎*5】行くよ~」
『『『それは待って!勿体無い!』』』
「やっぱり?」
視線を後輩に戻す。
「せ、誠一郎ニキは別格じゃないっスか!ノーカンですよ!のーかん!」
「まぁ、その意見は認めよう」
「クロネキといい、星祭にはカテゴライズから超越してる奴が多いからな」
「そ、そうっスよ!」
「だけどな?あそこに言い訳無用な人が居るんだわ」
俺らが指差す先には──
「オラッ!とっとと死ねやッ!」
俺らが大技をぶちかます直前、悪魔に【ラクンダ】の札を貼り、
「チィッ!ちょこまかとッ!」
速度負けしている俺らの背中に【スクカジャ】を貼り、敵には【スクンダ】を貼る。
「や、やばっ──!?」
殺られそうな新人俺らを【
見事なもんだ。俺の鼻も高い。
「アイさん達はお前より才能無いからな?」
「つまり、あの程度は努力すれば出来るって訳だ」
「うっ……」
「最速で桃源郷をクリアして
星祭も星霊神社もこの一年で新人修羅が増えた。その代償と言うべきか、それともショタオジが忙しくて鼻を折る機会を失ったと言うべきか。
製造班の技術向上により装備の質は昔より比べ物にならないぐらい高く、ギミックも先行者が全て看破してくれている状態のまま駆け抜けられる状況。
必然的に異界を甘く見る新人の数も増加傾向にあり、今回の様な事態に繋がってしまっている。
ショタオジに勝てないのは当たり前、先輩に勝てないのは当たり前。
古参の俺らにしてみれば、全く理解出来ない〝諦め〟に首を捻る毎日だ。
向上心が無い訳じゃないけど、先輩やショタオジには勝てないと割り切って修羅勢やってる人達が出てくるのもこれぐらいかな、と。
スポーツ系の部活に入部した経験のある人は分かるかも?
新人の頃の部長や副部長どころか三年の先輩って、雲の上の存在なんですよねぇ。