【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
岩手県は他県と比べてカルト宗教が増加傾向にある。理由は言わずもがな。メシア教を追い出した代償だ。
あんな奴らでも闇召喚士やカルト組織の取り締まりはしっかりやっていたらしく、ノウハウの無い鬼手一族では少し厳しいのが現状──だったら、どれだけ良かった事か。
各地に潜ませた〝草〟の情報によると、岩手の現状はメシア教過激派の
とはいえ鬼手一族が県内全域に〝根〟を伸ばしている岩手県において、カルト宗教が大きくなる事は無い。何故なら──
「ほらほらッ!掛かってこいやッ!!」
『ぐっ──人間の分際でッ!』
居場所が割れた時点で〝俺達〟が強襲*1するからだ。
四人と先輩が悪魔相手に大立ち回りしている隙に被害者を回収。【ディア】すら過剰になる非覚醒者ばかりなので、何気に回復が一番気を使う──筈も無く、霊符をペタペタ貼っていく。
霊符の利点は出力が力量依存では無く、術式依存という事だ。だから霊格の低い人間でも霊力さえ用意出来れば強力な術を使えるし、神に近付きつつある俺でも過剰回復が発生しない様に癒せる。
治療特化型はそんな事をする必要も無く、無意識で調整するが。
「……どうして生かしたんですか」
先程まで
「死にたかったのか?」
「やっと楽になれると思ったんですよ……それなのに……!」
悲痛な女の声が届いたのか俺達の動きが鈍る。その隙を容赦無く悪魔が狙うが、先輩がクールにフォローする。
ちょっとガイア連合産のアイテムを渡しただけであの働きか。アガシオンのグレード、もうちょい上げるべきだったか?
「何で……何で生かしたんですかッ!?あのまま死なせてくれれば──」
「甘えるなよ女」
悪魔も、俺達も、先輩も。助けた女達を含めた全員の動きが止まる。ほんの僅かな〝言霊〟でこの効果だ。高位霊能者達が感情を動かさなくなる理由が良くわかる。
「死んで楽になれる?そんなのは夢物語だ。お前らには見えて無いだろうが、目の前に居る悪魔はお前らの死後すら支配出来る。つまり、お前らには死後にすら安寧の地は無い」
俺達も悪魔に魂を持っていかれれば、未来永劫苦しめ続けられ、悪魔を喜ばせる為だけに存在する〝モノ〟になる事は変わらない。
それが嫌だから、俺らは現状に満足せず、異界に潜っているのだ。……大半はノリと勢いだけどな!
戦闘を再開する雰囲気でも無くなったので、カルト教団が崇めていた悪魔に呪符を投げ付け、その場に縛る。
さらに霊符を撒いて〝門〟を開く。
「ひっ……!」
悪魔の霊格は十五前後。俺からすれば雑魚だが、非覚醒者である彼女達にとっては明確な驚異。後で浄化してやらないと駄目だな、これ。
室内に漂い始めた
「お前らにも〝視〟えただろ?この世界にはアイツの様な存在が蛆虫の如く湧いてるんだよ。そして、今のお前らはアイツらの〝餌〟に過ぎない」
「いや……いやぁ……」
悪魔に睨み付けられ、怯え、混乱する被害者に優しく寄り添う──事はしない。
代わりに霊符からジャックナイフを取り出し、地面にばら蒔く。ついでにタロットを引いた。……やっぱりか。
「死にたくなかったら〝アレ〟を殺せ。怯えているだけじゃ餌になるだけだぞ?それとも──
「────ッ!」
誰一人として動かず、静寂が満ちる空間。死んだ目をしていた被害者も、怯え、頭を抱え、震えていた被害者も。俺達すら等しくジャックナイフを見詰め、次の動きを待っている。その隙に引いた〝カード〟をセット。
「選べ。戦うか、凌辱の果てに再び死ぬか。俺が助けるのは一度だけだ」
──その言葉を待っていたのか。
「あ……あぁ……アァ■■■■■ッ!!」
言葉にもならない雄叫びを上げ、光を失っていた被害者がジャックナイフを拾い、悪魔に何度も何度も振り下ろす。
それを切っ掛けに次々とナイフを手に取り、被害者達が悪魔に立ち向かう。それと入れ替わる様に俺達と先輩が側にやって来た。
「……良いんスか?あれ」
「
「身体を綺麗にして、何時も通り記憶処理をすれば良かったのでは?」
俺達の一人があげた疑問に首を横に振る。
「今回みたいな事件がもうすぐ
血走った目で奇声を上げ、自傷を気にせずナイフを振り下ろす被害者達。そんな彼女達に定期的に霊符を飛ばし、身体の傷や疲労を取り除く。奇しくもスケベ部式覚醒修行に近い状況になったのは運命の悪戯かね?
「セツニキさん」
「ん?どうした先輩」
「彼女達がどうしてあのレベルの悪魔に傷をつけられるんです?」
「あのナイフは非覚醒者でも確実に悪魔に傷を付けられる仕様なんだよ。その代わり、デメリットはヤバイけどな」
「デメリット?」
「神経を紙ヤスリで削られてる様な痛みが全身に走るんだ。その痛みを〝ダメージ〟の概念に変換し、
本来なら媚薬とセットで使うもんで、気持ち良く覚醒出来る代わりにドMになる素晴らしい覚醒修行になる予定だった。
もちろん霊器は色欲系に偏る。〝黒札〟に使う事をショタオジに禁止にされたのは言うまでも無い。
「見た感じ彼女達は痛みを感じてない様に見えますが?」
「それは〝意志力〟ってやつだな。人間だけの特権だ」
過去や
とはいえ流石に非覚醒者がレベル十五の悪魔を殺すのは時間が掛かる。目を離して彼女達が殺されたり、悪魔が逃げたりしたら目も当てられない。なので──
「覚悟がある奴だけが返事しろ。──ソイツを殺す為にあらゆる痛みに耐える覚悟はあるか?」
「────!」
返事はすぐに返ってきた。もはや、人語ですら無いが、だからこそ余計に本心が伝わってくる。
やはり〝魂〟を輝かせる人間は美しい。故にその願いは叶えてやらなければな。
取り出したジャックナイフに〝毒〟を塗り、彼女達の背中に投げ付ける。
『『『────ッ!アァァァァッッ!!』』』
「ちょ、セツニキさん──」
「黙ってろ。ここで止めるのは彼女達の覚悟に対する侮辱だぞ」
ナイフに塗ったのはオルミーガ・ベインティクアトロ*2の毒。死なないギリギリを維持する様に回復するのは面倒だが、その価値は十分ある。
痛みが火力になる以上、先程とは比べ物にならない程の速度で悪魔が苦しみ始める。それを見て、彼女達はさらにナイフを振り下ろす速度を上げる。
一般人なら逆に吐いただろう光景。だが、ここに居るのは歴戦の先輩と
──それから、どれくらい経っただろうか。
「……あ」
俺達の一人が惚けた声を上げた瞬間、彼女達の一人が
「強引過ぎる……!これじゃ覚醒出来ても命が──」
「先輩。俺を舐めんなよ」
安定と信頼の【清浄の祈り】を拍手と共に発動。〝魂〟を視認出来る【
再び訪れた静寂。先程までの狂気が嘘の様に消え去り、ナイフを次々と落としていく被害者達。
身体を蝕んでいた傷も、毒や汚れ、先程まで味わっていた辛い記憶まで。魂を染めていた狂気すら消し去り、全てを洗い流す。
やはり神道の御祓こそ至高。何で俺の根幹は仏教系なんだ糞が。
「わ、私……どうなって……?」
正気を
「まずはおめでとうと言っておこうか。ようこそ、糞みたいな世界へ」
取り敢えず瀕死の悪魔にカードを投げ付け、トドメを刺す。
「服の用意しなきゃな。お前ら、なんかあったりするか?」
「一応、車に戻れば着替えあるッスよ。コンビニの安物だし、男物ッスけど」
「無いよりはマシか。取り敢えず下着だけでも着ておけ」
霊符からムラサキ達の予備の下着とバスタオルを取り出し、被害者達の元へ飛ばす。下は紐だからどうにでもなるが、上がスカスカになるのは仕方無い。爆乳好きの俺達は一般サイズの下着なんて持ってないのだ。
「セツニキさん用意良いっスね」
「異界内に泊まり込みする事も多いからな。俺は着た切り雀でも問題無いが、式神達は嫌がるんだよ。だから用意だけはしてるんだ」
「ん?それならシャツもあるんじゃ?」
「このシャツ、ふざけてる様に見えてレベル三十以上無いと着るのすら危険な霊装だぞ」
「マジっすか……」
マジなんだよなぁ。
「俺達も気にしないと駄目かね?」
「流石に泊まり込みまではしないから大丈夫じゃないか?」
「爆乳好きなら表ジュネスの『ピクシー』か『クロバラ*3』の二択だな。というか霊装下着を作ってる所がそれぐらいしかねぇ。あ、〝夜〟の方はスケベ部の商品置いてるとこなら何処でも買えるぞ」
「何と言うか流石俺達ッスね!」
「頼りになるスケベ部の先輩達のお陰で充実な性活が約束されてる!」
「高位霊能者が使っても平気な頑丈な〝オモチャ〟もあるし、まぁ、嫁が出来たら行ってみれば良い──」
「あ、あの……」
俺達が猥談してる間に着替え終わった様で、申し訳なさそうに彼女達の中の一人が言葉を遮る。……ふむ。紐パンにバスタオルはアリだな。
残念ながら視姦してる暇は無いし、させておく訳にもイカンが。
「お前ら、脱いでシャツ渡してやれ」
「仕方ないッスね。流石にこの格好は可愛そうだし」
俺達が霊装を外して中に着ていたシャツを脱ぐ。それを軽く浄化して彼女達に手渡した。
先輩も流れを読んで背広を手渡す。こういう所は日本人らしい。
「俺は先に外に出て手配してくる。お前らは警察が来るまで待機よろしく」
『『『ういっす』』』
返事を聞きながらカルト宗教が利用していた古ぼけたビルの一室から外へ出る。
この手配のやり方も教えないとなぁ。
◇