【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

143 / 322
イメージとしてはプレイヤーのクリアを考えていないクソゲーを和マンチで攻略してる感じですね。


下層調査依頼4

 

 

 新人は古参に任せ、手元の銀時計(不停の刻針)に視線を落とす。ギミック発動からもう少しで五分か。

 

 

「そろそろ五分だ。ギミック止まったら新人は撤退する様に」

 

「セツニキさんッ!俺はまだやれますよ!」

 

「無理だな。次からは守護者の数が倍になる。流石の俺らもお前らの子守りしながら戦うのは無理だ」

 

 

 吸魔の塔の糞ギミックの恐ろしさはここからが本番だ。東西南北に存在する塔の一つが欠けると、その塔が吸収していた属性MAGが他に割り振られる関係で、ギミックの効果時間と出現する守護者の数が増える。

 

 守護者の数は百から二百に。【マハバリオン(最上位魔法の効果時間)】が五分から十分に伸びるのだ。糞が。

 

 

「で、でも……!」

 

「諦めなって。悔しかったら修羅道越えてからまたおいで」

 

 

 容赦無く【脱出(トラエスト)】の札を張り付け、新人を帰還させる俺ら。流石にふざける余裕は無くなるし、良い判断だ。

 

 

「セツニキー。次のフェイズ乗り切れそうな子はこのまま置いて平気ー?」

 

「責任はお前持ちな?」

 

「うい~」

 

 

 手元の銀時計が五分経過を知らせる。【マハジオバリオン】から【マハジオダイン】に効果の落ちた雷撃を避けながら【清浄の祈り】で回復をばら蒔く。

 

 ついでにセリスが量産した雷撃属性の魔結晶を霊符に仕舞い、さらに撃破した悪魔のドロップ品を回収させる。空き時間に足場を作っておかないと、変なタイミングで事故る原因になるのだ。

 

 

「セツニキ。また〝赤〟が上がったぞ。ついでに〝青〟だ」

 

「……ま、そうなるわな。お前ら、権能解禁で狼煙の塔へ向かえ。その後は狼煙の上がってない場所を頼む」

 

「ここはどうする?」

 

「俺達の班が引き受けるわ」

 

『『『了解』』』

 

 

 ちなみに〝赤〟は討伐を示す。つまり、塔を破壊するという意思表示だ。〝青〟は救援要請となる。

 

 全員で塔を破壊すれば良いのでは?と思うかも知れないが、それをすると()()の悪魔が強襲要員として動き出してしまう。

 

 必然的に押さえる人間(生け贄)が必要となる訳だな。

 

 

「〝緑〟の狼煙上げとくー?」

 

「頼んだ」

 

 

 〝緑〟は現状維持するという意思表示だ。普通なら厳しい戦いになるが、古参の戦場はすでに下層の最奥となっている。故に問題無い。

 

 回復を終えた俺達が〝青〟へ向かうのを見送り、ついでに東方三人組(ムラサキ達)を付ける。

 

 この場に残ったのは、俺を含む男鹿ニキ達四人とその嫁だけ。

 

 

「第二フェイズで一本、いや二本行けるか?」

 

「どうだろうな?狼煙無しの場所がどうなってるのか読めないし、二本は厳しい気もするが」

 

「どんな状況だとしても僕らより楽でしょ」

 

「「それな!」」

 

 

 数の増えた守護者を適当に薙ぎ払いながら会話する三人を尻目にこそこそと次のフェイズの準備。

 

 この隙に塔を破壊すれば良いのでは無いか?と思うかも知れないが、それは悪手だ。

 

 吸魔の塔は【マハバリオン】タイム以外の時に壊すと、残ってる塔全てが最終フェイズに移行する。

 

 時間経過で【マハバリオン】が解除されなくなり、守護悪魔の数は常時八百匹を維持する様に湧き続けるのだ。とてもじゃないが、やってらんねぇ。

 

 ついでに説明しておくが【マハバリオン】モードへの移行は時間経過か、吸収MAGが一定値を越えたらだ。

 

 つまり、悪魔を倒せば倒す程モード移行は早くなるが、生かしておいたら生かしておいたらで余計な事しかしないので、必然的にだらだら狩りながらモード移行待ちとなる。

 

 

「俺が全部抱えるわ。後は流れと勢いで宜しく」

 

「支援居るー?」

 

「分霊湧いたら頼むわ」

 

「了解」

 

 

 流石の俺も支援を要らないとは言えない。下層はそういう領域だ。

 

 だらだら悪魔を狩っていると、モード移行の兆候が現れた。空を走る稲妻が紫電に代わり、【マハジオバリオン】が降ってくる。

 

 それと同時に敵陣へ飛び込み、【殺意の領域】を展開。さらに【オートランダマイザ】を全解放。

 

 

「さて……行きますかね」

 

 

 大地が砕ける程に強く踏み込み、【ソウルドレイン】の剣山を周囲に生み出す。生かさず、殺さず。突き刺さった悪魔は全て俺の〝糧〟だ。避けられなかった自分を呪うが良い。

 

 続いて安定の【煩悩即菩提】を放つと、そこへ相乗りの一撃が飛ぶ。

 

 

「【感染拡大(アウトブレイク)】」

 

ちぃ!おまえらおれからはなれろ!

 

おまえこそはなれろ!おれをまきこむな!

 

 

 蛮ニキの権能はシンプルながら凶悪だ。効果は状態異常に感染した者に触れた全て。もちろん、大地と空気も効果対象となる。当然、これで終わらない。

 

 

「【複合感染(コンプリケーション)】」

 

 

 何かしらの状態異常に掛かった者に対し、追加でさらなる状態異常を与える権能を発動。そして、トドメの一撃。

 

 

「【オーバーフロー】」

 

 

 掛かっている状態異常の効果を濃縮、瞬時に効果を発揮する権能。つまり、だ。

 

 

「うへ~相変わらず惨いな。蛮ニキの権能」

 

 

 男鹿ニキの呆れた様な声と共に戦闘が終了。辺り一面に転がるのは、石化した悪魔、イき過ぎて全身の穴という穴から液を垂れ流す悪魔、混乱を濃縮された事により廃人となった悪魔、その他諸々。

 

 状態異常の行き着く先へ無理矢理送り届ける蛮ニキの権能は、ある意味では状態異常をメインウェポンにしている俺らの希望であり、それを相手にする未来が確定している俺らに絶望を教えてくれる。

 

 

「セツニキみたいな状態異常をばら蒔ける奴と組むと消耗少なくて楽だわ」

 

「何時もは僕の火傷ぐらいだもんねぇ」

 

「ほら、喋ってないで素材回収。次が湧くぞ」

 

「「「う~い」」」

 

 

 一分程経つと【マハジオバリオン】とは違う()()()がそこら中に落ちる。落ちた場所に生まれるのは、塔を守る守護者(悪魔)達。

 

 

「次の湧きは任せた。耐性付くと面倒だから大人しくしてるわ」

 

「じゃ、僕が行こうかな」

 

 

 再び湧いた悪魔を同じ方法でヘイトを固定。再び【ソウルドレイン】を生やす。

 

 そこへ誠一郎ニキの権能が飛んできた。

 

 

「【獄炎千鳥】」

 

 

 声が聞こえた瞬間、全力で離脱。蛮ニキの権能はまだ耐性で何とかなるが、弱点属性ばかりはどうしようも無い。

 

 先程まで俺の居た場所を中心に広がる大穴。その中にある()()()から産まれたのは、炎の体を持った小鳥達。その数──()()

 

 小鳥達がゆっくりと羽ばたき、新たに湧いた悪魔へ襲い掛かる。そして引き起こされる大爆発。

 

 さらに飛び散った炎からも新たに湧き出し、再び突撃。炎さえあれば、誠一郎ニキが発動を止めるまで突撃を繰り返す糞鳥だ。何度燃やされた事か。

 

 

「これぞまさに数の暴力だよな。一発一発は【アギラオ】程度っつっても、この数は対処出来ねぇ」

 

「無限湧きには無限湧きで対抗するんだよ!っていう誠一郎ニキの熱い思いを感じる」

 

「僕は(アクア)系のエリアだと役立たずだからね。活躍できる時に活躍しないと」

 

「俺も〝吸炎の塔〟だけは無理だ。〝火山〟や〝煉獄〟はまだ何とかなるが、生き残るだけで精一杯になる」

 

 

 ショタオジやカヲルニキ程の火力は無いとはいえ、【マハラギバリオン】を何発も食らって生きてられる程の強さは持っていない。

 

 ちなみに俺らが話してるギミックは下層終盤の話だ。序盤の〝吸炎の塔〟なら引いても問題無い。

 

 暫く眺めていると、再び守護者が補給された。それと同時に誠一郎ニキが権能を切る。

 

 

「次は男鹿ニキ──って言いたいところだが、俺が行くわ」

 

「お?別に俺が行っても良いぞ?」

 

「最終フェイズの塔の破壊を任せたい。俺だと火力が足りん」

 

「あー……セツニキ、火力無いもんな」

 

継続戦闘(継戦)能力には自信があるんだけどなぁ」

 

「一ヶ月戦えるのは実証済みだもんね」

 

「あれは相性が凄く良くて、凄く悪かっただけだ」

 

 

 下層に湧く悪魔(分霊)の中にはギミックと相性が物凄く良い奴が時々現れる。

 

 基本的に下層の悪魔はどいつもこいつも糞なんだが、その中でも俺の戦った悪魔は超速再生とギミック〝平和な世界(ピースフルワールド)*1〟が被り、一ヶ月間ひたすら修羅勢総出で突撃し、削り殺さないと行けない事態となった。

 

 いや、あれは余りにも糞過ぎてギミック解除に挑み、失敗したのも原因の一つか。

 

 当時は下層探索もそこまで進んでおらず、斥候組の実力もそこまで高くなかった。だから失敗した事自体は仕方ないで俺らも割り切ったのだが……〝平和な世界〟が重複したのは今でも許せない。

 

 ただでさえ一割ダメージを強制され、そこからさらに一割まで減衰を食らうのだ。必然的に大技をぶち込む必要があり、燃料切れとなった修羅勢が相次いで撤退。

 

 何時もなら糞ギミックの処理を頼むカヲルニキは〝アイツ〟のバラ撒いたクソゲー攻略の最終段階に入っていたという事もあり、参戦不可。

 

 ショタオジは増えた俺達のお世話に忙しく、ついでに言えば面倒なだけでS案件とは程遠い状況だった事もあり、傍観の構え。

 

 必然的に俺とシエラ婆の二人が砂漠の砂を一粒づつ消していく様な不毛な戦いを行い、修羅勢が復帰するまでの間、回復を妨害する為に全力戦闘する事に。もう二度とやりたくない。

 

 

「……みんな、あの時の記憶を思い出した顔してるね」

 

「そりゃ思い出すわな……」

 

「【罠外し】しくじった奴の絶望顔が今でも忘れらんねぇ」

 

 

 余りにも嫌な記憶過ぎて、全員の眉間に皺が寄る。とはいえ悪魔は待ってくれないので、諦めて呪符をばら撒き、嫌な記憶を消し去る様に声を張り上げる。

 

 

*1
どれだけ強力な権能を使っても、ダメージが一割しか入らない。




ボスに回復を持たせては行けないとあれほど!!


もうこのネタが通じない事に驚きました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。