【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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前回の話、今までで一番一話で感想貰ったぜwww

作者はそんな俺達が大好きです。

この章はちょっと毛色が違う感じかな。読まなくても問題ないけど、知ってると作者の世界観を補強できるかも?程度です。


出張!セツニキゼミ!その一

 

「今日は宜しくお願いします!」

 

「お世話になります!」

 

「勉強させて貰います!」

 

 

 暫く雑談をしていると、待ち人達がやって来た。3Kの仕事だと理解しているのか、頭に手拭いを巻き、作業服姿だ。その腰にはトンカチをぶら下げてるがブラフだな。霊的効果は無い。服の上から太股に巻いてるポーチには霊符──では無く、五寸釘か。

 

 その姿を見て鼻で笑う陰陽師っぽい格好の新人、頷く作業着姿の中堅、苦笑いしてるのはスーツ姿のベテランか。……ふむ。

 

 

「もう一人追加して良いか?」

 

「構わないッスけど、誰か呼ぶんスか?」

 

「いや、今から交渉する。──そこのサラリーマン。一緒に行かないか?」

 

「わ、私ですか?」

 

「おう。俺一人でも問題無いが、アンタが居てくれると楽出来るんだ」

 

「えっと、期待して貰ってるところ悪いですが……私はしがないデビルバスターですよ?」

 

 

 その言葉に嘘は無いだろう。だが、大切なのはそこじゃない。

 

 

「安心しろ。俺が求めてんのは〝索敵〟と〝擬態〟の授業だ」

 

「……なるほど。それなら役に立てそうですね。契約を纏めましょう」

 

「おう。って訳で、ちょっと行ってくるわ」

 

「了解ッス!スマホでも弄って待ってますわ」

 

 

 断りを入れてから共に別室へ。そこへ契約を担当する〝黒札〟に来て貰い、条件を詰める。

 

 

「報酬に希望はあるか?円、マッカ、霊装にアガシオン。ガキ共への授業料も含めて多少の値上げには応じるぞ」

 

「では、アガシオンでお願いします」

 

「おう。要望は?」

 

「……要望?」

 

 

 あー……知らないのか。

 

 

「〝黒札〟はピンキリでな?下は屑から上は聖人まで居るんだよ。もちろん〝腕〟の方もな?」

 

「成る程。……一応、聞いておきます。何処まで出来ますか?」

 

「要望を言ってみな」

 

 

 少しだけ悩むサラリーマンを眺めつつ珈琲を一口。隣に居る〝黒札〟が少しだけ居心地悪そうにしているが、我慢して貰おう。

 

 

 

「悪霊を浄化出来る光」

 

「【破魔】か。余裕だぞ」

 

「糞鳥を殺せる力」

 

「今度は【呪殺】か。行けるぞ」

 

「指示をしっかりと受け取れる知性」

 

「その場合、反逆する可能性が出てくるぞ」

 

「それに対するセーフティをお願いする事は?」

 

「それで報酬として想定していたラインを越えるが良いか?」

 

「はい。構いません」

 

 

 適当に霊符から素材を取り出し、サクッと作成。普通のアガシオンに破魔と呪殺を追加し、知力を上げられる限界まで上げて【テレパシー】を入れ、契約で縛った品となる。

 

 目の前の人間(サラリーマン)には言ってないが、〝黒札〟に危害を加えられない契約も混ぜてあるが。というかガイア連合が良く使う基本契約に織り込まれている。

 

 ショタオジの過保護はこんな所にもあるぜ。

 

 

「ほい、完成」

 

 

 細い鎖で出来た銀アクセを投げ渡す。

 

 

「壺型では無いのですか?」

 

「サラリーマンとして溶け込んでるのに壺型が欲しいのか?」

 

「……いえ、てっきりあの形以外は不可能なのかと」

 

「壺型が基本なのは〝概念〟が強化されて作りやすいからだな。だから術者の技量次第で〝入れ物〟はどうにでもなるぞ」

 

「私は予想以上の大物に捕まった様ですね」

 

 

 手首に巻いた銀アクセを軽く撫で、アガシオンを召喚するサラリーマン。何度か頷き、送還する。

 

 

「命を賭けてまでとは言いませんが、この品に相応しい働きはしてみせましょう」

 

「それで良いし、それを教えたい。じゃ、契約を始めよう」

 

 

 結ぶ契約としてはそこまで重い物じゃない。今日から一週間、こちらの予定に合わせて動く、命の掛かった場面で無許可逃走の許可。代わりに契約者と契約書に記した人間へ危害を加えられない、嘘を吐けない程度の簡易契約だ。

 

 

「この内容でお間違い無ければサインをお願いします」

 

 

 立ち会い者となった〝黒札〟は少しだけ呆れた視線を俺に向けた後、契約書をサラリーマンの元へ置いた。

 

 

「分かりました」

 

 

 返事と共に慣れた手付きでサインをいれるサラリーマン。そして、次は俺の番。

 

 

 

「一つ、授業してやろう」

 

「授業?」

 

 

 手渡された筆記用具で名前を書くと、契約書が()()()()()()()する。

 

 

 

「これは……!」

 

「〝黒札〟の中には支部の契約書では縛れない存在が多い。()()()()()は〝黒札〟の為の組織だからな。ムカついても扱いには気を付けろよ」

 

「は、はは……心に刻んでおきますよ」

 

 

 

 

「──という訳で、面倒でも服装は向かう場所に合わせた服装で行った方が良いですよ。依頼の前に余計な面倒事を引き寄せますから」

 

『『『成る程』』』

 

 

 聞いてる四人が即座にスマホを操作する。態度が悪い様に見えるが、メモ書き代わりに使ってるだけだ。だから注意はしない。

 

 

「ま、割り切って作業服姿で行くのもアリだぞ。そこらへんは行く場所の立地次第になるがな」

 

「市街地なんかではトンカチでは無くスパナをぶら下げるのもアリですね。水道関係のトラブルだと勝手に認識してくれますから」

 

「ちなみにセツニキさんのその格好は?」

 

 

 今の俺の姿は修羅シャツにジーパンに運動靴だ。完全にただの中学生だな。これでワゴンに揺られ、山奥に向かってるのは舐めてるとしか言えないが……

 

 

「俺の場合、前提条件が違うんだよ」

 

 

 言いながら隠形術を発動。

 

 

「ちょっ!?目の前から消えた!?」

 

「凝視しても姿や気配すら分かりませんか……!」

 

「確かにこれならどんな格好でも関係ないね……!」

 

 

 理解した様なので隠形術を切る。

 

 

「ま、高位霊能者はこういう存在だと思え。この山梨修羅T着てる奴は全員出来るしな」

 

 

 ちなみにこのTシャツ、市販もされている。背中に〝修羅〟の文字は入っていないから只の山梨Tだが。

 

 その後も異界に到着するまでの間、元闇召喚士っぽいサラリーマンからの授業は続けられた。こういう〝裏〟の動きは意外なところで役に立つ。紛れ込む為に礼節を覚えるしな。

 

 とはいえ移動の合間に全てを教えられる訳も無く、最初の目的地へ到着。

 

 四本の結界杭と注連縄で区切られた中心には、異界があることを示す空間の歪みが。

 

 

「じゃ、まずは先輩の腕を見せてやってくれ」

 

「分かりました」

 

 

 懐から取り出した霊符に霊力を込め、式神を具現化。──〝カラス〟か。市井に下ったアマテラス系の生き残りか、烏天狗を信仰する修験者の生き残り辺りか。

 

 手に持っていた革製のビジネスバックから取り出した家庭用スポンジを持たせ、異界に放つ。

 

 

「費用対効果の良い手段だな」

 

「昔はお金に余裕が無かったので苦肉の策ですよ」

 

 

 苦笑いするサラリーマンに対して首を横に振る。

 

 

「与えられた予算の中で最高を考えるのは大切な事だぞ。素人は全部術式に頼って無駄に金を掛けるからな」

 

「えっと、セツニキさん?」

 

「全部は答えるなよ」

 

「分かりました。とは言っても、そんなに難しい事はしていません。異界内の水源の性質を調べる為にスポンジを持たせただけです」

 

「……?それに何の意味があるんスか?」

 

「自分で考えるのも授業の一環だ。ヒントはやるから自分で考えろ」

 

「了解ッス!」

 

 

 出会ったばかりの俺にノリで敬礼する辺り、〝黒札〟の中ではレア種の陽キャ俺達だな。

 

 

「異界討伐依頼が塩漬けになる場合、基本的に出てくる悪魔が厄介過ぎて誰も依頼を受けないか、異界の性質が厄介のどちらかだ。その内、悪魔の方は分かり次第、直ぐ様高位霊能者が動き、処理される。何でか分かるか?」

 

「危険だから、ッスよね?」

 

「そうだ。だから今回受けた依頼の様に、単純に長期間放置されている場合、異界の性質が厄介という事が確定する。で、ここからがヒントな。お前らが厄介だと思う異界はなんだ?」

 

 

 そう尋ねると〝黒札〟が顔を付き合わせて会議を始めた。

 

 

「足場が悪い?」「視界が悪い」「罠が多い」「ダークゾーンが多い」「ワープがある」「強制的に向きを変えられる」「……なんか違くないか?」「ベテランさんの動きもヒントだろ」「カラスとスポンジ?」「後は水源の調査って言ってたな」「水源……飲み水は基本的に持ち込むし、中で飲むわけじゃないよな?」「だな。だから毒が入ってても関係無い」「……いや、それじゃないか?」「それって……毒?」「異界内で毒が発生してたら俺らもヤバイだろ?」「でもそれ気体だったら意味無くね?」「だから費用対効果が良いんだろ。術式で調べると触媒代掛かるけど、スポンジ一個で毒沼や毒の泉の有無を調べられるんだから」『『『なるほど!』』』

 

 

 やっぱり仲間と会話するのは大事よな。

 

 

「じゃ、答え合わせの時間な」

 

 

 丁度、カラスが()()()()()()()()()()()()を持って帰ってきた。そのゴミからは紫色の汁がポタポタ垂れ、足元の雑草を枯らしていく。

 

 

「先輩凄いッスね!大手柄じゃないッスか!」

 

「勉強になった様で何よりだよ。──それじゃ、少し離れてくれ。ちょっと調べるから」

 

 

 ガイア連合で販売中の簡易【アナライズ】が使えるモノクルを付け、雇われリーマンが霊力を込める。

 

 

「結構、最悪な異界だね。〝泥〟〝毒〟〝沼〟〝汚染〟ぐらいしか読み取れなかったけど、酷い事だけは分かる」

 

「うへ~今からここに入るんスよね?」

 

「攻略の仕方を教えるし、いざとなってもどうにかしてやるから安心しろ」

 

 

 死んでも【サマリカーム】あるしな!

 

 

「……ヨシッ!」

 

 

 自身の頬を思いっきり叩き、覚悟を決める俺達。周囲の俺達も意識を切り替え、真剣な眼差しに変わる。

 

 

「先生!それじゃ授業お願いしまっス!!」

 

『『『お願いします!』』』

 

「おう。お前らが無様に死なない様に丁寧に教えてやるぜ」

 

 

 なにせ俺は覚醒者には優しいセッツァーニキだからな。

 




まぁ、見ての通りコツコツ岩手補強してます。
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