【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
ショタオジなら対策してると思うけど、この世界線では主人公の役割かな、と。
「こちら、日本のメシア教穏健派のトップ。で、こっちの銀髪の子が岩手支部の裏の支配者だよ」
「本日はよろしくお願いします」
「よろしく」
応接間には俺とショタオジとニコニコ笑う
「היי,
──הבחורה הזו תתפוס את מקומך בראש.
……成る程な。となると──
「俺、この場に要らないだろ」
「待って。セツニキ、
ショタオジは気付いた。目の前のトップは気付いていない。……哀れな。
「
「そこは疑ってないよ。というか何時から面識あったの?」
「岩手支部で愛宕ネキと会う前にヤクザから銃をパクったろ?あの時に愚痴を聞かれてな。役に立つかと思って〝緣〟を残しておいた」
「随分危険な橋を渡ったね?セツニキらしく無い」
「まぁ、途中までは必要だったからな」
「というと?」
チラリと穏健派の代表に視線を向ける。
「部外者には話せない、か。分かった。こちらの用件を進めよう」
取り敢えず席に座る。ネコマタに出されたお茶は──玉露。奮発したな。
「俺から話す?それとも自身で?」
「私、自ら話させて頂きます。……岩手県警が行っている
「無理に決まってんだろ。あれは岩手県警が全力で追ってる事件で、放送に関しても同じだ。岩手の放送局が独自にやっていて俺達に口を出す権利は無い。それにメシア教徒があれだけの事件を起こしたんだ。
本当は指名手配したいんだが、あれは公安の管轄なんだよな。だから
「そこを伏してお願い申し上げます」
メシア教穏健派の頭が一歩下がり、土下座する。だが無理な物は無理だ。
「諦めろ。別に岩手県内だけの話だ。お前らが国内で活動する分には問題無いだろ?」
「それは……」
「それに捜査自体は
これは本当だ。岩手県警は被害者を連れ去った人間として、証拠も込みでメシア教過激派の捜索を行っている。
「ですが彼らは……!」
「ああ。
岩手県民には申し訳無いが、税金の無駄遣いをさせている事は間違いない。何せ死体は俺が処分したからな。一生掛かっても見付からないだろう。
「死者に鞭を打つ必要があるのですか?」
「俺が回収した遺体を見た遺族は泣く事すら出来ずに吐いたぞ。そして、葬式にお前ら穏健派は一人足りとも来なかった。岩手県に居る奴等が穏健派を名乗るなら、遺族の為にも国に帰るか他県へ行くべきだろ」
「で、ですが我々には霊地の管理が──」
「引き継いでやるから資料作りよろしく」
言葉を失った
視線から正確に言いたい事を受け取ったショタオジが即座に口を挟む。
「まぁまぁ、セツニキも落ち着いて。ガイア連合としては彼女たち穏健派の力を借り、根願寺を動かして日本の沿岸部に結界を張る予定なんだ。だから俺からもお願いするよ」
「……チッ。分かったよ。だが代わりに岩手県内からメシア教徒は出て行ってくれ。それが飲めなきゃ俺も愛宕ネキを動かせん」
「……分かりました」
「ショタオジ、契約書よろしく。結界を張るまでは我慢させるが、それ以降に存在するメシア教徒は全員
「それは……!も、もう少し手加減を……!」
「お前らが違うと言い張るメシア教過激派と、お前ら穏健派に俺は違いを感じない。俺より過激な奴は一杯いるし、そいつらの〝逃げ場〟を作らないと組織に影響が出るんだよ。理解しろとは言わん。受け入れろ」
というか、この場に霊視ニキを筆頭とするガイア連合の過激派がいない時点でそういう話だ。
「了解。貴女もそれで良いかな?というか、セツニキは
「……分かりました」
契約書を読んでお互いにサインを交わす。控えはもちろん貰う。後はこれを岩手支部に持っていけば終わりだな。
話も終わったので席を立ち、応接間から出ようとした時にポツリと呟かれた。
「貴方は……メシア教が憎いのですか?」
「俺はキリスト教の聖書の内容を全て覚えているが、お前は?」
「もちろん覚えています」
「じゃ、敢えて言ってやろう。俺は
返答を待たずに部屋を出る。
人類の為と言い訳し、女手一つで〝ぼく〟を育ててくれた母親の敵と手を組んだ〝俺〟を見て、果たして〝ぼく〟はなんて言うのだろうか。
◇
喫煙所に行く気分にもならないので、夕日に照らされて赤く染まる星霊神社を一人進む。池の畔*1に着いてすぐに人払いの結界を張り、煙草に火を着けた。
考えるのはこれからの事。これで岩手支部は
俺達の〝素質〟を考えれば、防衛に必要な戦力は十分集まる筈だ。後は終末までの間に文明を維持出来るだけの発展を促せば良い。
代償として、ガイア連合内にも居るメシア教融和派との喧騒が想定されるぐらいか。終末後の事を考えれば、安い出費だ。
「……随分キツイ人払いを張ったね?」
来たか。
「男の子は一人になりたい時間があるんだよ」
「男の子って年齢でも無いでしょ」
「心は何時までも男の子だぜ」
二人でぼんやり夕日に照らされた池を眺める。隣で切り出す言葉を迷ってる辺り、ショタオジは優しく、甘いな。
とはいえ俺はともかく、ショタオジの時間が勿体無い。なのでこちらから話を切り出す。
「俺が四文字との〝緣〟を残していたのは、終末の原因が〝ルシファー〟だった時の保険
「保険
「上層の頃は確証が無かった。中層で当たりがついて、下層潜って確信した。終末の原因に〝ルシファー〟は該当しない。──そうだろ?」
ベルフェゴール。ルキフグス。クロケル。メルコム。他にも下層でやけに好意的な堕天使達。そこからの推測になるが、ショタオジは〝ルシファー〟と何かしらの関係を持っている。もしくは〝ルシファー〟が何かを企んでいる。たぶん四文字と戦う為に俺らを利用でもしてるんだろうが。
「ついでにメムアレフも除外だ。星祭に〝星の水〟が湧いている以上、ガイア連合はこの星に見捨てられてない」
逆に言えば、俺らは〝星の守護者〟として認められてしまってる訳だが。
「ペルソナ関係は俺にはどうしようも無い。だから持っていても死んでる〝切り札〟をショタオジの前で切ったんだよ」
「その結果、俺に殺される可能性を考えなかったの?」
「それも含めて〝賭け〟に出るべき場面だったからな」
吸っていた煙草を携帯灰皿に叩き込み、新たな煙草に火を着ける。
「ガイア連合のトップなのか、星の守護者なのか。俺が死んだら星の守護者になったと判断していたよ」
池に向かって煙を吐き出す。波紋が水面を揺らし、そこへ映っていた夕日を歪ませる。ショタオジが口を開いたのは、水面が落ち着いた頃だった。
「試していたの?」
「俺が──〝ナナシ〟が契約したのは〝星の守護者〟では無く、星霊神社で暇そうにしていた
──まずはお互いの最終目標を決めるべきか。俺の目標は星祭の奴等と世話になった人ぐらいは終末後も〝人として〟生きて欲しい。そっちは?
──異界の抑えを楽にしたい。ずっと同じ作業の繰り返しが辛いし、ゲームとかする時間も欲しい。あ、ついでに日本も最低限助けたいかな?
──おーけー。そこらへんは緩く行こう。お互い本音は隠してるだろうしな。
「わざわざ世界を背負うつもりか?誰からも報酬は貰えんぞ」
「そんなつもりは無いよ。ただ、俺にも新しく出来た〝願い〟があってね?その為には穏健派が必要なんだ」
「……そういう事か」
本当に優しくて甘い。でも、だからこそ手助けしたくなるんだよな。
煙と共に全てを吐き出し、煙草を吸うのと同時に頭を切り替える。
「ガイア連合に居るメシア教排斥派は引き受けてやる。問題を起こさない限り、穏健派への支援も引き受けた。ただ、霊視ニキには自分で説明しろよ」
「うん。ありがとうね」
「ま、乗り掛かった船だしな」
軽く手を振って結界を解除。まずは岩手に飛んで愛宕ネキ達と会議かな。
◇
実はこっそり出来る範囲で終末対策してました。
まぁ、空振りな辺りが運命に愛されてないという証拠(笑)