【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
「まさか知られているとはね?極東の猿にしては随分賢いじゃないか」
「言い方が
返答は【ジオバリオン】だった。それを【
「エジプトの自称オウサマは随分短気だな?」
「王に対する侮辱は世界共通で死罪だろう?」
「使えない王様は太古の昔から引きずり降ろされるのが定めだぜ?」
息を殺していた蛮ニキがセトの身体を引き千切る様に腕を振るう。だが身体に触れる直前、
「だぁー!!悪いセツニキ!相性最悪だわッ!」
「随分五月蝿い
蛮ニキの根幹は〝蛇神〟だからな。ウヌスをどうにかしないと干渉すら出来ないか。まぁ、下層では良くある事だ。
「蛮ニキは雑魚の相手宜しく。コイツは俺と誠一郎ニキで行くわ」
「了解」
「逃げられると思うのかね?」
即座に砂塵の刃を背を向けて離脱する蛮ニキに飛ばすセト。それを誠一郎ニキが両手を盾にしながら割り込む。
「……結構痛い。セツニキ、たぶん三桁近いよ」
「随分奮発したな」
「稼ぎ時を見逃す様では王は務まらないのだよ」
「さよけ」
【ソウルドレイン】を刃に変える。この一年、ショタオジを倒すために試行錯誤の日々だった。その鍛錬の成果が──これだ。
「
「チィ──!!」
ノーモーションから放たれる音速の五百倍の突き。実際はそこまで早くないし、13kmも伸びない。だからと言って本家の劣化品という訳でも無い。
「散れ──〝千本桜〟」
「厄介な技をッ!」
刃から木の枝の様に【ソウルドレイン】が伸び、セトを追い詰めていく。やはり困った時は護廷十三隊だな!信頼度が違うぜ!
とはいえ、これだけで倒せるなら雑魚と変わらない。腐っても神は神だ。
「舐めるなよ人間風情がッ!!」
放たれたのはテラ系とガル系のミックスマハダインと呼ぶべき砂塵の嵐。その鋭さは砂漠と嵐の神の名に恥じない程に凄まじく、砂塵に触れた俺の【ソウルドレイン】がパキポキと折られていく。
「フハハハハッ!どうした人間。その程度か──」
高笑いするセトの頬を砕けた【ソウルドレイン】が切り裂く。そもそも斬魄刀を再現してるだけで、この
「我に傷だと……?やはり人間は愚かだな……!貴様らを排除し、王たる我が効率良く管理せねばならん!」
「知らなかったな。セトはDARK悪魔だったか?」
「抜かせッ!!」
降り注ぐ【ヤブサメショット】を【霞駆け】で躱す。探求ネキと違って練度を感じないそれは、修羅勢なら目を瞑っても避けられる程度だ。
「ところで俺だけに注目していて良いのか?」
「何を──」
「【アギバリオン】」
「ぐあ──!?」
誠一郎ニキの零距離【アギバリオン】がセトの右腕を焼く。だが直ぐにアンクの効果で再生していく右腕。
「……ふぅ。そういえば、もう一匹虫が居たのを忘れていたよ」
「ぐあー」
無言で飛んできた【ジオバリオン】を【権能破壊】で再び壊す。何かさっきもこのやり取りをした気がする。
「やれやれ。神様ならもう少し寛容になって欲しいもんだ」
「セツニキ、今日は随分辛辣だね?」
「そりゃ辛辣にもなるさ。コイツは神を名乗りながら神の〝義務〟を果たさず、王を名乗りながら王の〝義務〟も果たさない。そんなヤツを真面目に相手してられるかよ」
神ならば信徒。王なら国民。幾多の〝命〟を背負う覚悟があるからこそ、神や王として崇められる。
その〝義務〟を放棄した
「まぁ、気持ちは分かるよ。僕もこんな奴の為に命を賭けたく無いし」
「だろ?」
「……命乞いするなら我が王国の種馬にしてやろうと思ったが……貴様ら。生きて帰れると思うなよ」
「静まれ~静まり給え~さぞかし名のある砂漠の主と見受けるが、何故その様に荒ぶり狂うのか~」
「セツニキのせいだと思うよ」
「俺もそう思う」
どうやら問答はここまでの様だ。
「死ねッ!王に刃向かいし罪人共ッ!!我みずから貴様らの心の臓を抜き出し、獣の餌にしてくれるわッ!!」
セトが空間を歪ませる程の殺意と共にウヌスを砂漠に叩きつけると、砂漠が意思を持った生き物の様に動き出す。
「ロバ、馬、ツチブタ、ジャッカルに似た〝何か〟か。セトアニマルだな」
「セトアニマル?」
「壁画に書かれたセト神の顔が謎の生物過ぎてな?空想の動物とか色々言われてんだわ」
「へぇー……」
感心した様な声と共に放たれた【炎龍擊】が謎生物を燃やし尽くす。
「駄目だね。すぐに再生するや」
「辺り一帯砂だからなぁ」
会話してる間にも次々増える謎生物。厄介な事にセトの戦神としての権能が効果を発揮している様で、お遊びの様な一撃が大地を抉る程の威力を持っていた。
「ハハハッ!!どうだ我が兵士達の力はッ!!」
「セト、お前もう船降りろ。セトの名を冠しておいて
「僕もどうせなら青眼の白龍が良かったな」
「減らず口を……!」
襲い掛かるセトアニマル達を適当に相手しながら距離を取り、呪符を空に向けてばら蒔く。
「昭和生まれとはいえ俺は常に新しき〝
両手を重ね、右手の向きを
「──領域展開【魔天降臨】」
太陽を黒く染め、空を赤く染める。命無き砂漠は緑生い茂る森へと姿を変え、水無き大地に湧水が現れる。
ちなみに構えも
世界観が違うぜ、世界観が。
「……ふっ。くだらない【幻惑】だ。すぐに破ってやろうッ!」
何かをしようとして
さらに【地獄突き】、【バウンスクロー】と繋げ、トドメの新技──【喰いちぎり*1】を発動。
手応えは悪くない──が、やはり火力が足らんな。
「セツニキッ!」
誠一郎ニキの掛け声と共に【霞駆け】で何発か与えながら離脱すると、先程まで居た場所に【
「どうだ?」
「駄目だね。たぶん二割ぐらいしか削れてないや」
「俺より良いな。あんだけ叩き込んで一割だぞ」
「【鎧通し】は通りそう?」
「積めるだけ積んで*3漸くってところだな」
「長期戦になりそうだねぇ」
溜め息を吐き出しながらバフ*4を貰い、警戒だけはしておく。
土煙が突如として発生した暴風に弾き飛ばされる。そこから
「この面妖な結界術──効果は異界の【性質変更】か」
「外れだ。無知を晒して恥ずかしくないのか?」
飛んできた【ジオバリオン】を
「初見で見破るのは至難だよねぇ……
「ショタオジの為に作り上げたのに無意味だった時の絶望感よ」
「あれだけの術者の癖にインファイトも出来るとか詐欺だよね」
「それな」
「何を訳の分からない事を言っているッ!」
セトが再び地面を叩くが、何も起きない。代わりに森の木の実がポロリと落ち──
「「ブハッ」」
──セトの頭を襲撃した。
「何故だッ!何故、我が権能が使えぬッ!?」
「ククッ……神失格だからじゃないか?だから天罰が下ったんだよ」
「ちょ、セツニキッ!笑わせるのヤメテ!」
「き、貴様ら……!」
怒りに身を震わせ、今にも飛び掛かりそうなセトに告げる。
「ところで今すぐ逃げなくて良いのか?俺らはお前の事情を気にせずぶちのめすつもりだが?」
「な、舐めるなッ!権能が使えずとも貴様ら如き殺す事なんざ雑作も無いわッ!」
人の姿を崩し、メガテンで良く見る龍の姿へ変わるセト。その巨大化した肉体から漏れでる赤紫の瘴気は俺と同じ【ランダマイザ】と同等の効果を持つらしく、周囲の森が自重に耐えきれず折れていく。
『これは……そういうことか!』*5
「お、気付いたみたいだな」
「まぁ、情報は揃っただろうしね」
セトが気付いた様なのでネタバラシ。
「俺の【魔天降臨】の効果は領域内の〝逆転〟。つまり、今のお前は砂漠の神では無く森の神であり、嵐の神では無く大地の神であり、戦争の神では無く慈愛の神となる。その空っぽな頭で理解出来たか?」
ちなみに人間相手だと攻守のステータスを入れ換える程度の術だ。敵が〝
そして恐ろしい事に下層の終盤から
『くくっ……たねがわかればこちらのモノよ!いけッ!わがげぼくたちよ!』*6
龍となった腕を大地へ向けて振り抜く。それは確かに大地を砕き、眷属を湧かせる──が。
「ふゆっ!」
「みゃい!」
湧いたのは、やけにモフモフした姿の謎生物達。すぐに変質した権能を使いこなすのは流石だが、戦争の神では無く慈愛の神となった以上、戦いに向いた下僕を造れる訳が無いわな。
余りの頭の悪さに呆れていると、空高く信号弾が打ち上がった。それを合図に意識を切り替える。
「誠一郎ニキ。殺るぞ」
「了解」
俺らの身体から吹き出るのは、殺意の意思を伝える過剰霊力。それが無言で伝える〝殺意〟の濃さにセトが怯んだ瞬間、まずは右翼を斬り飛ばした。
ちなみにセト君にはとても大切な役割があります。
その為だけにエジプト神話読み直して悪魔らしい神の側面を見付ける必要があったんですよね(激怒)